空道 11.19 カメイアリーナ仙台(レポ):全日本無差別選手権は30歳の西尾勇輝が優勝。佐々木龍希ら若手世代は一歩及ばず
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全日本空道連盟「2023全日本空道無差別選手権大会」
2023年11月19日(日)宮城県仙台市 カメイアリーナ仙台
レポート提供:編集スタジオとのさまがえる 写真提供:牧野壮樹 はいチーズ!
道着と顔面防具を着用のうえで、頭突きや肘打ち、道着を掴んでの打撃・投げ・寝技によって争う“着衣総合格闘技”である空道(くうどう)。2019年以来4年ぶりの開催となる今回の全日本無差別選手権だが、世界選手権が5月に終わり、多くのトップ選手が一区切りをつける(休養する、引退する)……空道界における4年に1度の「端境期」での開催ということもあって、岩﨑大河(2023年5月開催第6回世界選手権270+クラス優勝)、近藤瑞起(第6回世界選手権-260クラス準優勝)ら、重量級のトップファイターは不出場。そんな中での注目は、U19(≒高校生)カテゴリーで全日本や国際大会を制し、一般に昇格して間もない選手たちが、これまで日本を引っ張ってきた世代とどう闘うのか、ということであったが……。
2023世界選手権-250クラス優勝の小野寺稜太(21歳)、同世界選手権でー230クラス準優勝の佐々木龍希(19歳)、今大会の関東地区予選を制した中上悠大朗(19歳)らは確かにワンシーンを切り取って動画投稿サイトに投稿すれば“映える”技のキレをみせるのだが、自身が攻撃することによって生じた負傷や減点によって、それぞれ準々決、決勝で惜敗。若さゆえの熱さ……裏を返せば冷静さの欠如によって“新しい空道のリーダーズ”と称されるにはまだ早いことを露呈する結果となった。
決勝戦。西尾の左フックに合わせた左ハイキックであわやという場面をみせた佐々木(青)
◆決勝戦
168センチ・63キロの佐々木龍希(青、大道塾総本部)は、細かく左右に動きながらローキックやジャブを散らし、ヒットアンドアウェイの展開をつくり、177センチ・88キロ・30歳の西尾勇輝(大道塾大阪南支部)がどっしりと構えて狙う右ストレートの照準を絞らせない。本戦が両者ノーポイントで終わり、延長戦に突入すると、このままの流れでいけば、無差別大会の醍醐味といえる“小よく大を制す”ドラマが実現するのではないか……という空気が場内に漂いはじめるが、現実は甘くはなかった。
無差別大会においては安全性維持のため「体格差が大きい(それぞれの選手の身長と体重を足した数値の差が30以上ある)場合、組み合って立っている状態では打撃を行ってはならない」という規定があり、この決勝もそのルール下で争われたのだが、偉業を目前に、佐々木はつい、組んだ瞬間に通常の空道ルール下での闘い通りに頭突きをかましてしまう。
この反則により西尾に1ポイントを献上し、さらに右ストレートを被弾し1ポイントを奪われると万事休す。旗判定なしでの西尾の優勝が決まった。
◆準決勝第1試合
昨年2022年のアジア選手権‐240クラス王者となったのを最後に引退表明していた遠藤春翔(青、大道塾総本部、173.5センチ・66.5キロ・21歳)が、その後の世界選手権での同世代の日本選手たちの奮闘をみて、カムバックを決意。準決まで勝ち上がるが、序盤で左フックをヒットされ、バランスを崩し、1ポイント失点。その後、サウスポーからオーソドックスへとめまぐるしくスイッチする佐々木龍希を捕えきれず、延長旗判定5-0で敗れた。
◆準決勝第2試合
