INNOVATION 5.19 新宿フェイス:与座優貴、プロ2戦目は1R KO勝ち。番長兇侍がウェルター級王者に。
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JAPAN KICKBOXING INNOVATION「Join Forces-13」
2019年5月19日(日)新宿フェイス
記事提供:INNOVATION
第11試合 INNOVATIONウェルター級(66.68kg)王座決定戦 3分5回戦(延長1回戦)
×太聖(岡山ジム/同級1位/66.6kg)
○番長 兇侍(Hardworker/同級2位/66.66kg)
判定0-2(49-49、48-49、48-49)
番長をINNOVATIONウェルター級王者に認定
昨年9月8日に対戦した際は、スプリットデシジョン(判定2-1)で太聖が勝利したが、まったく互角の印象があった両者。
前王者、門田哲博の引退によるタイトル返上により、王座決定戦による再戦と相成った。
第1ラウンド。
細かくローキックを飛ばす太聖のポイントを攻勢を番長が重い右ローキック一発で打ち消すような走り出し。
一見、空振りすると体が反転するほどワイルドに大降りする太誠の左右フックは、
熟知している番長の動きに合わせてこその思い切りの良さに見える。
これをコンビネーションで振るい、肘打ちも織り交ぜる手数豊富な太聖。
しかし、パンチもキックも重厚な番長は、ガードの上を叩いても炸裂音が凄まじく
「機動力と手数の太聖×一発強打の番長」の構図が浮き彫りとなる。
ラウンド終了間際、番町の右ローキックがファウルカップを痛打し、コーナーに戻る太聖は、苦悶の表情を浮かべる。
第2ラウンド。
開始早々にまたも太聖の股間に右ローキックが直撃し、ファウルカップを叩く乾いた高音が響く。
悶絶の太聖に回復時間が与えられ、番長にはイエローカードが提示された。
初回同様の手数と強打の攻防が続くが、首相撲になるとペースを掴むのは太聖。
少しでもポイントを加算すべくの狙いか細かく膝を上げて蹴りを放つ。
右後ろ回し蹴りから左フック、右バックハンドブローと派手なコンビネーションを叩きつける中、
固いガードの番長は揺るぎないようでいながらタイミングのいいパンチにやや膝が沈んだようにも見える。
しかし、その直後に強烈な右ローキックと左右のフックを叩きつけると一気にダメージポイントを稼いでいるようでもある。
判定をつけるとしてどこに重きを置くかにより支持コーナーが真っ二つになりそうな互角具合。
派手なバックスピンキックから連想したか、この技で伝説的なKOを連発しINNOVATIONエースだった名王者の名を挙げ
「加藤竜二みたいだ!」と叫ぶセコンドのユーモラスさに笑いも加味された。
第3ラウンド。
サークリングを主にしたフットワークが軽い太聖は機動力に優れるが、
その動きに合わせた番長のフルスイングも段々と的を得てきている場面が目立つ。
依然として同じ展開がハイスパートに続く。
このラウンド終了時に中間発表された採点は、ジャッジに2名が29-29、1名が30-29で番長を支持。
第4ラウンド。
相当な消耗戦も後半に入りながら、なりふり構わず手数を加速させる太聖の
「勝ちたい」気持が具現化されているが、それに応える番長の拳は、左ジャブでさえ重く、
それまで積み上げた太聖の攻勢を一発で上回って見せる印象。
左右フックとアッパーを大胆に叩きつける太聖に、終り際、右ローを強振する番長。
それを喰らいながらもパンチのコンビネーションで前に出る太聖といった熱戦模様が繰り広げられる。
第5ラウンド。
両者相当なスタミナを消費しながら勝負が傾く場面が見られない大接戦。
太聖は、右バックハンドブローなど細かな連打に大技を盛り込むがクリーンヒットまでには至らない。
同じく番長も直撃すれば昏倒するであろう炸裂音の凄まじいパンチを振り抜くが、
ジャストミートはさせない太聖の集中力も大したもの。
それらのいくつかは効いているのかもしれないが、その素振りは必死に隠されている気がする。
初回から最終回まで繰り広げられたシーソーゲームがゴングで中断され判定が採択される。
ルールによりドローの場合、マスト判定の延長ラウンドがあり、そうなる可能性が大に思えたが、なんと太聖は、コーナーで腕立て伏せのパフォーマンス。
採点は、マジョリティデシジョン(2-0)で番長が1ポイント差の支持を2名のジャッジより受けて、
