RIZIN 新しい判定基準「デュアル・マストシステム」紹介映像公開。ラウンドマストを第一基準、RIZIN独自の「3Dトータルマスト」を第二基準に

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RIZINは2026年から新たに採用する判定基準「デュアル・マストシステム」について説明する動画を2月20日、公式YouTubeチャンネルに公開した。RIZINのレフェリング・ジャッジ等を務めるJMOC(日本MMA審判機構)の福田正人・石川喬也・植松直哉の3氏、RIZINの笹原圭一・広報部長、柏木信吾マッチメーカーが出演し、従来のトータルマストのRIZINルール、世界標準のラウンドマストのルールとの違いを詳しく説明した(司会は鈴木芳彦アナウンサー)。この記事では動画の中でのルール説明の箇所についてお伝えする。
―― ルール改定の経緯について。
RIZIN 広報部長 笹原圭一 トータルマストシステムというのは、PRIDEが1997年に立ち上がって以来ずっと採用していました。PRIDEもDREAMも、RIZINも10年間トータルマストというやり方をやってきたんですけれども、RIZINが立ち上がった当初から「そもそもトータルマストって正しいのか」という議論はずっとJMOCさんを含めて話をしていました。試行錯誤を繰り返して、「デュアル・マストシステム」という世界初の試みを今年2026年の3月大会から採用しようということになりました。
―― 「デュアル・マストシステム」とは。
JMOC 福田正人 簡単に言うと、ラウンドマストとトータルマストを複合させた2層式の判定システムになります。ずっとトータルマストシステムが採用されていましたが、トータルマストシステムはすごくシンプルで、特にこのRIZIN10年間はダメージ、アグレッシブネス、ジェネラルシップ、D・A・Gなんて言われてましたけども、この3つの要素を基準に、5分3ラウンドだったら15分でどちらが勝っていたかをジャッジする方式でやっていました。ラウンドごとに優劣をつけずに、試合全体でどっちが勝ったか、その全体の差を見て判断するという非常にシンプルなルールでやっていました。
新しいルールの「デュアル・マストシステム」は、今世界的に普及している10点法で採点する「10ポイント・ラウンドマスト」をまず第一基準にしまして、そこにRIZIN独自の「3Dトータルマスト」を第二基準として統合した二層式の判定システムになります。今までもラウンドごとに採点して同点だったらトータルマストでというのは、DEEPでも同じようなことをやっていたことがあるんですけども、ただ少しそことも違う形でやらせていただこうと思っております。
―― なぜ採点方法を変えるのか。
RIZIN マッチメーカー 柏木信吾 世界的にはUFCをはじめとして数々の団体が採用しているユニファイドルールのラウンドマストが一般的と捉えられているんですけれども、あくまでもRIZINの捉え方としては、戦いってフィニッシュを狙いに行くものですよね。KOを狙いに行く、一本を狙いに行くというのが、あくまでも我々が求めているものであって、決してポイントゲームではないですよというところが根本にあるということをご理解いただきたいです。
従来のラウンドマストシステムの欠点としては、例えば「1ラウンド取った、2ラウンド取った」という時点で、「3ラウンドは落としてもいいや、取られてもいいからフィニッシュをしに行かない」という姿勢が生まれてしまう。我々の求める完全決着、フィニッシュを狙いに行く姿勢という部分、日本の格闘技の哲学、RIZINの哲学にはちょっと反しているんじゃないかなという部分がありますね。
―― 「デュアル(2層式)」にしたのは?