183センチ・86キロ・34歳の辻野浩平(白、大道塾岸和田支部)は掌底打ちで脳を揺らしに掛かる。一方、日本拳法出身の西尾は最短距離を通す右ストレートを押し込む。両者の相打ちに対し、ダブルノックダウンの裁定の如く同時に両者に1ポイントが与えられ、その後も互いに一歩も引かないパンチ合戦が展開されたが、やがて辻野がガクリと一歩後退。これを機に西尾が2ポイントを追加し、勝負を決めた。
◆準々決勝 第1試合
関東地区の予選をぶっちぎりの強さで制していた19歳の中上悠太朗(白、大道塾総本部、172センチ・74キロ)は、2022全日本-250準優勝の佐川太郎(大道塾仙台東支部、48歳)からハイキックなどで2ポイントを奪取、2022全日本-240優勝の伊東宗志(大道塾日進支部、26歳)との延長に及ぶ接戦を制し、ベスト8入り。今大会、もっとも“新しい空道のリーダー”に浮上する勢いのある選手と目されたが、準々決勝、遠藤とのZ世代対決では、延長戦終盤の猛スピードのパンチ合戦のなか、左フックの交錯により左肩を脱臼。負傷による一本負けを喫した。無軌道に攻めまくるのでなく、戦況に応じ技の確実性を高めてリスクヘッジを図ることの重要性を学ぶよき機会となったことだろう。
◆準々決勝 第2試合
今大会、ベスト8が出揃った時点でくじ引きを行い、その後のトーナメントの組み合わせを決めたが、くじ引きのために登壇した2023世界選手権ー250クラス優勝者・小野寺稜太(写真、大道塾総本部、173センチ・78キロ)の両拳は、固定金具で固められていた。1回戦の八幡義一(大道塾御茶ノ水支部、47歳)戦で両拳を骨折し、2回戦の飯田諭(大道塾大宮西支部、41歳)戦では一発もパンチを出さず、離れては蹴りのみで闘い、組むや投げからの腕ひしぎ膝固めへの連繋でタップを奪った(映像=https://youtu.be/R1AtKZiZ1hU)ものの、さらなる闘いは不可能と判断されており、準々決勝を棄権することは決まっていたがくじ引きだけは行ったのであった。2回戦で大西凜駿(大道塾横須賀支部、21歳)との豪快な投げ合い(映像=https://youtu.be/M_XRJ12eZPE )を制し、勢いに乗る佐々木龍希との対戦が決まったが、佐々木の不戦勝となった。
◆準々決勝 第3試合
空道における最軽量級-230クラスで全日本V7(コロナ問題などによる不開催年も含めると全日本階級別9年間無敗)を達成している目黒雄太(青、大道塾長岡支部、166.7センチ・66キロ、30歳)は2回戦でと、今大会出場者において直近大会の最重階級でもっともよい成績(2023世界選手権-270クラスベスト4)を収めている西尾勇輝の準々決勝は、今大会のハイライトといえる一戦であった。西尾が右ストレートで目黒をのけ反らせれば、今度は目黒が右ストレートに合わせた右ハイをクリーンヒット寸前の位置まで運ぶ。攻防は互角、あるいはオーディエンス・ジャッジ的にいえばやや目黒優勢ながら、この試合でも、やはり軽量級選手ならではの“掴み打撃”の巧みさが仇となってしまう。体格差が大きいゆえに掴んでの打撃が禁止となるルール下でも、組んだ瞬間、目黒の肉体は脳からの指令を待たず条件反射的に、打撃を繰り出すことを選んでしまうのだ。組み合った状態での打撃を放つ度に、警告→減点1→減点2と、審判からのコールを浴び、目黒はここで姿を消した。
◆準々決勝 第4試合
2018年世界選手権ではー240クラス3位に入賞しながら、2023年世界選手権の日本代表最終選考大会をコロナウィルス感染により欠場し、出場権獲得を逃した服部晶洸(白、大道塾横浜北支部、173センチ・75キロ、33歳)が、その2023年世界選手権で-250クラス4位の寺阪翼(大道塾総本部、27歳)を2回戦で下し、準々決勝進出。対する辻野浩平も、2014世界選手権-270クラス4位入賞後、2018年、2023年と世界選手権2大会が行われる間、活躍がなく、今大会で久々の上位進出を果たした古豪。タックルや右ローなど、技を散らして体格差を埋めようとする服部に対し、辻野は掌底の一本鎗で応戦し、本戦ポイント2-0でベテラン対決を制した。
