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(レポ&写真) [K-1 MAX] 6.30 横アリ:ブアカーオ、世界王座奪還

FEG "エステティックTBC K-1 WORLD MAX 2006 世界一決定トーナメント決勝戦"
2006年6月30日(金) 神奈川・横浜アリーナ

  レポート&写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】


◆世界一決定トーナメント

第1試合 準々決勝(1) 3分3R(延長1R)
○魔裟斗(日本/シルバーウルフ/MAX '03 世界大会優勝)
×小比類巻貴之(日本/チーム・ドラゴン/MAX '04 '05 日本大会優勝)
判定3-0 (朝武30-28/シャルリー30-28/大成30-28)

※3R左フックで小比類巻に1ダウン

 1R、魔裟斗が右フックと右ローをクリーンヒットさせる場面もあったが、全体的には前蹴りで距離を取るコヒのペース。コヒのインローに魔裟斗が少し嫌がるような仕草を見せる。
 2R、コヒのハイをかわした魔裟斗は、距離を詰めて右フック、右アッパー、左ジャブ等のパンチを多く当てるように。コヒは後ずさりする場面もあったが、終盤に右ローを当てると魔裟斗はまたも嫌がる。
 3R序盤もコヒのペース。前蹴りとローで魔裟斗を苦しめる。だが魔裟斗は持ち前のハートの強さを発揮。パンチを当て、ローでも真っ向勝負を繰り広げ、下に意識を向けさせた後、左フックでダウンを奪うことに成功する。コヒは鼻血を出し目を腫らし苦しい表情。だが終盤にはパンチ戦に応じ、逆に当て返す場面も。
 結局この1ダウンが勝敗を分けた。試合後魔裟斗は笑顔でコヒと握手。大きな仕事をやり遂げたという充実感たっぷりの表情でリングを後にした。

第2試合 準々決勝(2) 3分3R(延長1R)
○アンディ・サワー(オランダ/シュートボクシング・オランダ/MAX '05 世界大会優勝)
×ヴァージル・カラコダ(南アフリカ/スティーブズジム)
3R 2'23" KO (2ダウン:パンチ連打)

※1R右ストレートでサワーに1ダウン

 1R、カラコダがコーナーに詰めての左ボディブローや右アッパーでチャンスを作り、終盤には右ストレートでダウンを先取する。
 だが2R、サワーはパンチと左ローをバランス良く当て挽回。終盤には激しいパンチの打ち合いを繰り広げる。
 3Rは完全にサワーのペース。右ロー、右ハイといった蹴り技はもちろん、パンチでもボクサーのカラコダを圧倒。中盤には右フックでダウンを奪う。サワーは膝蹴りも絡めてラッシュを仕掛け、最後はロープ際に詰めてのパンチ連打でカラコダが棒立ちになったところでレフェリーが試合をストップした。

第3試合 準々決勝(3) 3分3R(延長1R)
×アルバート・クラウス(オランダ/チーム・スーパープロ/MAX '02 世界大会優勝)
○ドラゴ(アルメニア/チーム・イッツ・ショータイム)
判定0-3 (朝武28-30/シャルリー28-30/大成28-30)

※1R右膝蹴りでクラウスに1ダウン

 開幕戦ではやや空回りの感もあったドラゴのブンブンファイトだが、今回はコンディションが良さそうで、1R目から威力を発揮。クラウスが右フックで前に出ようとしたタイミングに合わせ、近距離からの飛び膝をアゴに叩き込みダウンを奪取する。その後も前蹴りを主体とした伸びのある蹴り技を駆使。クラウスもパンチを返し、激しい打ち合いを繰り広げる。クラウスは挽回のチャンスをつかめず初戦敗退となった。

第4試合 準々決勝(4) 3分3R(延長1R)
○ブアカーオ・ポー・プラムック(タイ/ポー・プラムックジム/MAX '04 世界大会優勝)
×佐藤嘉洋(日本/フルキャスト&名古屋JKファクトリー/MAX '06 日本大会優勝)
2R 0'18" KO (左フック)

