UNRIVALED 2.26 二子玉川ライズホール(レポ):岩本健汰、米新鋭ウィリアム・タケットと最後まで競り合うも惜敗。イゴール・タナベ&須藤拓真が一本勝ち。伊藤盛一郎、道着着用マッチで敗れるも好勝負
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UNRIVALED(アンライバルド)2
2023年2月26日(日)東京・iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ
レポート&写真:井原芳徳
岩本健汰、上久保周哉、伊藤盛一郎、須藤拓真ら、MMAでも活躍する個性派グラップラーが勢ぞろい
UNRIVALED(アンライバルド)は打撃技無し・組み技オンリーのグラップリング大会。新型コロナウイルスの感染が拡大した20年末の12月に試験大会が行われ、21年5月の初のアマ大会を経て、同年11月、第1回のプロ大会が東京で開催された。
第1回大会には水垣偉弥、朴光哲、門脇英基、清水清隆といったMMAで活躍した選手たちをはじめ、河名マスト(レスリングU-23世界選手権2017優勝)といったMMA界の有望株も出場し、ブラジリアン柔術・ノーギ(道着無し)グラップリング界の強豪と対戦した。
第1回は無観客だったが第2回は観客を入れて開催。ONEの元王者の猿田洋祐、ONE 6戦6勝の上久保周哉、RIZIN 4戦2勝2敗の伊藤盛一郎といった今のMMAの最前線で活躍する選手、岩本健汰、イゴール・タナベ、須藤拓真といったMMA界でも頭角を現す国内トップグラップラーも出場した。そして今回は米国から強豪を招へいし、メイン・セミで岩本とタナベのIGLOO勢が迎え撃った。大会の模様は日本だけでなく海外向けにもFITEを通じて配信されたため、UFCのメインカードのように午前11時からスタートした。
UNRIVALEDのプレスリリースには大会コンセプトについて「あらゆる競技者が集うグラップリング大会。レスリング、柔道、サンボ、柔術などの特性が生かせるルールとポイント制で、グラップリングスポーツの可能性を追い求めます」と記されている。テイクダウン・マウント・サイドポジション・バックマウント・スイープは2点、押さえこまれた状態から脱出すれば1点。引き込みはマイナス2点。関節技や絞め技でのタップやレフェリーストップだけでなく、投げ技で背中から着地した場合も一本となる。柔術のようにアドバンテージは無い。
第1回大会では、引き込みの失点覚悟で寝技で先手を取り、一本勝ちに賭ける選手が多かった。対照的にトップキープにこだわり、テイクダウンや相手の引き込みのマイナスポイント分の点差を守って、時間切れまで逃げ切る選手もいた。一本勝ちのような華やかさは無いが、普段のMMAでのファイトスタイルを5分3Rと同じ15分間貫いても、結果的に「勝ち」につながる可能性が高い。今回もそういったルールの特性に合わせ、選手たちが各々の持ち味を発揮する。
岩本健汰、米新鋭ウィリアム・タケットと最後まで競り合うも惜敗
第9試合 メインイベント ミドル級(83.9kg) 15分1R
○ウィリアム・タケット(米国/FIGHT FACTORY/CHECK MAT)
×岩本健汰(IGLOO)
8対6
今大会の目玉はウィリアム&アンドリューのタケット兄弟の参戦だ。兄のウィリアムは22歳。世界規模のグラップリング大会の元祖・ADCC(アブダビコンバット)サブミッションファイティング世界選手権の昨年の米国西海岸予選の優勝者。
対する岩本は昨年9月のADCC世界大会の77kg級(ウェルター級)の一回戦で前回・前々回の優勝者・JTトーレスと対戦し、レフェリー判定で敗れている。11月のカリフォルニアでのSOSミドル級トーナメントは準優勝に終わったが、12月にはニューヨークでのSOGIウェルター級トーナメントで優勝した。
岩本のセコンドには直前の試合で勝利したばかりの同僚・イゴール・タナベが、ウィリアムのセコンドには弟のアンドリューがつく。タナベとアンドリューは試合コスチュームのままで、開始前に4人が並ぶとプロレスのタッグマッチのような光景になる。
