DEEP 3.9 後楽園ホール:ビクター・ヘンリー、元谷友貴との死闘制しバンタム級王者に。越智晴雄とロッキー・マルティネスが王座防衛
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DEEP 88 IMPACT
2019年3月9日(土) 後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
第11試合 メインイベント DEEPバンタム級タイトルマッチ 5分3R
×元谷友貴(フリー/王者、元フライ級王者/61.1kg)※初防衛戦
○ビクター・ヘンリー(米国/UWF USA/HF/挑戦者/60.9kg)
判定2-3 (高本○28-28/田澤28-29/福田○28-28/横田28-28○/豊永28-29)
※ヘンリーが王者に
元谷は10月のDEEPで釜谷真に裸絞めで3R一本勝ちしバンタム級タイトルを獲得し、フライ級に続く2階級制覇を達成した。大晦日のRIZINでは元UFCファイターのジャスティン・スコッギンスに一本勝ちしている。ヘンリーは所英男、上田将勝に勝ったことがあり、パンクラスでは石渡伸太郎、ハファエル・シウバに敗れたが、いずれも接戦を繰り広げた。昨年8月のDEEPで元DEEP同級王者の大塚隆史に3R KO勝ちし「DEEPのベルトにも挑戦したいです」とアピールしていた。
1R、ヘンリーがスイッチを繰り返しつつ、左右のストレート、右ボディストレート、左ミドル等を多く当て続け主導権を握る。元谷も右ローを返し続けるが、蹴り数が少ない。終了間際にはヘンリーがテイクダウンを奪って差を明白に印象付ける。記者採点は9-10でヘンリー。
2R、ヘンリーが押し込み、元谷が突き放すが、ヘンリーが右ハイをクリーンヒットし、元谷はダウンする。ヘンリーがパウンドラッシュするが、元谷はギリギリで耐える。ヘンリーがギロチンを狙うなどして攻勢を維持するが、元谷は終盤持ち直し、パンチラッシュで反撃する。記者採点は9-10でヘンリー。
3R、ヘンリーがタックルから抱え上げようとするが、元谷は潰して上に。トップキープし、バックを奪いに行く。ヘンリーも抵抗するが、元谷は上をキープ。中盤過ぎにはマウントを奪い、パウンドを当て続けヘンリーを追い詰める。だが残り30秒、バックからの裸絞め狙いに切り替えると極めきれず。ヘンリーに回復を許す形になり、最後は再びパウンドに戻すが、仕留めきれず時間切れに。記者採点は8-10で元谷。合計28-28で、マスト裁定で2Rにフィニッシュにより近づいたヘンリー。ジャッジの難しい試合となり割れたが、2-3でヘンリーが勝利となり、日本初上陸5年目で悲願のタイトル奪取に成功。セコンドについたジョシュ・バーネット、V.V Meiと共に大喜びした。
第10試合 セミファイナル DEEPストロー級タイトルマッチ 5分3R
○越智晴雄(パラエストラ愛媛/王者/52.15kg)
×川原波輝(総合格闘技スタジオSTYLE/挑戦者/51.95kg)
判定5-0 (田澤29-28/高本29-28/植松30-27/豊永29-28/横田29-28)
※越智が2度目の防衛
越智は昨年4月の大阪大会で、地元大阪の柴田“MONKEY”有哉に判定勝ちしストロー級王座初防衛に成功。9月のRIZINではパンクラス同級王者の砂辺光久をKOし、6連勝と好調だ。
川原はMMA5勝(3KO/1一本)1敗2分1無効試合の29歳。DEEPでは4勝(3KO/1一本)1分1無効試合負け無しで、昨年8月の後楽園では村元友太郎と引き分けに終わった。その試合の前に米国の名門・チーム・アルファメールで修行し、昨年末から同ジムを再び訪れ、石原夜叉坊らと共に練習しており、修行の成果を発揮できるか見ものだ。