※1R右フックで佐藤に1ダウン

 両者ともローを当てる攻防が続くが、ブアカーオはいつもに増してパンチを駆使。終盤には右フックでダウンを奪取する。終盤にもパンチで追い詰め、2R開始すぐ、佐藤の前蹴りをつかんで左フックをクリーンヒット。佐藤は立ち上がるが足元が定まらず、レフェリーがKOを宣告した。

第6試合 準決勝(1) 3分3R(延長1R)
×魔裟斗(日本/シルバーウルフ/MAX '03 世界大会優勝)
○アンディ・サワー(オランダ/シュートボクシング・オランダ/MAX '05 世界大会優勝)
判定0-3 (朝武29-30/シャルリー28-30/大成28-30)

※3R左フックで魔裟斗に1ダウン

 魔裟斗は準々決勝のコヒ戦でもらったローのダメージが残る。サワーもカラコダにパンチをもらったダメージが残るが、足のダメージが少なかったことが幸いした。サワーは魔裟斗の足元に的をしぼり、魔裟斗をじわじわと痛めつける。魔裟斗も打たれ強さをこの試合でも見せ、パンチとローを返す。しかし3R中盤、魔裟斗が下がりかけたところ、サワーの二段蹴りが炸裂。息があがってきた魔裟斗は、残り10秒、右と左のパンチの連打を浴びダウンを奪われ、決勝進出を逃した。
 魔裟斗はコヒ戦でかなりの体力と精神力を浪費した感がある。去年も最初のザンビディス戦で足を痛め、準決勝辞退を余儀なくされた。優勝はおろか、2年連続決勝に上がれず。試合後は笑顔でサワーを讃えたが、ノーコメントで会場を後に。何か期するものがあるのだろうか?

第7試合 準決勝(2) 3分3R(延長1R)
×ドラゴ(アルメニア/チーム・イッツ・ショータイム)
○ブアカーオ・ポー・プラムック(タイ/ポー・プラムックジム/MAX '04 世界大会優勝)
判定0-3 (朝武27-30/シャルリー28-30/大成27-30)

※2R右ストレートでドラゴに1ダウン

 回転系の技やハイキックを多用するドラゴを、ブアカーオは闘牛士のようにかわし、ロー、ミドル、ハイ等の蹴りを着実に叩き込む。パンチはジャブ主体で、いつものブアカーオスタイルに戻ったかのようにも見えるが、これは相手に合わせて戦術を変えているだけ。足元とボディにダメージを蓄積させると、2R終盤、この試合でほとんど見せなかった右ストレートを離れ際に叩き込みダウンを奪取する。3Rは随所で左右のミドルを当て、逃げ切るような形で体力を温存。ドラゴのバックキックに同じ技をお返しする余裕すらみられた。


第9試合 決勝 3分3R(最大延長2R)
×アンディ・サワー(オランダ/シュートボクシング・オランダ/MAX '05 世界大会優勝)
○ブアカーオ・ポー・プラムック(タイ/ポー・プラムックジム/MAX '04 世界大会優勝)
2R 2'13" KO (3ダウン:右ストレート)

※ブアカーオが2年ぶり2度目の優勝

 1R、ブアカーオがジャブと左ミドル主体で試合のペースを握る。サワーもパンチのコンビネーションを当てるが、攻勢が続かない。2R、両者とも積極的にパンチを打つように。すると以外にもヒットの多いのはブアカーオの方。サワーは腫らしていた左目下を出血するようになり、ホールディングからの離れ際に左フックを浴びダウンを喫してしまう。さらには同じ要領でブアカーオが右フックを当てた後、右アッパーの連打で2度目のダウンを奪取。最後は右アッパー、右ストレートの連打でサワーをマットに沈め、見事王座奪還&リベンジに成功した。

 ブアカーオはK-1に初参戦した04年にいきなり世界一となったが、以降は得意とする首相撲からの膝蹴りが大幅に制限され、接戦では判定にも泣かされた。しかし今年は新たに倒せる武器となるパンチを磨き、完全に新ルールに順応。谷川貞治K-1イベントプロデューサーが「MAXの絶対王者誕生の予感がした」と絶賛したように、ヘビー級のGPを4度制したアーネスト・ホーストの姿とダブるものを感じた人は少なくないはずだ。

