リングス・ジャパン二連敗の後に出てきたのは欠場開けの成瀬。体も絞れており、コンディションは良さそうである。相手は、リングス・オランダの新興勢力の一人、ポパイ（フェーンから改名）。成瀬も決して体の薄い方ではないが、それを霞ませる究極のマッチョ体型。しかもスキン・ヘッズ。先に対戦した金原も、そのパワーはいささか持て余し気味だった。

　試合は成瀬の掌底とローで始まった。いい音を立てて成瀬のローがポパイに当たる。だが、それを気にせず、前にでてくるポパイ。掌底を放つ。
　打撃からタックルのコンビネーションに出た成瀬だが、ポパイの圧力は生半可ではなく、受けとめ、逆に押し切って上にのってしまう。瞬間に飛んでくる強烈なボディ・パンチ。あわや、と思わせたが、これはロープ・ブレイク。
　再び打撃の交錯。巧く差し合いから胸を合わせていった成瀬。しかしそのまま投げにいくことができない。強烈なプレッシャーで逆にテイクダウンを食らう。マウントを取り、首を狙うポパイだが、ここは成瀬が巧く、タイミングを見計らい、見事にひっくり返す。ポパイのハーフガード。
　ここで凄かったのがポパイの下からのボディパンチだ。体勢的に不利なのにも関わらず、腕力だけで、ものすごいパンチを下から打ってくる。上からの成瀬のパンチよりも、明らかに、圧倒的に威力がある。「ポパイ」の面目躍如。会場にざわめきが走る。

　ポパイのハーフガードをパスしようとする成瀬。しがみつき阻止するポパイ。
　パスガードをフェイントに、今度は足を取りにいく成瀬。だが、ポパイがその動きに合わせて体を起こし、バックから成瀬の首を狙う。成瀬、体を返して上にもう一度載り、ポパイのインサイド・ガードに入る。
　今度は体を起こして見事にパスした成瀬。サイドからマウント、更にサイドに戻ってポパイの首を狙うが、極めきれず、逆に下からポパイが首をがぶってくる。それを抜いて再びサイド。そして、今度は、いきなり足に。
　今後は見事にアキレスを極めた。

（山名尚志）

取材：山名尚志　カメラ：井田英登
HTML編集：井原芳徳