Krush 3.25 後楽園ホール(レポ):森坂陸、玖村修平からダウン奪い判定勝ちしフェザー級王者に。篠塚辰樹&晃貴、復帰戦で1R KO勝ち。松岡力と近藤魁成も判定勝ち
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Krush.147
2023年3月25日(土)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
第10試合 メインイベント Krushフェザー級(57.5kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
×玖村修平(K-1ジム五反田チームキングス/王者、元NJKFバンタム級王者)※初防衛戦
○森坂 陸(エスジム/挑戦者)
判定0-3 (豊永28-30/箱崎28-30/西村28-29)
※森坂が王者に
玖村兄弟の兄・修平は昨年5月に新美貴士を破ってKrushフェザー級王者となり、今回初防衛戦を迎えた。8月のK-1福岡大会でのK-1フェザー級世界最強トーナメントでは準決勝でK-1同級王者の軍司泰斗にKO負けし、12月のK-1大阪大会でも斗麗に判定負けしており、連敗を脱出したい状況でもある。
森坂は21年のKrushフェザー級王座決定トーナメント決勝に進むも、延長Rに新美に敗れた。その後去年は4連勝で、9月のK-1横浜大会では元Krushフェザー級王者の西京春馬に勝利し、12月のKrushでも稲垣澪を下し、実績が認められ王座戦にたどり着いた。
1R、開始すぐから森坂が手数多くスピードを出して攻め、左の前蹴り、左ボディを強打し先手を取る。修平もパンチを返すが後手な感がある。すると中盤、森坂が右のバックハンドブローをかすめるような形ながらも当てると、バランスを崩した修平に右と左のフックを当てダウンを奪う。梅木レフェリーはバックハンドの際に肘が当たったのではと判断し、インスタントリプレーを要請し、場内に3度映像が流れて確認した後、ダウンを認める。その後も森坂が積極的な攻めで主導権を維持する。記者採点は8-10で森坂。
2R、序盤のバッティングで修平はダメージを負い、少し休んで再開。森坂が積極的に攻めるが、1Rよりはスピード、パワーが落ち、修平のパンチも当たり出す。最後は若干だが修平が押し気味に。記者採点はイーブンだが修平につく可能性はある。
3R、お互い消耗が激しいが、逆転を狙う修平がやや積極的に攻める展開に。空振りやガードの上からの攻撃も多いが、右フックを随所で当て、森坂を追い詰める。だが森坂も両目の周りを腫らしながらも随所でパンチを返し、決定打は許さず。最後、バックハンドの応酬となり、森坂が当てて修平を下がらせて終える。記者採点は修平。合計28-29で森坂。ジャッジ3者も森坂を支持し、森坂が判定勝ちを告げられると、涙を流して大喜びした。ベルトを巻いてのマイクアピールでは、これまで支えてくれた両親とのリング上でのツーショットを希望したが、主催者から禁止され、リングを降りた後、リングサイドで観戦していた両親にベルトを見せ一緒に喜んだ。
第8代王者となった森坂はバックステージでのインタビューで「親孝行ができて良かったです。(修平の)パンチが硬かったですけど、想定内の動きでした。1Rで終わらせるつもりで行きました」「バックハンドでダウンは取ったんですけど、どう考えても肘は当たっていなくて、2~3分休憩になっちゃって、あれが無かったら脳が揺れている状態でもっと早く倒せたんでしょうけど、一発で倒せなかった俺の力不足ということで受け入れます」と試合を振り返り、「今回の喜びを誰に伝えたいか」と聞かれると「アンチ見たかこの野郎って感じですね」と笑顔で話した。今後については「これ(=Krushのベルト)を守り抜いて価値を高めることですね。勝って行って自然の流れでK-1のベルトを狙いたいです」とコメントした。
第9試合 セミファイナル ウェルター級(67.5kg) 3分3R(延長1R)
○松岡 力(K-1ジム五反田チームキングス/元王者)
×海斗(LEGEND)
判定3-0 (西村30-29/箱崎30-29/岡田30-28)
松岡は昨年2月に寧仁太・アリに敗れKrushウェルター級王座から陥落し、その試合での顎の骨折の影響で長期欠場し、今回が復帰戦となる。海斗はK-1グループで4連敗後、昨年8月のK-1福岡大会で幸輝にKO勝ちして以来の試合。
1R、サウスポーの海斗に対し、松岡がオーソドックスで構えて右のミドル、三日月を、海斗の左腕とボディに度々当てて主導権を握る。まだ海斗は耐えているが、返す攻撃が少ない。記者採点は松岡だがイーブンもありうるだろう。
2R、松岡はローの比重も高めつつ、右ミドルも当て続け主導権を維持する。海斗も左ミドルを強打する場面はあるがその後が続かず、終盤は防戦が続く。記者採点は松岡。
