DEEP☆KICK 11.28 テクスピア大阪(レポ):稲井良弥が-70kg王者、木村Cerberus颯太が-65kg王者に。塚本望夢と空龍が-51kg初代王座決定戦進出
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DEEP☆KICK 57&58
2021年11月28日(日)テクスピア大阪
記事提供:DEEP☆KICK実行委員会(レポート:布施鋼治 写真:石本文子)
DEEP☆KICK 58
メインイベント DEEP☆KICK-70kgタイトルマッチ 3分3R
×籔中謙佑(KUMAGYM)
○稲井良弥(TARGET)
TKO 1R1分26秒 レフェリーストップ
※稲井良弥が-70kg第4代王者に
これぞ70㎏級の迫力!
王者・籔中謙佑(KUMA GYM)に稲井良弥(TARGET)が挑戦したDEEP☆KICK-70kgタイトルマッチは稲井が1R1分26秒に目が覚めるようなパンチの連打で籔中をKO。第4代王者となった。故郷の徳島、さらには現在練習の拠点とする東京から駆けつけた100名近い応援団は大騒ぎだ。
このタイトルマッチに至るまでの稲井は5戦5勝(4KO)と負けなし。しかしながら、挑戦者決定トーナメントにエントリーする際には周囲から「まだ時期尚早」とストップがかかり、一度は辞退したという。結局、稲井が周囲を説得する形でもう一度エントリーしてトーナメントに滑り込んだ。その決意には並々ならぬものがあり、トーナメントを通して稲井はさらに成長。その勢いで王者も倒した格好だ。試合後、新チャンピオンは「勝てるようにトレーニングしてくれてありがとうございました」とセコンドについたTARGETの菅原勇介本部代表に頭を下げた。すると、稲井のミットを持ち続けた菅原・本部代表は号泣した。
来年以降今後、稲井はDEEP☆KICK王者として防衛戦に臨みながらRISEのリングへ。RISEでは一階級下のウェルター級(67.5㎏以下)王座にターゲットを絞ろうとしている。この階級の現王者はブラックパンサー・ベイノアだが、最近ベイノアは70㎏級戦線で活動している。無敗のニューカマー出現で、RISEウェルター級戦線は大きく動くのか。
セミファイナル DEEP☆KICK-57.5kg挑戦者決定トーナメント決勝 3分3R 延長1R
○麻太郎(NJKF健心塾)
×村上真基(ROYAL KINGS)
TKO 2R51秒 レフェリーストップ
※麻太郎が-57.5kg次期挑戦者に決定
まさに七転び八起き。麻太郎(NJKF健心塾)が村上真基(ROYAL KINGS)を2R51秒でTKO勝ち。リベンジを果たすとともに、来年3月13日開催の「DEEP☆KICK 59」で宮﨑修斗(TARGET)が保持するDEEP☆KICK-57.5kg級への挑戦を決めた。
1Rから麻太郎はスイッチを繰り返し村上を惑わしながら左右のハイ、左のテンカオ、右ローと攻撃を散らす。ラウンド終了間際にはパンチの連打で村上をグラつかせ、スタンディングダウンを奪う。
続く2R、あとがない村上は猛然と詰めてくるが、麻太郎はカウンターでワンツーを決め、飛びヒザ蹴りでとどめを刺した。
試合後、マイクを握った麻太郎は「この試合まで僕は2連敗を喫していた。しかも前戦(今年7月18日に)負けている相手にこうやって勝ててうれしい。タイトルマッチは次で2回目。宮﨑選手に勝ってベルトを巻いたら、もう一度RISEのリングに上がらせてください」と本部席に座っていたRISEの伊藤隆代表に直談判した。3度目の正直にかけるか。
第5試合 DEEP☆KICK-60kg契約 3分3R
×駿(FASCINATE FIGHT TEAM)
○大前洸貴(INFINITY KICK BOXING GYM)
判定0-3(28-30、29-30、28-30)
静かな攻防が続く中、2Rになると試合は動いた。DEEP☆KICK初参戦の大前洸貴(INFINITY KICK BOXING GYM)は右ジャブや左のヒザ蹴りを武器に駿(FASCINATE FIGHT TEAM)をロープ際まで追い込む。2分過ぎ、自軍コーナーに相手を詰め連打。ガード一辺倒を余儀なくされた駿は抜けられない。3Rが始まった時点で駿のスタミナはすでに切れかけていた。再びコーナーやロープに相手を詰め、大前はボディに連打を浴びせる。駿はときおり反撃の一打を返すが、大振りのせいか空を切るばかり。結局、3-0で大前が完勝した。
