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(レポ&写真) [修斗] 6.27 千葉:松根凱旋勝利。植松、門脇秒殺

パレストラ松戸 "Crymson presents プロフェッショナル修斗公式戦 SHOOTO JUNKIE is BACK !"
2004年6月27日(日) 千葉・BLUE FIELD
認定・インターナショナル修斗コミッション

  レポート&写真:小林秀貴  【→大会前のカード紹介記事】 【→掲示板スレッド】

メインイベント フェザー級 5分3R
○松根良太(パレストラ松戸/世界王者)
×ダニエル・リマ(オーストラリア/ファイブ・リングス・ドージョー)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)


 松根の試合は昨年8月の大石真丈とのタイトルマッチ以来、約10カ月半ぶり。フェザー級サバイバートーナメントとそれに続くタイトルマッチで酷使した体を十分に休め、体調を十分に整えてこの“凱旋試合”に臨んだ。
 対するダニエル・リマはブラジル出身の黒帯柔術家で、修斗の戦績こそ1戦1勝とまだ駆け出しだが、過去MMAで勝利を挙げた5勝のうちすべてが1Rでの一本かKOということもあり、極めの強い選手であることが予想された。
 しかし試合は、リマがいいところを全く出せないまま、松根が手堅く勝負を決めた。

 1R、松根はタックルで上のポジションを取ると、まずはインサイドガードでの押さえ込み。リマは下からガードの足を登らせ、三角絞めや腕十字を狙いつつ、下からコツコツパンチを打ち込む。ラウンド中盤まで、松根は様子見を決め込んでいたが、それまで相手のみぞおちに密着させていた頭を上げ、背すじを伸ばすと、いきなり強烈な右パンチをリマの顔面に叩き込んだ。さらに松根は視線を上にそらし、フェイントをかけての鉄槌。いつKOになってもおかしくないほど強烈な当たりだった。リマは終盤腕十字を狙ったが、これも松根に潰され、逆にパウンドのラッシュを食らってゴングを聞いた。

 2R、両者大振りなフックを打ち合う打撃戦から、リマが組み付き、差し合いの攻防へ。リマは松根の動きを封じるため、全体重をかけて松根をコーナーに押し付けようとしたものの、スタンドレスリング、特にバランスの良さでは松根の方が一枚上手。リマの投げを潰すと、またも上のポジションを取り、再び強烈なパウンド地獄に追い込んだ。リマは明らかにこれを嫌がり、下から足を松根の体との間に入れ、パンチが届かない距離を作ろうとする。だがこれも逆に松根に潰され、左の鉄槌4連発を食らいながらゴングを聞いた。

 3R、リマが組み付き、差し合いの攻防となる中で、またも松根がテイクダウン。リマも下からの関節を狙い、積極的に試合を進める。しかしリマがスイープを試みた隙に松根はハーフマウントの体勢に移行。さらに松根は起き上がって逃れようとしたリマのバックを取ってチョークスリーパーを極めかける。立ち上がって逃れたリマは、スタンドで松根に密着すると、引き込みと同時にスイープを狙う。しかし、これも松根に潰され不発。ラストはハーフマウントを取った松根がパウンドの連打。松根はKO勝利こそ逃したが、終始上のポジションを取り、また強烈なパウンドを落として大差の判定をものにした。

セミファイナル ライト級 5分3R
○植松直哉(K'zファクトリー/世界8位・環太平洋6位)
×門脇英基(WKシューターズスクール/世界10位・環太平洋8位)
1R 0'45" 一本 (フロントチョーク)


