石井和義氏、K-1世界再進出の理由・戦略を90分熱弁「マーケットを総合以上にしないと立ち技の未来はない」
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K-1の創始者で1月にK-1 GROUPの「アドバイザー」に就任した石井和義・正道会館館長が2月21日、東京都内で記者会見し、K-1がこのタイミングで再び世界再進出を目指すことになった経緯、世界展開のビジョン、ルール改正等について語った。
石井氏はフルコンタクト空手の正道会館のトーナメントの発展形として、1993年にK-1をスタートし、無差別級トーナメントのK-1 WORLD GPを主体としたキックボクシングコンテンツでブームを巻き起こした。だが、2002年に発覚した脱税事件をきっかけにプロデューサーを辞任した。その後、谷川貞治氏がK-1のイベントプロデューサーに就任し、魔裟斗をエースとしたK-1 WORLD MAXで新たなブームを起こしたが、魔裟斗の引退、UFCを筆頭とした世界的なMMAの人気向上、選手のファイトマネーの高騰などの影響で、経営が行き詰まり、12年に運営会社のFEGが倒産した。同年に香港のK-1グローバルがK-1の全ての権利を獲得し、14年から矢吹満オーナーのK-1実行委員会が日本でのK-1の興行権を得て、いわゆる「新生K-1」の大会が開催されてきた。
新生K-1は「100年続くK-1」をスローガンに掲げ、前田憲作氏、宮田充氏、中村拓己氏がプロデューサーを務めた。当初は15年に旗揚げしたRIZINに選手を派遣し、次第に他団体との交流を制限するようになったが、22年6月にRISEとRIZINと共同開催したTHE MATCH東京ドーム大会をきっかけに、他団体との本格的な交流を再開した。
一方で、昨年3月には新生K-1を運営するM-1スポーツメディアが、全世界のK-1ライセンスを取得・保有し、海外進出を強化することを発表した。7月には旧K-1時代に放映権の海外展開を担当していたカルロス菊田氏が新たなK-1プロデューサーに就任し、「かつてのK-1のように日本だけでなく世界で予選を行い、勝ち抜いた強者によるファイナルトーナメントを行う。あの頃のトーナメントシステムに“ReBIRTH”します」と表明した。その言葉通り、24年は米国やブラジル等世界4か国で無差別級の予選トーナメントを行い、12月に東京で8選手による1DAYトーナメントを行うことが、先週2月16日に発表済だった。3月20日の代々木競技場第一体育館大会では、70kgのかつてのK-1 WORLD MAXのスタイルのトーナメントも再開し、本格的に海外展開が始まる。
そんな中、今年1月にK-1創始者の石井氏がK-1 GROUPの「アドバイザー」に就任した。石井氏は現在70歳。就任発表時に石井氏は「この10年間は、K-1の商標がまとまっていなかったので集めるのが大変だったかと思います。やっと30年前と同じ状況になってきているので、発信できるようになった。K-1元年、勝負していけると僕は思っています」「昔のK-1のように、ワクワクする時代に戻したい」等と話していた。
2月21日の記者会見は、石井氏が改めて、K-1の31年の歴史を踏まえた上での、今のスタンス、そしてこれからのビジョンについて詳細に語る機会となった。通常のK-1の記者会見は当然、特定の大会の対戦カードに関する発表事が主体だが、創始者の石井氏が単独でK-1について約90分間、囲み取材形式で熱弁する、異例の会見となった。
以下は石井氏の会見の発言内容の抜粋・要約。
K-1の商標が一つにまとまり、やっと世界に出られるようになった
K-1アドバイザーの石井でございます。アドバイザーなんで、僕の立場としては、あくまでもファン目線で、ファンとK-1の中間側にいる立場だということを、皆さんの認識として持っていただきたいと思っております。
