格闘技医学会、自宅でも強くなれるスポーツ医学を無料公開。「自粛トレ」動画コンテストも
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
格闘技医学会
現場で役立つ格闘技医学を研究/公開/実践中!
格闘技経験のある医療者、指導者、弁護士らによる「格闘技医学会」は、格闘技に技術向上にも役立つ医学講座のオンライン無料公開を同会のサイトでスタートした。代表で医師の二重作拓也氏は「新型コロナウイルスの影響により、各スポーツや格闘技、ジムでは活動や経営に大きな支障が出ています。その流れを受け、格闘技医学会では『オンラインによる医学講座の無料公開』を決定いたしました。公式ページにアクセスいただければ、格闘技医学がいつでもどこでも学べます。『外出自粛』と『3密(密集・密閉・密接)を避ける』が重要な時期は続くと思われますので、その間にスポーツ医学の知識とノウハウが未来に向けたレベルアップの小さな一助となれば幸いです」とコメント。二重作氏の著書などに掲載されていたノウハウが無料公開され、「知るだけで動きが大きく変わる体験ができますので、楽しんでいただければ幸いです」としている。
(以下は掲載済みの記事と、冒頭部分の引用です。写真や図表も豊富で、わかりやすい構成になっています)
◆格闘技の運動学 ~視機能と運動1 ゴールの瞬間移動とは?~
格闘技の動きにおいて、身体は一体どこから動くでしょうか?
パンチを出すとき、蹴りを出すとき、タックルに入るとき、いろんな部位が動きますが、最初に動くのはどこか、そこから格闘技の運動学をスタートしたいと思います。
例えばパンチを打つ際、視覚で情報を入力しなければ、対象に対して攻撃することができません。相手の動きを見るのも、距離をはかるのも、ガードの位置を把握するのも、実はこの視覚に頼っています。人間は80パーセントの情報をほぼ視覚に頼っていると言われており、眼球が動き、瞳孔が動き、視覚情報を入力して相手を脳で認知して初めて、効果的に蹴れる、打てる、投げられる。逆に目を完全につぶってしまった状態ですと相手がどこにいるか正確にわからないし、自分の行う運動を脳内で想起することができません。
◆格闘技の運動学 ~視機能と運動2 動く相手をどう捉える?~
次はこれを蹴りで実験してみましょう。
A:ミットの当たる表面に視点を固定して蹴るパターン。
B:ミットを蹴りこんだ先に視点を置いて蹴るパターン。
パンチと同様に、AとBを比較した場合、Bのほうが伝わる力が大きいことがわかると思います。またA→Bも実験してみましょう。人間の動きが視点に引っ張られる特性が強さにつながります。
◆格闘技の運動学 ~視機能と運動3 中心視、周辺視~
視覚情報を脳に伝え、運動のスタートとなる「眼」。眼の構造上、2つのシステムが機能しています。視線上とその周囲の狭いエリアを視るのを中心視(中心視で見える範囲を中心視野)、視線上とその周囲のエリアを外れた広い範囲を視るのを周辺視(周辺視で見える範囲を周辺視野)と呼びますが、それぞれに特色があります。
中心視は、色や形を識別するのが得意な部分であり、例えば相手の顔をマジマジと見つめる、虫眼鏡や顕微鏡を使って一点を凝視する、細かい手作業を行う際に対象を捉える、といった場合に威力を発揮します。中心視は、じっくり細かいものを視るのに適したシステムなのです。
これに対し、周辺視というのは対象物をしっかり見るのではなく、周りを全体的にぼやっと見て、動きや位置を識別するのに適したシステムです。星空全体を眺めたり、自然景色をみたり、電車が近づいてくるのを確認したり、という作業は周辺視の得意技。格闘技や武道においても、視野の外から飛び込んでくる相手の攻撃や、相手の素早い動きを捉えるには、周辺視が非常に適しています。
また、公式Youtube「Fightology Official」でも、二重作氏が実演で、一人でできる練習を公開。二重作氏のTwitterアカウント @takuyafutaesakuでは、「自粛トレ」動画コンテストがスタートし、多様な分野から投稿が届いている。二重作氏は、新型コロナウイルスの感染防止のための呼びかけや、医学的情報の発信も随時行っており、トレーニングをしない方も、錯綜する情報に振り回されないためにも、ぜひフォローをオススメしたい。
例えばパンチを打つとき、
どんなイメージで打ちますか?運動は「脳で想起されるイメージ」
を超えることはありません。逆に言えば、
「運動のイメージから変革する」
と大きく変わる。その検証映像です。おす! pic.twitter.com/qujFFDhrsR
— Dr.F@格闘技医学/Takki@プリンスの言葉 (@takuyafutaesaku) April 1, 2020
脳の前頭前野で想起される運動イメージ。
これが運動の「スタート」です。
僕の「腕の長さ」は変わりませんが、
イメージまでそれに縛られる必要はない。それまでを超えるイメージで動けば、
パフォーマンスはそれまでを超えていく。そんな実験映像です。おす!Dr.F pic.twitter.com/kDz1JrERGA
— Dr.F@格闘技医学/Takki@プリンスの言葉 (@takuyafutaesaku) April 8, 2020
二重作氏は昨年10月、コピーライターの糸井重里氏と対談。「強さの磨き方。」という全8回の連載が、糸井氏の主催する「ほぼ日刊イトイ新聞」に掲載されており、二重作氏が敬愛するミュージシャンのプリンスのエピソードなども交えながら、多様な切り口で2人が「強さ」を探求している。