空道 11.3 代々木第二体育館(レポ):体重73kgの20歳・中上悠大朗、昨年覇者・西尾勇輝を決勝で下し初優勝。目黒雄太は準決勝で西尾にKO負け
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全日本空道連盟「2024全日本空道無差別選手権大会」
2024年11月3日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館
レポート提供:編集スタジオとのさまがえる 写真提供:牧野壮樹 はいチーズ!
道着と顔面防具を着用のうえで、頭突きや肘打ち、道着を掴んでの打撃・投げ・寝技によって争う“着衣総合格闘技”である空道(くうどう)。
昨年2023年は、半年前の2023世界選手権-270クラスベスト4の西尾勇輝が初優勝を果たしたが、最軽量級-230クラス8連覇(当時7連覇)の目黒雄太との準々決勝での勝利は、牛若丸の如き華麗なヒットアンドアウェイで西尾を脅かした目黒が反則を犯したことによるものだった。観衆から「あ~ぁ」と溜息が漏れたその一戦の決着をつけ、頂点に立つのは西尾か? 目黒か? ……大会は衝撃のノックアウトと意外な結末が連続する、ジェットコースターのような終着となった。
男子
決勝戦
178センチ・90キロ・31歳の西尾勇輝(白・大道塾大阪南支部)と、172センチ・73キロ・20歳の中上悠大朗(大道塾総本部)の対戦。身長差6センチ、体重差17キロ。準決勝で芸術的なKOを決め勢いづく西尾と、茶帯を締める中上とのマッチアップは、西尾の連覇により大会が締めくくられる「絵」を予期させるものであったが……。
時折ツーステップを交える日本拳法仕込みのワンツーと強烈な右下段蹴りで相手にプレッシャーを掛け、右ハイキックを狙う西尾に対し、中上は絶妙の見切りでスイスイとヘッドスリップ。延長戦では、小外刈からパスガードし、マウント。パンチ連打のジェスチャーで効果ポイントを奪い、旗判定5-0で勝利を決めた。
中上は20歳とはいえ、空道歴は14年。高校卒業まで大道塾小樽支部に在籍し、現在は同総本部内弟子。昨年の全日本無差別ベスト8が唯一の大会入賞歴であるが、そのベスト8は試合中の肩の脱臼により試合継続できない状況になったゆえの結果であり、その後、治療~リハビリのために戦線を離れていたこともあって、復帰し全力を開放したら優勝戦線に割って入るのではないか……と噂される逸材ではあった。空道界に新たなエース候補が現れた。
準決勝第1試合
西尾と目黒雄太(白・大道塾長岡支部)の対戦は、行われる時点では、事実上の今大会の決勝戦という空気を纏っていた。効果ポイントが与えられてもおかしくないと思われるワンツーをヒットさせ、得意の右下段蹴り。序盤から好調の西尾に対し、目黒はワンツーに対し、前蹴りでストッピング。ジャブ的な下段蹴りを放ち、カウンターのチャンスを窺う。しばし静寂の後、両者が同時に右上段回し蹴りを放ち、西尾の背足が一瞬先にヒット。
目黒が後頭部からマットに崩れ落ち、西尾の本戦一本勝ち。西尾の右の蹴りといえば、下段の強烈さが印象的だっただけに、目黒はその下段に合わせてハイキックをヒットさせる狙いをもっていたのかもしれない(試合後、目黒は病院に直行したため確認取れず)。どよめく場内。西尾は、前年のいわくつきの一戦に完全決着をつけ、昨年の戴冠が相応しいものであったことをあらためて立証してみせた。
準決勝第2試合
中上vs服部晶洸(白、大道塾横浜北支部)。服部は寝技の展開で得意のガードからのフックスイープを決め掛けるが、中上はフィジカルの強さをみせ、バランスキープ。打撃でも組み技でも、互いに決定打を与えない拮抗した展開により、両者ポイントなく、自動延長の末、旗判定4-0で中上が辛勝。
準々決勝 第1試合
中上vs林洸聖(青、大道塾佐久支部)。今春、階級別の全日本選手権-260クラス王者となった林と中上は同学年。写真のジャンプしての頭突きなど、様々な展開で攻める中上に対し、林は重いパンチでの一点突破を狙う。本戦は両者ポイントがなく、自動延長の終了間際に左フックで効果1つを奪った中上が旗判定5-0勝利。だが大会終了後、中上が一番印象に残っている試合として挙げ「勝ってない。リベンジしたい」と言うほどの接戦であった。
準々決勝 第2試合
服部vs佐々木虎徹(青、大道塾総本部)。関東地区予選を制した佐々木は、小学生時代から大道塾吉祥寺支部で打撃を磨き、高校卒業後、大道塾総本部内弟子となった20歳。オールラウンダーの服部は、試合開始早々、佐々木の打撃をかいくぐりテイクダウンを奪うと、流れるような動きでニーインベリーからファーサイドの腕に腕十字を極めた。2018年世界選手権-240クラスベスト4、10月に旧姓・内藤雅子(2023世界選手権220+クラス優勝)との間に第1子が生まれたばかりのベテランが、経験値の違いをみせつけた。
準々決勝 第3試合
西尾vs佐々木龍希(白、大道塾総本部)。39度を超える発熱がありながら2試合を勝ち抜き、ベスト8に辿り着いた佐々木だったが、ここでドクターストップ。昨年の決勝戦の再戦はならなかった。
準々決勝 第4試合
目黒vs谷井翔太(青、大道塾横須賀支部)。サウスポーの谷井に対し、目黒は右上段回し蹴りと右ストレートを連発する。谷井はかつて、目黒のこの右上段回し蹴りでKOされたことがあるが、臆することなく前へ出て、胸を合わせてのテイクダウンを狙う。一進一退のまま本戦3分、延長3分が終わり、旗判定5-0で目黒が勝利した。この試合で右上段回し蹴りが勝利を印象づけるのに功を奏したことが、続く準決勝で目黒が西尾の顔面を右上段回しで狙う要因となったのかもしれない……。
女子
決勝戦
小野寺玲奈(青・大道塾帯広支部)vs宮梨江(大道塾総本部)。大倉萌が肺炎のため欠場し、ライバル不在の一人旅となった小野寺だが、高い集中力を維持し、襟を掴んでサイドに回っての上段回し蹴り、頭突き、ニーインベリーからのキメなど、空道ならではのテクニックをみせつけ、本戦でマウントパンチによる効果、自動延長でニーインからのキメで効果を奪い、完勝。
大会結果
男子
優勝:中上 悠大朗(大道塾 総本部)
準優勝:西尾 勇輝(大道塾 大阪南支部)
3位:服部 晶洸 (大道塾 横浜北支部)
4位:目黒 雄太 (大道塾 長岡支部)
5位:佐々木 龍希(大道塾 総本部)
6位:谷井 翔太(大道塾 横須賀支部)
7位:林 洸聖 (大道塾 佐久支部)
8位:佐々木 虎徹(大道塾 総本部)
女子
優勝:小野寺 玲奈(大道塾 帯広支部)
準優勝:宮 梨江(大道塾 総本部)