で、今回の世界戦略の中で、ファン目線にしてみたら、いよいよK-1が世界に出るという話もあるし、K-1側にしてみたら、これから大変だな、みたいなところもあると思うんですよね。で、一番先に言いたいのは、K-1が世界に船出していく時の一番の功労者っていうことで、本当にヨイショしてるわけでもないんですけど、矢吹(満)オーナーだと思うんですよ。本当に彼は10年間、一生懸命、K-1日本大会もやってきて。K-1のライセンスを買った時に、K-1のライセンスが世界中でぐっちゃぐちゃになってたんですよ。前のK-1のライセンスを持ってたEMCOM[エムコム]の(マイク・)キムさん、EMCOMという会社は今もうなくなったんですけど、キムさんが香港にK-1の会社(=K-1グローバル)を作ってたんですね。そっから世界中に契約して発信してた色んな契約を、全部一つ一つ、弁護士を使って元に戻して、一つにまとめたんですね。そんな苦労を彼(=矢吹氏)は言うタイプじゃないんで、一言も言わないんですけど、ちゃんとまとめていただいて、やっとK-1という商標が日本の国に一つになって戻ってきたんですよ。本当に非常に大変な作業だし、お金もかかったと思うし、大変なことだったと思うんですよ。それでやっと、新しく生まれ変わって世界中にK-1が出れますよねっていう風になったんですね。
これは逆に言えば、K-1側としてはなかなか自分たちのことで言いにくいし、ファンの人たちは知りたかったけど、そこは聞けないし、みたいなことだったんで、中間にいる僕が言うんですけど、だから僕もそういう矢吹オーナーの男気に惚れて、『館長、また手伝って、アドバイザーとして入ってくれないですか?』と言われたんで、僕で良かったらと恩返しのつもりで入らせていただきますよということで、僕がお手伝いをさせてもらったと。
僕はご存知のように法人税法違反で一回、捕まってましてね。最高裁まで戦ったんですけど、実刑判決を受けて(刑務所の)中に入ったんですけど、それ以前に(証拠隠滅教唆容疑で)一回捕まって仮釈で出てきたときに『もうプロ(の格闘技興行)はやりません』ということで、みんなの前で宣言したんですよ。だから辞めてからの20年ぐらい、色んなところでプロのお誘いいっぱいあったんですけど、全部お語りしてきたんですね。
その代わり、もともとのK-1作った動機が、アマチュアの武道空手、キックボクシング、カンフーとか、拳法とか含めて、(頭文字が)Kの立ち技の格闘技、僕は空手出身なんでどうしても立ち技になるんですけども、それをメジャーにしたい気持ちがあったんですよ。そのためにはプロがいると。サッカーとか野球とかは必ずプロの団体があるじゃないかと。プロがあるからアマが伸びる。だからアマじゃなくてプロをやろうって思ったんですね。これがもともとの僕のK-1作った原点だったんで。逆に言えば、もうプロはあるんだから、僕はアマを一生懸命やろうということで、この何年かずっとアマを広げる努力をしてきたんです。
そうして見ているのに、やっぱり日本のプロはRIZINを中心に非常に格闘技は盛り上がっていますけども、これだけ世界中でSNSとか携帯電話があって広がっているのに、全然世界に発信できてないじゃない。なんでやろう?と僕自身は非常にジレンマがあったんですね。やっぱり商標の部分で(障壁があると知って)そうか、って。K-1はそういう形で(世界進出を)やりたいんだけど、それできないんだろうなと思っていて。
この間(22年6月の)THE MATCHの時ですかね、僕もご招待を受けて、(幻冬舎の)見城(徹)さんとか(ABEMAを運営する)サイバー(エージェント)の藤田(晋)さんがいらっしゃったんで、挨拶しに行ったんですよ。そこに矢吹さんもいらっしゃって、矢吹さんは『館長、やっと一つに商標をまとめました』っておっしゃって。その後まだちょっといろんなことがあって、矢吹さんの方ではきれいに(権利関係を)整理できなかったんですけども、やっといろいろ(23年に)整理ができて、いよいよK-1 ReBIRTHということで、新しくスタートができた(12月の)大阪大会に呼ばれて、行って、初めてそういう(アドバイザーの)話があって、僕は受けた、という流れなんですよ。
