KICK BOXING WORLD CUP 5.14 大田区総合体育館(レポ):吉成名高、7月9日のラジャダムナン王座戦の前哨戦は1R膝一撃KO勝ち。チャド・コリンズ、肘で切られるも延長判定勝ち
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第一回 国際親善大会 KICK BOXING WORLD CUP in JAPAN/TOKYO
2023年5月14日(日)東京都大田区総合体育館
レポート&写真:井原芳徳 中継:FOD(フジテレビオンデマンド)、フジテレビ(関東)5月17日(水)25:35~26:35
新しいキックボクシング大会「KICK BOXING WORLD CUP」が5月14日、東京都大田区総合体育館で開催された。主催は「国際親善大会KICK BOXING WORLD CUP実行委員会」。名誉会長は島村宜伸氏、会長は加藤勝信氏、実行委員長は松浪健四郎氏と、新旧の大物国会議員が名を連ね、会長代行にはK-1草創期の主力・佐竹雅昭氏が就任した。大会にはアーネスト・ホースト、ピーター・アーツ、武蔵といった旧K-1のOBが後輩の選手を送り込む。
共催・認定は「一般社団法人キックボクシング振興会」。理事長は名古屋のアーネストホーストジムJAPANの土居龍晴代表が務め、土居氏が名古屋や京都で開催しているホーストカップの拡大版という趣の強いイベントとなる。そのためホーストカップのレギュラー勢が多数参戦したが、大会に協力するBOMプロモーション(エイワスポーツジム)の提供した吉成名高のタイ人との一戦がメインイベントに置かれた。
※通常ルールは肘無し・ワンキャッチワンアタックのキックボクシングルール。ムエタイは肘有り・キャッチ&アタック制限無し
吉成名高、7月9日のラジャダムナン王座戦の前哨戦で1R KO勝利
第12試合 メインイベント ムエタイ スーパーフライ級 3分5R
○名高・エイワスポーツジム[吉成名高](エイワスポーツジム/タイ国プロムエタイ協会・WPMF世界・BOMフライ級王者、WBCムエタイ・ナイカノムトム・スーパーバンタム級王者、元ルンピニー&ラジャダムナン認定ミニフライ級王者、元WBC・IBF・WMCムエタイ世界同級王者)
×ペットナコン・ソーペッタワン[Petnacon So.Pettawan](タイ/TOYOTA CUP 2020ライトフライ級優勝)
1R 2’37” KO (左膝蹴り)
名高は2月のラジャダムナン・ワールド・シリーズ(RWS)で元オームノーイ認定スーパーフライ級王者のパタックシン・シンヴィームエタイを3R 左ハイキックでKO。4月9日のBOM大田区総合体育館大会ではS-1スーパーフライ級王者のソンチャイノーイを3R左肘打ちでKOし、連勝を21に伸ばした。
今回の名高の出場経緯について、キックボクシング振興会の土居理事長は「当初、吉成名高選手は同日開催のホームリングであるBOM九州大会への、ラジャダムナンスタジアムフライ級タイトルマッチ前哨戦として参戦予定でしたが、BOM中川夏生代表が、KICKBOXING WORLD CUP実行委員会、キックボクシング振興会よりの要望に、相談のもと、同会に趣旨ご賛同いただき、今大会を盛り上げるために、参戦いただく運びとなりました。この対戦試合は、BOM 7月9日大会で行われるラジャダムナンスタジアム フライ級タイトルマッチの前哨戦として行われます。BOM 中川夏生代表には、大切なマッチメイクを預からせていただき、厚くお礼申し上げます」とプレスリリースで説明していた。つまり今回はBOM福岡大会で組まれていた試合がそのまま大田大会にスライドする形になった。なお、7月9日のBOMは東京・渋谷のO-EASTでの開催を予定している。
両者入場すると、ムエタイの試合前の恒例の踊り・ワイクルーも披露してからゴング。試合中もタイの民族音楽が鳴り響く。1R、名高がサウスポーで構え、開始すぐから左のボディストレート、ミドル、右前蹴りを矢継ぎ早にヒットする。オーソドックスのペットナコンも右ミドル等を返すが、計量では52.10kgの名高より約3kg軽い49.35kgしかなかったこともあり、威力を発揮せず、名高の攻撃をもらううちにじわじわダメージが溜まる。
すると終盤、名高が左のテンカオ(近距離からの組まない膝蹴り)をペットナコンのみぞおちにクリーンヒット。ペットナコンはすぐ右ハイを放つが、名高が蹴り足をすくって倒すと、ペットナコンは胸元を押さえながらうずくまって立ち上がれなくなる。和田レフェリーがダウンカウントを続けるが、ペットナコンは動けないままで、名高のKO勝ちとなった。名高はこれで22連勝となった。