1R、スタンドで越智が圧力をかけ、お互い打撃を狙う展開。川原が左ミドルを連打していると、2発目がローブローとなり、一時中断する。再開後も同じ構図の中で、越智が2度目のテイクダウンでしばらくトップをキープする。終盤はスタンドの展開に戻る。打撃はまだほぼ五分で、テイクダウン分で越智の優勢か。記者採点は10-9で越智。
2Rも越智が圧力をかけ続け、タックルで倒すと、金網を背にして立とうとする川原の首を抱えてギロチンを狙いつつ、マウントを奪う。川原に立たれても再び越智が弾丸タックルで倒して上をキープする。越智優勢のラウンドに。記者採点は10-9で越智。
3R、川原が開始すぐに右フックを空振りすると、越智は簡単にタックルを合わせて上に。肩固めを狙って川原を追い詰める。だが川原は脱出すると、右ストレートをクリーンヒットし、越智をダウンさせる。川原はパウンドをラッシュし、スタンドになってもパンチで追いかける。だが越智はタックルで倒して上になって、キープしつつ体力を回復させる。終盤、越智はバックマウントをキープし、裸絞めを狙い続け、ダウン分の悪印象を埋める。記者採点は9-10で越智。合計29-28で越智。ジャッジ5者とも順当に越智を支持し、越智の勝利となった。
越智は「今年は世界一を証明します。DEEPの看板背負って世界で戦って行きます。私事ですが春過ぎに自分の子供が生まれるので、子供のためにも戦って勝ち取って行きたいです」とアピールした。
第9試合 DEEPメガトン級(体重無差別)タイトルマッチ 5分3R
○ロッキー・マルティネス(グアム/スパイク22/王者/114.3kg)
×酒井リョウ(パラエストラ松戸/挑戦者/106.55kg)
1R 4’59” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
※マルティネスが初防衛
マルティネスは17年7月にシング・心・ジャディブに判定勝ちし、DEEPメガトン級王座を奪取した。その後はRIZINでジェロム・レ・バンナを袈裟固め、侍マーク・ハントをKOで下したが、昨年9月のRIZINではミルコ・クロコップに肘で額を切られTKO負けしている。
酒井はキックボクシングの試合も並行する選手で、モンゴルや韓国でも試合を経験した後、DEEPではダンカン・ヒロ、川口雄介、誠吾に3連勝し、王座挑戦に辿り着いた。10月の大田大会での次期王者挑戦者決定戦では誠吾に対してローを当ててのヒット&アウェーを徹底して判定勝ちしている。
1R、開始すぐから約8kg重いマルティネスが圧力をかけ、酒井は回ってかわし続ける構図に。酒井は右ロー、左フックを時折当て、場内を沸かせるが、マルティネスのパンチをもらい続けるうちに、まぶたを腫らし、鼻血を出し、苦しい状態になる。最後はマルティネスがパンチラッシュから酒井を抱えて倒すと、金網に押し付けて右の鉄槌と肘を連打し、豊永レフェリーがストップした。
第8試合 バンタム級 5分3R
×昇侍(トイカツ道場/元パンクラス・ライト級王者/61.5kg)
○石司晃一(フリー/61.35kg)
2R 4’59” TKO (レフェリーストップ:右フック)
最近はGRACHANを主戦場としていた昇侍が約6年ぶりにDEEPに参戦し、DEEPバンタム級の上位勢の一人である石司が迎え撃つ。1R開始すぐに石司がテイクダウンを奪うと、ハーフガードで左手を枕にしながら肩固めを狙い続ける。最後は石司がサイドを取って搾り上げようとするが、昇侍は耐える。
2Rも序盤から石司が胴タックルで倒し、ハーフガードで肩固めを狙い続ける。昇侍は脱出するとパンチを振るうが、クリーンヒットは乏しい。左の前蹴りを連続で放っていると、石司が右フックを合わせてクリーンヒット。昇侍が真後ろに倒れると、すぐさま高本レフェリーがストップ。石司の完勝に終わった。
第7試合 ウェルター級 5分2R
○悠太(ALLIANCE/元王者/77.2kg)
×渡辺良知(JUNGLE GYM/77.35kg)
判定2-0 (20-18/19-19/20-18)