世界中行ってみてください。K-1知らない人いませんから
その流れの中で、矢吹オーナーには『K-1の強みを生かすと(いい)。強みを生かしたら、長所を伸ばせば短所は消える』と(アドバイスしました)。じゃあ、K-1の長所は何か。これはやっぱりK-1のブランド力なんですよ。世間では『K-1は終わった』とか『K-1は昔はよかったけど今はダメ』とか『K-1なんかもう誰も知らないよ』とか言うんですけど、世界中行ってみてください。K-1知らない人いませんから。いまだにやっぱりK-1の幻想というのは、世界のファイターあるいは世界のプロモーターたちの憧れなんですよね。UFCはぶっちぎりで凄い団体になりました。ONEはアジアの人は知ってるかもわからないけど、世界中だったら全然知らないんですよ。でもK-1はアフリカに行こうが南アメリカに行こうがヨーロッパに行こうがみんな知ってるんですよ。僕の友達がジムを作ろうと思って世界中のキックボクシングとか格闘技のジムに回ったんですね。そうすると『お前、日本人か?』って聞かれると『K-1どうしてんだ?ミスター・イシイはどうしてんだ?』って、世界中どこに行っても僕のことかK-1のことを聞かれるんですって。改めてK-1が有名なんだっていうことを僕自身再確認しました。だからRIZINとかRISEとかONEとかも頑張ってほしいですけど、結局僕らのライバルは野球やサッカーといった他のメジャースポーツなんですよ。格闘技はそれをライバルだと思って、みんなで協力して伸ばしていかないとダメなんですよ。
で、僕はちょっと頑張ろうと思って、近々皆さんに発表できることもあり、そういう準備もしています。この準備は必ず今のプロのキックボクシングだとか総合にもプラスになります。これが発表できて、それで底上げしながら、みんなが日本のスポーツの中での格闘技の地位というのを上げていかなくちゃいけないと思うんですよ。
他のサッカーとかBリーグとかから見たら『お前らにはメジャー(=大手企業の)スポンサーがついていない』と言われるかもしれませんし、これからつくようにしないといけないと思うんですよ。ただ、30年前、僕がK-1作った時と今の様相は全然違うんですよ。
この間タイに行ってきましたけども、昔と違って新車がどんどん走って、5車線ぐらいの道路が整備され、高速道路はお金はいらないし、ビルはどんどん建っている。ムエタイも今は国を代表するスポーツとして伸ばそうとしてるんですね。そこに(ONEの)チャトリさんがお金を入れてルンピニーでああいう大会をしたり、対抗してラジャダムナンがRWSと言ってワールドシリーズを始めたり、そこには凄いお金持ちたちがお金を入れて底上げをどんどんやっているんですよ。アジアもそういう形にどんどん変わってきている。その熱は多分、やがて南アジアや中東に広がっていくでしょう。中東は中東で今は総合中心で凄い盛り上がっています。
逆に言えばですよ、これはあくまでも僕の頭の中にある構想であって、僕はK-1側の経営者でもなんでもないので、どういう風にK-1がやられるかどうか分かりませんけど、例えばドバイあたりに“K-1ワールド”という会社を作って、ドバイでお金をどーんと集めて、何百兆円か、何千兆円か分かんないんですけど、そこでその金を使って世界中にK-1を広げていく。そしてその中の一番日本人が活躍できる、武尊君や(那須川)天心君や吉成(名高)君ぐらいの体格の、55kgぐらいの軽いクラスのワールドグランプリの大会は日本でやります。70kgぐらいだったらアラブ諸国、ライトヘビーはヨーロッパ、ヘビー級はアメリカでやりましょうとか、そういう風に変わってくるんじゃないか。ヘビー級で日本人の強い選手っていうのは難しい。昔は佐竹(雅昭)君とか武蔵君とか、80kgぐらいしかないのに無理やり食べさせて100kgぐらいにしていました。彼らは本当最大の功労者ですけど、やっぱりその中で活躍してきたのがナチュラル・ヘビー級のピーター(・アーツ)であり、アーネスト(・ホースト)であり、マーク・ハントたちですよね。やっぱりヘビー級でチャンピオンになるような人間たちがいる国、エリアでやったほうがスポンサーも集まるし、ペイパービューも集まるわけですよ。そういうことを踏まえて、そういう形でやるための、今年は戦略の一発目のスタートでしかないわけです。