長いキャリアで初のチャンピオンベルトをライバルである太聖に先んじて巻くこととなった。
新王者誕生の勝者マイクを持つ番長は、喜びや感謝を語るのではなく、
ネガティブにさえ受け取れる反省を不器用に繰り返すのみだった。
第10試合 ジム対抗戦 スーパーライト級(63.5kg) 3分3回戦 ※肘打ちなし
○与座 優貴(橋本道場/63.4kg)
×福井 達郎(Battle Nation/62.8kg)
TKO 1ラウンド 3分0秒 ※2度目のダウンの直後、裂傷もありドクターチェックを受けてレフェリーストップ
極真会館の2017年第6回全世界ウェイト制選手権軽量級優勝という圧倒的な実績を引っ提げてキックボクシングに転向し、
フルコンタクト空手道場の名門からキックボクシング界不動のブランドにまで変遷した橋本道場に入門した与座は、
ここ最近で図抜けた注目度を持つダイヤモンドホープ。
今年3月31日のプロデビューもTRIBELATE王者の肩書を持つボクシングキャリアも豊富な相手に2ラウンドKOで圧勝。
果たしてプロ2戦目は、更にそのインパクトを上回るKO劇となった。
サウスポースタイルの与座が繰り出す左ミドルキックは、上体を傾けてあまり回転させずに放つ空手的「中段回し蹴り」の装いだが、
その重さと伝わる威力に観客から感嘆の声が上がり、上段蹴りの空振りには、更に大きな嘆息が聞かれる。
そんな蹴り技を重々警戒する福井は、スタンス幅を前後に大きく広げ、フットワーク激しくボクシングに重点を置く構え。
未知の与座への期待度で緊張感のある初回が終り、2ラウンド、様子見は済んだ具合で攻める攻勢は圧巻だった。
パンチを見切りそれ以上のスピードで叩きつける左ハイキックで軽やかにダウンを奪うと、
立ち上がった福井に右の膝を蹴り出すようなフェイントから今度は重厚な左ハイキックにつなげる二段蹴り。
弾けるように吹き飛んだ福井のダウンは深刻そうだが、なんとか立ち上がると眉間に大きな裂傷が刻まれており、
ドクターチェックが入ると瞬時に続行不可能とレフェリーが試合を止めた。
同日同会場で同門の15歳、アマ28冠王の花岡竜が“平成最後の怪物”とのキャッチに恥じない衝撃KOプロデビューを果たしたが、
この与座の底知れないインパクトには“令和最初の怪物”と銘打ちたくなるものがある。
第9試合 INNOVATIONスーパーバンタム級(55.34kg)次期挑戦者決定トーナメント準決勝戦 3分3回戦(延長1回戦)
○岩浪 悠弥(橋本道場/INNOVATIONバンタム級王者、元INNOVATIONフライ級王者/55.3kg)
×市村 大斗(多田ジム/INNOVATIONバンタム級7位/55.3kg)
判定3-0(30-26、30-27、30-26)
この数年、日本人相手に敗戦はおろか苦戦さえした印象のない岩浪は、軽量級日本最強説さえ唱えたくなる実力者。
前人未到のINNOVATION三階級制覇に向けて圧倒的優勝候補として同トーナメントにエントリー。
そんな下馬評を重々承知で勝負をかける市村だったが、初回に右ストレートの鮮やかなカウンターでダウンを奪われる。
岩浪は、吸い込まれるように左足が頭部を捕らえるハイキックを筆頭に終始全ラウンドで圧倒。
気を吐く市村の前進も涼しい顏でバックステップを踏みながらかわし切って鋭く攻撃を返す
岩浪のフィームー(ムエタイ用語:万能型テクニシャン)劇場の演出に思えてならなかった。
結果、岩浪が1度のダウンポイントがあるにせよ30-26をつけるジャッジがいるほどの圧勝をしてのけた。
【7月15日、岩浪×和斗でINNOVATION王座決定戦が決定】
現王者が岩浪と同門の安本晴翔であることから、岩浪勝利により安本がタイトルを返上。
したがって、今年7月15日(月祝)の当方主催による新宿FACE興行で、
この前の試合で同じく勝ちあがった和斗と岩浪によるINNOVATIONスーパーバンタム級次期挑戦者決定トーナメント決勝戦は、
INNOVATIONスーパーバンタム級王座決定戦へと移行されることとなった。
岩浪悠弥のコメント:(リングアナが「二階級制覇をかけて」と呼び込んだ間違いに対し)
実はフライ級でもチャンピオンをやらせていただいていたのですが、
INNOVATION三階級制覇は、まだ誰もやっていないので、僕が絶対に成し遂げて、
“INNOVATIONの絶対王者”になろうと思います!
