ラウェイ×アンビータブル 10.6 後楽園ホール:頭突きあり・OFG着用の立ち技新ルールに初挑戦。佐藤光留「“プロレスが最強の格闘技”を捨ててラクになった感がすごく嫌で」
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10月6日の後楽園ホール(東京・水道橋)で第2回を迎える伝統武道ラウェイと新格闘技アンビータブルのコラボ大会。参戦ファイターが大勢の人から聞かれるのは、一体なぜ、これほど過酷な舞台に足を踏み入れようとしたのか――。第1回大会から今大会へ出場がシフトしたプロレスラー・佐藤光留選手に聞いていきます。(記事提供:ファーストオンステージ)
(大会の模様はZAIKOにて有料生中継されます)
(追記:大村友也と対戦予定だったテレカ∞(NEXT LEVEL渋谷)が練習中に左示趾中手骨骨折の怪我を負ったため欠場する。代わって大村友也(掣圏会)が杉山和史(TURNING POINT)と対戦する。契約体重は63.5kgから65kgに変わっている。)
「“ヤバい”と思った瞬間に“やります”っていつも言っちゃう」
――佐藤選手は昨年がキャリア20周年でした。総合格闘技(MMA)戦の経験は51試合ですか?
佐藤 記録されなかった試合も結構あるので、それを含めると60戦は超えています。
――プロレスのキャリアも20周年でしょうか?
佐藤 それが難しいんですよ。僕はプロレス団体だと思ってパンクラスを選んだんです。僕個人がそう解釈したというより、そういう時代でした。
――では、パンクラスに入ったきっかけは?
佐藤 高校時代、ミノワマンさんが僕の地元のインディー団体に来たことです。そこでUWFの動きを見て、これはカッコイイと思いました。それからミノワマンさんが、パンクラスの入団するって聞いて、俺もパンクラスに入るしかない!って思いました。そのあとプロレスはプロレス、総合格闘技は総合、今でいうMMAに分類されれましたから、“純プロレス”って言われると…2008年からですかね。
――格闘技を志す前は陸上選手だったそうですね。
佐藤 中学時代が陸上部で、高校時代がレスリング部。レスリングでは全国大会で表彰台に上がる成績でした。キッズから始めて上に行く人がほとんどだった中で奮闘したので、プロレス好きが高じてレスリング部に入ったタイプでは希望の星だったはずです。
――打撃メインの試合ではシュートボクシングで公式試合を経験しています。
佐藤 2015年のヘビー級トーナメントですね。当時、鈴木みのるさんとシュートボクシングのシーザージム渋谷付近に店を出したんです。それでこのジムに練習で通うことにしたんですけど、入会日に“実は今、プロレスラーでシュートボクシングのヘビー級トーナメントに出てくれる人を探してるんですけど、誰かいないですかね”って相談されたので、“じゃあ僕、出ますよ”って。ジム入会とシュートボクシング・デビューが同時に決まりました」
――決めたらとことん早いですね。
佐藤 まあ、アンビータブル参戦もそのイズムの1つですね。あとから“やべえ、大丈夫かな”って感じたら“正解を選んだんだ”と思うことにしています。だから“ヤバい”と思った瞬間に“やります”っていつも言っちゃうんです(笑)。
――身体を壊したりしませんか?
佐藤 壊れますけど、試合はやります。昔は鼻から骨が見えるようなケガをしたんですけど、翌日にDEEP興行に出ましたから。大晦日に試合した時も、骨折したんですけど、勝った以上、今がTシャツを売るチャンスだと思って、翌々日の全日本プロレスの興行に出ました。
――その意図は何でしょうか?
佐藤 1つのアンチエージングですかも知れないですね。40を過ぎると、みんな冒険しなくなるじゃないですか。それがなんかもったいないと思います。
――その“ヤバい”と感じたアンビータブルへの参戦を、今、どう思っていますか?