試合後、勝者は「普段の僕は理学療法士として障害者の方を相手に働いています。その知識を駆使して自分の身体と努力でこの世界でどこまで通用するかを試したい」とアピールした。来年はDEEP☆KICKの60㎏級戦線(現王者はHAWK GYMの大樹)をかき回すか。
第4試合 DEEP☆KICK-55kgランキング戦 3分3R 延長1R
×KING龍蔵(ROYAL KINGS)
○長谷川英翔(誠剛館)
延長0-3(9-10、9-10、9-10)
判定0-1(29-29、29-30、29-29)
※長谷川英翔がDEEP☆KICK-55kg王座決定トーナメント出場権を獲得
1R、長谷川英翔(誠剛館)は左インローで削りながら右のテンカオや右ボディストレートとボディに攻撃を集中させる。対するKING龍蔵(ROYAL KINGS)も時折反撃するも手数が少ない。2Rも長谷川はボディに攻撃をフォーカスさせる。このラウンドまでのスコアは2者が20-19で長谷川を支持した。3R、窮地に追い込まれた龍蔵はガードを上げ前に出る。スコアは1-0(長谷川)で延長戦へ(※DEEP☆KICKはランキング戦では延長戦がある)。エクストララウンドになっても長谷川は作戦を変更せず、右のテンカオで攻め込む。この攻撃が功を奏して3-0で勝利。叔父で指導者の拳剛が返上したDEEP☆KICK-55㎏級王座決定トーナメントに駒を進めた。
第3試合 DEEP☆KICK-66kg契約 3分3R
△竹市一樹(MA二刃会)
△MASAKI(多田ジム)
判定0-1(29-29、29-30、29-29)
1Rからフェイントをかけながらディフェンスを交え軽快に打ち合う竹市一樹(MA二刃会)とMASAKI(多田ジム)。攻撃重視の選手が多くなった昨今、クラシカルな攻防が続く。2R、竹市がストレートをヒットさせれば、MASAKIは右クロスをかぶせる。2Rが終わった時点で、ジャッジのスコアは3者とも20-19でMASAKIを支持した。あとがない竹市は3Rに猛然と追い上げ、1-0(MASAKI)の痛み分けに終わった。
第2試合 DEEP☆KICK-57.5kg契約 3分3R
○濱田祐生(山口道場)
×嶋秀太(NJKF田頭道場)
※度重なる組み付き行為により減点累積が3に達したため嶋の反則負け、濱田が勝者に
結果から先に言うと、度重なる組み付き行為により減点累積が3に達した嶋秀太(NJKF田頭道場)が反則負けを喫した。減点累積で勝敗が決するケースは極めて稀。改めてDEEP☆KICKが組み付き行為にしごく厳しいことを証明した一戦となったが、3Rに勝者の濱田祐生(山口道場)が放った飛びヒザ蹴りで嶋はダウンしたように見えた。もしあのダウンが認められていたら、試合結果は違うものになっていた気がしてならない。ルールは厳守しなければならないが、後味の悪い一戦だった。
第1試合 DEEP☆KICK-45kg契約 3分3R
○坂田実優(FASCINATE FIGHT TEAM)
×上村蘭唯華(真門伊藤道場)
判定3-0(30-28、30-29、30-28)
コロナ禍にあって今年4戦目を迎えた坂田実優(FASCINATE FIGHT TEAM)が、プロ2戦目で高校生の上村蘭唯華(真門伊藤道場)を迎え撃った。試合になると減量するのではなくいつも増量するという坂田はこの日も細い身体ながら元気いっぱい。ガードを固めながら、ローを外と内に打ち分けていく。さらに左ストレートと左ミドル。神村もワンツーを返すなど、時折反撃の狼煙を挙げるが、劣勢は否めない。3R、坂田はワンツーとテンカオで前に出て3-0の判定で判定勝ちを収めた。昨年は連敗に泣いたが、今年は3勝1敗と勝ち越した。この勢いで来年も突っ走れ。
〈オープニングイベント〉NEXT☆LEVEL提供試合
OP第1試合 -45kg契約 2分2R
×若林弥由(月心会チーム侍)
○原谷帆華(NJKF健心塾)
判定0-3(19-20、19-20、19-20)
原谷帆華(NJKF健心塾)は3姉妹でキックボクシングに励む。現在プロで活躍中のAyakaは姉で、この試合のセコンドにも就いた。1R開始早々、原谷はワンツーからのロー、身体を入れ換えてのヒザ蹴りで攻勢に出る。かつてキックの世界王者で現在はボクシングの日本王者として活動する谷村佳菜子に憧れているという若林弥由(月心会チーム侍)もワンツーで応戦するが、2Rになると原谷はミドルキックの連打して若林を3-0で振り切った。来年はいよいよプロデビューか。
