ONE 9.6 デンバー:手塚裕之「世界で名を売っちゃったほうが早いかなって。国内で知名度を持つよりも」|U-NEXTで9/7(土)午前9時~生中継
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今週末、9月7日(土)午前9時より開始される『ONE 168: Denver』に、現在ONEで5連続フィニッシュと大躍進中の手塚裕之選手が出場します。快進撃を繰り広げているジャパニーズ・ビーストはONEのアメリカでの大会には初出場。ここ3戦はタイのルンピニースタジアムのリングを舞台に戦ってきた手塚選手が、慣れ親しんだケージに戻ってきます。タイトルショットを目指すうえでの負けられない一戦となる今回、ニュージーランドで生まれ、オーストラリアで育ったトンガ人であるイシ・フィティケフ選手と対戦します。(記事提供:U-NEXT)
『ONE 168: Denver』
■日程:2024年9月7日(土)午前9時開始
■会場:Ball Arena(コロラド州デンバー)
■U-NEXT視聴URL:https://video.unext.jp/livedetail/LIV0000006154
※開始時間や対戦カード、対戦順は予告なく変更となる場合があります。
手塚裕之選手 U-NEXTオフィシャルコメント
―― 今回ファイトウィークよりも1週間早く現地入りしたのは、アメリカでの試合ということでアジャストメントの時間に余裕を持ったのですか?
そうですね。時差と高地対策です。前戦までタイだったのでちょっと違うので早めに入っておこうかと1週間近く早めに入りました。ただ、別に時差も関係なく1日目から過ごせちゃってて(笑)。高度とかもあんまりよくわからないです、体感なので、別に疲れる時は疲れるしな、みたいな。
―― 息が上がるような感じもなく?
すごい追い込むような練習はしていないのでわからないのですけど、なんとなく「あんまり変わらないな」という。一応、栃木の地元でも、高度が同じような、1600mくらいあるところを見つけて週に1回ほど走りこみをしていたので、それもあるかもしれないです。
―― 早く現地に入った分の時間はどのような過ごし方ですか。
スパーリングや激しい追い込みは日本で終えてきて、こちらで調整という感じで、打ち込み中心で練習している感じです。Pound 4 Pound ムエタイ(以下P4P)というジムで練習しています。ここにはUFCファイターも何人もいますが、前回コロラド合宿に来たとき、平良達郎くんに紹介してもらって、そこのコーチと一緒に練習をしていきます。クレムというP4Pのムエタイのコーチが、すごく良くしてくれて。パーソナルトレーニングのような感じで面倒を見てくださったんです。その時こちらは謝礼を払いたいと伝えたのですけど、「そういうのじゃないから」という感じで(受け取ってもらえず)、「My Pleasureだから」と。「こっちがもてなすのが好きなんだ」という感じで返されて。戦略面でも相手をめちゃくちゃ細かく分析したデータをメールで送ってくれたりと、自分が帰国してからも気にしてくれていました。それで、今回は試合前にお世話になるのでさすがにお金を払わせてほしいと言ったのに断られてしまって(笑)。ジムのオーナーにも、コーチが受け取ってくれないから渡してほしいと言っても、「(平良)達郎も、君も、謙虚で、ファイターとして持っている資質がすばらしいから」って。「ウェルカムなんだよ」と言ってくださって。結局支払えず、逆にTシャツをもらってくるという(笑)。
―― コーチたちにしてみれば「勝利」の二文字こそが最高の報酬ということなのでしょうか。そういう支えが増えたことが、モチベーションにつながっていますか。
「これに勝ってタイトル戦だな!」とか「チャンピオンになれよ!」と言ってくれるので、そこで返したいというのはありますね。もともと総合格闘技を始めたのもアメリカだし、お世話になったコーチもいて。教えを取り入れるか入れないかは自分自身の問題ですけど、自分としてはいい出会いをしてきて今の自分がいるので、この試合に向けてもいい出会いができたのではないかなと思っています。
―― 先ほどおっしゃった分析データを受け取った印象はいかがでしたか。ご自身の考えや対策とフィットしましたか?
