ONE 11.19 シンガポール:初防衛戦の秋元皓貴インタビュー「“受けて立つ”王者にはならない。最初からプレッシャーをかけ、相手を壊しに行く」
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ONE Championship「ONE 163」(11月19日(土)シンガポール・インドアスタジアム)のメインイベントで、ONEキックボクシング・バンタム級(65.8kg)王座の初防衛戦を行う秋元皓貴(イヴォルブMMA)が9月27日、ONE公式のインタビューに応じた。大会の模様はABEMAで生中継される。(写真:(C) ONE Championship)
秋元は愛知県出身の30歳。07年にキックデビューし、19戦全勝の快進撃を続けていたが、14年に原点であるフルコンタクト空手に戻り、17年にJFKO全日本大会で優勝。18年にONE直轄のシンガポールのジム・イヴォルブに移籍し、19年からONEでキックに復帰。2戦目でヨセフ・ラシリに判定負けしたが、それ以外の5試合は勝利し5連勝中。昨年12月には中国の強豪・チュー・ジェンリャンを圧倒し、3月のONE Xではカピタン・ペッティンディーアカデミーの王座に挑戦。右ローを効かせ、ミドル、ハイ、パンチで追い詰め5R判定勝ちし、ONEのスーパーシリーズ(立ち技部門)では初の日本人王者となった。試合はそれ以来8か月ぶりとなる。
挑戦者のペッタノン・ペットファーガス(タイ/4位)は85年11月6日生まれの36歳(試合時は37歳)タイのムエタイの2大スタジアム、ルンピニー、ラジャダムナンを主戦場にした後、約10年前からオーストラリアに渡り、以降は同地や中国の試合が中心となる。18年の中国の武林風67kg級トーナメント(ルールは肘無しでONEに近い)を制すると、ONEに参戦。20年9月のカピタン戦では開始6秒、右ストレートをもらいKO負けしたが、昨年9月の試合では中国のジャン・チェンロンをサウスポーからの左ミドル等の蹴りで翻弄して判定勝ちし、健在ぶりを示した。
「観客が沸いているのが聞こえてきたので、その瞬間が印象に残っています」
――タイトル獲得から半年くらい経ちますが、試合を振り返って思い出に残っていることは。
秋元「やっぱり最終ラウンドですかね。本当に勝ちたいという気持ちで、最後までラッシュかけてそれを見て観客が沸いているのが聞こえてきたので、その瞬間が印象に残っています。」
――ONE X大会を通して、あの試合が一番盛り上がったとの声も沢山ありました。自分でもそう感じますか。
秋元「やっているときは、そんなことは意識もしていなかったです。でも会場が沸いている感じとか。5ラウンドの試合でああいう試合ってあまりないと思うんですよね。どっかしらでKOしたり、ダウンを取って、取られてがあって観客が沸くっていうのはあると思うんですけど、お互いにダウンもなしで最終ラウンドに会場が沸く試合は中々ないと思うので、そういう面では評価される試合だったんだと後から感じました。」
――トレーニングに向かう気持ちや、タイトルを守る立場になって、考え方や試合に向けての緊張感に変化はありますか。
秋元「前回の試合ですごい良い評価をしてもらって、逆にこれから僕の試合を見る人はあの試合と同じくらい面白い試合を期待してくるだろうなと思うので、それには応えたいなと、もちろん思います。チャンピオンになったからといって、やることは一緒なので、そんなに変わらないですね。」
――ペッタノンと戦いますが、相手に対する第一印象は。
秋元「ONEの中での試合を見ると、カピタンに秒殺されたというのもあってONEの中では評価が高くないのかなとは思うんですけど、戦績も良く、戦歴も多い選手。ONEに出てくる相手はみんな、一瞬でも気を抜いたら負けてしまうので、気を抜かずに。逆に(相手が)気を抜いたら倒しに行く気持ちでいきます。」
――この試合は自分でも楽しみですか。
秋元「ここ2試合はオーソドックスの相手でした。階級をあげて最初の2試合がサウスポー(ジャン・チェンロン)で今回の相手もサウスポー。またこの2試合を挟んでさらに自分が成長したというのを、サウスポーと戦うことで見せられると思うので、そこは楽しみです。」
――サウスポーに対しての対策は。
秋元「もともとサウスポーが苦手ではなくて、どちらかというとサウスポーの方が得意。だからサウスポーだということに問題はないですね。ただ、前よりも攻め方が増えたりとか、色んなことができるようになっているので、そういうのを出していきたい。」
「僕は、極真空手のスタイルと、ヨーロッパ系のキックボクシングスタイルと、今はムエタイのコーチにも教えてもらっています」
――相手の強み、弱みは。
秋元「相手の試合は、1試合しか見ていないんですけど、それを見てやっぱり身体は作っているなと思いました。そのことでパワーはあるのかなと感じました。完全なムエタイスタイルですけど、キックボクシングの試合もたくさんやっているみたいで、キックボクシング慣れもしているなと感じますね。弱みとしては、僕みたいなスタイルとはあまり試合をしたことがないのかなと思います。自分のスピードを活かしていければ、問題ないのかなと思います。僕は、極真空手のスタイルと、ヨーロッパ系のキックボクシングスタイルと、今はムエタイのコーチにも教えてもらっています。ベースは今までのスタイルですけど、そこにムエタイの要素をちょっとずつ入れたりしているので。格闘技を色々見ていると、どっか(のスタイル)に偏った選手って割と多いと思うんです。でも自分はそういう偏りがなくて、色々なスタイルが混ざっているので、そういう意味では相手にとってはやりにくいのでは?と思います。」