JMOC福田 トータルマストは試合全体で評価するのでやってる側からも見てる側からもちょっと分かりづらさもあったと思うんです。今回その2層式にする仕組みを簡単にご説明しますと、まず第一基準、これは今UFCとか世界的に普及しているラウンドごとに採点する10ポイント・ラウンドマストシステムを採用します。まずこのラウンドごとに10点法で採点しまして、10対9とか10対8とか合計点を出します。28対29とかその時点でもう勝敗が決まれば、ここでもう第一基準で終わりになります。
ただ例えば、合計点が28対28で同点だった場合は、ここで第二基準に移行しまして、ここで「3Dトータルマスト」の評価を加えて試合全体の評価をしていくという形になります。各ラウンドごとに、私どもが他の団体で10ポイント・ラウンドマストで採点するときには判定根拠として「3D」というのがあるんですけども、この3Dの根拠を数値化して、試合全体を通じてどれだけ3Dで差があったかというところで決着をつける、そんなルールになっています。
さらにここでも決着がつかなかったら、タイブレイクという形で3D項目の上位項目、例えばダメージとかを獲得した選手が最終的に勝つという形で、いずれにしても必ず勝者が決まるような仕組みになっています。
―― 「3Dトータルマスト」の3Dついて。
JMOC福田 8年前ぐらいからABC(Association of Boxing Commissions:米国のMMAやボクシング等格闘スポーツの競技統括組織)さんと情報交換させていただく中で、指針が出されて3Dというところが出ているんですが、なかなか浸透していないというところです。実際に我々が10ポイント・ラウンドマストで採点するときには必ず3Dを頭に入れて根拠にしています。Dが3つあるんです。ダメージ(Damage)、ドミナンス(Dominance)、デュレーション(Duration)。この頭文字を取ったものです。これからのRIZINのデュアル・マストシステムでは、それぞれに配分値をつけまして、その合計点を3Dトータルマストで反映させていこうと思っています。
―― ダメージ、ドミナンス、デュレーションとは。
JMOC福田 ダメージから簡単に言いますと、これは大きなパンチがあったとかインパクトがありましたというのはもちろん、そのアクションによってどれだけ相手選手の戦闘能力を低下させたかどうかという「結果」を見るんですよね。
ダメージについては今後、配分値を振り分けるんですけども、ものすごく重大なダメージがあった場合には「シグ・ダメージ(Significant Damage)」として10点を与えます。また、効果的なダメージについては「エフ・ダメージ(Effective Damage)」として5点という形で、細分化をしていこうと思っています。
その次がドミナンスですね。ドミナンスはシンプルに言うと優位性なんですが、これは単なるポジションキープをしていればいいというものではなくて、いいポジションを取ったらフィニッシュに向かうためにどれだけ有効な打撃を狙いに行ったか、サブミッションのアタックをしたか、攻めている支配優位性に対して評価されます。こちらについては配分値は3点となっています。
最後のデュレーションにつきましては、ドミナンスやダメージを与え続けた時間の長さや割合を評価する項目で、ここは最終的にどんなに僅差であっても必ず白黒つけて、配分値としては2点という形になっています。
―― 押さえつけてるだけではダメと。
RIZIN柏木 今、鈴木さんがおっしゃったことがすごく重要な部分で、この配分値を見ていただくことでRIZINの哲学がしっかりとこの3Dに反映されていることがわかると思います。要はそのラウンド、相手をコントロールしているデュレーションだけを取っている選手は、そのラウンドを勝って10対9で10取ったとしても、“裏”では2点の評価しかされてないことになるんですね。それに対して、例えばシグ・ダメージを与えた選手には10点入るようになっています。同じ10対9でラウンドを取っても、その内容に大きな差が出る。要はダメージ至上主義を数字でルール化したのがこのシステムだということになります。
―― ドミナンス3点とデュレーション2点の合計5点と、エフ・ダメージ5点の違いは。
JMOC福田 点数が5対5になっている状態ですよね。これラウンドの中で判断する中では、ユニファイドルール等でもそうなんですけども、やっぱり(単独で点数の大きい)エフ・ダメージが優先されます。ですので、3Dの中の上位項目であるダメージを取っている人が10対9の「10」になるという形になると思います。
―― 「10対8」のケースについて。
JMOC福田 今世界的にも課題になっているところで、最近は10対8がほとんどつかないんですよね。RIZINのデュアル・マストシステムでは、10対8というところはしっかり考えていきたいなと思っているんですね。別に無理やりつけるというよりかは、同じダメージでも差を見出していかないと10対8はつかないんじゃないかと思っています。今回、シグ・ダメージとエフ・ダメージと細分化したのは、大きなダメージだったのか、それとも累積的なダメージだったのかを細かくしておかないとなかなか差がつかないんですよね。ダメージを拾う感度を高めて、結果的についた回数や割合が増えれば、デュアル・マストシステムをやる意味が出てくるんじゃないかなと思っています。