 ともに世界の一級品と言ってもおかしくない寝技の技術をもっている両者がついに激突。キャリア、戦績では植松が上とみられるが、門脇も、一昨年9月に植松が負けたバオ・クァーチから、昨年12月のNK大会で一本勝ちを収めるなど、勢いにおいては負けていない。今大会を主催したパレストラ松戸代表の鶴屋浩が「超後楽園級」と評するのもうなずける。植松の足関か、「門脇スペシャル」か―。しかし結果は、個性的な寝技合戦が繰り広げられる前に、植松の秒殺劇で幕を閉じた。
 植松は開始早々、鋭い右ローキックを放つ。ムエタイ仕込みの植松の打撃は見ているだけで強烈だ。門脇も植松の打撃を警戒したのか、直後にタックルからテイクダウン。しかし植松はそのタイミングに合わせ、フロントチョークに入っていた。門脇はしばらく我慢していたが、程なく意識を失い、鈴木レフェリーが試合をストップした。
 植松は前回3月の後楽園大会でジェンス・パルバーにKO負けを喫しており、出場停止期間である3カ月ぎりぎりの間をおいての今回の試合。リング上でのインタビューでも、「前回みっともない姿を見せてしまって、自分はリングに上がる資格があるのか悩みました」とこの間の辛い心情を打ち明けた。しかし今回の鮮やかな勝利で再び勢いを取り戻した格好だ。修斗最激戦区、ライト級に植松あり。復活ののろしを上げた一戦だった。

第6試合 ウェルター級 5分2R
×藤原正人(パレストラ東京)
○滝田J太郎(和術慧舟會)
判定0-3 (20-18/20-18/20-19)


 これまでデモリッションなどでは勝ち星を挙げている滝田だが、修斗では4戦4敗と、勝利からは見放されている。対戦相手は大会直前に大内敬から藤原正人へと変わったが、「Jボーイズ」を従えての超ハイテンションな入場パフォーマンスは健在。試合も滝田がよく動き、コンディションのよさを見せ付け、大差の判定をものにした。
 1R、最初のテイクダウンは藤原。滝田のガードの中で細かいパンチを打っていく藤原の攻めを見ると、このまま堅実な試合運びを続けるかのように思われた。しかし滝田も負けていない。下から藤原の顔面を蹴り上げ、足を取るなどして距離を取り、立ち上がる。それに呼応して藤原は滝田をフロントチョークに捕らえるが、滝田はすかさず首を抜いて上のポジションを奪い、パウンドを落としていった。
 2Rは開始早々に滝田がテイクダウンを奪い、インサイドガードからパウンドを数発落とすと、隙をみてパスガードに成功。さらに横四方から腹固めへ。藤原も回転して逃げようとするが。じわじわと極めを狙う滝田。藤原は終盤、腹固めを返して上に乗ったがここで試合終了のゴング。判定は大差で滝田。滝田はうれしい修斗初勝利を挙げた。

マモル、具志堅用高氏と対面!

 休憩時間中、今大会をリングサイドで観戦していた元WBA世界Jフライ級王者、具志堅用高氏の元に、修斗バンタム級王者・マモルが挨拶に訪れた。マモルはタイトルマッチの際、具志堅氏を真似たアフロヘアで登場し、試合後のインタビューでは「ちょっちゅねー」と具志堅氏のモノマネをするなど、その具志堅ファンっぷりは有名だ。マモルは具志堅氏と初対面で緊張した様子。「学生時代は何やってたの?」(具志堅氏)「柔道です」(マモル)などありきたりの会話で終わってしまったが、マモルは具志堅氏の名刺とサイン入りTシャツをもらってご満悦。「感無量です」と感想を述べた。

第5試合 ブラジリアン柔術 アダルト茶帯アブソリュート級 8分1本勝負
×安達明彦(パレストラ松戸)
○エドムンド・カバウカンチ・ジュニオール(K'zファクトリー)
レフェリー判定 (ポイント、アドバンテージ差なし)


 ともに100キロを超える巨漢同士の対戦。エキジビションではなく、柔術マッチの「公式戦」だ。青の道衣のカバウカンチに対して、安達はド派手な赤の道衣で登場した。試合は先に引き込んだカバウカンチをインサイドガードの安達が責めあぐね、レフェリー判定までもつれこんだ。
 序盤、組み手争いから引き込むカバウカンチ。まずはクローズドガードから試合を組み立てる。安達の右袖と右襟をキープしながら、時おり膝を立てる安達の足をすくおうとする。しかし安達のバランスも良い。正座するような形でこらえ、カバウカンチのスイープを許さない。終盤、カバウカンチが体を離して立ち上がったところで場外ブレイク。再開後は安達が必死に柔道仕込みの投げを試みるがテイクダウンは奪えず。両者ともにポイントもアドバンテージもなかったが、カバウカンチがガードから立ち上がったことが決め手となったのか、レフェリーを務めた和道稔之の判定でカバウカンチが勝利した。