 一方のサワーは決勝の最初のダウン後、レフェリーに何やら抗議していたが、直前にレフェリーのブレイクを制止してブアカーオが攻めたと思ったからだという。とはいえ準々決勝の時点で既に体のいろんな箇所を痛め、決勝では満身創痍だったことも明かしており、ほぼ無傷のブアカーオに比べれば体力差は明らかだった。
 だがサワーはカラコダ、魔裟斗からダウンを奪い、2年連続で決勝に進出。実力の高さを証明した。ホームリングのシュートボクシングでは11月3日に8人トーナメント「S-CUP」が開催される。この好調ぶりならS-CUP 3連覇も夢ではなさそうだ。

リザーブファイト 3分3R(延長1R)
×ライアン・シムソン(オランダ/チーム・アーツ)
○アルトゥール・キシェンコ(ウクライナ/キャプテン・オデッサ)
判定0-2 (朝武30-30/シャルリー28-30/川上28-30)


 1Rから素早いパンチの攻防が繰り広げられるが、キシェンコが左ボディをうまく当て次第にペースを握るように。2Rからシムソンがローを効かせ、キシェンコの勢いは落ちるものの、シムソンに決定的なチャンスを与えず逃げ切った。
 結局本戦に入るチャンスは無かったものの、谷川貞治K-1イベントプロデューサーは「来年はベスト8に入る」と素質の高さを讃えた。

◆ワンマッチ

第8試合 スーパーファイト 70kg契約 3分3R(延長1R)
×武田幸三(治政館ジム)
○フェルナンド・カレロス(アメリカ/アメリカン・ケンポー・カラテ・アカデミー)
判定0-3 (朝武26-28/黒住27-28/大成26-28)

※1R右ストレートで武田に1ダウン

 武田はローを当てリズムを作って行くいつもの試合運びだが、カレロスはそれを大騒音でかき消すかのように、機を見るやパンチで前に出て猛ラッシュを仕掛ける。1R終盤にはコーナーに詰めて右フックでダウンを先取。その後も武田はラウンド終了まで耐えきるのが精一杯で、ジャッジ2名は2ダウン相当の10-7のポイントを付ける。
 2Rもパンチで主導権を握るのはカレロス。だが次第に武田の重いローが効きだし、クリンチが増える。3Rには武田がローを効かせつつ右フックもクリーンヒット。接近戦では膝蹴りを何発も当て、1ダウン相当の10-8のポイントをジャッジ3者から獲得するが、カレロスが逃げ切った。


第5試合 スーパーファイト 70kg契約 3分3R(延長1R)
○TATSUJI(アイアンアックス/MAX '06 日本大会準優勝)
×白須康仁(花澤ジム/MA日本ウェルター級王者)
判定3-0 (黒住30-28/シャルリー30-29/大成30-28)


 両者ともパンチ主体の試合となるが、パンチならボクシングでオリンピック代表候補に上がったこともあるTATSUJI。クリーンヒットこそ乏しかったものの、最後まで主導権を維持した。逆に白須は得意のローを打つ機会はほとんど無く、らしさに欠いた。


オープニングファイト2 70kg契約 3分3R(延長1R)
○ヨードセングライ・フェアテックスジム(タイ/フェアテックスジム/ルンピニー・ウェルター級王者&WBCムエタイ70kg級世界王者)
×カマル・エル・アムラーニ(ドイツ/バーサスジム)
判定3-0 (櫻井30-26/市瀬30-26/ゴメス30-26)

※1R右フックでアムラーニに1ダウン

 客入れ中の試合としてはもったいないハイレベルな攻防。互いの素早いパンチが何度も交錯する。主導権を握るのはヨードセングライ。左ミドルを軸に試合のリズムをつかみ、1Rにはカウンターの右フックでダウンを奪取する。首相撲はいっさい使わず、MAXルールに完全に適応。3Rにアムラーニの右ストレートとバックキックを浴びる場面はあったものの単発に留まり、最後まで左ミドルをバンバン当て続け完勝した。ブアカーオを倒せるのは同じタイ人だけ?

オープニングファイト1 ヘビー級 3分3R(延長1R)
×西脇恵一(チームドラゴン/94.0kg)
○野田 貢(シルバーアックス/94.6kg)
1R 1'45" KO (右フック)

Last Update : 07/04 14:33

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