ムエタイ 2.3 ラジャダムナン:和田拓飛、試合直前の契約体重2.4kgアップに打ち勝つ
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
神楽坂 江戸川橋 クラミツムエタイジム
立ち技最強、ムエタイを究める!16周年、選手コース開設。ジュニア、女子クラスも。今ならスタート月会費0円!
スック・ワンギントン
2019年2月3日(日)タイ・バンコク・ラジャダムナンスタジアム
Photo & Text by Hiroshi Soda(記事提供:早田寛 シンラパムエタイ)
第1試合 110ポンド契約 3分5R
○タクト・ウォーワンチャイ[和田拓飛](萬田道場)
×チャイモンコン・ヌイシームムアン(タイ)
判定
和田拓飛がウォーワンチャイプロモーションより、タイ・ラジャダムナンスタジアム・スックワンギントンに参戦した。和田は今回がタイでの14戦目(過去:5勝8敗)となる。
本来この試合は、和田のベスト体重47.6kg(105P)の契約試合として行われるはずだったが、タイに到着した試合2日前になり、対戦相手が失踪したことを知らされる。毎日ムエタイ興行が行われるタイで、対戦相手の変更はよくあることだが、今回は対戦相手が契約体重(47.6kg)に落とせないので、それでいきなり失踪してしまったということだ。あまりにも急だったため、代替えで用意された選手は、なんと50kg(110P)のチャイモンコンだった。
これまで、契約体重の47.6kgに体重を落とすために、毎日10ラウンド以上のミット練習や厚着をし夜中まで走りこんできた和田は、やり切れない気持ちもあっただろうが、体重を50kgに増やすために、さっそく食べ物を詰め込んだという。
対戦することとなったチャイモンコンはパーチンブリ県出身17歳。戦績38戦(30勝8敗)、ここ2年間は負けなしで、スックワンギントンの期待の選手だ。和田拓飛にとって、本来より2.4kgも大きな格上選手と闘わなければならないことは、これまでにない試練的な試合といえた。
同行した萬田会長は「越えられない試練はやってこない。拓飛だから今回の様な試練が舞い込んできたんだ。これを乗り越えられたとき、拓飛はさらに大きくなっているはず。そのための過程に過ぎない」と和田を激励し、新たな対戦相手チャイモンコンに挑むことにした。
試合は初回、互いに中間距離での蹴りあいからはじまった。和田はローを軸にチャイモンコンを攻めた。チャイモンコンはミドルキック主体で様子をうかがう程度だが、さすが、ここ2年は負けなしということでスピードがありバランス感も抜群だった。
2ラウンド、初回で探り合いが終わったかのように、、開始ゴングから激しいパンチの打ち合いに。ムエタイでは試合序盤はゆっくりなペースの試合が多いが、和田が日本人であるからか、チャイモンコンは倒しに来るような勢いで和田に襲い掛かる。だが和田もクロスカウンターで右ストレートを当てローを返すなど、チャイモンコンの打撃につかまることなく多くのパンチをヒットさせる。このラウンドでどちらが倒れてもおかしくないような状況だ。ラウンド終了時には場内は大喝采に包まれる。
3ラウンド、チャイモンコンは打ち合いでは和田に勝てないことを悟ったのか、次は首相撲の距離に詰めてきた。組んで和田に膝を見舞うが、だが組むまでの間に和田のボディーブローやローキックを多く食らった。チャイモンコンは和田のローキックはローブローだとレフリーにアピール。だが実際にはローブローには当たっていないことは明白であり、レフリーはこれを無視し試合を続行。和田のローキックが効いてきた証拠だ。和田は右ストレートと左ボディーフックを軸に前に出る。チャイモンコンは腹が効いてきたか、和田がボディーフックを決めると一瞬苦し紛れな表情を見せた。
4ラウンド、チャイモンコンは下がりながらミドルキックを繰り出すも、和田はお構いなしに前進。蹴りに合わせた伸びのある右ストレートがチャイモンコンの顔面に数度ヒットし、その度に会場に奇声が沸く。
最終ラウンド、この時点で和田優勢(場内掛け率2:1)だったが、チャイモンコンは諦めず一発逆転を狙った大きなパンチで距離を詰めるが、逆に再度和田の伸びる右ストレートがチャイモンコンの顔面をとらえた。このままいけば、和田の判定勝利は確実だった。チャイモンコンは苦し紛れに組んでくるが、和田はうまく試合を捌き、再びパンチやローミドルキックで試合の流れを支配した。終了ゴングが鳴り、場内からは惜しみなく拍手が沸く。
ジャッジは和田を勝者とした。和田は当初より2.4kgも重い契約体重で闘い、さらには格上選手を相手に判定勝ちをおさめることができた。ムエタイで判定勝ちするということは、試合内容の経過全てで相手選手に勝っていなければならないということで相当難しいことだ。今回、初回から一貫してローキックとボディーを軸に攻め、それが後半になって生きてきた。本来より2.4kgも重い相手で、一時は試合から逃げたくもなったかもしれないが、落ち着いて試合に臨めたことで、勝利を得た事以上に和田自身の大きな経験値となったはずだ。
試合後、萬田会長は「拓飛はこれまでのタイの試合では、毎回、強い相手と闘いすぎた。だけど必ず今後に生きてくるはず。今回も試合前の変更や、普通ではなかなか体験できない困難な状況の中、立派に勝つことができた」と語った。
勝利した和田拓飛より勝利の声が届いている。「応援してくれた全ての皆様、どうもありがとうございました。まだ課題だらけで直すところが沢山ありますが、日本に帰ってしっかりと取り組んでいきます。次戦は4月21日(大和第17章:福岡赤村健康増進センター)です。今後とも応援をよろしくお願いします。」