DEEP☆KICK 57
メインイベント DEEP☆KICK-65kg王座決定トーナメント決勝 3分3R 延長1R
×中澤友(魁塾/ビンチェレあべの)
○木村Cerberus颯太(NJKF心将塾)
判定0-3(26-28、26-28、26-28)
※木村Cerberus颯太が-65kg第3代王者に
“サイレントスナイパー”憂也(魁塾)が長らく保持していたDEEP☆KICK-65kg王座を返上したため、DEEP☆KICK56から同級の王座決定トーナメントがスタート。準決勝を勝ち上がった中澤友(魁塾/ビンチェレあべの)と木村Cerberus颯太(NJKF心将塾)が対戦した。
中澤はテコンドー仕込みのサイドキックで距離を制することが得意な30歳。今回初戴冠して来年はRISE出場を意気込む。
対する木村は「ウルトラマンに憧れ、戦いごっこの延長でキックを始めた」という個性派。ここ数年キックから離れた時期もあったが、同門の山畑雄摩の活躍に刺激され復帰を決意したという。「早く山畑さんに追いついて追い抜きたい」(木村)
試合は木村が右ストレートでダウンを奪えば、中澤も右フックでダウンを奪い返すという1Rから激しい展開に。
しかし2R以降、木村は地力の差をじわじわと見せつけ、試合の流れをたぐり寄せる。対照的に中澤は時間が経つにつれ、掴みで警告を受けるなど試合の作りが粗くなっていった。3R、木村は右で中澤の上半身を大きく揺らし、勝負を決定づけた。判定は3-0で木村。地獄からの使者──ケロベロスをリングネームとする木村はヒールキャラで世に出たいと願う。そして試合後は「2022年には、RISEのオープンフィンガーマッチに参戦したい」と宣言した。
「僕はパンチが得意で殴るのが大好き。思い切りオープンフィンガーで殴りたい。まず手始めに山口裕人さんと殴り合いたい」
新チャンピオンの野望はRISEに届くのか。
セミファイナル DEEP☆KICK-51kg初代王座決定トーナメント準決勝 3分3R 延長1R
×タネ♡ヨシキ(直心会)
○塚本望夢(teamBonds)
TKO 1R1分55秒 レフェリーストップ
※塚本望夢が-51kg初代王座決定トーナメント決勝に進出
DEEP☆KICK初代-53㎏級王者タネ♡ヨシホの実兄タネ♡ヨシキ(直心会)がDEEP☆KICK初参戦。塚本望夢(teamBonds)とのDEEP☆KICK-51kg初代王座決定トーナメント準決勝に臨んだ。最近の塚本は絶好調。今年9月の「DEEP☆KICK 55」にて行われた『STYLE高等学院presents DEEP☆KICK-51kg フレッシュマン1DAYトーナメント』では文句なしの優勝を果たし、このトーナメントへと駒を進めた。
まだ16歳ながら、塚本は幼少期からタイに渡り現地でムエタイ修行に励むなど、そのポテンシャルは計り知れない。
果たして1R、塚本は右でキャリアに勝るヨシキから先制のダウンを奪う。焦ったヨシキは大振りのパンチで逆転を狙うが、空を切るばかり。その後塚本は再び伸びやかな右で2度目のダウンをとり、最後は左でとどめを刺した。1R1分55秒、TKO勝ち。空龍が待つ決勝へと駒を進めた。
両者はアマチュア時代に何度か闘っており、最後の一戦では空龍が勝利を収めているという。来年3月13日開催の決勝戦について水を向けられると、塚本は「しっかりとリベンジして、僕がチャンピオンになる」と宣言した。
第4試合 DEEP☆KICK-51kg初代王座決定トーナメント準決勝 3分3R 延長1R
○空龍(空修会館)
×KING TSUBASA(ROYAL KINGS)
判定3-0(30-27、30-28、30-27)
※空龍が-51kg初代王座決定トーナメント決勝に進出
今年9月、初代KNOCK OUT-BLACKスーパーフライ級王座決定トーナメント準決勝を花岡竜(橋本道場)と争った空龍(空修会館)がDEEP☆KICK-51kg初代王座決定トーナメント準決勝に出陣。今年9月のRISE横浜大会に出場したKING TSUBASA(ROYAL KINGS)と対戦した。花岡戦でプロ初黒星を喫した空龍だが、そのショックは微塵も感じさせない。1R終盤には右フックをクリーンヒットさせ、試合の流れを掴む。
