超RIZIN.5 9.10 大阪:朝倉未来戦決定の青木真也、会見前後にYoutubeチャンネルで独白。「これ、“ガチンコプロレス”できるな」――妥協なき孤高の美学と「帰る家」

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7月20日、東京都内で行われた「RIZIN史上最大の超絶スケール 超緊急&超ド級カード発表記者会見」にて、「超RIZIN.5 浪速の超復活祭り」(9月10日(木)京セラドーム大阪)でライト級・朝倉未来 vs. 青木真也の一戦が行われることが発表された。
ONE Championship(ONE)との契約を満了し、フリーとしてRIZINのリングに舞い戻る青木真也。会見前、青木はYouTubeで「これは青木真也の試合。RIZINの思い通りにはさせない」と強硬な意気込みを語っていた。しかし、会場で響いた観客の「おかえり」という歓声や、RIZIN榊原信行CEOが示した公の場でのリスペクトを受け、会見後の青木の心境には微かな軟化と確かな安らぎが芽生えていた。
会見前後の独白と記者会見の内容から、43歳を迎えた孤高のファイターが貫く不変のポリシーを紐解く。
「これはRIZINの試合、朝倉未来の試合ではない、青木真也の試合だ」
7月20日、日本MMA界を揺るがしたカード発表に先立ち、青木は自身のYouTubeチャンネルでRIZIN参戦に至る経緯と覚悟を語っていた。(動画はカード発表発表直後に公開された)
長年在籍したONEを離れ、7月20日付でRIZINと1試合ごとのゲスト参戦契約を結んだ青木。契約条件には納得しているとしつつも、「RIZIN入りというより、青木真也の色のままで1試合する位置づけ」と強調する。ONEでのラスト数年間については「なんでONEを背負って10年体張ってきた俺が、第2試合、第3試合で使われてろくなプロモーションもなくされるんだ」「自分のアイデンティティを否定され続けた耐えがたき時間だった。このまま不完全燃焼で終わるのかと思っていた」と葛藤を吐露。一時は現役引退も頭をよぎったが、かつてDREAM時代をともにした笹原圭一RIZIN広報の「必ず帰ってきてください」といった粘り強い働きかけもあり、今回のビッグマッチが実現した。「ONE以上の条件で試合は多分できないだろう、妥協せざるをえないだろうと思ってたけれども、今回舞台も条件も上がったのよ」と明かし「2003年から20年以上、専業で積み上げてきたものが評価された。目の前のことから逃げずにやってきて良かった」とRIZINの懐の深さに感謝を口にした。
しかし、参戦に向けた姿勢において青木はどこまでも攻撃的であり、妥協を許さなかった。
「この試合は朝倉未来の試合じゃないから、俺の中では青木真也の試合ですから、そしてRIZINの中の1試合でもないです。青木真也の試合である。だから思い通りにはさせないし、RIZINの作りたいものは作らせないし。俺は俺のペースでやる。とてもめんどくさいと思う。だから覚悟しろよと思うし。鼻から扱えると思うんじゃねえよとも思います。それも含めて俺は俺のプロレスをするだけですよね」
PRIDE時代を知る最後の現役ファイターとしての自負を覗かせ、RIZINの主導するストーリーラインに安易に乗ることを明確に拒絶。飽くまで自分のペースと美学で戦い抜く意気込みをアピールしていた。
因縁とリスペクトが交錯する電撃決定
RIZIN 9.10 京セラドーム大阪:青木真也「ちゃんと最後、形にします」、榊原CEO「青木真也の死に場所はRIZINで作る」、朝倉未来「1Rで終わらせます」
7月20日の記者会見では、RIZINの榊原信行CEO、朝倉未来、青木真也らが登壇した。
榊原CEOは未来×青木戦を組んだ理由について「青木真也は日本の総合格闘技の歴史を体現してきた男、生き字引。個人的にはあまり好きじゃないけどリスペクトはしている。青木真也の死に場所はRIZINで作る。日本のMMAの次の扉を開くような作品を見せてくれる期待を込めてオファーした」と説明。会見後の囲み取材では、青木が未来戦を合意しなかった場合の保険としてヴガール・ケラモフも控えていたという裏話も明かされた。
対する朝倉未来は、昨年大晦日のフェザー級(66kg)王座挑戦で1R TKO負けを喫して以来の再起戦となる。1階級上のライト級(71kg)での対戦にも「別に関係ない」と言い切り、「グラップリングに力を入れて9か月やって来た。グラップリングでも(青木に)負けないぐらい強くなった」と豪語し、「1Rで終わらせます」と早期決着を宣言した。
一方の青木は「残念だったな、俺だよ。恥ずかしながら、恥を忍んで帰ってきました。ちゃんと最後、形にします」と第一声を放つ。「『もういい、格闘技嫌い』と思えれば辞められるかなという気持ち。悔いなきようにやり切りたい」と胸中を語り、榊原氏のコメントに対しても「懐の深さに感謝している。一生懸命頑張ってきて良かったと思える試合にしたい」と静かに語った。
会見を終えた青木。意地と受容の狭間で貫くスタイル
会見翌日、YouTubeチャンネルに青木は、会見の感想を70分以上述べる談話をアップした。
RIZIN出場は15年末のRIZIN旗揚げ大会以来、約11年ぶり。当時を知らない、いわゆるアサシン・ヒラチル世代の、冷ややかな反応を予想していた青木を待っていたのは、会場からの温かい「おかえり」という歓声だった。「その4文字で青木真也を受け入れてくれたのだと解釈した」と振り返る。また、公の場で敬意を払った榊原CEOの姿勢にも「言葉だけでなく、相応の場所と相手を用意してくれたことが最大の尊重」と感謝を示した。会見前の「思い通りにはさせない」という尖った発言から一見すると軟化したようにも映るが、その本質にある「相手や団体との信頼関係の上で成り立つ表現」という軸は揺らいでいない。
1階級上で受けてくれた朝倉未来に対しても「信頼して打ち込める相手。今までは自分が試合をコントロールして引き上げる必要があったが、今回はRIZINと未来を信用して自分の好き勝手に集中できる」と話し、「会見中にこれ“ガチンコプロレス”じゃんって思ったの。去年11月にマスコミの読解力の無さに辟易したので使わなかったんだけど、これガチンコプロレスできるなと思ってニヤニヤしたんだよね。彼は彼で立つ相手だし、すごい大したもんだなと思った」と明かす。一方で、RIZINの土俵に上がる自体については「DREAM以降、単体で意地を張ってきた自分にとってはある種の敗北であり、悔しさや恥ずかしさもある」と率直な葛藤も隠さなかった。
周囲やメディアの反応に対しては、「意見論評は自由だが、死に場所を探している人間の覚悟を嘲笑うような悪意ある人間とは関われない」と一線を示す。また、今回の戦いに向けては、長年映像制作で衝突と信頼を重ねてきた佐藤大輔ディレクターとの熱い対話、元ライバル・川尻達也との関係性の変化、さらにはDDTやGLEATといったプロレス界の仲間や、自身のYoutubeチャンネルのメンバーシップ会員という「帰る家(土台)」が存在することが大きな支えになっていると明かした。
「青木は何を思って何をしたいか、分かってくれる帰る家があるからこそ、敵地に乗り込んで突っ張っていける。この試合までの期間は、自分の格闘技人生20年を振り返り、噛み砕いて解釈していく総括の時間になる」
会見前の強気な反骨心と、会見後に見せた周囲への受容。表現こそ変化したものの、その根底には、青木真也としての生き様を作品として残すという妥協なきポリシーが揺るぎなく存在している。