佐藤 面白いドラマだと思っていますよ。最初は前回、鈴木槙吾選手と戦う予定でした。彼とは17年前にパンクラスのプロ・アマ混合のキャッチレスリング・トーナメント1回戦で試合をしているんです。そこで僕が優勝したのを鈴木選手も覚えていて、こんなところでまた戦う話が出た。紆余曲折して、対戦相手が大成選手となりましたが、ドラマチックでワクワクしています。
――大成選手は佐藤選手がデビュー戦の頃、まだ母親のお腹で眠っていた選手です。
佐藤 僕は2000年2月にデビューで大成選手が翌月に産まれたんですよね。それで初めて、ああ自分も40歳を超えたんだなと思いました。普段、年齢を気にしないんです。プロレスでも年下の選手まで“オッサンの力を見せる!”とか言うんですけど、若くても練習してないヤツは弱いし、年齢を重ねるごとにパフォーマンスが熟していく選手は安定的に強いですから。MMAではパンクラスイズム横浜へ練習に行くんですけど、そこの北岡悟は同い年です。彼は現在進行形でMMA最前線に身を置いてます。だからあまり年齢を考えたことなかったですが、大成選手の経歴を見て、あ、俺41歳なんだなと(笑)。でも気後れはまったくしていません。
「僕の武器はプロレス・キャリアです」
――アンビーダブルで認められている頭突きの練習はしていますか?
佐藤 はい、主にプロレスの試合で。そう言うと、みんな“プロレスでしょ?”って言うけど、動いている相手に頭突きを当てるのって難しいですよ。
――ラウェイで戦う日本人ファイターたちがよく習得に苦労しているのが頭突きです。
佐藤 まず、クリーンヒットさせるスキルを磨いています。僕はMMAでタックルに入るタイミングに才能があったと思うんです。頭突きもその感覚で行こうかなと思っています。あとは組んだときですね。
――テクニック面でプロレスラーは“MMAとの同時進行が難しい”と言うことがあります。
佐藤 つい受け身を取ってしまうとはあります。試合でパンチもらったときに、プロレス的に思わずフラッとしてしまったんですよ。そうしたら、相手がチャンスだと思って出てこようとして、僕が平然と身構えたら、相手がビックリして後ずさりしました(笑)。
――効いたリアクションは採点で致命的ですから、普通わざわざやらないですよね。
佐藤 おかげでそこから、試合が拮抗した。プロレスの癖って、いいほうに転がることもあるんです。以前はMMAの打撃が怖くて前へ出られなかったんですけど、曙の張り手をプロレスの地方興行でずっと食らっていた時期があったんですね。横綱の張り手って、痛いを通り越して体が飛ぶんですよ。その後、MMAのパンチが精神的になんとも思わなくなった。前へ出続けて勝てるようになった。だからハッキリ言えますよ。僕の武器はプロレス・キャリアです。
――では打撃にも今は自信がありますか?
佐藤 それは別です。21年やっていて、本当に向いてないと悟っています(笑)。それでも今回、究極の打撃競技に臨むのは好きだからです。現代って向いていることを見出そうみたいな社会じゃないですか。だからこそ、向いてなくたって、好きだったら自信を持ってやっていいんじゃないかっていうメッセージがあります。
――今回の参戦についてプロレスファンの反応は?
佐藤 元々、僕にはカルトのイメージがあるでしょうから、特別驚かれないです。僕自身は自分を“下水道の王”だと思っています。みんな必死で日の当たる場所をめざすじゃないですか。だから下水道の中には僕しかいなくなる。日は当たらないけど、無数のドブネスミたちの頂点にいる王。だからこそ、自分で「やる」と決めたものでは、頂点じゃなきゃダメだって。プロレスの試合からいつもそう思っています。今日はしんどいから流そうとかっていうのは、1度もない。それが日の当たらない人間唯一のプライドだと思っています。
――プロレスラーが他の格闘技に臨むこと自体にはどんな持論がありますか?