試合はウィリアムが先手を取る。タックルでのテイクダウンで2点、バックマウントで2点を立て続けに奪う。さらに裸絞めを狙って岩本を追い詰める。ウィリアムが腕十字を狙ったタイミングで、岩本がスイープして2点を取り返し、ウィリアム4対岩本2に。
序盤の猛攻を耐えた岩本は、上から押さえ続け、下のウィリアムは足関を狙う。岩本もアキレス腱固め等の足関を狙い返し、足の取り合いに。その過程で両者の上下か何度か入れ替わり、スイープ等のポイントが交互に加算され、8対6となる。ウィリアムが2点差でリードの状態を維持していることは変わらない。
終盤、ウィリアムも疲れが見え始め、岩本はバックマウントでの2ポイントを狙い、必死に追いつこうとするが、ウィリアムも抵抗しバックを取らせない。さすがに岩本も消耗が激しくなると、ウィリアムは下からオモプラッタを仕掛ける。岩本は外すと、最後までバックを取ろうとするが15分経過し時間切れ。ウィリアムが2点差で逃げ切る形で勝利した。
猪木氏追悼大会で勝利のイゴール・タナベがグラップリング大会で一本
第8試合 コーメインイベント 90kg契約 15分1R
○イゴール・タナベ(IGLOO)
×ジェイコブ・カウチ(米国/PEDIGO SUBMISSION FIGHTING)
12’32” 裸絞め
柔術の強豪・タナベはQUINTETでも活躍し、昨年末のIGF&巌流島主催のアントニオ猪木氏追悼大会でメルヴィン・マヌーフとMMAルールで対戦し、1Rヒールフックで一本勝ちしている。カウチはIBJJF(国際ブラジリアン柔術連盟)世界大会のノーギ(=グラップリング)の茶帯で21年と22年に連覇し、黒帯で昇格した選手。
カウチはレスリングの攻防でテイクダウンを狙い続けてから、引き込みで腕十字を狙って失敗し-2点となる。タナベも同様の攻撃をお返しし-2点となるが、上になり2点を取り返す。だが実際のところ主導権を握っているのはカウチで、下から執拗に足関を狙いタナベを追い詰める場面も。脱出したタナベはバックを取りかけるがカウチは対処し、その後も足関を狙い続ける。
場外に出てブレイクがかかると、立ったカウチはやや疲れて来た様子。カウチはタックルを仕掛けるが、タナベは倒されてからすぐスイープに成功し、2点を加算する。この時点でタナベ2対カウチ-2の4点差に。するとタナベは休まず流れを切らさず、サイド、バックを立て続けに取って2点ずつ加算し、8点差としてから、すかさず裸絞めを極めてタップを奪った。
タナベは勝利後、上着の日の丸を指さし、勝利者インタビューでは「UNRIVALEDは海外選手相手に日本を試すことができる大会です。日本のグラップリング・柔術界を別のレベルに持って行ってくれると思います」とアピールした。
ホベルト・サトシ・ソウザの弟・タケシは一本負け
第7試合 ウェルター級(77.1kg) 15分1R
○アンドリュー・タケット(米国/FIGHT FACTORY/CHECK MAT)
×ムリーロ・タケシ・ソウザ(BONSAI JIU-JITSU)
4’43” アームロック
アンドリューはメインイベントに登場したウィリアム・タケットの弟で19歳。IBJJF世界大会ノーギ茶帯で昨年優勝している。対するタケシはRIZINで活躍するホベルト・サトシ・ソウザの弟。客席ではサトシも試合を見守る。
試合はアンドリューがテイクダウン、パスガード、マウントと次々ポイントを奪いタケシを圧倒する。アンドリューは肩固めを狙い、極めきれないと判断するとマウントに戻りポイントを加算する。場外に出てブレイクがかかり、タケシはタックルを仕掛けるが、切られて引き込む形で-2点に。上になったアンドリューはサイドで押さえてアームロックを仕掛けると、上四方に回って逆サイドに移りつつ極めてタップを奪った。
石黒翔也、猿田洋祐から膝十字で一本「今成さんのようになりたい」
第6試合 バンタム級(61.2kg) 15分1R
×猿田洋祐(和術慧舟會HEARTS)