――ノンオーが最近タイに戻りましたね。ペッタノンとも練習している様子がSNSで見られますが、気になりますか。
秋元「まあ一応ノンオーは、Evolve Fight Teamなので、ちゃんと口だけじゃなくてEvolve Fight Teamの一員でいて欲しいですね。」
――彼が秋元選手のスタイルや癖についてペッタノンに話すと思いますか。
秋元「どうですかね?今一緒に練習しているなら全然言っちゃうんじゃないですかね。ただ、ノンオーがいなくなってからも、僕も変わっているし、毎日毎日変わるってことを意識しているので、さらに進化して(ペッタノンが)こんなの聞いてないよってなるくらい強くなりたいです。」
――ペッタノンはスーパーボンやそのトレーナーとも練習していますが、そういう部分も警戒しますか。
秋元「スーパーボンとかは特に、しっかりとしたムエタイのスタイルでキックボクシングでもあれだけやっているので、そういう部分では警戒すべきかなと。どういうふうにキックボクサーを攻略するかって考えていると思うので、そこは警戒すべきかなと思います。」
――ペッタノンの最近の試合を見て、彼がタイトル挑戦者にふさわしいと思いますか。
秋元「どうですかね?僕としてはレベルの違いを見せつけれればと思うって感じです。」
――逆に、他にふさわしい相手はいたと思いますか。
秋元「僕の予想としては、カピタンとの再戦か、その前のチャンピオンのラマザノフがくるのか、それぞれ40%。残りの20%がペッタノンかな?という予想だったので、まあそんなにすごく相応しくないとかもないし、その中で誰がきてもおかしくないかなとは思っていました。」
――カピタンとの再戦も頭にあったのですね。
秋元「周りからというか、SNSでの声だったり、リマッチを見たいという声も見かけました。でも実際は僕が圧勝しているので、リマッチをすぐやる必要はないなとは思います。」
――カピタンはペッタノンを試合開始6秒でKOしましたが、その記録を破りたいですか。
秋元「狙わないですね(笑)実際カピタンも狙って6秒で倒したわけではないと思うので、もしかしたら狙ってなくて5秒で倒すことはあるかもしれません。」
――秋元選手はONEで6勝していますが、KO勝利がなく、ノックアウトを見たいという声もあります。今回KOを狙っていますか。
秋元「もちろんファイターであれば常にKOを狙うべきだと思う。前回のカピタン戦も倒したかったんですけど、まあ結構タフで。あれから、パンチとかもシャープになってきていると思いますし、それからまた期間があいてパワーもついてきている実感があるので、この辺で倒せたらなと思います。」
「“受けて立つ”王者にはならない。最初からプレッシャーをかけ、相手を壊しに行く」
――初めての防衛戦になりますが、特別な気持ちがありますか。
秋元「いつもと違うことはないです。防衛戦というのが人生で初めて。今まで日本のタイトルや空手の世界タイトルを獲ってきた。結構獲って終わっているっていうのが多くて、今まで防衛というのがなかったんですよね。ただ、今回いざ防衛するってなってもそこまで意識はない。まだ心はチャレンジャーというか、守ろうっていうよりも倒してもっと上に行ってやろうって気持ちの方が強いです。」
――ペッタノンをKOすることも大事だと思いますか?
秋元「よくチャンピオンらしい戦いとかは言われますが、それは意識していない。今回は、自分の強さをしっかりと見せたい。そういう意味ではKOを意識してこれから8週間くらいやっていこうと思います。」
――タイトル防衛戦が決まるまでに取り組んできたことは。
秋元「一番は、パンチをもっとシャープに打ちたいというのとパンチのパワー。それを意識しつつスピードが落ちないように。それが自分の中でもフィットしてきているので、試合でも出せればしっかりKOを狙えると思います。」
――今回の試合に向けて練習相手は。
秋元「技術面に関しては、Evolveのタイ人のインストラクター。サウスポーってことなので、スパーリングは一階級上のサゲットダオ、元ONEファイターのトゥカタートン。今回タイ人の選手なので彼にお願いしようと思っています。」
――秋元選手が考えるチャンピオン像とはなんでしょうか。
秋元「難しいですね。いろんなチャンピオンがいても良いと思うんですけど、自分がなりたいのは、チャンピオンだからといって “受けて立つ”というチャンピオンになろうとは思っていなくて、最初から自分からプレッシャーをかけて行って、相手を壊しに行く戦い方をしようと思っています。それが自分のチャンピオンとしての理想像かなと思います。」
――これからONEスーパーシリーズを目指す選手に向けて一言お願いします。
秋元「結構日本人の選手とか、テクニックに全振りの選手が多い。技術はあるけどちょっとパワーが足りてない。オフェンスは良いけどディフェンスがちょっとという選手が割と多いので、フィジカルを鍛えないと海外の選手には勝てないと思うので、ディフェンスして攻撃をもらわないということ。あと一番はメンタル。海外のすごい強い選手、聞いただけでビビっちゃう選手とか、そういう選手は最終的に勝てないと思うので、メンタルもしっかりと鍛えてこないといけないのかなと思います。」