その後も空龍は左ハイ、ワンツーからの飛びヒザ蹴りで相手を追い込む。しかし、窮地に追い込まれてからがTSUBASAの真骨頂。2R終盤には打ち合いに応じ、一歩も引かない。3Rになると、右クロスで空龍に襲いかかった。しかし試合の流れを変えるまでに至らず、判定は3-0で空龍となったが、TSUBASAの善戦も評価されるべき内容だった。
試合後、マイクを握った素顔はまだ高2という広島県在住の少年は「(来年3月13日の)決勝までにもっと強くなって、もっとしっかり倒せるようになってくる」と宣言した。
第3試合 DEEP☆KICK-59kg契約 3分3R
×YU-YA(魁塾)
○HAYATO(CRAZY WOLF GYM)
TKO 1R1分39秒 レフェリーストップ
魁塾のもうひとりの“ゆうや”ことYU-YA(魁塾)がHAYATO(CRAZY WOLF GYM)と対戦した。先輩がやっていたことをきっかけにキックを始めたというYU-YAだったが、この日は相手が悪すぎた。というのもHAYATOは今年の士道館世界大会でグローブ空手と士道館空手の二部門を制した世界二冠王。構え方からして強そうだったが、果たして1Rコーナーに相手を詰めると、HAYATOはパンチの連打でスタンディングダウンを奪う。ダウンカウントが進む中、ファイティングポーズをしっかりととれないYU-YAは試合を止められた。2022年は“西のHAYTO”に注目だ。
第2試合 DEEP☆KICK-70kg契約 3分3R
○小田尋久(キックボクシングジム3K)
×藤本ZIGOKU(NJKF誠輪ジム)
TKO 1R1分28秒 レフェリーストップ
関西キック70㎏級戦線に期待の新星が現れた。空手歴15年というキャリアを引っさげ、転向してきた小田尋久(じんく=キックボクシングジム3K)だ。1R開始早々、痛烈な右フックで藤本ZIGOKU(NJKF誠輪ジム)から先制のスタンディングダウンを奪う。その後も藤本は左ボディフック、左ストレートとパンチの雨あられ。最後は左右のフックで藤本の息の根を止めた。ZIGOKUが地獄へと突き落とされてしまった。小田の憧れは自分の同階級で一時代を築いた魔裟斗。試合後は「DEEP☆KICKから全国へと羽ばたく」と宣言した。
第1試合 DEEP☆KICK-55kg契約 3分3R
○玲翔(NJKF Vigor Kickboxing Gym)
×大(TANG TANG FIGHT CLUB/team JOKER)
判定3-0(29-26、29-25、29-26)
1R、玲翔(NJKF Vigor Kickboxing Gym)は左のカウンターのヒザ蹴りで攻勢に出る。2Rになると、試合はさらに大きく動いた。まず玲翔は掴んでからのヒザ蹴りを続けて打ってしまい減点1。しかしながら、その後大(TANG TANG FIGHT CLUB/team JOKER)もホールディングで減点1をとられてしまう。続く3Rになると、大はさらに組み付きにより2度目の減点を宣告された。この減点が響き、判定は3-0で玲翔。スタミナに自信のある大にとっては悔いの残る一戦となってしまった。
〈オープニングイベント〉
NEXT☆LEVEL提供試合
OP第2試合 -64kg契約 2分2R
○電王おじさん(NJKF心将塾)
×平野巧太(魁塾)
判定2-1(20-19、19-20、20-19)
YouTuberとしても活躍する電王おじさん(NJKF心将塾)がオープニングファイトに登場し、平野巧太(魁塾)と拳を交わした。見た目は目立ちたがり屋にしか見えない電王だが、実力の方もなかなか。タイミングのいい右ミドルを軸に左ストレートで攻め込む。対する平野は野球出身でキックのキャリアは2年。同門の優也に憧れる25歳だ。左ハイで電王に応戦するが、如何せん手数が少ない。結局、電王が2-1で平野を振り切った。
早速当日の試合動画もアップした電王、格闘家としてもYoutuberとしても充実した1日になっただろう。
OP第1試合 -50kg契約 1分2R
△来斉(02GYM)
△坂田風羽(龍生塾ファントム道場)
判定0-1(19-19、19-20、19-19)
オープニングファイトでは、中高とバレーボールに打ち込み現在は長島☆自演乙☆雄一郎の元でキックに打ち込む来斉(02GYM)とキック歴8年の坂田風羽(龍生塾ファントム道場)が対決。体格的には来斉が勝っていたが、坂田はファントム進也会長仕込みの突き上げる右ストレートで応戦。手数も上回っていたが、2Rになると来斉もヒザ蹴りでやり返し1-0(坂田)の痛み分けに終わった。今後はふたりともプロ昇格を目指すか。