空道 11.3 代々木第二(レポ):第4回アジア選手権。日本女子、20年の挑戦で遂に達成。小野寺玲奈、国際大会決勝でロシアを制す

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全日本空道連盟「第4回アジア空道選手権大会」
2025年11月3日(月/祝)東京・代々木競技場第二体育館
レポート提供:編集スタジオとのさまがえる 写真提供:牧野壮樹 朝岡秀樹
道着と顔面防具を着用し、顔面への頭突きや肘打ち、掌底を含む打撃、道着を掴んでの投げ、寝技によって競う空道(くうどう)。「空手+柔道」、あるいは「ムエタイ+ブラジリアン柔術」的なこの着衣総合格闘技においては、4年に1度、世界選手権が開催される。
だが2年前に開催された第6回世界選手権では、ウクライナ侵攻問題により、ロシア人選手の出場が叶わず。それゆえ、日本人選手が8カテゴリー中6カテゴリーを制したとはいえ「空道最強国であるロシアが出場していたら果たして…」という声が上がるのも必然ではあったのだが、それから2年を経て、今回のアジア選手権、KIF(国際空道連盟)は、ロシアのうち、ウラル山脈より東側(シベリア~沿海州地区など)は、アジア圏とみなし、それらの地区より選出された代表選手の参加を認める判断を下した。
日本にとっては、あの2023年の結果が真の世界制覇であったことを証明する絶好の機会。果たして日露決戦の結果は?
◆女子-220クラス
日本の現エース、小野寺玲奈(大道塾帯広支部)は、準決勝でインドのアヌギャ・シャルマを腕十字で下し、決勝へ。一方、昨年2024年全ロシア王者のオレシア・セルゲエヴナ・ブルダコワは初戦で仙石梨江(大道塾吉祥寺支部)にクリンチアッパーを連発し本戦旗判定5-0、準決勝では日本の前エース、大倉萌(大道塾吉祥寺支部)をパワーで封じ込め、延長旗判定5-0勝利。技の華麗さの目立つ大倉だが、実はデッドリフト(トップサイド)で300キロ、ベンチプレスで100キロを挙上する筋力の持ち主でもある。その大倉が、今大会を最後に一線から退くことを決めて挑んでもなお、押し込まれてしまうのだからやはりロシアンファイターの腕(かいな)力は凄まじい。
そんな両者の決勝戦、小野寺は道着を掴んで相手を引き出しつつのハイキックなど、空道ならではの技術で闘うが、本戦・延長と、ブルダゴアはひたすら突進し間合いを潰し、技を決めさせない。だが、迎えた再延長で、小野寺は支え釣り込み足で相手を前方へ引き出してからの内股という連絡技で、ブルダゴアに力で凌ぐ間を与えず、一瞬のうちに投げ→キメ突きを行い、効果ポイントを得てそのままタイムアップを迎え、旗判定なしの勝利を得た。
2005年の世界選手権で女子の国際大会がスタートして以来、その決勝で日本人がロシア選手を下したことはなく(ワールドカップの決勝外で勝利したことはある)、今回の勝利は、20年を掛けての1勝目である。頭突き、掴み打撃ありの世界で、フィジカル差で圧倒され続けてきた日本女子に、小野寺は、新たな扉を開いた。
◆-260クラス
高校卒業後に空道を始め、全日本レベルの大会で入賞歴もなく、推薦により今大会出場に滑り込んだ永見竜次郎(大道塾安城同好会)は、今年2025年全ロシア大会3位のオレグ・ゲンナジエヴィチ・イワノフと2回戦で対戦。打撃で圧倒され、三角絞めを極め掛けられるも、パスガードからキメ突きで効果1を奪取。28歳が、下馬評を覆した。永見は続く準決勝、水村健太郎(大道塾総本部)に野球出身者ならではの伸びのある右ストレートを決めるも、その後はスイスイとボディワークで躱され、本戦旗判定4-1のスプリットデシジョンで惜敗。反対ブロックを勝ち進んだ麦谷亮介(大道塾行徳支部、2025全日本王者)が準決勝でのヒジの負傷により決勝を棄権したため、水村の優勝となったが、永見があげた殊勲の星の輝きは、優勝にも劣るまい。