勝利者インタビューで名高は「相手が軽くて、自分のほうがパワーがあって、倒しに行くプランがハマったと思います」「7月9日のBOMでラジャダムナンのタイトルマッチが決まっているので、いい弾みになったと思います」と話した。最後の記念撮影では日本人初のラジャダムナンスタジアム王者・藤原敏男氏も合流し、大一番を控えた名高を激励した。
バックステージでのインタビューで名高は「判定勝ちの試合が続いたのでKO勝ちを狙いました」「タイトルマッチの相手はまだ決まっていないんですけど、数日後のタイトルマッチで新王者になった選手の防衛戦の相手をすると聞いています」と話した。
なお、KICK BOXING WORLD CUPの第2回大会は、日本ではなくタイのラジャダムナンスタジアムで10月22日に開催する方向で準備が進められている。
泰良拓也、CFP推薦中国人選手との打ち合い制す
第11試合 60kg契約 3分3R
○泰良拓也(PFP/HOOST CUP日本ライト級王者)
×ジン・フー[Jin Hu](中国/CFP推薦/タイ・バングラスタジアム61kg級王者)
判定3-0 (佐藤29-27/宮本29-26/和田29-27)
泰良は3月のホーストカップ京都大会でHOOST CUP日本ライト級王者になってから初の試合。「武蔵DNA」とアナウンスされ、セコンドにはトレーナーで元K-1ファイターの武蔵氏がつく。
1R、泰良が右のカーフキック、左ボディ、ジャブ等を的確に当て、やや優位に進める。だが中盤からジンも右のカーフを返すと、回転の早い顔面へのパンチの連打の中でヒットを増やし、終盤は泰良を下がらせ好印象を残す。記者採点はジン。
2R、ジンが序盤から左フックを効かせて泰良をフラつかせたが、泰良は右のカーフを効かせると、右ストレートでダウンを奪う。ジンはスリップだとアピールしたが、ダメージは溜まっており、パンチを振り回すが威力は低下する。泰良は右ハイもヒット。激しいパンチの打ち合いが続き、終了間際、泰良が右フックでまたもダウンを奪う。記者採点は10-7で泰良。
3R、激しいパンチの打ち合いが続き、どちらもなかなかクリーンヒットにはつなげられないが、泰良がやや手数多く攻め、反撃を封じ終了。記者採点はイーブン。合計29-27で泰良。ジャッジ3者も泰良が支持し、泰良の判定勝ちとなった。
第10試合 ヘビー級 3分3R(延長1R)
×楠ジャイロ(ブラジル/チーム・ジャイロ/HOOST CUPヘビー級王者、元J-NETWORK王者)
○ブライアン・ドゥエス(オランダ/ホースト推薦/WFLライトヘビー級トーナメント2017優勝、巌流島トーナメント2015優勝)
1R 1’07” TKO (3ダウン:右ローキック)
1R、開始すぐから激しくパンチが交錯するが、ドゥエスが右ローを絡めると早くも効き目を発揮し、右ローで3ダウンを重ねKO勝ちした。
第9試合 60kg契約 3分3R(延長1R)
×麻原将平(PFP/元HOOST CUP日本ライト級王者)
○テーパプット・シンコウムエタイ(タイ/新興ムエタイジム/タイBBTVスーパーフェザー級王者)
判定0-3 (御座岡28-30/和田28-30/朝武29-30)
テーパプットは在日タイ人選手で、昨年7月のホーストカップで小川翔と引き分け、4月のムエタイスーパーファイトではHIRO YAMATOに1R KO勝ちしている。リー・コーベルが怪我を理由に欠場し、大会3日前に代役出場が発表された。麻原にとっては急きょサウスポーとの戦いに変更となる。
1R、テーパプットがサウスポーからの左ミドルと膝を随所で当て先手を取るが、終盤、麻原が圧を強め、右ボディを強打すると、テーパプットは少し表情が歪む。
2R、テーパプットは変わらず随所で的確にミドル、膝をヒット。麻原は終始前に出て、1Rよりも顔面へのパンチのヒットを増やすものの、クリーンヒットにはなかなかつなげられず、テーパプットのクリンチにも攻撃を寸断される。
3Rも麻原が前に出てパンチ、テーパプットが回り膝やミドルという構図は変わらず、お互い決定打が乏しいまま終了する。記者採点は3Rともイーブン。ジャッジは1~2点差で、僅差ながらもテクニックを印象付けたテーパプットを支持し、テーパプットの判定勝ちとなった。
第8試合 ヘビー級 3分3R
×山下力也(道真会館/MA日本ヘビー級王者)
