リングスの新しい時代を告げる風、アメリカのＮＨＢ界の主役、rAwチームがいよいよ登場する。元ＵＦＣチャンピオン、ランディ・クートゥアである。先のバーリ・トゥード・ジャパン・オープンではエンセンに星を落としたものの、まだまだその威光は衰えていない。
　対するのは、ロシアのアブソリュート大会でモラエスに遅れを取って以来、バーリでの結果を執拗に追い求め続けているロシアのイリューヒン・ミーシャ。試合のルールは、勿論、No Holds Barrds（禁じ手なし）である。ただし、横浜アリーナで試合が膠着したことの反省からか、フリーズしてのリング中央での試合再開は、片方が攻勢であった時のみ（それ以外は通常のロープ・ブレイク）。そして、試合が膠着した時にも、ブレイクが宣せられることになった。
　ブレイクあり、ということでは、現行のＵＦＣルールに近づいたわけだ。

　試合はボクシング・スタイルで始まった。
　パンチでいけば、リーチの長いクートゥアが優位である。それを嫌ったか、ミーシャの方から、レスリングの猛者であるクートゥアにタックルを仕掛ける。組み止めるクートゥア。しかし、ミーシャは、そのままコーナーに押し込んでいく。これに対し、首をがぶり、押し返すクートゥア。押し合いになり、首がはずれ、離れる両者。しかし、またすぐ差しにいく。
　組み合った状態ではクートゥアが巧い。ボディ・パンチ、ショート・アッパー、そして膝蹴りと細かい打撃を出してミーシャに少しづつダメージを与えていく。そしてそのままロープに押し込む。思わずリングから落とされそうになるミーシャ。ここは、新ルールにより、そのままロープブレイクである。

　再び差し合い。クートゥアの接近戦での打撃攻撃が光る。
　そのまま押し込んでいって、コーナーに押しつけ、ついにテイクダウン。だが、ミーシャもただ押されていたわけではない。その時には既にクートゥアの左手首を取り、アームロックの体勢に入っている。
　フリーズ。リング中央へ移行。綺麗なアームロックの体勢に戻るミーシャ。再開直後、クートゥアがタップした。

（山名尚志）

取材：山名尚志　カメラ：井田英登
HTML編集：井原芳徳