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(レポ&写真) [PRIDE武士道] 5.22 有コロ:五味6連勝。川尻初戦完勝

ドリームステージエンターテインメント "PRIDE武士道 -其の七-""
2005年5月22日(日) 東京・有明コロシアム  観衆:8,861人

  レポート&写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】

第10試合 1R10分・2R5分
○五味隆典(日本/木口道場レスリング教室/72.8kg)
×ルイス・アゼレード(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー/72.8kg)
1R 3'46" KO (右フック)

※試合終了後の攻撃で五味にイエローカード1

 前回の試合では寝業師のイメージの強かったアゼレードだが、“シュートボクセ魂”を見せつけるため、あえて打撃勝負。いきなり飛び蹴りで奇襲を仕掛けると、打ち合いで右ストレートを当てる。さらに伸びのある蹴りも駆使。ムエタイスタイルで五味を苦しめる。だが額から出血しドクターチェックを受けたことで、五味が体勢を立て直し。セコンドから「相手のガードが下がって来た。ストレートじゃなくフックを打てばいい」と作戦変更の指示を受ける。再開直後はアゼレードのジャンピングハイをもらってしまったが、ステップをうまく使い自分の距離で詰めると、アゼレードの右に合わせて、高速の左右のフックの連打をクリーンヒット。アゼレードを豪快にマットに沈めた。

 試合終了後も五味はさらに攻撃を加えようとして、レフェリーもセコンドも関係者も必死で止め、リング上は騒然とした状態に。シュートボクセのフジマール・フェデリコ会長は激怒したが、五味が相手陣営に謝り、騒動は収まった。
 とにかくこれで五味はPRIDE参戦以来6試合連続1R勝利。しかも「簡単に戦いたいと思わせない試合をする」という戦前の予告通りのフィニッシュ。リングサイドで見ていた川尻達也、小谷直之、さらに新たに武士道参戦を表明した修斗時代の宿敵・ヨアキム・ハンセンにも強烈な印象を残した事だろう。

◆五味「最後KOで締めれて良かったです。相手はパンチも良かったですね。試合間隔が相手のほうが短いですし、自分の方が半年休んで、精神的にも肉体的にも受けに回る気持ちになっていました。あとはリーチもありますし、ムエタイ式の、日本のボクサーとは違った打ち方なんですね。最初はその距離になってしまたっという感じですね。彼は前半全部ぶつけようという作戦だったんじゃないですかね。
(最初一発もらって焦りは?)左ストレートとフックの中間のようなのを目にもらったんで、ちょっと焦りましたけど、まあ、畳み掛けて来なかったんで大丈夫でしたけど。アゴにもらってぐらついたとかじゃないので。あと何故か相手が流血してたのでちょっとリラックスできましたけどね。
(最後は完璧なKOでしたけど?)どっちのフックか覚えていないんですけど(笑)。セコンドの加藤先生から『チャンスを見て、フックで行っていい』と言っていただいたんで。最初ストレート勝負してたんですねぇ。相手の方がリーチありますし、相打ちになっても、彼、左ストレートがかなり良かったんで。で、加藤先生の『もう一歩踏み込んで、そろそろガードが下がるから、フックでいい』と言うことで行こうと決めてましたんで。
(最後は狙って打った?)うーん(苦笑)。僕は言われたことをとにかくやってしまうので。まあうまく懐に入れましたね。あのグローブは効きますね。

(今年の初戦を勝利で飾ったが?)去年はそれまで修斗でやってきた事を、世間の方に爆発させたいという1年だったと思うんですね。今年からまたそれを維持しなきゃいけないし、K-1のトップ選手のようなプロとしての魅力も備えて行かないといけないし。満足してしまったら、そこで終わってしまいますよ。アゼレド選手でも川尻選手でも三島選手でも、紙一重だと思うんですね。前半に出た日本のトップクラスの選手も、もちろん武士道を盛り上げようとしたけど結果がちょっと伴わなかったということですけど、(大会に)慣れれば盛り上げてくれるトップクラスですし。みんなお客さんに満足して帰ってもらいたいという気持ちを持ってると思うんですよね。
(K-1のトップ選手というのは、魔裟斗選手?)そうですね。魔裟斗選手、徳郁選手、元気選手。まあ、総合には総合の世界がありますから、全部が全部、あこがれていけばいいってもんじゃないし。総合ではPRIDEは世界で一番の舞台ですし。今日も全カードメイン級が揃ってますしね。なかなか熱い男達が集まってますよ。
(この階級で五味選手を追う選手が見当たらないのでは?)これで試合勘も戻りましたし。ただアゼレド選手より強い選手もいっぱいいると思いますし、いつもチャレンジャーの気持ちを持って練習に取り組みたいですね。今回は本当に最低限のコンディションだったんで、これでリフレッシュされましたし。まだまだ武士道、勢い乗ってくんじゃないですかね?
(過去に敗れているハンセン選手が参戦を表明しましたが?)もう1試合ぐらい挿んでワンマッチでやりたいですね。…まあ、今度はね、アゼレドみたいに、なるんじゃないですか(笑)。楽しみですね。
(対戦を望んでいる川尻選手の試合はどうご覧になりましたか?)言葉悪いけど、アレ、相手もちろんリスペクトしなきゃいけいけど、(小声で)出前のアンチャンみたいなアレでリング、まずいよ。アスリート連れて(来ないと)。まあ、時間が無かったんでしょうがないですけど。まあ、川尻選手、ライバルがどんどん出て来てくれたら、やります」

 

