空道 5.25 東京 豊島体育館(レポ):全日本体力別選手権。中上悠太朗、柔道出身キックボクサー・鈴木浩佑の-250クラス連覇を阻止。目黒雄太が-230クラス9連覇
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全日本空道連盟「2025 北斗旗 全日本空道体力別選手権大会」
2025年5月25日(日)豊島体育館
レポート提供:編集スタジオとのさまがえる 写真提供:牧野壮樹 朝岡秀樹
-250クラス決勝、投げを堪え、亀状態になった鈴木浩佑にキメ突きを放つ中上
道着と顔面防具を着用し、顔面への頭突きや肘打ち、掌底を含む打撃、投げ、寝技によって競う空道(くうどう)。「空手+柔道」、あるいは「ムエタイ+ブラジリアン柔術」的な着衣総合格闘技であり、例年、春には体力別と呼ばれる、身長センチと体重キロを足した数値によってクラスを分ける階級別大会が、秋には階級無差別の大会が開催されている。今大会では、ワールドカップ(7月にブルガリアで開催)日本代表に選出されている中上悠太朗・目黒雄太・林洸聖・小野寺玲奈と、今秋日本で開催されるアジア選手権への出場権獲得を目指す国内のトップファイターたちが熾烈な闘いを繰り広げた。
◆-250クラス
空道全日本選手権の出場権を得る選手は、大半が空道競技のための稽古を専門に行う団体・大道塾の所属選手である。そんな中、昨年(2024年)、鈴木浩祐(小杉道場)は、大道塾外の団体の所属選手でありながら、柔道弐段とキックボクシングアマチュア全日本大会優勝の技術を活かし西日本地区予選から全日本決勝まで全勝を遂げ、話題を呼んだ。より多くの団体から競技参加者、さらには大会優勝者が現れることは、競技自体にとって望ましいことであろう。その鈴木が今年も決勝まで駆け上がったが、そこで待っていたのは、昨年はケガ(肩の脱臼)のため療養していた中上悠太朗(大道塾総本部)。中上は半年前に競技復帰するや、全日本無差別選手権を21歳にして制し、一躍日本空道界の新たな顔となった存在だけに、観衆が固唾を呑んで見守る一戦となったが……。
ミドルキックで距離を取る鈴木に対し、中上は強いプレスを続け、サバ折り気味の小外刈でのテイクダウン、ヘッドスリップしながらの右フックなどで、攻勢を維持し続ける。本戦のうちに効果2を得て、本戦決着で優勝を決めた。
-250クラス決勝、鈴木のミドルに右ストレートを合わせにいく中上
中上はパワフルなテイクダウンで展開を支配する
◆-260クラス
前々回(2022年)、前回(2024年)と決勝まで進出しながら、優勝まであと一歩、届かなかった麦谷亮介(大道塾行徳支部)。今大会準決勝では、2か月前の関東地区予選決勝で敗れた相手である水村健太郎(大道塾総本部)に肘・膝を浴びせて1つめのリベンジを達成。2つめのリベンジ……昨年の全日本決勝で再延長の末に敗れた相手、林洸聖(大道塾佐久支部)との再戦へ向け、弾みをつけたのだが……。林は、準決勝、永見竜次郎(大道塾安城同好会)戦で壮絶な殴り合いを展開し、効果1つを奪って勝利した代償として、右拳を骨折してしまっていた。結果、不戦勝というかたちでの初優勝となり麦谷本人は悔しさを覗かせたが、可能性としては「7月までに林の拳の骨折が完治しない→ワールドカップの出場権が麦谷に回ってくる」という可能性も大いにあるのではないか? ぜひとも世界の舞台でうっぷんを晴らしてほしいところ。
決勝戦。右腕を三角巾で吊るして登壇した林と、勝ち名乗りを受ける麦谷
準決勝。道着を掴んでの攻防のなか、水村に右膝を叩き込む麦谷
準決勝。永見に右クロスを打ち込む林だが、この強打が諸刃の刃となったともいえる
◆-230クラス
2015、2016、2017、2018、2019、2021、2022年、2024年と8大会連続優勝の目黒雄太(大道塾長岡支部)は、U19全日本優勝経験のある山田凌雅(22歳、大道塾仙台東支部)、全日本空道連盟指定強化選手の田中脩斗(21歳、大道塾日進支部)を寄せつけず、決勝では、4歳からの空道歴と、高校レスリング競技実績をもち、大学生時にはキックボクシングやMMAにも取り組み、大学卒業後、大道塾総本部内弟子となった大西凜駿(22歳)にもつけ入る隙を与えず。離れてはハイキック、組めば、上段膝蹴り~豪快な首投げ、寝かせてはマウントパンチと、時間経過とともにワンサイドゲーム度を高め、終盤には大西を諦めの表情に至らしめた。
これで目黒はV9。全日本選手権の開催されなかった2020年(コロナ禍のため)、2023年(世界選手権実施のため)も含めて考えれば、11年間、王座に君臨し続けていることとなる。いったい、どこまで記録を伸ばすのか!?