▼大会結果
◆男子
優勝 西尾勇輝 (大阪府、大道塾 大阪南支部)
準優勝 佐々木龍希 (東京都、大道塾 総本部)
第3位 遠藤春翔 (東京都、大道塾 総本部)
第4位 辻野浩平 (大阪府、大道塾 岸和田支部)
第5位 服部晶洸 (神奈川県、大道塾 横浜北支部)
第6位 中上悠大朗 (東京都、大道塾 総本部)
第7位 目黒雄太 (新潟県、大道塾 長岡支部)
第8位 小野寺稜太 (東京都、大道塾 総本部)
◆女子
優勝 渡辺玲那 (神奈川県、大道塾 横浜北支部)
※ 特別賞
目黒雄太
■同時開催された「2023 全日本空道ジュニア選手権大会」の結果
U11女子 34kg以下
優勝 伊藤沙倭(大道塾 登米支部)
準優勝 粥川ちゃこ(大道塾 日進支部)
U11女子 44㎏以下
優勝 関 夢月(大道塾 仙台西支部)
U11男子 34kg以下
優勝 平田洋介(大道塾 多賀城支部)
準優勝 臼井竣哉(大道塾 筑紫野南支部)
U11男子 44kg以下
優勝 西岡真道(大道塾 帯広支部)
準優勝 平山 昊(大道塾 筑紫野南支部)
U11男子 54kg以下
優勝 佐久間晴空(大道塾 新潟支部)
U13女子 44kg以下
優勝 相内美希(大道塾 青森支部)
準優勝 奥山晴琉(大道塾 岸和田支部)
第3位 小林美羽子(大道塾 帯広支部)
第4位 木藤芳菜(大道塾 帯広支部)
U13女子 54kg以下
優勝 春本侑里(大道塾 日進支部)
準優勝 齋藤有紗(大道塾 仙台西支部)
U13男子 44kg以下
優勝 滝田隼汰(大道塾 総本部)
準優勝 平山瑛人(大道塾 多賀城支部)
第3位 大越栄吉(大道塾 多賀城支部)
第4位 三浦泉海(大道塾 仙台西支部)
U13男子 54kg以下
優勝 佐藤蓮太(大道塾 仙台西支部)
準優勝 金内綾大(大道塾 小樽支部)
U13男子 68kg以下
優勝 森田統二朗(大道塾 札幌南支部)
準優勝 村山陽音(大道塾 仙台西支部)
U16女子 45kg以下
優勝 佐々木日向(大道塾 仙台東支部)
準優勝 荒木あかり(大道塾 筑紫野支部)
U16女子 55kg以下
優勝 長谷川愛生(大道塾 長岡支部)
準優勝 法両天夢(大道塾 三沢支部)
U16男子 50kg以下
優勝 渋田啓斗(大道塾 木町支部)
準優勝 柴尾緯昊(大道塾 小樽支部)
第3位 亀田 空(大道塾 総本部)
第4位 髙橋 廉(大道塾 小樽支部)
U16男子 60kg以下
優勝 相原琉唯斗(大道塾 仙南支部)
準優勝 飛澤周希(大道塾 盛岡支部)
第3位 木藤真阿(大道塾 帯広支部)
第4位 大原佑月(大道塾 西尾支部)
U16男子 70kg以下
優勝 柴尾頼芽(大道塾 小樽支部)
準優勝 吉村隼之介(大道塾 三沢支部)
U16男子 80kg以下
優勝 櫻澤 悠(大道塾 湘南支部)
U19女子 215以下
優勝 遠藤すず(大道塾 石巻支部)
準優勝 相内春花(大道塾 青森支部)
U19男子 220以下
優勝 柵木来斗(大道塾 西尾支部)
U19男子 230以下
優勝 西條萩斗(大道塾 多賀城支部)
U19男子 240以下
優勝 林 凌聖(大道塾 佐久支部)
準優勝 佐藤 歩(大道塾 仙台西支部)
U19男子 250以下
優勝 熊谷慈英(大道塾 仙南支部)
準優勝 西村孔志(大道塾 岸和田支部)
U19男子 270以下
優勝 見目ラズワン(大道塾 栃木南支部)