◆-250クラス
ロシア人選手出場のないこのカテゴリー、優勝候補筆頭の中上悠太朗(大道塾総本部、2025全日本王者・2024無差別全日本王者)は、準決勝で中村凌(大道塾日進支部)に支え釣り込み足を仕掛けた際、カウンターで体重を預けられ、肘からマットに落ちる角度で落下、肩を脱臼し、中村が腕ひしぎ膝固めを狙ったところで苦渋のタップを選択した。中村の決勝の相手は、2024全日本王者・2025全日本準Vの鈴木浩佑(小杉道場)。中村は柔道~ボクシングを、鈴木は柔道~キックボクシングを経て、それぞれ空道に取り組み始め、両者は昨年2024年の西日本地区大会決勝で初対戦し、全日本決勝で再戦していた。どちらの試合も鈴木が勝利していたが、今回の試合では、中上を下して波に乗る中村が、序盤で豪快な内股を決めたのをはじめ、本戦ではテイクダウン率で圧倒。遂にリベンジを果たすかと思われたが、延長で、ボクシングスタイルゆえ下がりがちな中村の頭部をがぶった鈴木が顔面膝蹴りを一閃。これが効果ポイントとなり、鈴木が逆転勝利を遂げた。空道の国際大会で、空道競技の練習を専門に行っている団体・大道塾の選手以外の日本人選手が優勝するのはこれが初めてであり、鈴木の今後のさらなる活躍とともに、これを契機に、様々な団体の選手が空道で頂点に立つことを期待したい。同時に、鈴木vs中村の第4戦が世界選手権で行われるというドリームにも、期待したい。
(左)決勝本戦。豪快な内股を決める中村(白)
(右)決勝延長。ほんの少し、頭の位置が下がった瞬間を見逃さず、顔面膝蹴りで攻め立てた鈴木
◆-230クラス
ロシア人選手の出場のないこのクラス、2025全日本準Vの大西凜駿(大道塾総本部)はシンガポール、全日本強化選手としてランクBに指定されている鈴木誠士(大道塾三沢支部)はインド、韓国の選手を下し、決勝へ。左上段回し蹴りをヒットした大西は、上段膝蹴りで1つめ、ニーインベリーからのキメ打撃で2つめの効果を奪って、本戦で勝利を決めた。今大会、同クラスで全日本V9達成、世界選手権&ワールドカップ制覇を遂げている目黒雄太は事情により出場を辞退したが、今回決勝で圧勝した大西が半年前の全日本決勝では目黒に完敗していたことを思い出すと、あらためて目黒の突出性が感じられる。23歳の大西、20歳の鈴木世代には、30代半ばとなった目黒を倒すべく奮起してほしいところ。半年後、V10阻止の手柄をあげるのは誰だ?
◆女子220+クラス
2023年世界選手権で優勝した内藤雅子が、大会後、2018年世界選手権男子-240クラスクラス3位の服部晶洸と結婚し服部雅子となり、2024年10月に第1子(男児)を出産し、国際大会復帰、優勝を果たした(大道塾横浜北支部)。このカテゴリーにはロシア人選手の出場はなかったが、小野寺と同様、服部も、日本女子空道の新たな時代の扉を開いたといってよいだろう。特筆すべきは、服部の相手が初戦、決勝ともインド人選手であったこと。初戦の相手、ギー・ドークはまだ動きが本調子でない服部に対し、あわや効果というパンチを浴びせ、決勝の相手、プリヤ・クマリ・タパも、服部の内股を潰し、上からパンチを浴びせてみせたのだ。かつてはアジア選手権といえば日本の独壇場、実力差のある対戦が生む派手な〝一本〟の頻発がその見どころであり、特にインドの選手に関しては「かつての冬季五輪ボブスレー競技での南の島国からの出場チーム」のような「参加することに意義がある」感が強かったが、インド、シンガポール、韓国、中国、カザフスタン……今回出場したどこの国の選手にしても、楽に勝てる相手などいなかった。タパにしても、日本代表である小関沙樹(大道塾仙台東支部)を下して、決勝に駒を進めたのだ。空道の国際的な普及が進んでいることを感じさせるシーンであった。
