ONE Championship 8.2 マニラ AbemaTVで生中継:岡見勇信、38歳にして“迷い”との戦い「ジェームス・ナカシマに勝てば、自分というものを改めて信用できる」
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現役の日本人MMA選手で、最も長い期間、世界クラスでの活動をしている選手といえば、岡見勇信ではないだろうか。2002年に21歳でプロデビューし、06年からUFCに参戦し、11年には敗れはしたものの当時絶対王者と言われたアンデウソン・シウバのミドル級王座に挑戦した。13年にUFCとの契約が切れたが、WSOF、DEEP、パンクラス等での勝利を経て、17年9月のさいたま大会でUFCに復帰。昨年4月のディエゴ・リマ戦ではUFCで5年ぶりの白星をもぎ取った。
しかし12月の試合でアレクセイ・クンチェンコに敗れUFCとの契約が再び終了。今年元旦のツイートで岡見は「今年は格闘家としての集大成の1年と位置づけ、迷うことなく自分を信じ、貫き通す」と決意表明し、ONE Championshipを最後の戦場に選んだが、5月のジャカルタ大会での初戦では、2Rにキャムラン・アバソフの右フックをもらい、パウンドを浴びてTKO負けを喫してしまう。
それから約3か月、「ONE: DAWN OF HEROES」(8月2日(金) フィリピン・マニラ:モール・オブ・アジア・アリーナ)で、岡見は米国の新鋭・ジェームス・ナカシマとONE 2戦目を行うことが決まった。ナカシマはMMAプロ戦績11戦11勝(2KO)の30歳。レスリングをベースとし、15年にMMAデビュー。17年にUFCに数多くの選手を送り込んでいる米国のレガシーFCでウェルター級王座を獲得し、昨年7月に初防衛。王座戦でナカシマに敗れた2選手は後にUFCと契約しており、ナカシマもUFCで戦える実力者だったが、11月にONEに初参戦し、レイモンド・マゴメダリエフ(ロシア)に判定勝ち(下動画の青がナカシマ)。続く今年4月にルイス・サントス(ブラジル)と対戦し、2Rにナカシマがテイクダウンを奪った後、サントスが怪我しTKO勝ちとなっている。
8年前、世界の頂点まであと一歩のところまで上り詰めた岡見に、38歳の今でも、果たしてまだ世界で戦える実力があるのか? AbemaTVでの8月2日(金)午後6時からの生中継で、ぜひとも皆さんの目で、今の岡見の真価を確かめて欲しい。(取材&写真:井原芳徳)
――試合まであと半月です(インタビューは7月17日)。コンディションはいかがですか?
岡見「いいと思いますね。年齢のこともあるので、疲れをあまり残さないように、まだ追い込みたいなあと思いながらも、心の中でせめぎ合いながら(笑)。でも、ほぼ出来上がっていると思います」
――まず前回5月のアバソフ戦は悔しい結果だったと思いますが、いかがですか?
岡見「悔しいですよね。この前の試合も、去年12月のUFCでの最後の試合(クンチェンコ戦)も、実力を出し切る前に色んなものが終わっていたという状況ですね。練習で作り上げたものは納得して、ベストなものを見せようとしますが、結果が出ない。何が正解なのか?自分の導き出した答えが信用できないというのがありましたね」
――アバソフ戦の1Rはマウントポジションを取ったりしていたので、順調に見えました。
岡見「うーん、自分の中では、相手に動かされたというか。1R終わった時点では手応えは感じなかったですね。明確な意思があって、そこ(マウント)を作り上げた感じじゃ無かったですね」
――1Rが終わって、2Rはどうして行こうと思いましたか?
岡見「考えながら試合をしていましたね。考えすぎると試合がうまく行くことは少ないと思います。ベストは無心で戦うことだと思うので。自分の考えた戦略が完全にフィットしていかなったから、試合中に考えてしまったということだと思うので、試合までに作り上げたものが足らなかった。連敗して、自分を見つめなおし、改めて考えましたね」
――凄く禅問答的ですね。その考えを踏まえ、現時点ではどうですか?
岡見「自分にとって、ベストな動きは何なのか、武器は何なのか、弱点は何なのか、過去を振り返りながら、行きつくところはあって、一番大事なのは結局、いかに無心で戦うか。そのマインドをセットできれば、ゴールがはっきりしているので、無心で動けるでしょうし、作り上げている最中ではありますけど、ほぼ出来上がってきてはいるので」
――その考えについて、誰かにアドバイスをもらったりしましたか?