佐藤 2000年前後、プロレスラーが団体単位でMMA戦に臨んで、結局勝てなかったじゃないですか。それでプロレスの人気が一度落ちて、また新しい世界観になって盛り返しましたけど、“プロレスは最強より最高なんだ”って。ファンが言うならまだしも、レスラーもそう言うようになったら、僕は悔しいんです。新しい文化「プロレス女子」のみなさんは勝ち負けに感動しているんですけど、「プロレスが最強の格闘技」を捨ててラクになった感がすごく嫌で。そう言った意地に、僕はまだ身を浸している世代です。その気持ちが結構大きいんですよ。アンビータブルみたいな“ヤバいと思ったこと”に挑む上で。
「デスマッチには中毒性もある。その魅力が、アンビータブルにもある」
――7月22日のラウェイ×アンビータブル第1回大会に出られなかったご心境は?
佐藤 リング挨拶で観に行って、もう超嫉妬!何より頭突きの音ですよ。“ガッ”ていう音で、客席から思わずざわっとした声が漏れた。それで“俺はどうしてこの注目の中にいられないんだ!”って。プロレスでも、蛍光灯で殴ったり、電流爆破で流血したりっていうデスマッチがあるじゃないですか。その客席って、意外と女性がキャーキャー言ったりしているんですよ。だからデスマッチには中毒性もある。その魅力が、アンビータブルにもあるって、第1回大会で確信したんですけど、まだ認知されていないですよね。それを伝える役割を担えるのもプロレスラーなんじゃないかなと。
――打撃系格闘技に臨むプロレスラーならではの理念ですね。
佐藤 冷徹そうなロシア人と戦うためにMMAのゲージに閉じ込められたプロレスラーって何人もいないじゃないですか。あの時、全身の毛が逆立つような興奮があって、“ガシャン”って閉められたときに、例の「やべえ」を感じた。こうした感覚をお客さんにも伝えたいです。
――今回の出場で、プロレス活動へのリスクは?
佐藤 3日前にも3日後にもプロレスの試合を入れてあります。それを考えたら、確かにリスクはありますけど、リスク・ゼロってゾクゾクしないじゃないですか。こんな例を挙げるのはデリケートなご時世ですけど、コロナ禍にもそう思います。お客さんはいくら感染対策があっても、会場に来る途中とか、多少なりともリスクを感じていらっしゃるわけじゃないですか。そんな期待の中で、ファイター自身がリスクを取らなくて何を返せるんだって思います。特に僕のような鬱屈した青春時代を過ごしている人とか、佐藤光留の挑戦を観て、何か感じてもらえると思って、できる限りがんばろうと思っています。
――対戦する大成選手にはどんな印象がありますか?
佐藤 ストリート・ファイト経験が多かったので「格闘技がなかったら反社会勢力に入ろうかと思っていた」ってコメントを見ました。それで右利きのサウスポー・スタイルなんじゃないですかね。格闘技を習う以前からの利き手を前に出して勝負していた。こういうタイプって格闘技を始めると、真面目に予習・復習をしたりするんです。戦略もきっとある。体格もしっかりしていますし、何より若いです。ただ、僕もプロレスに救われたと思っている人間です。それなのに「圧倒してブッ倒す」って宣言されていますから、それはもう圧倒してブッ倒そうと思っている合戦です。
――最後に意気込みをお願いします。
佐藤 僕は影響力がない、ただし嘘もない。練習していないのに練習したとか、強くなりたいと思っていないのに強くなりたいって言うヤツがいますけど、10月6日に最強レスラー、佐藤光留であることを目指して仕上げています。「やべえ」に惹かれるとか言って頭がおかしいと思われたかも知れませんが、プロレスラーは、観てもらって、初めてそのイズムを理解してもらえると思っています。ぜひ後楽園ホールにいらしてください!