◆-240クラス
今年2025年全ロシア選手権を制しているバヌシュ・チャホヤン(ロシア)は、初戦で2022年U19 全日本春秋連覇の佐々木惣一朗、準決勝で2022年全日本優勝、2024・2025全日本準優勝の伊東宗志を退け、決勝では2024全日本無差別ベスト8の佐々木虎徹(日本・大道塾総本部)と対戦した。本戦は佐々木が重い左ミドルをヒットし、前後のステップでロシアンフックに空を切らせるなど健闘したが、延長ではチャホヤンが投げ、ニーインベリーからキメ突き。腋を差して立ち上がろうとした佐々木に対しチャホンは、腋下で腕を組んでのチョーク(いわゆるアナコンダチョーク)によりカウンター。一瞬でタップを奪ってみせた。
つまり、ロシア人ひとりに対し、日本人のトップファイター3人が立て続けに挑んで、全員敗れてしまったということだ。今大会、全カテゴリーをみれば、優勝したのはロシア人2名、日本人5名。その数値だけを切り取れば、日本が勝っているようにも受け取れるが、 ロシア人は4名のみ出場し、日本人は24名出場していて、この―240クラスのように日本人が次々とロシア人に挑んだカテゴリーや、ロシア選手の出場者のいないカテゴリーがあっての、この結果なのである。7戦あった日露対決にフォーカスしてみれば日本の2勝、ロシアの5勝。その「ロシア」が全ロシア代表でなく、東部アジア寄りのロシア地域のみの代表に過ぎないことを考えれば、2年後の世界選手権で日本が競技母国としての威厳を保つのは、やはり並大抵のことではないと感じざるを得ない。
◆-270クラス
今年2025年の全日本王者・松岡陽太(大道塾大田支部)は、初戦で右ストレートで1つめ、パンチ連打で2つめの効果を奪われ、テミルラン・アイティモフ(カザフスタン)に敗戦。圧倒的なパンチの破壊力をみせたアイティモフだったが、決勝ではルスラン・ジャファロフ(ロシア)との打ち合いで後退し、気後れ気味なタックルを仕掛けるも切られ、寝技の展開でも流れるようなパスガード→キメ突き→肩固めで完敗。
このジャファロフがあくまで「アジア地域のロシアの代表」であって、今年2025年の全ロシア選手権では優勝できていないというのだから、2年後の世界選手権の重量級で日本が真の世界一を勝ち名乗りを上げることの難しさをまざまざと見せつけられた感あり。
◆270+クラス
デユ・キム(韓国)が、パンチ連打でフンレ・ロー(韓国)から効果1つを奪い、優勝。両者とも、280以上の体力指数を有しつつ、スピードもあり、後ろ蹴り、組んでの膝……と多彩な技を展開していた。この階級には、日本人もロシア人も出場しなかった。
入賞者
■入賞者
男子
身体指数(身長cm+体重kg)270+
優勝:デユ・キム(韓国)
-270
優勝 ルスラン ジャファロフ(ロシア)
準優勝 テミルラン アイティモフ(カザフスタン)
-260
優勝 水村 健太郎(日本・大道塾総本部)
準優勝 麦谷 亮介(日本・大道塾行徳支部)
-250
優勝 鈴木 浩佑(日本・小杉道場)
準優勝 中村 凌(日本・大道塾日進支部)
-240
優勝 バヌシュ チャホヤン(ロシア)
準優勝 佐々木 虎徹(日本・大道塾総本部)
-230
優勝 大西 凛駿(日本・大道塾総本部)
準優勝 鈴木 誠士(日本・大道塾三沢支部)
女子
220+
優勝 服部 雅子(日本・大道塾横浜北支部)
準優勝 プリヤ クマリ タパ(インド)
-220
優勝 小野寺玲奈 (日本・大道塾帯広支部)
準優勝オレシア セルゲエヴナ ブルダコワ(ロシア)



