岡見「原点に戻って、和術慧舟會時代の先輩の磯野(元)さんに相談し、練習を見てもらいました。僕が(プロデビューする前の)18の時からのお付き合いで、元々ずっとセコンドについていただいて、最近は離れていましたけど。最先端のMMAを追い過ぎていた自分もいて、原点を見つめ直した感じですね」
本日の夜は、久しぶりに頂道場へ!
磯野さんの指導の下、寝技寝技寝技#原点回帰 #和術慧舟會 #アンダーアーマー pic.twitter.com/0Fyl14SBLO— Yushin Okami (@_Yushin_Okami_) June 13, 2019
――具体的には?
岡見「MMAってのは、一つ一つの動きが連動し、集合体になっていますけど、一つ一つの動き自体の精度が高くなければ、つながらないですよね。僕はずっと“北米MMA”をやろうとしていましたけど、人それぞれに適した動きがあり、岡見勇信の最善の動きってのは何なのかを、磯野さんと話しながら考えました」
――今回の相手、ジェームス・ナカシマは、まさに“北米MMA”の選手って感じですよね。レスリング出身で、レガシーFCの元王者で。
岡見「彼は何かがズバ抜けて凄いってのは無いですけど、全ての動き、攻撃力も防御力も高いレベルにあって、自分のやるべきことをわかっている選手で、迷いが無いですよね」
――プロのMMAでは11戦負け無しですよね。
岡見「経験はそこまで無いですけど、局面局面で自分が信じたものを遂行できる。気持ちもフィジカルもスタミナもしっかりしていて、強い選手だなと思います」
――対抗できる自信は?
岡見「組み合って、驚くことは無いと思うんですよ。僕も色んな選手とやってきましたから。ただ、彼のペースに付き合うと、そのペースに持って行かれるでしょうね。同じようにやりあってしまうと、いつの間にか向こうにペースが行ってしまうと思います」
――戦績だけ見ての評価ではありますが、11勝のうちフィニッシュは2KOだけなんですよね。
岡見「破壊力のある打撃を打つとか、凄まじいサブミッションがあるとかじゃなく、総合力や気持ちの部分で、迷い無く勝負できるのが強味ですね。どんなにキツい展開でも投げ出すことは無いでしょうし。尊敬できる選手だなと思います」
――打撃のスキルはどう見ていますか?
岡見「優れたコンビネーションがあるわけでは無いですけど、局面局面でしっかり振って来るところは正直怖いですね」
――最近、パンチをもらってしまう場面がありますから、恐怖心がある?
岡見「こればっかりはファイターですからね。もらって倒れたら、這いつくばってでも逃げるしかないんですよ。前回は倒れてから止まってしまったので、倒れた後はこう動こうとか、考えさせられましたね。もらわないのようにするのが一番ですけど、倒れたら倒れたでどう動くかも大事ですね」
――前回の試合もアバソフのパンチで倒された後の意識はしっかりしていたのですか?
岡見「意識はあって、相手の足を遠ざけて守ってはいたんですけど、相手の手は近づけて、ちぐはぐになっていて(レフェリーストップは)仕方ないなと。後ろを向いてもいいから、バタついて逃げるなり、もっとアクションを起こして、戦闘意志をレフェリーに見せないといけなかったですね」
――ONE初参戦で、減量などの試合までの準備の違いは問題無かったですか?
岡見「尿比重検査は怖かったですね。体重は予備計量や、自分で持ってきた体重計で事前に測れますけど、尿比重は(検査官による検査の)一発ですから、入念に準備はしていても、怖かったです。ただコンディションは凄く良かったです。水抜きが無いってだけで天国と地獄ぐらい違います」(※尿比重とは尿中の水分と、水分以外の物質の割合。高いと脱水症・心不全、低いと腎不全の危険性がある。15年12月にONEで減量中の選手が死亡する事件が発生して以降、水抜き等による急激な減量を規制するルールが設けられた)
――グラウンド状態の膝蹴りに関するルールや、判定基準の違いは意識しましたか?
岡見「そこはあんまり意識しなかったですね。結局は強い方が勝つという風に意識を持って行きましたし、リングでしたけど、リングのほうが捕まえやすくて、やりやすいのかなと思います」
――試合までの残り期間はどういう準備をしますか?
岡見「今のところ怪我も無く順調に来れているので、本番に向けて気持ちだったり、動きだったり、無心で戦えるよう積み上げ、今できることを精いっぱい頑張ろうと思います」
――最近のツイートでは、秋山成勲さんのONEでの試合を観て「秋山さんの魂の強さ。全身全霊の闘い。深く心に残りました」と書かれていましたね。
岡見「秋山さんが復帰されると聞いてから、何度か一緒に練習していました。一度休んで、久々に復帰し、戦うモチベーションを持って行くのは大変なことだと思うんですよね。僕なら無理でしょうね。不安はありましたけど、試合を観たら、何も変わらない秋山さんがそこで戦っていて、凄いなと思いました。僕は38になりますけど、43で戦うイメージなんて、全く沸かないですね。負けはしましたけど、最後まで戦っていましたよね。カッコ良かったです。そういう男になりたいですし、最後まで戦い続けた魂に刺激を受けました」
――今回のマニラは凄いメンバーが集まる大会です。他のカードを意識することはありますか?
