BOUT 6.23 札幌コンカリーニョ(レポ):地元GRABS所属のファーパヤップ、森本一陽に3R KO勝ち。北濱精悦、7年ぶりBOUT出場し2R KO勝ち
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ノースエリア格闘技イベント BOUT 50
2024年6月23日(日)北海道札幌市・コンカリーニョ
記事提供:BOUT実行委員会(文・布施鋼治 撮影・長尾迪)
6月23日、北海道を拠点にコンスタントに興行を打ち続けるノースエリア格闘技イベントBOUTが50回目の大会を開催した。場所はホーム会場として定番となりつつあるコンカリーニョ。超満員の観客で膨れ上がり、メインイベント、セミファイナルともKOで決着がついた記念大会の試合リポートをお届けする。
BOUTキックボクシングルール67㎏契約3分3ラウンド(肘・首相撲有効)
ファーパヤップ・GRABS(タイ)
森本一陽(NEXT LEVEL渋谷/J-NETWOKスーパーウェルター級チャンピオン・第2代Bigbangスーパーウェルター級チャンピオン)
勝者 ファーパヤップ KO 3ラウンド2分53秒
昨年3月にはBOUTで高木亮を1RKOで沈めたファーパヤップGRABSが1年3か月ぶりにBOUTのリングへ。過去にJ-NETWORKとBigbangのウェルター級王者になっている森本一陽を迎え撃った。現在森本は42歳ながら、今年4月にハンガリーにも遠征しているエネルギッシュなベテランだ。いつも通り、トップロープをピョンと飛び越えてリングインしてきた。
一方、ファーパヤップはGRABSの会員や関係者から多くの声援を受けながら入場した。ルールはヒジ、首相撲有効のBOUTキックボクシングルール。
森本が手始めにミドルキックを放ってくると、札幌在住のタイ人はタイミングのいい前蹴りを突き放す。続けて飛びヒザを見せたかと思えば、強烈な左ミドルで森本を早くもグラつかせる。追い打ちをかけるようにワンツーを中心とした連打を打つと、森本が背中を見せる場面も。
こうなったら、ファーパヤップのペース。さらに左ミドルを連打を叩き込み森本の足を止め、2分過ぎには左フックの連打で先制のダウンを奪った。なんとか立ち上がってきた森本に対して、ファーパヤップは左のテンカオ(カウンターのヒザ蹴り)を打ち込み後退させる。森本がKOされなかったのはラウンド終了のゴングに救われたからにほかならない。
2Rになっても、ファーパヤップは左ミドルを軸に時折左のタテヒジも狙うなど手数で森本を圧倒する。しかし、打たれ強さには定評のある森本は倒れない。逆にカウンターで反撃する場面もあったが、頑丈さにも限界があった。
3Rになるとダメージが蓄積してきたのだろう。フックをもらうと、再びダウンを喫する。さらにファーパヤップが追い打ちをかけると、森本にはもう立ち上がる気力も体力も残っていなかった。
3R2分54秒、ファーパヤップのKO勝ちだ。 試合後、マイクを握ったこのタイ人は流暢な日本語で「今日は皆さんありがとうございました」と締めくくった。普段は札幌にあるGRABSでトレーナーとして活動し、週末にはジムの会員が市内のタイ料理屋に連れていってもらうことを楽しみにしているというファーパヤップ。BOUTの門番となりつつあるGRABSのムードメーカーは、これからも北の都を拠点に活動していくつもりだ。
BOUTキックボクシングルール65kg契約3分3ラウンド
北濱精悦(Kickboxing Academy Sapporo)
松藤冬馬(パラエストラ札幌)
勝者 北濱 KO 2ラウンド1分53秒
北濱精悦は双極性障害を患いながら、「同じ病気や境遇の方の希望や一筋の光になりたい」と闘い続ける第2回極真連合杯世界選手権王者。BOUT公式戦には実に7年ぶりの登場となる。一方、青コーナーからの登場は松藤冬馬。札幌を拠点に活動し、今年2月にはMMAファイターとしてパンクラスでプロデビューを果たした札幌出身の有望株だ。キックボクシングは今回が初陣となる。
1R、北濱はガードを固めてロー。対する松藤も前蹴りでスリップダウンを奪うなど、一歩も引かない。序盤からシーソーゲームの様相を呈していたが、時間が経つうちに北濱は内と外にローを打ち分け、相手のガードが空いたところを見計らいハイを狙うなど、キャリアの差を活かし追い込んでいく。松藤はスリップダウンを喫する回数が目立ってきた。
続く2R、北濱は相手の右ストレートを避けながら反撃を機会をうかがう。そしてチャンスと見るや、左右のフックやヒザ蹴りで追い込む。そしてインローで松藤のバランスを崩し、とどめは右フック一閃。なんとか立ち上がってきた松藤だったが、レフェリーはダメージを考慮しすぐ試合を止めた。
