99･8･1 PANCRASE 1999 BREAKTHROUGH TOUR GAORA NEO BLOOD TOURNAMENT DAY&NIGHT 後楽園ホール 第1試合　トーナメント準決勝10分1本勝負 × 　 渡辺大介 　 4分28秒 三角締め ○ 　 美濃輪育久 　 　美濃輪は序盤から積極的にタックルを狙う。テイクダウンできないと見るや、相手にガブられて潰される前に引いて、スタンドの攻防に戻す。恐ろしいほど徹底して、自分の戦いをする美濃輪。鈴木は『リングでは相手を動く人形と思え』と言う。確かに相手が誰かなど、今の美濃輪には関係ないように見える。相手が誰であっても、自分の戦いをする・・・しかし、そう思ったからと言ってその通り出来るほど、人間は便利ではない。それが今の美濃輪には出来ている。それが現在、同期同門の窪田とは大きく違うところだろう。ちなみにこの試合の相手も、同門の渡辺である。 　 ガードを取っては大きく距離を取り、上に乗っては自分の間合いを作る美濃輪。サイドポジションを取れば、掌底を落とす。腕関節を狙う。腕十字が失敗すれば、相手が上になる・・・そんなことは承知の上。『別にどうってことねぇよ。そんなときは相手の手が出て来るのを待って、また三角絞めでもやってやればいいんだ。そうそう、例えば俺の首に伸びてきたこの渡辺の手を、こうやって・・・』 　 ４分２８秒。渡辺はタップした。知らない技ではないはずだ。あの形から三角絞めがあることなど、ちょっと詳しければファンでさえ誰でも知っていることだ。特に美濃輪は下からの攻めが得意な選手。渡辺も注意はしていたはすがだ。それでも流されるように、渡辺は極められてしまった。タイミング？呼吸？パワー？テクニック？センス？そんなテレビゲームのパラメータのような単語では表現できない何か・・・それを美濃輪は、手中に収めようとしているのではないか。極意と言ったら、褒め過ぎだろう。まだまだ美濃輪はこれから大きくなって行くのだから。しかしそれに似たもの。おぼろげな極意でもいい。格闘の真理でもいい。美濃輪は何かを、つかみかけているに違いない。だから今年の美濃輪は強いのだ。 （誉田徹也） 　 昼の部 夜の部 ［1］渡辺vs井場→→ ［1］美濃輪vs渡辺 ［2］美濃輪vs高瀬→→ ［2］須藤vs豊永→→ ［3］窪田vs須藤→→ ［3］デルーシアvs山田→→ ［4］石井vs豊永→→ ［4］ダイクvs柳澤→→ ［5］伊藤vsライトル→→ ［5］渡辺vs須藤 ［6］近藤vsゴドシー→→ ［6］美濃輪vs豊永→→ ＜全試合結果に戻る＞ 　 取材：誉田徹也　カメラ：大場和正