だから、K-1がReBIRTHで動き出し、世界予選が始まりました。いよいよ世界中でK-1やっていいですよという形で矢吹オーナーがゴーサインを出した。矢吹オーナーの頭の中にはそういうことが既に入っていたと思うんですよ。矢吹オーナーは今までお金使いたかったんですけど、使えなかったんですよ。あの人は他にいっぱい事業をやってお金を持っているけど、上場会社ですから、K-1でお金を使うと『なんでK-1で使うの』と(株主から)言われる。だからK-1はK-1でお金を集めてK-1が使わなくちゃいけないのが矢吹オーナーの考え方なんですよ。日本人の中で日本の中で大会やって、今まで日本人を使って大会をやってきたけど、そんなにお金が集まるわけないじゃないですか。これからは世界に打って出て、お金を集めることができるんですよ。やっとその時期が来たんですよ。矢吹オーナーはそこまで待ってたんですよ。だから僕は辛抱強いし、あの人は本当に偉いなと。なおかつ彼は(空手道)拳道会でチャンピオンだし、すごい厳しい修行を倉本(成春)先生の下でしたりしてるしね。だから誰よりも武道のこともよくわかってるし。もっともっと矢吹オーナーが前に出てきた方がいいと矢吹オーナーに進言してるんですけど、そうすることによって、もっともっとK-1というのが広がってくると思います。
立ち技はチャンスなんですよ。総合はUFCがもう牛耳ってるじゃないですか。でも立ち技はまだ(グローバル企業が)無いんですよ。ONEのチャトリさんが頑張ろうとしてるんですけど、あのやり方では多分続かないと思いますよ、お金が。じゃあONEの名前を使って世界中で(大会が)できるか?できないです。だってONEは誰も知らないもん。K-1は(知名度があるので)できる。その戦略でK-1にやっていただきたいな、というのが、K-1側から見た僕の発想です。
Amazon、Apple、TOYOTA…メジャースポンサーがつく“人類共通の格闘技”をK-1は目指す
それとルール改正。(今のK-1ルールは)ちょっとつかんだら反則だってなってるけど、そうじゃないんですよね。ホールディングで頭を抱えたりすると技が出せないでしょ。でも(実戦なら)抱えたら肘打ちがあるでしょ。投げもあるじゃないですか。投げた相手は叩きたいですよね。叩いたら絞めたいですよね。当たり前ですよね。どこまでやるねんということですね。だから全部やっていいよっていうのがUFCじゃないですか。UFCを元に今の総合ルールがあるわけですよね。K-1は最初の打つ蹴るで止めたわけですよ。当初はワンキャッチワンアタックありだったんですけど、そのルールを悪用するファイターが出てくるわけですよ。(つかんで離して、攻撃し、またつかむジェスチャーをして)それだったら何でもありの総合が面白いのに決まってますよ。じゃあ立ち技どうするの?崩すのはありなんですよ。崩して蹴るのはいいんだけど、つかむのはダメなんですよ。つかんだら止まるじゃないですか。何回も止まってたら、高いチケットを買って来たお客さんは、僕らは何しに来たの?ってなっちゃうでしょ。(※上写真は蹴り足をすくってからの攻撃を実演する石井氏と、受け役を務めた宮田充Krushプロデューサー)
ONEは(ムエタイルールだと)肘打ちありですけど(首相撲状態での)膝蹴りはあんまりさせてないでしょ。肘打ちとコレ(=オープンフィンガーグローブ)にしてより過激にしてるわけですよ。あれ、チャトリさんはよく考えてると思います。面白いですよね。でも薄いグローブにしたらパンチの攻防が続かないんですよね。やっぱり一発に(頼るように)なっちゃうんで。グローブがあればブロックできますし。ボクシングが面白いのはグローブだからですよ。だから、つけるギアと、ルールと、ファン目線の盛り上がりとを考えながら(最適解の)立ち技(ルール)を考えていかないと、総合には勝てないですよ。