1R、スタンドで悠太が圧力をかけ続ける時間が続く。渡辺が右フックを一発クリーンヒットする場面もあったが、悠太はひるまず、終盤にはテイクダウンを奪うと、すぐさまバックを取ってチャンスを作り印象を残す。
2R、悠太が序盤からテイクダウンに成功し、ハーフをキープする。中盤にサイドを奪い、最後は渡辺も立ったが、反撃につなげられず、悠太の判定勝ちとなった。
第6試合 ウェルター級 5分2R
○佐藤洋一郎(KATANA GYM/元修斗環太平洋王者/77.45kg)
×米田奈央(GENスポーツアガデミー/77.45kg)
判定2-0 (20-18/19-19/20-18)
1R、佐藤が右ミドルを当て、中盤に米田がテイクダウンを奪い、しばらくコントロールしたが、スタンドに戻ると、お互い金網に押す時間を作り、五分の展開に。2R、お互い決め手の欠く状態が続いたが、終盤、佐藤が左右のストレートを当てて少し印象を良くし、ポイントを奪い勝利した。
第5試合 フライ級 5分2R
○神龍 誠(フリー/57.1kg)※高橋誠 改め
×島袋チカラ(CORE王子豊島/56.65kg)
判定3-0 (20-18/20-18/20-18)
18歳の新鋭・神龍のセコンドには大塚隆史がつく。1R、両者サウスポーに構え、島袋が素早く左右に回る構図で、時折パンチを当てるが、神龍がタックルでテイクダウンを繰り返し、次第にトップキープの時間が増え、ギロチンでもチャンスを作る。
2R、序盤に島袋はマウントを取りかけるが、神龍はすぐさま引っ繰り返す。その後もバックマウントを奪う等、組み付いての展開で主導権を維持し判定勝ちした。
第4試合 ライト級 5分2R
○大原樹里(KIBAマーシャルアーツクラブ/70.45kg)
×濱村 健(TRI.H Studio/70.75kg)
2R 4’54” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
大原は5年半前に一度勝っている濱村健と再戦。大原がやや押し気味ながら、なかなか決め手につながらなかったが、2R中盤過ぎ、パンチと前蹴りの連打で濱村を追い詰め、グラウンドに持ち込み、裸絞めを狙いつつ、最後はパウンドの連打でフィニッシュした。
第3試合 フライ級 5分2R
×藤田大和(リバーサルジム新宿Me,We/57.15kg)
○鮎田直人(CAVE/57.15kg)
判定0-3 (18-20/18-20/18-20)
第2試合 フェザー級 5分2R
×窪田泰斗(D’s Box’n’Fit/66.15kg)
○横山恭典(KRAZY BEE/66.0kg)
判定0-3 (18-20/18-20/18-20)
第1試合 フェザー級 5分2R
×オーロラ☆ユーキ(KIBAマーシャルアーツクラブ/65.8kg)
○シェルナンド・ラジッド(フランス/Command group/65.85kg)
判定0-2 (18-20/18-20/18-20)
ラジッドはジョルジュ・サンピエールのスパーリングパートナーを5年務めた中東在住の選手でMMAは今回デビュー戦。セコンドにはマグナム酒井氏がつく。グラウンドで度々バックを奪って裸絞めを狙いオーロラを追い詰め、2Rには左フックでダウンも奪って完勝した。
オープニングファイト フェザー級 5分2R
○神田コウヤ(パラエストラ柏/65.7kg)
×山口大登(スターゲートジム/65.85kg)
1R 2’29” バーバルタップアウト (左腕の負傷により口頭でのギブアップ)
今大会では中西良行(TRIBE TOKYO M.M.A/DEEP初代ライトヘビー級&第7代ミドル級王者)の引退セレモニーも行われた。中西の経歴を紹介した記事はこちら。中西は「13年ぐらい格闘技をやり、2階級のベルトを取れて凄く満足しています。まだまだ格闘技、これから盛り上がると思うので、1ファンとして観戦に行きたいです。ありがとうございました」とメッセージを残した。