僕自身があまり詳しく研究して見るタイプじゃないので「こんなところまで見てくれているんだ」という感じで、「へー」って。相手のクセを何個か挙げてくれて、そこにこう攻めてこうして、というようなパターンをいくつか作ってくれた上で、でも実際はファイトだから、何が起こるかわからないから、それも頭に入れたうえで戦っていこうということも言ってくれて、助けになりました。
―― 通常は相手を想定した対策練習はあまりしないということですか。
あんまりやらないですね。ミットで、相手の得意なパンチや入り方に合わせたカウンターの練習をする程度ですかね。あとは寝技だったら相手の得意な形にならないために、まず相手の得意なポジションから練習を始めるというくらいです。
―― 基本的には、自分がやりたいことを押し付けるような試合をしたいというような感じなのでしょうか。
そうですね。自分のやりたいことをやれば勝てると信じているので。相手に合わせすぎることは固定観念を持ちすぎることになるので、それはよくない。だからいつもはサラっと見て「こんな感じか」と掴んで、あとは野性の勘ですね。
―― 試合を間近にした今、あらためて、対戦相手であるフィティケフ選手の印象はいかがですか?
強いと思っています。戦績もいいですし、しっかりフィニッシュもしているファイターなので世界トップレベルだとは思います。ただ、世界トップレベルという意味では、自分は前回の合宿でもUFCのウェルター級の選手たちともスパーリングをしていて、そこで全然自分もやれるなっていう自信につながっているので、問題ないです。
―― フィジカルデータを見る限り身長差が10cmあるようですが。これまでの戦いも含めて、ONEのウェルター級でやるうえで、フィジカル差を意識したことはありますか?
あんまりないです(笑)。いや、大体みんな身長盛ってるんですよ、だから身長に関しては、多分あんまり変わらないです(笑)。
―― ではいつもいざ対面して、「あれ?」という、思ったより小さいな、と感じるのですか?(笑)
めちゃめちゃ思いますよ、「みんな盛りすぎだろ!」って(笑)。大体10cmくらい盛っている人が多いですね。よく僕は「ウェルター級で、その身長でよくやれるね」って言われますけど、全然そんなことなくて。アメリカでもゴリゴリのウェルター級の選手は、大体僕と同じくらいですよ。
―― ところで今回「コメvs.タロイモの代理戦争」とおっしゃっていましたが、真意を教えていただけますか?
これで相手もコメ食ってたらどうしようとは思いますけど(笑)!僕、マーク・ハントが好きで、彼の強さについて調べていた時に、タロイモをめっちゃ食っていたと知って。サモアの人はタロイモが主食なのですよね。
―― タロイモというと、日本ではタピオカの材料というイメージですね。代理戦争という文字通り、世界最強の民族と称されるポリネシア人の主食「タロイモ」と、日本の主食「コメ」のどちらが強いのかを、ご自身の戦いで確かめるということですね(笑)
タロイモが主食として日本ではあまり馴染みがないですから、どんなものなのかなと。それから向こうの人たちって、マオリに代表されるような、戦闘民族ですよね。対戦相手にそういう血が流れていることを想像すると、たぎりますよね。いろんなファイターと試合できることこそが世界規模の団体の醍醐味でもあると思うので。ブラジルの選手やロシアの選手など、結構いろんな海外の選手とやってきたけど、サモア人と戦うのはたぎりますね!戦闘民族を倒す農耕民族!
―― 戦闘民族というルーツとは別に、ラガーマンだったバックボーンについてはいかがですか?ラグビー経験者特有のもの、たとえばスピードであるとか、フィジカルの強さであるとか、警戒している点はありますか?
突進力という意味では速さはあると思いますけれど、入りの速さで言えば僕も空手をやっていて二瓶先生の入りをいつも体感しているので、それと比べれば相手は全然劣ると思いますし、自分のほうが懐に入るスピードであったり、スピードでは上だと思っています。ただ、パワーについてはラグビーをやっていたことでの強さがあると思っています。あんまり横の動きとかはないのかなって思っていますけどね。相手もオールラウンダーでしょうけれど、自分もオールラウンダーとして自信があって、とくに自分のほうが打撃のクオリティが高いと思っています。
―― どのような展開になると思っていますか?