和斗のコメント:勝てるように頑張ります!
第8試合 スーパーバンタム級(55.34kg)次期挑戦者決定トーナメント準決勝戦 3分3回戦(延長1回戦)
○和斗(井上道場/INNOVATIONバンタム級3位/55.1kg)
×ギャラクシー黒川(武勇会/INNOVATIONフェザー級10位/54.8kg)
判定3-0(30-29、30-29、30-29)
※上記の理由により、和斗がINNOVATIONスーパーバンタム級王座決定戦へ進出。
拮抗した攻防が続く中、2ラウンド、和斗の右バックハンドブローが黒川の裂傷を呼び込みドクターチェックが入り、
最終3ラウンドも右バックキックなどで攻勢を印象付けた和斗がユナニマスデシジョン(判定3-0)をものにした。
第7試合 日韓国際戦 契約53.5kg 3分3回戦 ※肘打ちなし
○白幡 裕星(橋本道場/53.2kg)
×ユン・ウジョ(韓国/釜山TAEHAN GYM/53.1kg)
判定3-0(30-28、30-29、30-28)
第6試合 日韓国際戦 契約52.5kg 3分3回戦 ※肘打ちなし
○花岡 竜(橋本道場/52.1kg)
×アン・ジョンホ(韓国/TEAM天下/MAXFC/52.15kg)
KO 2ラウンド 1分20秒 ※2度目のダウンでレフェリーストップ
第5試合 ジム対抗戦 フライ級(50.8kg) 3分3回戦
○清水 陽斗(マイウェイスピリッツ/50.8kg)
×立嶋 挑己(ASSHI-PROJECT/50.75kg)
TKO 2ラウンド 1分29秒 ※肘打ちによる裂傷によりレフェリーストップ
第4試合 ランキング査定マッチ 契約62kg 3分3回戦
×渡邉 雄太(マイウェイジム/61.35kg)
○丸山 智也(武勇会/61.4kg)
TKO 3ラウンド ※肘打ちによる裂傷によりレフェリーストップ
第3試合 ジム対抗戦 ウェルター級(66.68kg) 3分3回戦 ※肘打ちなし
○高木 覚清(岡山ジム/66.65kg)
×秋吉 雅喜(Reborn経堂/66.5kg)
判定(29-28、29-28、29-28)
第2試合 2019年新人王トーナメントウェルター級(66.68kg)決勝戦 3分3回戦(延長1回戦)
○勇慎(真弘館/66.45kg)
×マサキ(多田ジム/66.6kg)
判定3-0(29-28、29-28、29-27)
勇慎が2019年新人王トーナメントウェルター級王者に決定
第1試合 2019年新人王トーナメントフェザー級(57.15kg)準決勝戦 2分3回戦(延長1回)
×鳳雅(渡辺ジム/56.4kg)
○井上 竜太(Hardworker/56.85kg)
KO 2ラウンド 1分10秒 ※2ノックダウン
井上が2019年新人王トーナメントフェザー級決勝戦へ進出
INNOVATION「2018年度表彰発表」結果
JAPAN KICKBOXING INNOVATION所属で2018年度、特に活躍が著しい選手たちに
以下の通り当団体より表彰が行なわれ、この日の興行内で授与式が行われました。
MVP:
浅川 大立(ダイケンスリーツリージム/INNOVATIONフェザー級王者、岡山キックボクシング59kg賞金トーナメント優勝)、
鈴木 真彦(山口道場/WBCムエタイ日本バンタム級王者、元INNOVATIONバンタム級王者など5冠王)
※今年度は特別に2名選出。
殊勲賞:葵 拳士郎(マイウェイジム/WBCムエタイ日本スーパーフェザー級王者、元INNOVATIONスーパーフェザー級王者)
敢闘賞:翔・センチャイジム(センチャイムエタイジム/INNOVATIONライト級王者など5冠王)
技能賞:安本 晴翔(橋本道場/元INNOVATIONスーパーバンタム級王者など2冠王)
ベストバウト:浅川 大立(ダイケンスリーツリージム) ×高橋 聖人(真門ジム)2018年12月16日、岡山武道館、岡山キックボクシング59kg賞金トーナメント決勝戦
特別賞:岩浪 悠弥(橋本道場/INNOVATIONバンタム級王者、元INNOVATIONフライ級王者)
新人王戦:MASAKING(岡山ジム/INNOVATIONフライ級2018年新人王トーナメント優勝)
新鋭賞:白幡 裕星(橋本道場)