2R1分53秒、北濱のTKO勝ちだ。「精悦、カッコいい」という声援を背に、北濱は「皆さん、愛しています。格闘技ができてよかった」と笑顔でマイクアピールした。
BOUTキックボクシングルール60㎏契約3分3ラウンド(首相撲有効)
松本 康希(GRABS/新極真会 第20回、21回全北海道大会 優勝)※デビュー戦
大河内 佑飛(RIKIX)
勝者 松本 判定3-0
GRABS期待の新人がプロデビューを果たしたその名は松本康希。函館出身で専門学校入学のため札幌へ。そこでキック九冠王のTOMONORIが代表を務めるGRABSに入門した20歳だ。対する大河内佑飛はRIKIX所属で今年5月にはKO勝ちを収めている25歳。すでに5戦のキャリアを誇る。ルールは首相撲有効のBOUTキックボクシングルールで行なわれた。
1R、松本は冷静に上下に打ち分けながらチャンスをうかがう。後手に回った大河内は右フックで反撃を試みる。このラウンドの筆者の採点は10-9で松本。
続く2R、大河内は自ら攻撃するようになるが、試合のペースを握っていたのは松本。カウンターのヒザ蹴りと左ストレートでジャッジに好印象を与え、フックでスリップダウンを奪う。
3R、松本はハイ、ミドル、そしてカウンターのヒザ蹴りでリズミカルに攻め込む。大河内は松本の右ハイをすくって倒す場面もあったが、劣勢は否めない。さらに左目尻もカット。うっすらと血を滲ませる。結局試合は判定へともつれ込んだが、松本が3-0でキャリアに勝る大河内を撃破した。北の大地からNJKFスーパーフェザー級戦線に割って入り込む存在になるか。
BOUTセレクションマッチ60㎏契約2分3ラウンド
上野優揮(エスジム)
野呂雅大(SEED Fighting club)
勝者 上野 判定3-0
上野優揮と野呂雅大は今年3月3日、BOUT49で組まれたセレクションマッチで激突。このときは一進一退の攻防の末ドローに終わっている。あれから3カ月、鉄は熱いうちに打てとばかりに早くも再戦が組まれた。
試合時間は2分3Rだけに、前戦同様、両者とも1Rからエンジン全開で打ち合う。そうした中、上野は左フックで先制のダウンを奪うと、超満員の観客席から大きなどよめきが起こった。
続く2Rも上野は攻勢に出たが、終盤になると攻め疲れたのか待つ展開が多くなる。このチャンスを野呂が逃すはずがない。3Rになると左ボディフックを足がかりにパンチの連打で反撃に出た。中盤以降、上野は守り中心の攻防を余儀なくされたが、ダウンを奪ったポイントは大きく、三者とも30-28でリマッチを制した。
BOUTセレクションマッチ65㎏契約2分3ラウンド
矢吹空也(ザワジム)
杉本祥(TARGET SHIBUYA)
勝者 杉本 KO 3ラウンド24秒
今年3月3日、札幌で開催されたRISE NOVAでは第1部でMVPを獲得したザワジム所属で本職は鍼灸師という矢吹空也がオープニングファイトに登場し、TARGET SHBUYAの杉本祥を迎え撃った。杉本は2022年7月18日開催のBOUT45で愛翔とオープンフィンガーグローブで拳を交わすなど、BOUTとは縁が深い。
地元の大声援を背に矢吹は1Rから前蹴りをとってのミドルや痛烈なローで試合のペースを握る。2Rになると、杉本は反撃を開始。矢吹をコーナーに詰めてのカウンターのヒザ蹴りをボティに決めスタミナを削っていく。しかし、矢吹はすぐ復調し、再び右のミドルやローを叩き込む。
続く3Rになっても矢吹は積極的に手数を増やしていくが、杉本の狙い済ましたような左フックがクリーンヒットすると、大木が根っこから切り落とされるようにダウンを喫し、そのまま試合を止められた。杉本がプロの厳しさを味合わせた一戦となった。
大会の合間に、6月29日(現地時間)イタリアの首都ローマで開催の『OKTAGON TSUNAMI』に出場するkickboxing Academy Sapporoの2選手がリングイン。それぞれ抱負を語った。
◆愛翔
今度の土曜日にイタリアでISKAのチャンピオンと闘ってきます。3月にBOUTで負けてから更に強くなっているので、しっかりチャンピオンをKOしてまた戻ってきます。応援をよろしくお願いします。
◆末永愛士
僕も愛翔選手と一緒にイタリアのローマで行なわれる大きな大会で闘ってきます。僕の相手はWKUという団体のチャンピオンベルトを2本も持っている強豪になる。簡単な相手ではないとは思いますが、しっかり倒しにいきます。