○石黒翔也(CARPE DIEM MITA)
5’23” 膝十字固め
開始すぐ、石黒は座って引き込んで-2点。石黒は下から腕十字や足関を狙う。その後も立たれるたび引き込み-6点となるが、最後は一瞬の隙を突いて膝十字固めを極めてタップを奪った。
勝利者インタビューで石黒は2か月間、足関を集中的に練習したことを明かしつつ、ADCC出場も目標に掲げ、「今成(正和)さんとIREで戦ってカッコいいと思ったので、ああいう選手になりたいです」と話した。
伊藤盛一郎、道着着用マッチで敗れるも好勝負
第5試合 道着着用 フェザー級(65.8kg) 15分1R
○野村優眞(PATO STUDIO)
×伊藤盛一郎(リバーサルジム横浜GROUND SLAM)
4対-2
この試合は柔術の道着を着ての戦いに。開始すぐから伊藤は飛びつき腕十字を狙い、引き込む形になり-2点。スタンドの攻防が続き、またも飛びつき腕十字で引き込み-2点。伊藤のセコンドの勝村周一郎氏(上写真左奥)は「何点ポイント(相手に)入ってもいいから。最後に一本取ればいいんだ」と伊藤に伝える。
野村はサイド、マウントで2点ずつ取り4対-4の8点差に。伊藤はスイープし2点取り返す。スタンドに戻り、またも伊藤は飛びつき十字で-2。スタンドに戻り、野村が背負い投げにトライし続け、伊藤は倒されてもマットに背中をつけず、一本負けを免れる。倒されてもすぐに腕十字を狙いに行く等、臨機応変でスピーディな動きを繰り広げ、場内を湧かせる。最後も野村が投げを狙うが、伊藤がタックルで倒しバックを狙い終了。伊藤が追い上げたが、野村は点差を守り切り勝利した。
上久保周哉の“永久ネワザ地獄”発動「相手が疲れているのを感じて自分が元気になる」
第4試合 フェザー級(65.8kg) 15分1R
○上久保周哉(頂柔術)
×吉岡崇人(徳島柔術)
0対-4
ONE 6戦全勝の上久保はグラップリング大会で23年をスタート。異名の“永久ネワザ地獄”通りの食らいついたら離さない寝技が持ち味だ。対する吉岡崇人はSJJIF(スポーツ柔術国際連盟)世界大会の黒帯で優勝経験のある選手。
直後の野村×伊藤は動きの激しい試合だったが、上久保×吉岡は静かながらも緊張感あふれる攻防に。吉岡は開始すぐから引き込み-2。上久保が上から押さえてパスガードを狙い、吉岡はアームロックや三角絞めを狙うが、膠着状態が続く。場外に出るとスタンドから再開するが、すぐに吉岡は座って-2。先ほどと同じ攻防に戻る。最後、スタンドに戻り、上久保がタックルを狙い続けるが倒せず終了。吉岡の減点分の差で上久保が勝利した。
試合後のインタビューで上久保は、長時間押さえ続けるスタミナの秘訣を聞かれ「相手が疲れているのを感じて、自分が元気になる感じです」と説明し、観客を笑わせた。
須藤拓真、得意の足関炸裂。今回は「青木ロック」で一本
第3試合 ライト級(70.3kg) 15分1R
×河名マスト(ロータス世田谷)
○須藤拓真(X-TREAM EBINA)
2’11” アキレス腱固め
河名は昨年、MMAで修斗世界1位の山本健斗デリカットに勝利し、PROGRESSのグラップリングマッチでも森戸新士に判定2-1で勝利している。須藤拓真もRIZINと修斗で得意の足関節技でインパクトを残している。
須藤は開始すぐから引き込み減点となるが、足関狙いのためこの作戦を貫く。一旦立たれるが、再び引き込み足を取ると変形のアキレス腱固めを極めてタップを奪った。決まり手のアナウンスは似た形の技であるヒールフックだったが、勝利者インタビューで須藤は「青木ロックです。カカトが出るタイプのアキレスです」と説明し、公式記録も「ストレートフットロック(アキレス腱固めの英語名)」に訂正されている。
第2試合 ライト級(70.3kg) 15分1R
○樋口翔己(パラエストラ吉祥寺)
×村山大介(MASTER JAPAN)
11’50” 膝十字固め
第1試合 バンタム級(61.2kg) 15分1R
×ハワード颯真(MARS GYM)
○時任飛鳥(CARPE DIEM AOYAMA)
4対10