山本とオーフレイムの体格はほぼ互角。長身のオーフレイムと並ぶと、山本が、リングス・ジャパン１の体格を誇っていることが思い出される。黒豹のように、狭い肩幅にしなやかな筋肉の盛り上がりを見せるオーフレイムに対し、山本は、先の横浜アリーナに比べて幾分すっきりした体付きで、まっすぐに立つ。

　試合開始と共に、いきなり掌底の連打で突っかかる山本。お得意の「しばきあい」という奴である。オーフレイムも、顔面がいきなりこわばり、即座に応戦。ロープに押し込んで、山本健一を破壊した凶器の膝を繰り出す。そのまま押し込んでテイクダウン。あっと言う間にバックを取り、スリーパー。
　一瞬のうちに山本からエスケープを奪取した。

　しかし、山本のしばきあいは止まらない。再び山本の掌底とオーフレイムの膝が交錯する。今度は山本が組み付き、そのままロープまで押し込んで、無理矢理テイクダウン。オーフレイムがハーフガードをとる。
　首に巻き付いたオーフレイムの腕を抜くと、そのまま足を押さえ、パスに入る。そしてマウント奪取。すかさず、ずりあがって、オーフレイムの腕と首を潰し、思いきり腕十字。
　ばきっという音が聞こえたかのような強引な極め。ワンテンポ遅れてあわててレフェリーがストップしたが、肘を痛めたオーフレイムは、しばらく立ち上がることもできなかった。

　試合後、マイクを取り、アピールする山本。「前田さんが引退されましたけど、自分は、妥協せずに、ばしばしのしばきあい、格闘技の原点を目指して、自分のスタイルでやっていきます」。先の横浜アリーナでの田村に引き続き、新生リングスを支えるのはオレだ、と強烈に主張した。

（山名尚志）

取材：山名尚志　カメラ：井田英登
HTML編集：井原芳徳