相手は僕が唯一ONEで負けた試合を研究してくる感じがします。そうすると同じようにタックルで漬けにくるかなと思うのですけど、それに対してはしっかり切って、逆に自分がテイクダウンするか、その前に打撃で仕留めてしまうか、どちらにせよ相手のやりたいことはできずにこちらがフィニッシュしていると思います。打撃か寝技かはわからないけれどフィニッシュは狙います。
―― フィニッシュ狙いで、流れでどうなるかということではあるものの、先ほども打撃の進化や優位性を語っていたなかで、今回はよりKOを狙うというようなことはありますか?タイトル戦に向けてのアピールという意味合いも出てくると思うのですが。
色気出しちゃうとあまりいいことないの、知ってるんです(笑)。アメリカ大会だから承認欲求が出ちゃうかもしれないですけど(笑)、でも大丈夫です。僕はいつも「フィニッシュを狙う」と言っていて、それでこの5戦フィニッシュできていますけど、あくまでもフィニッシュは、勝つための一番の最短ルートです。試合をリスクなく最後まで終わらせるための。だから、勝つことを一番のプライオリティに置いているので、最悪、判定勝利でもいいとは思っているんです。それくらい勝ちに徹しています。
―― ご自身のMMAのキャリアがアメリカで始まったことも踏まえて、今回デンバー大会に出ることには特別な思いがありますか?
そうですね、やっぱり総合格闘技を始めた土地ですし、アマチュアのキャリアもずっとこっちで積んで「プロになって、自分がアメリカに呼ばれて試合をすることになったか!」と感慨深いことをちょっと思った瞬間はあるのですけど。そこでやっぱり勝たないと、別に「アメリカで試合がしたかった」ってわけじゃなくて、「アメリカで試合をすることで名前を売りたい」ので、ここでしっかりフィニッシュしたいですね。
―― 北米で名前を売るということが、キャリアを通して目指してきたことのひとつなのですか?
お客さんをとってみても、アマチュアのときから北米ファンはすごくエキサイティングで、僕もそういうファンの前で試合をするのは好きでしたし、やっぱり世界で一番大きな団体があって、MMAファンがすごく多いですから、そこで自分の名前を売れたら名誉なことですね。もちろん日本にも国内の大きな団体があり、有名になっているファイターもいますけど、自分が一番最初にめざしたのは海外に出て世界の強豪たちと戦っていくことだったので。そういう意味では世界で名を売っちゃったほうが早いかなって。国内でいくら知名度を持つことよりも。だから今大会に出られることはとても嬉しいです。
―― ケージでの試合となることについてはいかがですか?
ここ3戦がリングだったのですけど、それ以外は自分の経歴がアマチュア含めてケージなので慣れていますし、ケージの方が戦いやすいかなっていうのはありますね。リングにはリングの良い面があって、コーナーがある分追い詰めやすいというようなことはありますが。ルンピニースタジアムのリングはMMAで考えるとちょっと狭いんです。自分がテイクダウンしたときに相手に立たれにくいっていうのはありましたけど、だから自分が下になると立ちづらかったり、狭いので腕十字に行ったときに体が詰まりそうになったりして。だから、より足も使えて、ケージなので万が一倒されても立ちやすいという利点を活かしていきたいです。
―― ケージに入るときはどんな気分なのですか?
雑念があるんですよ。前戦なんて「絶対これ勝ってボーナス!」とか(笑)。だから集中して、コントロールできることに徹したい、つまり勝つことだけを考えたいと思います。
―― SNSで突然トラッシュトークなど展開されるのは、どういう心境といいますか、狙いがあって呟いているのでしょうか。
呟きは注目を浴びたくて、ふざけてやっているだけです(笑)。承認欲求がすごくて。
―― そのことで注目はされても、それに伴うアンチコメントなどが増えていくことは気にならないのですか?
まったく気にならないです。自分で蒔いたタネなので、そういうのはしょうがないです。わかったうえでやってるので。でも最近は、自分も父親だし、みっともないから落ち着こうと思っています。
―― ご家族に「やめて」って言われたりも?(笑)
妻はSNSをやらないので俺が暴れていることを知らないんですけど(笑)、客観的に見てスポンサーさんの企業イメージとかもあるので、改めようかな、って。でもそう考えながらも、承認欲求にかられてやってしまったりするので、エンターテインメントだと思って、見てくださいね!
―― では最後に、U-NEXTでライブ配信を視聴するみなさんにメッセージをお願いします。
しっかりフィニッシュして6連続フィニッシュかましてくるので、よかったらご覧になってください!