Eternal 6.8 オーストラリア(レポ):GRACHAN推薦の伊藤空也、5R終了間際の猛反撃で判定勝ちしEternalバンタム級王座獲得。松本光史は最後追い詰められ判定負け
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Eternal(エターナル)MMA 85
2024年6月8日(土)オーストラリア・パース・HBFスタジアム
レポート:井原芳徳
メインイベント Eternalバンタム級チャンピオンシップ 5分5R
×ロド・コスタ[Rod Costa](ブラジル/王者)
○伊藤空也[くうや](BRAVE/挑戦者、元GRACHANバンタム級王者)
判定1-2 (47-48/48-47/47-48)
※伊藤が王者に
伊藤は21年12月、手塚基伸に1R腕十字で一本負けし、GRACHANバンタム王座から陥落したが、その後は22年3月のRIZIN LANDMARKで魚井フルスイングに判定勝ちし、GRACHANでも昨年12月にかけてイ・ハンヒョン、安部路人、高須将大、田中智也を下しMMA 5連勝中だ。今年2月にはTSUNEが手塚に判定勝ちしGRACHANバンタム級王者となり、12月22日の東京TFTホール500大会で伊藤はTSUNEの王座に挑戦する予定だが、その前に海外での試合機会が訪れた。
GRACHANのプレスリリースでは「伊藤空也選手のEternalMMA挑戦は、GRACHANとEternalMMAの間で、王者になった場合の防衛戦期間を共に調整しながら試合を組んでいくという協力関係のもと実現しました」「GRACHANは以前からEternalMMAへの選手派遣の話がありましたが、タイミングが合わずなかなか協力が実現しませんでした。しかし、今回のタイトル戦を機に、今後は積極的に選手派遣を行っていく方針です」と説明されている。Eternalはオーストラリアの大会のため、時差がほぼ無いのも利点だろう。
伊藤が挑む王者のロド・コスタは戦績14戦8勝(2KO/5一本)6敗。ブラジル出身で今大会の地元パースに住み、2020年のEternal 53から12試合Eternalに上がっているレギュラー選手(ブラジル式の読みなら名前は「ホド」になるが、放送では「ロド」と呼ばれていた)。22年10月にEternalバンタム級王座を獲得すると、今年2月に初防衛している。王座を獲得した試合は裸絞めで勝利し、初防衛戦は肩固めで勝利と、柔術仕込みの極めの強さが持ち味だ。昨年は1階級上のフェザー級で2試合し、2R KO負けと判定負けに終わっている。
1R、両者慎重だが、伊藤が右ロー、左ミドル、ジャブ等を多く当て、やや優位に進める。コスタも右ローを返すが打撃のヒット数では劣る。終盤、コスタがタックルでテイクダウンを奪い、金網際で押さえるが、伊藤はマットを背中につけず密着して追撃を封じて終える。記者採点は僅差で伊藤だが、終盤トップキープしたコスタにつく可能性もある。
2R、コスタが序盤からタックルで押し込んでから倒し、金網際でトップキープし、ボディにパンチを連打する。伊藤はマットを背中につけた状態が続き印象が悪い。終盤、伊藤は金網を背にして立つが、コスタに押し込まれたまま終わる。記者採点はコスタ。
3Rもコスタがタックルで倒し、金網際で上になる。コスタはハーフガードからマウントに移行し、時折パウンドや肘を当てる。終盤、伊藤はブリッジしつつ柱を蹴ってリバースに成功する。コスタは下から足を登らせるが、残り30秒を切り、伊藤は足をさばいてサイドに回ると、鉄槌と肘を連打し、立たれ際にもボディに右膝を当てる。さらに伊藤は左フックをヒット。そこからタックルに行ってしまうと、コスタのギロチンに捕まりそうになるが、すぐに終了する。コスタは鼻柱から出血した状態でコーナーに戻る。記者採点は伊藤。