―― 今回のルール変更は競技にどのような影響を与えるか。
JMOC植松直哉 MMAは本来、打撃でのノックアウトやサブミッションで決着をつけるのが本来の姿だったんですけれども、競技として進化する中で、テイクダウンしてただ押さえつけるといった、より判定に有利になることをすれば勝ってしまうということが定着してきて、近年そういう戦い方が比較的見られるようになったと思います。
ただ今回このシステムによって、なんとなく支配する、なんとなくポジションを取っているだけという形では、ダメージを与えたような5点あるいは10点という点数に届きません。いくらポジションを取っていたとしても、フィニッシュする姿勢を見せないのであれば、その評価も極端に低くなってしまうと思います。
なので、グラップラーの選手であっても、ポジションを押さえるだけでなく、そこからよりパウンドでノックアウトを狙う、あるいはサブミッションを狙うということをしてもらわないと、判定としては高い評価はつけませんという項目になったと思います。
RIZIN笹原 あまり複雑すぎてもダメだし、シンプルすぎてもダメ。今その中間のやり方が多分、このデュアルシステムかなと思っています。
JMOC福田 今までは10対9という採点が出た時に、その裏側でどういう評価をしていたかというのが出てこなかったと思うんですよね。そこについてはこの半年とか1年かけて、ジャッジはこういう見方をして10対9になったんだよ、というのを「見える化」していきたいなと思います。
RIZIN笹原 通常だと「30対27」みたいなことを言っておしまいなんですけど、それぞれのラウンドで各ジャッジが何を根拠に10対9をつけたのか、そこも含めて公開します。当然ジャッジによって判断がずれてくることもあるかもしれないですけど、そこも含めて公開して皆さんと一緒に議論をして、より精度を高めていきたいと思っています。
また動画の後半では、実際の試合の攻防を具体例にあげ、どう採点するかという説明が行われた。昨年大晦日の伊澤星花 vs. RENAの1R目(序盤に伊澤がダウンしたが、終盤に寝技で挽回した)の3D評価の説明がなされた。22年大晦日の扇久保博正 vs, 堀口恭司の3R目で、両者寝技で優位なポジションを取り合った後、堀口の膝蹴りで扇久保がカットし、深刻なダメージとは言い難かったが、JMOCの石川喬也氏は「RIZINの新システムでは、ダメージ、ドミナンス、デュレーションの全てにおいて明確な優位性が見出され、スコアが10点相当に達した場合、10対8を検討していこうと考えています」と話しており、実運用でどの程度10-8がつくケースがあるのか今後見定めていく必要があるだろう。
最後にRIZINの笹原氏は「この動画を1回見ただけでは100%理解するのは難しいかもしれないですが、啓蒙動画として『この判定はどういうふうに見ているのか』というのを繰り返しご説明して、より理解を深めていただくようにしたいなと思っています」、福田レフェリーは「まずは今回の改正では、あくまでもフェーズ1として、採点根拠を公開し、皆さんに判定の視点を共有する期間なのかなと思っています。『10点法が本当にMMAに合っているのか』という部分も含めて、これからアップデートしていきたいと思っています」と述べており、今後の選手・ファンの反応を伺いつつ、改善・浸透が進められることになりそうだ。
新ルール「デュアル・マストシステム」についての概略(動画概要欄から引用)
【新ルールの概要】
1. 判定の構造:二層式の「デュアル・マストシステム」
・第一基準(10ポイント・ラウンドマスト方式)
各ラウンドを10ポイント・ラウンドマスト方式(10点法)で採点し、その合計スコアで勝敗を競う
・第二基準(3Dトータルマスト)
第一基準の合計スコアが同点(ドロー)となった場合にのみ発動
各ラウンドの採点根拠となった「3D(Damage / Dominance / Duration)」の数値を合計し、
試合全体を通して必ず勝敗を決定
2. 評価の最優先事項:アクションではなく「結果(GAP)」
ジャッジは、瞬間的なアクションではなく、ラウンド終了時に
相手の戦闘能力をどれだけ低下させたかという「結果としての差(GAP)」を測定
【3D評価の構成と配分値】
▼Damage(ダメージ):配分値 10点 または 5点
・シグ・ダメージ(Significant Damage / 10点): 重大なダメージ
機能不全や著しい減退、試合終結に直結する決定的なダメージ
・エフ・ダメージ(Effective Damage / 5点): 効果的なダメージ
可視化できるスタミナや気力の低下をもたらすインパクト
▼Dominance(ドミナンス):配分値 3点
フィニッシュを狙うための戦術的支配
単なるポジションキープではなく、一本やKOに近づく攻防を評価
▼Duration(デュレーション):配分値 2点
効果的な攻勢を維持した時間の長さや割合