対戦カード
第6試合 メインイベント ラウェイ・ルール 72kg契約 3分5R
渡慶次幸平(クロスポイント吉祥寺/ラウェイAIR KBZ 75kg級 2018王者)
レバナ・デオグラシャス[Lebana Deogratias](コンゴ民主共和国/BRAVE)
第5試合 アンビータブル・ルール 90kg契約 5分2R
佐藤光留(パンクラスMISSION)
大成(フリー)※関野大成 改め。三河幕府から所属変更
第4試合 アンビータブル・ルール 体重無差別 5分2R
半田勝也(猛者連八幡支部チームキクリン)
内田ノボル(翔拳道/元MA日本キック&新日本キック・ヘビー級王者)
第3試合 アンビータブル・ルール 65kg契約 5分2R
大村友也(掣圏会)
杉山和史(TURNING POINT)
第2試合 アンビータブル・ルール 70kg契約 5分2R
笠島竜二(GTジム)
レバナ・エゼキエル[Lebana Ezechiel](コンゴ民主共和国/BRAVE)
第1試合 アンビータブル・ルール 66kg契約 5分2R
福田泰暉(TEAM-STAKE)
中島光陽(氣魂道場)
概要
大会名 ラウェイ×アンビータブル 第2回大会
日時 2021年10月6日(水)開場・18:15 開始・19:00
会場 後楽園ホール
中継 ZAIKO(¥3,352)
チケット料金 SRS席¥25,000 RS席¥10,000 S席¥8,000 A席¥6,000 ※当日券は+¥1,000 ※未就学児は保護者の膝上での観戦に限り無料、座席を必要とする場合は有料
チケット販売 LETHWEI × UNBEATABLE Official EC Shop チケットぴあ 出場選手・所属ジム
お問い合わせ ファーストオンステージ inquiry@firstonstage.jp https://firstonstage.jp/ https://twitter.com/UnbeatableJapan
アンビータブル(UNBEATABLE)ルール概要
【ラウェイとの相違点】
・特別開発されたオープンフィンガーグローブ着用 ※ラウェイはバンテージのみ
・5分2R・インターバル2分(主に拳を休めるため) ※ラウェイは3分5R・インターバル2分
・判定あり(試合全体の攻防で3名のジャッジが判定)※ラウェイは判定なし。時間切れの場合は引き分け
・タイムなし ※ラウェイは大きなダメージなどの際、1試合で1回2分間休憩できる「タイム」制度がある
・ラウンドガールのリング入場可 ※ミャンマーの奉納行事のラウェイでは認められなかったルールの緩和を検討中。
【判定の優先順位】
「格闘技の原点回帰」を意識したアグレッシブ・ファーストを基本とします。
1.アグレッシブ(攻撃的・積極的であった選手)
2.クリーンヒット(多くのダメージを相手に与えた選手)
3.リングジェネラルシップ(主導権を維持していた選手)
4.ディフェンス(攻撃を無効にする防御に長けていた選手)
【ダウンについて】
10カウント以内にファイティングポーズを取れなかった場合、もしくはラウンド中に3度ダウンを喫した場合は「KO負け」。
レフェリーストップやドクターストップ、1試合で一方の選手がダウンを計4度喫した場合は「TKO負け」。
1カウントはラウェイ同様2秒(合計20秒)。
【有効な攻撃】
1.パンチ(バックハンドを含むあらゆる拳を使った攻撃)
2.キック(ヒザを含むあらゆる足を使った攻撃)
3.あらゆるヒジを使った攻撃
4.あらゆる頭突き攻撃(選手双方の希望により、禁止とする特別ルールもあり)
5.頸部(首)以外への絞め技・関節技
6.戦略的なクリンチ(抱え込み)
7.頸部を支点としたものを除くあらゆる投げ技
【主な反則】
目つぶし(ラウェイでも反則)、金的(ラウェイでは故意でなければOK)、脊髄、女子の胸部への攻撃(ラウェイではOK)。いずれも故意であるか否かは問わない。投げ技・関節技・絞め技は頸部(首)を支点としたもののみ禁止(ラウェイではOK)。