4R、伊藤は右ローを当てつつ、左右のパンチの連打で前に出て、金網に押し込むが、倒せず膠着する。中盤、コスタの左膝がローブローになると、伊藤が抗議し、コスタも組んだ手を離し、謝るジェスチャーをする。だがレフェリーはダメージは軽いと判断した様子で、背中をコスタに向けた伊藤に試合続行を促し、伊藤が押し込んだ状態に戻して再開する。追撃されなくて良かったが、伊藤は試合続行中に背中を向けてしまい、危ないシーンだった。その後、すぐに離れ、伊藤は左ジャブを連打したが、右ローを放つと、コスタはタックルを仕掛けて金網に押し込んで難を逃れ、タックルで倒して上になる。だが伊藤は追撃を許さず、終盤、スタンドに戻して金網に押し返す。しかしここでもコスタは押し返すと、テイクダウンを奪い、伊藤を金網際で押さえ続けて終える。記者採点は打撃のヒットで上回った伊藤につけたが、テイクダウンとトップキープの印象のあったコスタにつく可能性もある。
僅差で迎えた最終5R、伊藤がパンチで前に出るが、またもコスタはタックルで倒し、金網際で押さえる。中盤、コスタはハーフからマウントに移行する。だがその先に持ち込めず、終盤、伊藤はブリッジで脱出に成功する。すぐにコスタは伊藤を金網に押し込み、またも倒し、立たれても押し込む状態を繰り返していたが、伊藤は残り30秒、押し返してすぐ離れ、左右のパンチを連打し、最後は左ミドルも当てて追い詰めて終える。UFCファイトパスの中継の実況も「サムライスピリッツ」と叫び、近くで見守るコスタのセコンドも頭を抱える展開に。記者採点は最後に追い詰めた伊藤。合計49-46で伊藤。ジャッジは1Rと4Rが僅差のため割れたが、2者が伊藤を支持する、伊藤に対してもフェアな採点となり、伊藤が判定勝ちした。伊藤につけた2人のジャッジも47-48の採点のため、5R最後の猛反撃が無ければ、伊藤は負けていたことになる。
海外プロモーションでのベルトを巻いた伊藤は「アイムベリーハッピーサンキュー。エターナルオーストラリアサンキュー」と英語で話し、観客から歓声を浴び「全て遂行しました。作戦通りです」と試合を振り返った。いつ防衛戦するかリングアナに聞かれると、セコンドに英語を教わりつつ「スーンナーベター( the sooner, the better. 早ければ早い方がいいです)」と回答した。
eternal MMA
バンタム級 新チャンピオンになりました。
ありがとうございました! pic.twitter.com/U0JQUl1Fo8— 伊藤空也 Kuya Ito (@qoo_1007) June 8, 2024
ライト級 5分3R
○ジャック・ベッカー[Jack Becker](オーストラリア)
×松本光史(M PLATIC/パンクラス・ライト級6位、元修斗世界同級王者)
判定3-0 (30-26/30-27/30-26)
松本は40歳のベテラン。3月のパンクラスで天弥に判定負けして以来の試合。海外では修斗参戦時代の12~13年にグアムのPXCで3試合した経験がある。ベッカーは16戦11勝5敗。
1R、スタンドの打撃戦で、序盤はお互い慎重だったが、中盤からベッカーの打撃が当たり出すと、右カーフで松本がぐらつく。終盤は見合う状態に戻る。ベッカーやや優位か。
2Rもスタンドの打撃戦が続く。松本もひるまずパンチを当てるが、サウスポーも駆使するベッカーのジャブ、ミドルがやや目立つ感は拭えない。
3Rもベッカーがスイッチを繰り返しつつ、右ロー、カーフ、左ジャブを的確に当て、若干優位な状態をキープする。終盤、ベッカーは松本の蹴り足をすくいつつ、右ストレートをクリーンヒット。ベッカーは観客の歓声にも押されつつ、パンチを当て続け、最後は倒して上で押さえ、マウントでパンチを当て続けて終える。ジャッジ3者ともベッカーを3~4点差で支持し、松本は判定負けで終わった。