じゃあ、K-1は総合みたいに何でもありにしたらいいんじゃないか?それじゃスポーツにならない。僕らが目指してるのはスポーツですよ。スポーツだとメジャースポンサーがつく。AmazonプレゼンツとかAppleプレゼンツとかTOYOTAプレゼンツとかそういうのを僕らは目指さなくちゃいけない。ただ単に興行のことを考えたらMMAの方が面白いけど、血が出たり、倒れたやつを叩いたりする競技に(例に挙げた)企業はスポンサーしませんよね。だからギリギリのところで僕らはやりながら、スポーツとして企業や社会と共存共栄しながら、この格闘技を伸ばしていきたい。だから(現在スローガンに掲げる)“人類共通の格闘技へ”なんですよ。そこを目指すのがK-1なんですよ。これが世界でやる意味なんですね。そこをファンの皆さんには分かっていただきたい。K-1をやっている選手たちは、そこに誇りを持ってほしい。これから海外でいくらでも試合出してあげるので、頑張ってほしいんですよ。という大きな流れでございまして、今年から始まるK-1を期待ください。
僕らもHERO’Sをやっていたから、総合はいつだってできるんですよ。でもやらないだけなんですよ。だって、バラちゃん(=榊原信行氏)がRIZINやってるから。だから、RIZINが本当に日本の総合格闘技として僕らは伸びてほしいし、応援してるんですよ。でも僕らはK-1をやる。だから僕ら(日本の格闘技界)は助け合って仲良く。K-1はサッカーやバスケットや野球に負けないような、みんなで(世界に)ネットワークを作りながら盛り上げていこうよっていうのが僕の考え方です。
マーケットを総合以上にしないと立ち技の未来はない
【以下、質疑応答】
(館長から見て、今のK-1はONEとかGLORYは相手にしていない?)全然相手にしてません。相手にすると逆に引きずられてしまうし損しかしない。K-1はK-1の世界を作っていって、ONEとかGLORYの選手もK-1に出たいなと思われる世界を作っていかないとダメですよね。K-1はK-1のやり方でやった方がいいと思います。だって、GLORYとかONEは、いい選手がいたらお金で引っ張ってきて、連れてきて上で戦わせるだけでしょ。それじゃあ選手はあっちこっち行ってお金吊り上げられて、またそういう選手が総合に行ってみたいなのを繰り返して、何も下を広げてないじゃないですか。そうじゃないんですよね。それをやっちゃいけないので、K-1はK-1の世界を作っていった方がいいんじゃないかなと思います。
(3月のK-1 WORLD MAX -70kg世界トーナメントの16人の枠の残り2枠の日本人選手について)それは僕が出て欲しいのは野杁(正明)君と海人君でしょう。ただ、海人君はシュートボクサーだから(ペットモラコットに前回と)同じルールでリベンジしたい気持ちがあって。僕もそれはわかるからね。男やなと思うし。聞いた話では野杁君は出ない感じです。あと2枠に日本人は1人は出て欲しいし、KrushやK-1に出ている若い人に出て欲しい。負けてもいいじゃないですか。野杁君をデッドラインギリギリまで待って、3月の代々木では7試合だけにして、残り1試合は次のKrushとかでもいい。海人や野杁に固執せず、若い人が出てきてもいいけど、出た方がいいよ、と。K-1でそういう(WORLD MAXの)舞台があるんだったら、そこで活躍してから飛び立った方が野杁の価値がもっと上がるのになと思いますけどね。
(3分3R制も見直したほうがいい?)トーナメントは3分3Rでいいと思いますけど、ワンマッチは3分3Rにする必要はないと思います。タイトルマッチとかは5Rとか7Rにした方がいいかなと思ったりします。トーナメントも僕ら1日で3試合、8人トーナメントをやっていましたけど、別に4人でのトーナメントでもありだと思います。だから最初の16名のトーナメントがあって、次8名のトーナメントがあって、決勝戦が4人で、みたいな。2人で決めるよりも、4人くらいの方が楽しくないですか。そういうのもありじゃないかなと思います。今の時代は。体の削り合いになってボロボロになっていくんで、選手生命のことも考えたら、そういうのも一考していくべきじゃないかなと思います。
