Combate Global 5.13 マイアミ(レポ):澤田千優&エフェヴィガ雄志、「ABEMA格闘チャンネル 海外武者修行プロジェクト」締めくくりの一戦で勝利。安西信昌、復帰戦はTKO負け
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
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Combate Global: Mexico vs. Japan
2023年5月13日(土/現地時間)米国フロリダ州マイアミ:メディアプロスタジオ
レポート&写真:井原芳徳
昨年からスタートした「ABEMA格闘チャンネル 海外武者修行プロジェクト」の支援を得て米国で練習中の澤田千優とエフェヴィガ雄志が、その集大成の形として米国のローカル大会「Combate Global(コンバテ・グローバル)」で試合を行い揃って勝利した。これまでの同プロジェクトの選手は海外での練習のみだったが、最後に海外での過酷な実戦を経験することで、今後に向けてより大きな糧となるだろう。試合の模様はABEMA格闘チャンネルにて生中継された。
澤田千優、序盤カットもレスリング活かし判定勝ち
第3試合 女子アトム級 5分3R
×アナ・パラシオス[Ana Palacios](メキシコ)
○澤田千優(AACC/修斗女子アトム級王者)
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
澤田は修斗・ONEに上がってきた澤田龍人の2歳下の妹で25歳。子供の時からAACCでレスリングを習い、レスリングの名門の埼玉栄高、青山学院大に進学し、18年全日本社会人選手権優勝等の実績がある。MMA転向のためAACCに戻り、21年に修斗でプロデビューしMMA 5戦4勝1分。21年11月から開幕した初代修斗女子アトム級王者を決めるリーグ戦では3戦3勝し、昨年11月に小生由紀に判定勝ちし優勝しベルトを巻いた。2月のタイ・ルンピニースタジアムでのONEフライデーファイトに出場し、イランのサナーズ・ファイアズマネシュに2Rアームロックで一本勝ち。その後ABEMAのプロジェクトで渡米し、元UFC女子ストロー級王者のカール・エスパルザも所属するチーム・オーヤマにて練習を積んだ。今回の相手・パラシオスは19年にMMAデビューし9戦7勝1敗1分。
1R、サウスポーの澤田に対し、オーソドックスのパラシオスが右ストレートを的確に当て、序盤から澤田は左まぶたをカットし出血する。パラシオスはパンチを振りながら左ローもヒット。打撃では優位に立つ。だが中盤、澤田が片足タックルからテイクダウンに成功する。澤田は随所でパウンドをヒットする。澤田が立つと、パラシオスは下から蹴り上げを狙う。それでも澤田は中に入りに行くが、パラシオスは三角絞めで迎撃し、腕十字に移行して澤田を脅かす。だが終盤、澤田は脱出に成功すると、上からパウンドと肘を当て、主導権を奪い返して終える。記者採点は僅差だが澤田。
2R、スタンドの打撃戦が続くが、中盤、パラシオスの蹴り足をすくって、澤田がテイクダウンを奪う。だがその先は無く、スタンドに戻る。すると澤田は左ボディストレートを立て続けに当て、またもパラシオスの蹴り足をつかんでテイクダウンを奪う。これもパラシオスはスタンドに戻すが、パラシオスのパンチに合わせ、澤田はタックルを合わせてテイクダウンをまたも奪う。今度は澤田が上で押さえ続け、主導権を維持して終える。記者採点は澤田。
3R、澤田がタックルで倒すと、パラシオスはギロチンで迎撃するが、澤田は外す。パラシオスは下からリバースを狙うが、澤田はトップポジションを維持する。中盤からはハーフガードで押さえ続け、サイド、ニーオンザベリー、バックマウントと優位なポジションに着実に移動する。もがくパラシオスを両足で捕獲し続け、随所でパウンドと肘を当てパラシオスを追い詰める。記者採点は澤田。合計30-27で澤田。ジャッジ3者も同様で、澤田が判定勝ちした。
バックステージでのインタビューで澤田は「最初一発もらった時にカットして、一瞬テンパりかけたんですけど、自分を落ち着かせつつ、阿部(裕幸AACC代表)さんの言うことを聞いて動いたので、それが良かったと思います。でもイメージした形にはなかなかなれず、テイクダウンもダメな入り方もしたので、まだまだ課題があると思いました。(まぶたの傷は)4針始めて縫いました。チーム・オーヤマのみんなやコリン・コーチに1カ月お世話になり、感謝の気持ちでいっぱいで、勝って結果を残せたのは何よりうれしいです。ここで終わりではないので、ここから見せていきたいです」等と話した。
修斗新人王エフェヴィガ雄志、ピンチ乗り越え3R TKO勝ち
第2試合 72.5kg契約 5分3R
×ジェラルベルト・カスティーリョ[Geralbert Castillo](メキシコ)
○エフェヴィガ雄志(TRIBE TOKYO MMA/修斗ウェルター級新人王トーナメント2022年優勝)
