RIZIN 諫山和男医療部長がドーピング検査について説明「WADAの検体の9割は尿。尿検査で十分がWADAの考え」「試合前の採血はリスクが非常に高い」「毛髪検査はWADAの検査項目に入っていない」
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RIZINは9月5日の記者会見で、超RIZIN.3 7月28日 さいたまスーパーアリーナ大会のメインイベント、LMS(Last Man Standing)タイトルマッチ・朝倉未来 vs. 平本蓮のドーピング検査結果について、両選手とも陰性だったと発表した。
RIZINの榊原信行CEOとともに、RIZIN医療部の諫山(いさやま)和男部長、川口慶・副部長、金成道(きん・そんど)副部長も同席し、主に諫山部長がRIZINのドーピング検査体制や、尿・血液・毛髪による検査方法の有効性等について説明した。
諫山氏は川崎市の多摩脳神経外科の院長。日本医科大学大学院卒・元同大講師で、日本体育協会公認スポーツドクター。
(榊原氏の談話は別記事に掲載しています)
諫山和男ドクターの談話(要約)
選手がドーピングに該当する恐れのある薬剤を使用する場合は、事前にドクターの処方箋をドクターの意見書とともに報告しなければなりません。TUE(治療使用特例)申請といいます。例えば、ぜんそくでの吸入ステロイドが適切に使われているか等の判断を行います。
当日の選手の採尿は試合前あるいは試合後です。(RIZIN医療部内の)ドーピング部の判断でランダムに選手が呼ばれます。チャンピオンシップの場合は両選手採尿が義務続けられています。採尿ルームにて検査員が立ち合いのもとに尿を採取しますが、検査員が見ている前、カップに放尿をしてもらいます。男子選手の場合は男性ドクター、女性選手の場合は女性ドクターが立ち合います。
100ml採取した尿は2つのボトルに入れられ、ボトルAは最低60ml、ボトルBは最低35ml入れ、当該選手の目の前で封印されます(上写真は実際に使われているカップやボトル等)。選手は封印の上にサインをしエビデンスシールを貼ります。シールがはがれれば検査対象外となります。尿は選手名ではなく、それぞれの選手に振り分けられた任意の番号で提出されます。例えば“RIZIN太郎”選手の2つに分けられた尿は1690A、1690Bと番号のみが振り当てられます。
尿は最速で翌日にはアメリカの検査機関であるSMRTL(スポーツメディシンリサーチ&テイスティングラボラトリー)に輸送されます。SMRTLはWADA(世界アンチ・ドーピング機構)から認可された検査機関です。ここで実際にA検体をまず検査し、これが陰性であればB検体は検査しません。A検体が陽性の疑いがある、あるいは何かの反応が見られる場合は、B検体を再度検査し、陽性・陰性の最終判定を行います。約1ヶ月程度の検査の後、検査結果がドーピング部の担当ドクターにメールにてレポートが送付されます。
検査結果は主催者が隠避・捏造するのではという見方をする方がいるようです。我々医療部のドクターは、選手の健康、選手の生命を第一に考えます。主催者側とは独立した部門であります。もし主催者側が捏造するようなことがあれば、結果を最初に知る私たちは医療倫理、アンチドーピングポリシー、公平性、スポーツマンシップに則り、告発することになります。加えて、WADAの検査機関の1つであるSMRTLが二度と検査を引き受けてくれなくなることや、この機関がむしろ告発されることもあるでしょう。SNSの心のない投稿にて我々ドクター陣も心を痛めております。2015年、RIZIN創設以外、医療部はレフェリー、ジャッジ、競技に関わる方々とともに、競技に関しては中立・独立した立場で選手を支えているということを最後にお伝えいたします。
(今は尿検査のみだが、今後採用する可能性のある血液検査について)現在WADAの検査を実施している検体の9割は尿検査です。2022年は23万1313の検体があり、陽性は381で陽性率は0.16%という結果が出ています。対しまして血液検査は22708件あり、陽性だった検体数は13件、0.0005%と尿検査より低率でした。このことによって採尿による検査で十分に陽性者を判断できています。これがWADAの考え方です。ただ徐々に血液検体も増えているというのが現状です。
一方、RIZINの当日検査という現状から見たとき、これから試合をする、あるいは試合をした選手に採尿するだけでも、選手にとってはかなりストレスであると考えます。尿が出にくい選手はたくさん水を飲んでもらうことがあるため、ストレスな事象です。まして採血は血を抜かなければならない。格闘技の試合の前にやることのリスクは非常に高く、採血による神経根損傷、また痛みによる(失神の恐れのある)迷走神経反射などを考えますと非常に不適切です。我々が調べた限り、現在MMA団体で試合当日に採血をしている団体はありません。
もちろん今後、血液検査がより精密になり、かつ選手の負担が軽減されることがあれば、その導入も検討が必要となると考えております。
これは補足ですけども、毛髪検査をすべきという声もありますけど、毛髪検査は覚せい剤検査とかで、全くWADAの検査項目に入っておりません。
(平本が会見で、怪我の治りやすい注射を自ら打ったと言っていたことについて)日本では医師以外が注射行為はできないですし、信じられない話と思っています。
(平本の薬は何と想像されますか?)この選手からサプリに関してのTUE申請はありませんので、想像することすらはばかられるというか、わかりません。
RIZIN 朝倉未来×平本蓮、ドーピング検査結果は両選手陰性。榊原信行CEO「平本選手は疑惑を起こしたことを反省してほしい」。今後は検査体制・罰則強化へ