○ネナド・コージック(セルビア/ホースト&SENSHI推薦/ドイツ・ヘビー級王者)
判定0-3 (御座岡28-29/長瀬28-30/朝武28-30)
1R、コージックは開始すぐからパンチを連打するが、山下は耐え、サウスポーからの左ロー、ハイを返す。終盤、左ハイを当て、コージックは倒れるが、コージックは腕でブロックしていたことから、宮本レフェリーはスリップと判断する。
2R、コージックが右アッパー、フック、左ストレート、左右のハイ、膝を何発も当て山下を圧倒する。山下もハイやローを返すが、1Rよりも攻撃が減ってしまう。
3R、コージックは疲れたものの、中盤からフック、アッパー、ミドル、飛び膝等を度々当てて山下を圧倒し、点差を広げ判定勝ちした。
第7試合 女子56kg契約 2分3R
×モンタナ・アーツ(オランダ/チーム・アーツ)
○MARIA(PCK大崎Team Ring/ミネルヴァ・スーパーバンタム級9位)
判定0-3 (佐藤29-30/宮本29-30/長瀬28-30)
モンタナはピーター・アーツの娘。これまでホーストカップ等のセミプロの試合に上がっていた。試合は17歳のMARIAが終始前に出てパンチを振るい続け主導権を維持し判定勝ちした。
チャド・コリンズ、ラーチャシンに肘で切られるも延長判定勝ち
第6試合 ムエタイ 65kg契約 3分3R(延長1R)
○チャド・コリンズ(オーストラリア/ストライクフォース/WMC&WBCムエタイ世界スーパーライト級王者)
×ラーチャシン・ペッティンディーアカデミー[Ratchasing Petchyindee Academy](タイ/ペッティンディーアカデミー/IBFムエタイ世界ウェルター級王者)
4R 判定2-0 (和田10-10/ノッパデッソーン10-9/ナルンチョン10-9)
3R 判定0-0 (和田29-29/ノッパデッソーン29-29/ナルンチョン29-29)
コリンズはシュートボクシング、旧KNOCK OUT、RISEに上がり、海人、不可思、中野椋太、直樹、笠原弘希らに勝利している。最近では地元オーストラリアの試合でWMC&WBCのベルトを獲得している。
1R、コリンズが終始プレッシャーをかけ、ラーチャシンが距離を取る構図が続き、お互い激しくミドルを蹴り合う展開に。コリンズはパンチも多いが、パンチをかわしてラーチャシンがミドルを叩き込み、高い技術を印象付ける。記者採点はイーブン。
2R、コリンズはじわじわパンチのヒットを増やし、ラーチャシンは回って距離を取り、攻撃が返せなくなる。だが終了間際、ラーチャシンが右肘を当てると、コリンズは左まぶた付近を切られ、ドクターチェックが入る。傷は浅くすぐ再開する。記者採点は最後に肘で切り裂くことに成功したラーチャシン。
3R、コリンズは出血は無く、終始圧をかけ、左ジャブ、右ストレート、左ミドル等を当て続け優勢を維持。ラーチャシンの右ハイをしゃがんでかわし、観客をどよめかせる場面も。記者採点はコリンズ。ジャッジ3者も同じ採点で延長へ。
延長R、コリンズが前に出てパンチを当て続けるが、またもラーチャシンの右肘が当たり、コリンズは額を切られ出血する。2度ドクターチェックが入り、その間にコリンズは必死にパンチを振るうが、ラーチャシンは耐えて終了する。記者採点は肘で切り裂いたラーチャシン。延長Rはマスト判定ではなく、日本人の和田良覚ジャッジはイーブンとしたが、在日タイ人ジャッジ2名は意外にもコリンズを支持し、コリンズの判定勝ちとなった。
この試合後、リング上には藤原敏男氏、K-1ワールドGPを4度制したアーネスト・ホースト氏、ゴング格闘技の創刊者の舟木昭太郎氏が登場して挨拶と記念撮影を行った。
第5試合 ムエタイ 65kg契約 3分3R(延長1R)
×健太(E.S.G/元WBCムエタイ日本ウェルター級王者、元NJKFウェルター級&スーパーウェルター級王者、元Krushスーパー・ウェルター級(70kg)王者)
○ソッガオ・ペッティンディーアカデミー[Sorgraw Petchyindee Academy](タイ/ペッティンディーアカデミー/元ルンピニー認定ミドル級&ウェルター級王者、元WMC世界ミドル級王者)
判定0-3 (ナルンチョン28-29/宮本29-30/和田28-30)
ソッガオはONEでペトロシアンとも対戦し、ポンシリにも勝利している実力者。1R、ソッガオが随所で膝やミドルを当てるが、健太はミドルをブロックしたり蹴り足をつかんだりしつつ、自分のパンチやローもお返しし渡り合う。記者採点はイーブン。