(ここ数年、武尊選手がONEに行ったり、安保瑠輝也選手がMMAに行ったり、K-1を支えてきた選手が結構減っている感じがします。国内での市場の縮小を受けてのK-1の世界戦略なのか、それともタイミング的にたまたまなのか?)人気選手がどんどんいろんなところに出ていくというのはしょうがないですよね。やっぱりより上を目指すんでね。逆に言えば、K-1がそういう答えをもっと早く、3年前とか作ってあげておけば、選手はK-1で世界中で活躍できる、みたいなのがあったかもしれないわけじゃないですか。商標が日本に一つにまとまってなかったから、世界に出れなかった。国内でしかできなかった。その辺のタイミングのジレンマはありますよね。でも今、商標が日本に国内に一つにまとまって、世界中でK-1ができるわけですよ。ちょうど今、過渡期じゃないかな。だから武尊君のようなメインを張ってたような子たちがそっちの世界に行ってしまうようなK-1ではなくて、そういう子たちがもう一回K-1に戻ってきて戦いたいんだ、というようなK-1を作っていかなくちゃいけないんだと僕は思います。
それでもK-1甲子園も含めて、今のK-1でプロで登録した人たちは500人くらいいるわけですよね。高校生なんかでめちゃめちゃいい選手いっぱいいるから、そういう選手を第二、第三の武尊にしていくようなことを、僕たちは十分可能だと思ってます。ちょうどその今の狭間じゃないかな。もっと早くやりたかったね。武尊、戻ってこい、みたいな(笑)。武尊君はいいファイターだよ。でもそういう男を作ったK-1も素晴らしいね。
やっぱりファイターはより輝きたい、より目立ちたい。正直言ってプロは目立ってナンボですからね。2000人の後楽園とかでやるよりも、さいたまスーパーアリーナの何万人のところにみんな出たいわけですよ。もちろん(MMAに転向する選手は)より強いものを目指すっていうのもあるかもしれないけど、立ち技でやれるんだったら立ち技でやりたいと思っていると思いますよ。だから、立ち技のマーケットを総合に並ぶ、あるいはそれ以上にしていく作業がいるんですよ。それの今回の世界(戦略)なんですよ。これをやらないと立ち技の未来はないんですよ。
みんなある程度やったら(他競技に)行くよね。天心君もボクシング行ったわけでしょ。ボクシングで世界取ったら次は総合で、総合でも取ったら三冠王。人類未踏よ。つまり大谷(翔平)みたいになるわね。そこを彼は目指してるのかな?あるいはキックにまた戻ってきて、RISEをまた盛り上げてくれるのかもわからないし、僕はそっちを望んでるんですけど。
じゃあ、どうすればいいか。立ち技のマーケットを大きくして、最高のファイトマネーが出て、これだけスポンサーがついて、こんな舞台で世界何十億の人間が見るよ、みたいな。そういうマーケットをムエタイにしてもキックポクシングにしてもK-1にしても作っていかないと、立ち技の未来はないですよ。
で、僕らは何ができるかというと、どこで住み分け、線引きをするかです。サッカー、アメフト、ラグビーの中だったら、K-1はサッカーになるべきだと思う。サッカーは足しか使ってないけど、人気があるのは、世界のネットワークと、シンプルなルールで、誰が見ても分かりやすいから。オフサイドはちょっと分からへんねんけど(苦笑)。K-1は蹴る・殴るだけなんで、世界中の人が見ても分かりやすいルールなんだよ。しかも3分なんで、見やすいじゃないですか。そういう可能性は秘めてますよね。だからやっとこれから矢吹オーナーがやりたかったことができるんじゃないかな、と僕は思ってますし、K-1の選手の皆さん、これからですから楽しみにしててください。