修斗 5.28 アクロス福岡(レポ):結城大樹、元環太平洋フェザー級王者・TOMAに判定勝ち。40歳の中村勇太、引退戦で1R KO勝ち、次の世代の選手へ「悔いなくやりきってください」
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プロフェッショナル修斗公式戦福岡大会 TORAO 29
2023年5月28日(日)アクロス福岡
レポート:井原芳徳 写真提供:(C)TORAO NATION STATE
結城大樹、3年半ぶり復帰の元環太平洋フェザー級王者・TOMAに判定勝ち
第12試合 メインイベント フェザー級 5分3R
○結城大樹(マスタージャパン福岡/世界4位、環太平洋4位)
×TOMA(直心会TK68/環太平洋10位・元王者)
判定3-0 (岡田30-27/小島29-28/加藤29-28)
昨年秋にはRIZINも開催され、キックボクシング・ムエタイでもここアクロス福岡等で頻繁にプロ大会が開催され、着々と活性化する九州の格闘技シーン。今回のTORAOでは九州勢を中心に、プロの試合が12も組まれ、そのメインイベントでは地元福岡の結城が、大阪のベテランTOMAを迎え撃った。
結城は21年7月、元環太平洋フェザー級王者の仲山貴志とドロー。その後は岩本健汰、田中半蔵に連敗したが、昨年11月の沖縄大会では工藤圭一郎に判定勝ちしている。
TOMAは18年6月の地元大阪大会での環太平洋王者決定戦で山本健斗デリカットを1R KO。19年6月に高野明に判定勝ちし初防衛したが、20年1月に仲山貴志に判定負けし王座陥落し、それ以来3年半ぶりの試合となる。現在35歳。
1R、長身の結城がオーソドックスで構え、サウスポーのTOMAにプレッシャーをかけ、時折ローを当てる。お互い慎重な攻防が続く。終盤、結城がタックルを仕掛け、テイクダウンを奪い、金網際でTOMAを押さえる。TOMAは下から腕をつかんでアームロックを狙うが、結城は防御し、バックを取った状態で時折パウンドも当て、やや好印象で終える。記者採点もジャッジ3者も結城。
2R、結城が圧をかけ、右ストレートを振り、タックルのトライも続ける。結城は細かくパンチ、ローを当てる。TOMAは左ボディ、ミドルを当てる場面もあるが、攻撃が乏しい状態が続く。記者採点は積極性で上回った結城。とはいえ結城も攻めあぐねる展開で、TOMAも最後は左ミドルを連打したこともあってか、ジャッジは2者が結城、1者がTOMAと割れる。
3R、今度は結城が序盤からタックルでテイクダウンに成功し、金網際でTOMAを押さえ続ける。だが押さえるので手一杯で、パウンドは打てない。中盤、TOMAはアームロックを狙いながらスタンドに戻すが、結城はTOMAを金網に押しつける。膠着状態が続き、終盤、片岡レフェリーがブレイクする。結城はタックルを繰り返し、TOMAは切り続けるが、なかなか自分の攻撃が増えない。最後、TOMAが手を振って結城を挑発しつつ、左フックを当てて結城をのけぞらせたが、消耗が激しくその先は持ち込めず、結城もパンチを返して終了する。記者採点は2R同様積極性で結城。ジャッジは2者が結城、1者がTOMAと割れる。記者採点合計30-27で結城。ジャッジ3者も結城を支持し、結城の判定勝ちとなった。
40歳・55戦目の中村勇太、1R KO勝ちで引退。若手選手へ「悔いなくやりきってください」
第11試合 セミファイナル ウェルター級 5分2R
○中村勇太(T-REX柔術アカデミー/元DXFC同級王者、元GLADIATORミドル級王者)
×加藤正憲(C.K STYLES MMA)
1R 2’13” KO (レフェリーストップ:右フック→グラウンドパンチ)
中村は40歳のベテラン。パンクラスで菊入正行、木下憂朔、高橋攻誠、林源平相手に4連敗中で、3年半勝ち星から遠ざかっていた。今回は地元福岡でMMA引退試合を行った。約20年・54戦のキャリアだが、プロ修斗は最初で最後となる。代表を務めるT-REX柔術アカデミーの選手もこれまで参戦し縁のあったTORAOのケージがその舞台となった。対戦相手の加藤も同じ九州の宮崎の選手で、試合前の紹介映像で中村のことを「九州の格闘技の先駆け。50戦は普通はできないですよ」と功績を称える。
試合は1R、中村が加藤を金網に押し込むが、膠着状態となり、片岡レフェリーがブレイクする。離れると、サウスポーの中村に加藤が左ジャブを当てて前に出てきたが、右ストレートのタイミングで中村が右のストレートをカウンターで当てると、これが効き目を発揮する。それでも前に出た加藤に、中村が右フックを合わせてダウンさせると、ダメ押しのパウンドを当てたところでレフェリーがストップした。
試合後には中村の家族が花束を贈呈した。マイクを持った中村は「21歳からプロのリングで戦って、来年41。人生半分格闘技のリングで戦ってきました。やっぱ勝つと最高ですね。でもここで区切りはつけます。僕も修斗は今日デビュー戦です。今日デビューの若い選手もいたと思います。20歳だったり30歳だったり、自分の意思じゃないところで現役が続けられ無くなる人もいると思います。なので毎試合、悔いなくやりきってください。今日デビューした皆さん、頑張ってください」と、今後の九州の格闘技シーンを担う若い選手たちにメッセージを贈った。最後はケージの中からの景色を見せたいという理由で、会場に来ていた子供達と共にケージの中で記念撮影し、ケージを後にした。