だが2R、ソッガオがじわじわと膝蹴りのヒットを増やし、連打も成功させるように。終盤には健太の右フックのタイミングでローを合わせてコカし、健太を翻弄する。記者採点はソッガオ。
3R、ソッガオが距離を取り、前蹴りで突き放し、健太のパンチをかわし、随所で膝を当て、健太に主導権を握らせずに終了する。記者採点はイーブン。合計29-30でソッガオ。ジャッジ3者もソッガオを支持し、ソッガオの判定勝ちとなった。
第4試合 64kg契約 3分3R(延長1R)
×小川 翔(OISHI GYM/HOOST CUP日本スーパーライト級(63kg)王者、RISEライト級(63kg)5位、元WBCムエタイ日本統一&REBELS-MUAYTHAIライト級王者)
○チョ・ギョンジェ(韓国/JUNG WOO GYM/MAX FC -65kg級王者)
判定0-3 (宮本29-30/佐藤29-30/御座岡29-30)
ギョンジェはこれまで海人に敗れ、健太と引き分け、中野椋太に勝利している選手。1R、サウスポーのギョンジェに対し、小川は執拗に右のインローをヒットする。ギョンジェは少しバランスを崩す場面もあるが、ギョンジェもローを返して小川をフラつかせ、ミドルと膝も当てて挽回する。
2R、小川が右ロー、フックを当てる場面もあるが、ギョンジェが左ミドル、膝のヒット数がじわじわ増え、終盤には左フックも強打し印象を残す。
3R、小川が巻き返しを狙い膝を効かせ先手を取る。だが中盤からギョンジェが盛り返し、左膝、ミドルを効かせ、ハイ、フックで小川を苦しめ終了する。ギョンジェが3Rのポイントを取り判定勝ちした。
第3試合 ヘビー級 3分3R
△滝上正太(聖空会館/ACCELヘビー級王者)
△MAMUTI(ブラジル/ブラジリアンタイ)
2R 0’11” 負傷判定 (御座岡20-20/佐藤20-20/朝武20-20)
1R、133.5kgの巨漢・MAMUTIが、サウスポーから詰めてパンチを振るう場面もあるが、大半は滝上が距離を取る時間となり、滝上は蹴りも返して対処する。すると2R開始すぐ、滝上の右ローがローブローとなり、大きな音が響き渡ると共に、MAMUTIが悲鳴を上げ倒れて動けなくなる。偶発的な反則と判断され、ここまでの内容で採点が行われ、3者とも20-20のドローとなった。
第2試合 57.5kg契約 3分3R
×竹内賢一(TenCloverGym/元Bigbangフェザー級王者)
○ユン・ドクジェ(韓国/RAON GYM/KTK 57kg級王者、元MAX FC 55kg級王者)
判定0-3 (御座岡28-30/朝武28-30/和田28-30)
1R、ドクジェがじわじわ手数を増し、組んでの膝、右フック、ボディ等を随所で強打し優位。2R、ドクジェが序盤に右ハイで印象を残す。中盤から竹内も少しずつパンチを増やして巻き返す。3R、ドクジェが序盤から積極的に攻め、パンチと膝を当て続け竹内を消耗させる。左フックでも竹内をフラつかせ好印象を残し、点差を広げ判定勝ちした。
第1試合 70kg契約 3分3R
△小原俊之(キング・ムエ/HOOST CUP日本EXミドル級王者)
△稲井良弥(TARGET/DEEP☆KICK -70kg王者)
判定0-0 (長瀬28-28/御座岡28-28/和田28-28)
1R、サウスポーの小原が左ミドル、ローを当て、序盤から左ストレートでダウンを奪う。だが稲井は持ち直し、2Rは前に出続け随所で左フックや右インローを当て優位に。3R、稲井が左右のフックで度々小原をフラつかせて追い詰める。結局2Rと3Rに稲井がポイントを取って五分としドローとなった。
オープニング第4試合 63kg契約 3分3R
×中尾 満(エイワスポーツジム/元新日本ライト級暫定王者)
○櫻井祐斗(Rich Kickboxing Gym)
1R 2’13” TKO
オープニング第3試合 51.5kg契約 3分3R
×若原 快[こころ](TEAM TEPPEN)
○雄飛(チームドラゴン/全日本学生キック2021バンタム級王者・2022フライ級王者)
判定0-3 (28-29/28-29/28-30)
オープニング第2試合 セミプロ 85kg契約 2分3R
×マルシアーノ・アーツ(オランダ/チーム・アーツ)
○野中大地(湘南格闘クラブ)
判定0-3 (29-30/28-30/29-30)
オープニング第1試合 アマチュア 66kg契約 2分2R
○松田勇希(YSSジム)
×小野寺琉翔(BOMスポーツジム八戸)
判定2-0 (20-19/18-18/20-19)