岡見「凄い選手が出ますし、こんなに日本人が出るんだと驚きましたし、みんな若いですよね。DJもアルバレスもロッタンも出るし、この中で戦えるのは光栄ですけど、自分にできることをやり通すしか無いです。とにかく出し切りたい、勝ちたい、その思いだけです」
――チャンピオンベルトを獲りたいとONE参戦時からおっしゃっていましたから、とにかく勝たないといけないですよね。
岡見「もちろん。チャンピオンになるには絶対に落とせない試合ですし、ジェームス・ナカシマに勝てば、自分というものを改めて信用できるでしょうし、今後の大きな野望も展望も沸いてくるでしょうし」
――ナカシマはそのためにもちょうど良いレベルの選手ですよね。
岡見「ONEには凄くいい相手を用意してもらえましたね。勝てば自分自身に評価を与えられる試合を組んでもらえたので、ありがたく思っています」
――最後にBOUTREVIEWの読者、AbemaTVの視聴者に向けてのアピールがございましたらお願いいたします。
岡見「19年、総合格闘技をやって来て、今、僕が思うベストの岡見勇信をお見せしたいと思っています。お見せして、勝ちたい。AbemaTVで見て、応援していただければと思います」◆◆◆
対戦カード
第15試合 メインイベント ONE MMA フェザー級(70.3kg)チャンピオンシップ 5分5R
マーチン・ヌグエン[ニューイェン/ウィン/Martin Nguyen](ベトナム/オーストラリア/王者)
松嶋こよみ(パンクラスイズム横浜/挑戦者)
第14試合 ONE ムエタイ フライ級(61.2kg)チャンピオンシップ(肘有り・オープンフィンガーグローブ着用) 3分5R
ジョナサン・ハガティー(英国/王者)
ロッタン・ジットムアンノン(タイ/挑戦者、元ルンピニー認定スーパーフェザー級1位、元ラジャダムナン同級1位)
第13試合 MMA ライト級(77.1kg)GP 準決勝 5分3R
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン/元ONE王者)
エディ・アルバレス(米国/元UFC&ベラトール王者)
第12試合 MMA フライ級(61.2kg)GP 準決勝 5分3R
デメトリアス・ジョンソン(米国/元UFC王者)
和田竜光(フリー/DEEP王者)
第11試合 MMA フライ級(61.2kg)GP 準決勝 5分3R
ダニー・キンガド(フィリピン)
リース・マクラーレン(オーストラリア)
第10試合 ムエタイ バンタム級(65.8kg)(肘有り・オープンフィンガーグローブ着用) 3分3R
ロートレック・PKセンチャイムエタイジム(タイ)
アンドリュー・ミラー[Andrew Miller](英国)
(以下プレリム)
第9試合 MMA フライ級(61.2kg)GP リザーブバウト 5分3R
ジェヘ・ユスタキオ(フィリピン/元ONE王者)
若松佑弥(TRIBE TOKYO M.M.A/パンクラス2位)
第8試合 MMA ヘビー級 5分3R
マウロ・セリーリ(イタリア)
アルジャン・ブラー [Arjan Bhullar](インド)
第7試合 ライト級(77.1kg) 5分3R
ホノリオ・バナリオ(フィリピン/元ONE王者)
パク・デソン(韓国)
第6試合 MMA バンタム級(65.8kg) 5分3R
レアンドロ・イッサ(ブラジル)
竹中大地(パラエストラ和泉)
第5試合 MMA ウェルター級(83.9kg) 5分3R
ジェームズ・ナカシマ[James Nakashima](米国)
岡見勇信(EXFIGHT)
第4試合 MMA フェザー級(70.3kg) 5分3R
エドゥアルド・ケリー(フィリピン)
シャ・ビン[Xie Bin](中国)
第3試合 MMA ストロー級(56.7kg) 5分3R
ポンシリ・ミッサティット(タイ)
ミャオ・リータオ [Miao Li Tao](中国)
第2試合 MMA 女子ストロー級(56.7kg) 5分3R
サマラ・サントス[Samara Santos](ブラジル)
三浦彩佳(TRIBE TOKYO M.M.A/パンクラス2位)
第1試合 MMA バンタム級(65.8kg) 5分3R
スノト(インドネシア)
ムハマド・アイマン(マレーシア)