第10試合 ウェルター級 5分2R
○墨吉涼太(誠流会館/環太平洋6位)
×上野勇貴(AACC×SPIDER)
1R 4’51” KO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
墨吉はプロ修斗1勝1敗。1R、墨吉がパンチを振りつつ、随所で右のカーフキックを当てる。中盤、上野が右脇を抱え押し込み続けるが、墨吉は突き放す。終盤、墨吉は左ミドルの後、左ハイもヒット。距離を潰そうと前に出てきた上野に、墨吉は首相撲からの右膝蹴りも当てる。さらに墨吉は右カーフを当て、上野の足が流れると、左右のフックの連打でダウンを奪う。墨吉が上からパウンドをまとめたところでレフェリーストップ。墨吉が12月の久保昌弘戦に続き1RでKO勝ちした。
第9試合 ストロー級 5分2R
△畠山隆称(Theパラエストラ沖縄)
△泰斗(MMA Rangers Gym/2022同級新人王)
判定1-0 (片岡19-19/小島19-19/加藤19-18)
畠山はプロ修斗5戦無敗。泰斗は昨年6月まで3連勝の後、12月の大阪大会で世界10位の田上こゆるに判定負けして以来の試合。
1R、泰斗が金網際で畠山を倒してそのままバックマウントを取り、裸絞めを狙う。終盤、畠山が立ち、泰斗は金網に押し込み、タックルで倒そうとしたが、畠山は潰して上になり、パウンドを少し落として終える。泰斗がポイントを取ったが、2Rも畠山への流れが続くことに。
2R、泰斗のタックルを畠山が潰し、序盤から上になる。ハーフで押さえ、時折パウンドや肘を当てるが、泰斗が下からしがみつき、その先の攻めをさせない。それでも終盤、畠山はマウントを奪い、残り30秒を切って腕十字を狙う。最後は上になった泰斗にアームロックを仕掛けて終える。
ジャッジ1者は2Rの畠山の攻めに2ポイントをつけ、合計点で畠山を支持したが、2者は合計19-19のイーブンとなり、ドローとなった。
第8試合 フェザー級 5分2R
×大関 純(MASTER JAPAN YAMAGUCHI UBE)
○HAMMER KATU(有永道場TeamResolve)
判定0-2 (片岡19-19/安芸18-20/橋本18-20)
第7試合 ライト級 5分2R
○深見弦汰(赤崎道場A-SPIRIT)
×清水洸志(MMA Rangers Gym)
判定3-0 (片岡20-18/安芸20-18/橋本20-18)
第6試合 バンタム級 5分2R
×藤谷敦史(マスタージャパン福岡)
○持田哲兵(MMA Rangers Gym)
判定0-3 (安芸18-20/小島18-20/橋本17-20)
第5試合 ライト級 5分2R
×大鶴絢史(club-G)
○西尾優作(和術慧舟會セイゴ道場)
1R 1’17” TKO (レフェリーストップ:投げ技による右肘の脱臼)
序盤から大鶴がパンチを当て、首投げで倒し先手を取る。西尾が立つと、大鶴は外掛けで倒そうとするが、耐えた西尾が反り投げで倒し返すと、大鶴が受け身に失敗し、マットに手を突いた右腕の肘を脱臼し、すぐさまレフェリーがストップした。
第4試合 2023年度新人王決定トーナメント・ライト級1回戦 5分2R
△山下康一朗(CARPEDIEM福岡)
△嵯峨“ゴーレム” 健史(TKエスペランサ)
判定0-1 (安芸19-19/小島19-19/加藤18-19)
※公式記録はドロー。優勢ポイント(判定)0-3により嵯峨が準決勝進出
佐藤ルミナ氏“私的MVP”は永留惇平
第3試合 2023年度新人王決定トーナメント・フライ級1回戦 5分2R
×下田洋介(095BJJ長崎柔術&和術慧舟會総本部)
○永留惇平(MMA Rangers Gym)
2R 0’33” フロントチョーク
大会序盤の新人王トーナメントの試合は、九州勢対決が並び、その中で存在感を示したのがプロ2戦目の永留だった。
1R、序盤からテイクダウンを奪い、スタンドに戻れば、左ハイと右フックの連打でダウンを奪う。終盤には下からの下田の腕十字を振りほどき、マウントを奪い、バックマウントから裸絞めで追い詰める。
そして2R、永留は左ミドル、左フック、二段式の飛び膝を立て続けに当て、苦し紛れに組んできた下田にギロチンを極めタップを奪った。
大会の中継の解説を務めた佐藤ルミナ氏もTwitterで「私的MVPは永留選手!昨年度アマ修斗全日本王者の下田選手を全局面で圧倒。MMAならではの間の取り方が上手く今後が楽しみな選手です」と永留を高く評価していた。
第2試合 2023年度新人王決定トーナメント・バンタム級1回戦 5分2R
×アサシン秋雄(BLOWS OITA LIFE)
○磯城嶋一真(MMA Rangers Gym)
判定0-3 (宮崎18-20/赤崎18-20/橋本18-20)
第1試合 2023年度新人王決定トーナメント・フライ級1回戦 5分2R
×南 優人(volcano柔術&mma)
○高宮 諒(DESTINY JIU-JITSU)
1R 1’24” 裸絞め