3R 2’44” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
エフェヴィガは父が西アフリカのトーゴ出身、母が日本人の23歳。空道をベースとし、修斗でMMAデビュー予定だったが、相手が決まらずにいた。その間、LDH主催大会で岡澤弘太を1R KOし、グンター・カルンダにも判定勝ちと、修斗参戦経験のある選手たちに勝利。1月の修斗では2選手のみ参加の修斗ウェルター級新人王トーナメントの決勝でクアト驎に1R KO勝ちし、プロデビュー以来の連勝を3の伸ばした。2月からABEMAのプロジェクトでフロリダのキルクリフFCで練習。元UFCウェルター級王者のカマル・ウスマン選手、元ベラトール・ライト級王者のマイケル・チャンドラーが在籍し、TRIBEの先輩・佐藤天やUFCに参戦中の木下憂朔も練習する環境で過酷なトレーニングを積んできた。対するカスティーリョは8戦5勝3敗の選手。今回はウェルター級とライト級の間の72.5kg契約での試合となった。
エフェヴィガのセコンドにはTRIBEの長南亮代表と木下がつく。1R、開始すぐにエフェヴィガがサウスポーで圧をかけるが、カスティーリョが右ストレートでエフェヴィガをダウンさせる。エフェヴィガは立つと、しばらくカスティーリョを押し込みダメージを回復させ、右脇を差しこんでからテイクダウンに成功し、ハーフで押さえる。さらにマウント、バックと移行し、裸絞めを狙う。カスティーリョは寝技は苦手な様子だ。最後はバックマウントからパウンドを当て続け好印象を残す。
2R、エフェヴィガがプレッシャーをかけるが、カスティーリョがパンチを振うと被弾してしまう。だが中盤、エフェヴィガがタックルを仕掛けて倒してサイドで押さえる。エフェヴィガはハーフに移行する。カスティーリョは下から首を抱えギロチンチョークを狙うが、エフェヴィガは終盤には外し、上からパウンドを落とし追い詰める。ジャッジは割れ、2者がカスティーリョにつけており、カスティーリョの極まっていないギロチンが評価されてしまったようだ。
3R、エフェヴィガが序盤から左テンカオ、インローを当て、リーチの長さを活かす。カスティーリョは鼻血を出し苦しそうだ。すると中盤、またもエフェヴィガがテイクダウンを奪うと、今度は消耗して抵抗できないカスティーリョにパウンドを連打。最後はバックマウントからパウンドを連打したところでレフェリーがストップ。エフェヴィガは「よっしゃー」と叫んで大喜びした。
勝利者インタビューでエフェヴィガは英語で「世界最高峰のキルクリフで3か月レスリングを練習した成果が出ました。とてもうれしいです」と話し、日の丸の旗を掲げた。
バックステージでのABEMAのインタビューでは「最初めっちゃ焦りました。組んで倒して、相手逃げ必死でやってこないなと思って安心しました。ガス欠になると思った時は長南さんが止めてくれて、木下君に2R目にダブルレッグと言ってもらって、キルクリフでやってきたレスリングを思い出して、テイクもできて良かったです。全体通して雑にはなったんですけど勝てて良かったです。反省点がたくさん出てきたので、日本に帰って一旦落ち着いて、修正点を見つめ直したいです」とコメントした。
安西信昌、3年半ぶり復帰戦はTKO負け
第5試合 ウェルター級 5分3R
○ヴィクトル・バレンズエラ[Victor Valenzuela](チリ)
×安西信昌(TRI.H studio/元パンクラス・ミドル級王者)
2R 1’54” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
37歳の安西はABEMAのプロジェクトとは別枠で今大会に参戦した。14年にパンクラスでミドル級王者となり、同年から18年に上がったUFCでは2勝2敗。19年末のベラトール日本大会でマイケル・ペイジに2R KO負けして以来3年半ぶりのMMAの試合だったが、厳しい結果が待ち受けていた。対戦相手のヴァレンズエラは12戦9勝3敗。
1R、バレンズエラが序盤からスイッチを織り交ぜつつワンツーのパンチをヒット。安西はパンチを振りながら組みに行くが、バレンズエラは金網に押し込んで突き放す。中盤、安西はノーモーションの左フックをヒットする。だがその先は続かず、バレンズエラは右ハイ、フック、アッパー、ミドルを当て続け主導権を維持する。終盤、バレンズエラのパンチをもらうと安西は下がるようになり、バレンズエラは近づいて右肘や左膝も当てて追い詰める。安西は片足タックルで捕まえるが、バレンズエラは突き放し、左ボディフックを強打する。さらにバレンズエラは安西を金網に詰めパンチを連打する。レフェリーは止めるタイミングを伺う状態になっていたが、安西はカウンターで右フックを連続で当て、場内をどよめかせる。
とはいえ安西のダメージの蓄積は大きく、2R序盤で試合は幕を閉じる。バレンズエラは序盤から左ボディ、左ミドルを連打し効かせる。安西は防御も兼ねてタックルを仕掛けるが、バレンズエラはあっさりと潰すと、安西を金網際に押さえつけ、パウンドと肘を当て続け、安西が防戦一方になったところでレフェリーがストップした。