3R、松岡は変わらず右ミドルを当て続け優位。海斗も左ミドル、右バックハンドブローを当てるが、松岡はフェイントでごまかしつつ、自分の右ミドルやハイをすぐ返し、反撃を封じ終了する。記者採点はイーブン。合計30-28で松岡。ジャッジ3者も1~2点差で松岡を支持し、松岡の判定勝ちとなった。
第8試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○近藤魁成(TEAM 3K/K-1甲子園2018 2017 -65kg優勝)
×ヴィトー・トファネリ(ブラジル/ブラジリアンタイ/闘英館/FIGHT DRAGON -70kg王者)
判定3-0 (豊永30-29/梅木30-27/岡田30-28)
魁成は8月のK-1福岡大会で元Krushスーパー・ライト級王者の鈴木勇人に敗れて以来の試合。手堅い内容だが、しっかり勝利をもぎ取る。
1R、体格で勝る魁成が、距離を取りつつ右のローを度々ヒットし主導権。トファネリはまだ耐えるが、攻撃が返せず印象が悪い。記者採点は魁成。
2R、魁成は右のローを当てつつ、左ジャブもヒット。手数で差をつける。記者採点は魁成。
3R、トファネリもようやく手数を上げ、右フック、ローを増やすが、魁成は右ローを当て続け主導権を握らせない。だが最後はトファネリがパンチの連打で少し魁成をひるませて場内を沸かせる。記者採点はイーブン。合計30-28で魁成。ジャッジ3者も魁成を支持し、魁成の判定勝ちとなった。
第7試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○篠塚辰樹(MASTER BRIDGE SOUND)
×林 勇汰(FLYSKY GYM)
1R 1’49” KO (3ダウン:右フック)
篠塚は21年12月に新美貴士のKrushフェザー級王座に挑戦し敗れて以降、怪我が続き、約1年3カ月ぶりの復帰戦。セコンドには練習仲間の平本蓮、平本の所属する剛毅會空手の岩﨑達也宗師がつく。林勇汰は昨年12月のKrushで銀次に勝利して以来の試合。セコンドには兄の林健太がつく。
1R、開始すぐから勇汰が右のカーフキック、フックを交互に立て続けに当てて先手を取る。だが篠塚は耐えると、右ストレート一発でダウンを奪う。篠塚はさらに左フックでダウンを奪うと、勇汰はダメージが大きく、最後は篠塚が右フックで3ダウン目を奪いKO勝ちした。マイクを渡された篠塚は今後の目標等は語らず「今夜パーティーやるんで渋谷に来てください」とだけアピールした。
第6試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○晃貴(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/元Krushバンタム級王者)
×一航(新興ムエタイジム/Bigbangスーパーバンタム級王者、元WMC日本・WBCムエタイ日本・NJKFバンタム級王者)
1R 2’13” KO (右ストレート)
晃貴は約1年ぶりの試合。一航は昨年2月の第3代K-1スーパー・バンタム級王座決定トーナメントの1回戦で敗退したが、その後はBigbangで試合を重ね、9月にBigbangスーパー・バンタム級王座を獲得。K-1ルールへの適性を高めてKrushに初登場した。
1R、序盤から晃貴が圧力をかけ、左フックを着実にヒット。一航は晃貴のパワーとスピードに対応できていない様子。晃貴がさらに右のカーフを連打すると、一航は足が流れ、晃貴が前に詰めて左フックでダウンを奪う。その後も晃貴は右のパンチと右カーフを当てて一航を追い詰め、最後は右フックの2連打で一航をマットに沈めた。試合後はセコンドの武尊と抱き合って喜んだ。
第5試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○MOMOTARO(OGUNI-GYM/元WBCムエタイ・インターナショナル&日本・NJKFフェザー級王者)
×竹内将生(エイワスポーツジム/元BOM・Bigbangフェザー級王者、元MA日本スーパーバンタム級王者、元WPMF日本&J-NETWORKバンタム級王者)
4R 判定2-1 (豊永9-10/岡田10-9/島村10-9)
3R 判定0-0 (豊永30-30/岡田30-30/島村30-30)
MOMOTAROはK-1グループ参戦後、スーパー・フェザー級で戦っていたが、本来のフェザー級に下げての試合。1R、MOMOTAROはサウスポーからの左ミドル、竹内はオーソドックスからの左右のミドル、距離を詰めての右フックを当てるが、お互い決定打にはつなげられない。
2Rもしばらく五分だったが、MOMOTAROの左の蹴りのタイミングで、竹内が左フックをヒット。その後も左フック、右ミドルを随所で的確に当てる。MOMOTAROはヒットが減ってしまう。記者採点は僅差だが竹内。
3R、MOMOTAROが左ミドル、右ロー、竹内が右ミドル、膝、フックを当てるが、どちらも決定打につなげられず手数差も乏しい。記者採点はイーブン。合計29-30で竹内。ジャッジ3者とも30-30で延長へ。