第4試合 エキジビション 落合g克彦 引退試合 3分1R
−落合g克彦(パレストラ松戸)
−鶴屋 浩(パレストラ松戸)


 昨年11月、03年度新人王トーナメントのクルーザー級で準優勝に輝いた落合g克彦が戦績3戦にして引退することとなった。その相手を務めたのは師匠の鶴屋浩。修斗グローブとレガースをつけてのエキジビションマッチを行った。序盤の打撃の攻防では、鶴屋がエキジビションとは思えないほど強烈な左ミドルを放ち、場内がどよめく。落合は組み付くと鶴屋の背後に回り、ジャーマンのような形で投げを放つ。3回目の投げを打った後、上のポジションを取りそうになったところでゴング。

◆落合(リング上で)「人間生きていれば絶対辛いことがあります。そしてそれを支えてくれる人が絶対います。その人のためにも、そして自分のためにも、生きて、絶対に生き抜いて下さい!」
 
 

第3試合 新人王決定トーナメント フェザー級二回戦 5分2R
△鈴木 徹(和術慧舟會岩手支部)
△加藤“JET”シン(パレストラ札幌)
判定1-0 (20-19/19-19/19-19)
※判定で一票取った鈴木が準決勝に進出


 1Rは鈴木のラウンド。タックルからコーナーに押し込み、加藤をテイクダウン。鈴木は上から押さえ込んでコツコツ鉄槌を落とす。ブレイク後も組み付いて足をかけ、テイクダウン。残り1分には、マウントを取り、腕十字も仕掛けたがこれは極めきれなかった。
 2Rは加藤のラウンドか。鈴木のタックルをがぶって切ると、バックマウントを取りかける。鈴木が場外に落ちたためブレイクとなったが、再開後は差し合いからの「際」の攻防を制した加藤が上に。終盤は再び差し合い勝負から、今度は鈴木が足をかけてテイクダウンを奪ったところでゴング。試合に動きがあり、互いにいいところを出し合った上でのドローだった。


第2試合 ウェルター級 5分2R
×渡邊“MAD”康司(パレストラ松戸)
○南海王鉄信(PUREBRED大宮)※南信行から改名
判定0-3 (18-20/18-20/19-20)


 3度のタックルを成功させ、終始上のポジションをキープした南海王が判定勝利をもぎとった。1R、南海王は最初のタックルでテイクダウン。下になった渡邊は柔軟な体を生かしてラバーガードから三角絞め狙い。キャッチにこそならなかったが決定的な攻めと思われた。南海王は上のポジションにいるものの、渡邊の下からのパンチに苦戦する。
 そして勝負の2R。南海王が両足タックルを成功させると、相手の両足をかついでのパスガード、パウンドと攻めたてる。渡邊は下から南海王の体を浮かせてスイープしかけるが南海王はバランス良くこれを防ぐ。終盤には渡邊がヒールホールドも見せたが、その隙に上のポジションを取った南海王がパウンドを打ち続け、試合終了のゴングを迎えた。


第1試合 新人王決定トーナメント フライ級1回戦 5分2R
○佐藤逸人(パレストラ松戸)
×武田憲一(パレストラ札幌)
判定2-1 (20-19/20-19/19-20)


 序盤の差し合いの攻防は互角だったが、佐藤が投げを打ったところで逆に武田が上のポジションを奪取。パウンドを打ち込む。佐藤は下からパンチを打ちながら三角絞めの形を作るが失敗。スタンドから勝負が再開された。スタンドでは佐藤の右フックが冴えわたる。ダウンこそ奪えなかったが、武田を後方に吹っ飛ばす一幕もみられた。
 2Rは佐藤がパンチのフェイントから組み付き、両足タックルからテイクダウン。佐藤は武田の両足をかついでパスガードを狙ったが失敗。その後もハーフマウントに移行するなど、上のポジションをキープしていた佐藤だったが、終盤、武田にブリッジで返される。判定はスプリットデシジョンながら佐藤が制した。

Last Update : 06/29

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