決勝。大西の首を捕え、顔面への膝蹴りを浴びせる目黒
決勝。目黒は蹴り足をキャッチするや、頭部を押さえつけて大西の身体を泳がせる
◆-240クラス
高校1年から3年まで3年連続U19 全日本優勝を遂げ、成人のカテゴリーに昇格するや2018世界選手権出場権獲得、その後2023ヨーロッパ選手権優勝、2023世界選手権準優勝、2024ユーラシアンカップではロシア代表と鎬を削り3位と、国際大会で活躍しながら、全日本では、谷井翔太(2021・24優勝、大道塾横須賀支部)、伊東宗志(2022優勝、大道塾日進支部)、遠藤春翔(2021・22準優勝、大道塾総本部)らトップ選手たちに決勝進出を阻まれ続け、気づけば25歳となっていた曽山遼太(大道塾岸和田支部)。この〝先頭を走り、遅れてきた男〟が遂に初優勝を遂げた。かつては、少年ルール(顔面パンチなし)出身者らしく上段蹴り主体の闘いぶりであったが、今大会では、プロMMAの世界でも試合を重ねる谷井とのレスリングにおいても、ハードパンチャー伊東との中間距離での打ち合いにおいても、真っ向勝負。引き下がるところなく、一方で離れての蹴りで攻勢を印象づけ、どちらの試合もノーポイントながら旗判定を制した。決勝後、試合コートを出る際、安堵からか宙を見上げた姿は、これまでの道程が容易なものではなかったことを覗わせた。
決勝。伊東を前蹴りで突き放す曽山。中間距離の打ち合いで後手に回ることなく、一方で、多彩な蹴り技でイニシアチブを握り続けた
決勝を終え、退場時、天を仰ぐ曽山
◆女子-220クラス
昨年2024U19全日本を制し、今大会から北斗旗(一般の全日本)にカテゴリー昇格した西田美玖莉(大道塾日進支部)が決勝進出を果たしたが、2023世界選手権、2024全日本を連覇した小野寺玲奈(大道塾帯広支部)に格の違いをみせつけられた。持ち味であるキレのあるパンチとステップワークでのアウトボクシングを維持しようとする西田に対し、小野寺はファーストコンタクトで組み技に持ち込み、テイクダウン→サブミッションでタップアウト。ナショナルレベル以上の大会で小野寺が寝技で一本勝ちを収めるのは初だが、フィニッシュとなった腕絡みは、日本柔術界のレジェンド、中井祐樹氏から学んだものとのこと。小野寺は、帯広在住でありながら、東京開催の中井氏による「空道のための寝技技術セミナー」にも参加していたのだ。国内では無双状態となり、世界を制してなお、枯れることのない探求心。きたるワールドカップ、そしてロシア代表が9年ぶりに参加するであろう次回世界選手権において、このパッションがどんなかたちで結実するのか、楽しみでならない。
決勝。ニーインベリーでのキメ突きで効果(1ポイント)を奪う小野寺。この後、腕絡みに移行し、タップを奪った
入賞者、各賞受賞者
各カテゴリー優勝者。左から小関、小野寺、中上、目黒、曽山、麦谷、松岡。目黒が手にしているのが「北斗旗」
■入賞者
男子
身体指数(身長cm+体重kg)-230
優勝 目黒雄太 大道塾長岡支部
準優勝 大西凜駿 大道塾総本部
-240
優勝 曽山遼太 大道塾岸和田支部
準優勝 伊東宗志 大道塾日進支部
-250
優勝 中上悠大朗 大道塾総本部
準優勝 鈴木浩佑 小杉道場
-260
優勝 麦谷亮介 大道塾行徳支部
準優勝 林洸聖 大道塾佐久支部
260+
優勝 松岡陽太 大道塾大田支部
女子
-220
優勝 小野寺玲奈 大道塾帯広支部
準優勝 西田美玖莉 大道塾日進支部
220+
優勝 小関沙樹 大道塾仙台東支部
最優秀勝利者賞(北斗旗授与):目黒雄太
■同時開催された「2025 全日本空道シニア選抜選手権大会」の結果
・軽軽量級
優勝 宮城護 (大道塾関西宗支部)
準優勝 藤田貴章 (大道塾総本部)
・軽量級
優勝 菅剛志(大道塾横浜北支部)
準優勝 桐田淳利 (大道塾仙南支部)
・軽中量級
優勝 平石哲也(大道塾行徳支部)
準優勝山本隆人 (大道塾横浜北支部)
・中量級
優勝 杉本博文(大道塾御茶ノ水支部)
準優勝 吉本琢哉(大道塾三鷹道場)
・軽重量級
優勝 江本孝弘 (大道塾広島中央支部)
準優勝 外山博(大道塾三鷹道場)
・重量級
優勝 宮崎弘人(大道塾つくば同好会)
準優勝 河野賢(大道塾御茶ノ水支部)
・超重量級
優勝 岡田貴典(大道塾富田林同好会)
準優勝 川原剛(大道塾春日支部)
・マスターズ軽量
優勝 糸永直樹(大道塾草加支部)
・マスターズ重量
優勝 中村竜太郎(大道塾小岩支部)