延長R、MOMOTAROは積極的に攻め、左ミドル、膝をヒット。中盤からじわじわ攻撃数を増やし、竹内は攻撃が返せなくなる。記者採点はMOMOTARO。ジャッジは意外にも割れたが、2者が順当にMOMOTAROを支持し、MOMOTAROがかろうじて勝利をものにした。
第4試合 スーパー・ウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
×山崎陽一(KIKUCHI GYM/元Bigbangスーパーウェルター級王者)
○森田奈男樹(エイワスポーツジム/JFKO全日本フルコンタクト空手道選手権2017軽重量級(85kg)優勝)
判定0-3 (豊永28-30/山根28-30/梅木29-30)
山崎は昨年3月に約4年ぶりに復帰し、初戦は敗れたが、10月の2戦目ではアラン・ソアレスにKO勝ちした。森田はフルコンタクト空手仕込みの多彩な蹴り技を武器に、プロデビューから4連勝、3連続KO勝ちと快進撃を続けた後、昨年12月のK-1大阪大会でのジョムトーンの相手に抜てきされたがKO負けした。
1R、森田がプレッシャーをかけ続け、左主体で右も絡めつつ、ミドル、ローを度々ヒットし主導権。右のバックスピン効くも絡める。山崎は右ミドルやパンチを返すが手数が伸びない。記者採点は森田。
2R、森田が変わらず圧をかけ、左インローを効かせ、右ローも絡め、左ボディも再三当て山崎を追い詰める。記者採点は森田。
3R、やや動きのキレの落ちた森田に対し、山崎が右フックのヒットを増やし少し挽回するが、最後は森田が左ストレートを当て、反撃を封じ終了する。記者採点はイーブン。合計28-30で森田。ジャッジ3者も1~2点差で森田を支持し、森田が判定勝ちした。
第3試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○近藤拳成(TEAM 3K/K-1甲子園2016 -65kg優勝)
×斉藤雄太(K-1ジム五反田チームキングス)
1R 1’05” KO (右ストレート)
※近藤が前日公式計量で1.3kgオーバーし1R減点2、ファイトマネー30%減額。近藤10オンス、斉藤8オンスのグローブハンデ
近藤兄弟の兄、拳成は21年2月以来、斉藤は昨年2月以来の試合。拳成は上記の通り計量オーバーしてしまうが、試合はレベルの差を見せつける内容に。1R、序盤からの打ち合いで、拳成が左フックを的確に当て続け、左フックでダウンを奪う。拳成はパンチを当て続け、右ストレートで2度目のダウンを奪う。斉藤は立とうとしたがフラつき、芹沢レフェリーがストップした。
第2試合 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×齋藤祐斗(JK TRIBE)
○髙橋直輝(若獅子会館/元ACCELバンタム級王者)
3R 1’24” KO (右フック)
1R、髙橋がパンチ、蹴りとも的確に当て、終盤には連打で追い詰めるが、防御が甘くなり、齋藤のカウンターの右フックをもらってひるむ場面も。2Rも髙橋は打ち合いでもらう場面もあるが、中盤に左フックでダウンを奪う。3Rも打ち合いで髙橋は被弾してしまい鼻血を出すが、右フックでダウンを奪う。齋藤は立つがフラついたため三浦レフェリーがストップした。
第1試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○岩﨑悠斗(ARROWS GYM/元J-NETWORKスーパーライト級王者)
×三宅祐弥(Hacker GYM)
判定3-0 (山根29-28/豊永29-28/西村29-28)
1R、岩﨑がプレッシャーをかけ、右ストレート、左ジャブ、ミドルを的確に当てるが、終盤に三宅も右アッパーで岩﨑をのけぞらせて印象を残す。
2R、岩﨑が左ハイ、ジャブ、ボディ、右ストレート等を当て続け主導権。三宅は右まぶたをカットしドクターチェックが入るが、再開後も左ジャブをもらうと出血が続く。
3R、岩﨑が攻勢を維持し、中盤に右膝を当てて倒す。だが膝蹴りの直前につかんでいたとして、インスタントリプレーの結果、ダウンとはならない。岩﨑は減点1となってしまう。その後も岩﨑が攻め続け試合終了。岩﨑の判定勝ちとなった。記者採点は3Rとも岩﨑が取り29-27。
プレリミナリーファイト第2試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R
×河北光生(K-1ジム五反田チームキングス)
○大利賢佑(team ALL-WIN)
1R 1’56” KO (左フック)
プレリミナリーファイト第1試合 ミドル級(75kg) 3分3R
○大石昌輝(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/KWF世界カラテGP2020男子-85kg級優勝、JKJO全日本空手道選手権2015 2016 2017重量級優勝)※星和会館から所属変更
×森 拓馬(team ALL-WIN)
1R 0’52” KO (右ストレート)