第9試合 1R10分・2R5分
×美濃輪育久(日本/フリー/83.7kg)
○フィル・バローニ(アメリカ/ハンマーハウス/84.0kg)
2R 2'04" KO (右フック)


 試合はパンチ勝負。最初は押され気味だった美濃輪だが、次第にパンチが当たり始め、バローニをコーナーに追いつめテイクダウン。顔面からの出血を誘い、サイドからの膝蹴り等優位に試合を運ぶ。だがトップポジションから強引に足関を狙う大味な攻めをバローニに読まれてしまい、2度目の足関狙いでリバーサルを許し、バックを取られてしまう。その後も上を取るたびにバローニはリバーサル。終盤はバローニがペースを取り戻す。
 寝技は不利と見たか?2R、美濃輪は打撃勝負に打って出る。互いにフラフラになりながら激しく殴り合い、場内は大盛り上がりを見せるが、次第に美濃輪が後ずさりするようになり、最後は連打を浴びてコーナーにダウン。バローニの顔面蹴り、フットスタンプの連打を浴びたところでレフェリーがようやく試合を止めた。

第8試合 1R10分・2R5分
○長南 亮(日本/フリー/82.6kg)
×ニーノ・エルビス・シェンブリ(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー/82.9kg)
判定3-0


 ニーノは柔術衣の上を着たまま試合。下になってはラバーガードを繰り返し、膠着を注意するグリーンカードを計3回もらってしまう(今回からレッドカードからグリーンカードに改正された)。だが長南も下になってはクロスで防御し、上になっても攻め手に欠き、グリーンカードを2回もらってしまう。スタンドでパンチを打とうとしても、すぐにニーノに組み付かれグラウンドに。残り1分に長南がフットスタンプ3連発で勝利を印象づけた。とはいえ今回はニュートン戦、アンデウソン戦、ジュカオン戦に続く終盤からのミラクルを起こすことができず。勝ち名乗りを受けるや苦々しい表情で足早に退場していった。

第7試合 1R10分・2R5分
○川尻達也(日本/チームTOPS/修斗世界ウェルター級王者/70.0kg)
×キム・インソク(韓国/チームKPW CHANWONファイト・ファクトリー/66.7 kg)
1R 3'28" TKO (タオル投入)


 川尻は修斗のベルトを巻いて入場。開始早々からパンチの打ち合いで鼻血を誘い、明らかに体格の違う相手を余裕でテイクダウンすると、パウンドで痛めつける。ドクターチェック後も、サイドポジションからの顔面への膝蹴り、踏みつけと、修斗では反則となる技を駆使。最後はサイドから鉄槌を連打し、マウントになったところで相手のセコンドからタオルが投入された。
 マイクを持った川尻は「修斗でも熱い戦いをやっているので見に来てください」と修斗を宣伝。さらに最後は「次は名古屋に見に来いやぁ!」と高田本部長ばりのアピールで7/17の武士道を宣伝した。

第6試合 1R10分・2R5分
○郷野聡寛(日本/GRABAKA/全日本キック・ヘビー級王者/84.4kg)
×クラウスレイ・グレイシー(ブラジル/ハウフ・グレイシー柔術アカデミー/84.5kg)
判定3-0


 序盤、クラウスレイの大振りのフック、組み付いての膝蹴りを前に押され気味だった郷野だが、クラウスレイの右ストレートにカウンターで合わせた右フック一発でダウン気味に吹き飛ばし逆転。その後何度か下になり、やや膠着気味になってしまい、会場からヤジが飛ぶ場面もあった。とはいえ2R終盤にはパンチで追い詰め、パウンド、踏みつけ、膝蹴り等で圧倒。この間クラウスレイは鼻血。かろうじて郷野がGRABAKA独立初戦を白星で飾る事に成功した。
 郷野は「正直プレッシャーは今までで一番あった。蹴りも出ないしタックルも切れない。いっぱいいっぱい。ヤジは聞こえなかったけど、俺だてつまらない試合だったと思ってる」と内容に関しては反省していた。だが約2週間の準備期間でここまで戦い抜けたのは素質のなせる技。-83kgのPRIDEウェルター級戦線での活躍が期待できる。

◆郷野のマイクアピール「正直しょっぱい? 馬鹿野郎、しょっぱい判定勝ちの先に一本勝ちがあるんだよ。 なんて言うと、もう武士道で使ってもらえない可能性もあるけど。ハハ。まあ、俺は自分のスタイル磨いて、いつかは一杯のお客さんに認めてもらえるぐらいになって、また上がってくるから。その時は俺のことを好きな奴も、俺のこと大ッ嫌いな奴も、俺の素晴らしいオフェンシブなファイトと(場内笑)口で楽しませてやっからよ。また、いつか会う日まで、ごきげんよう! 」

第5試合 1R10分・2R5分
○桜井“マッハ”速人(日本/マッハ道場/74.9kg)
×ミルトン・ヴィエイラ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム/73.8kg)
判定3-0


 1R、ヴィエイラの下からの腕十字にヒヤリとする場面もあったマッハだが、しっかりと防御。2Rからはハーフガードから顔面に膝を放ったり、一瞬マウントを取ったりと、試合のペースを握り続け、判定勝ちをもぎ取った。
 試合後のマイクアピールでは、出稽古先のシアトルのAMCパンクレイションのマット・ヒューム代表を讃える言葉に終始。「試合をすれば絶対に勝てる」と彼の復帰を促し、インタビューでは「この階級ならマットさん以外に敵がいない」とまで言い切った。心配された減量も、シアトルではダイエット用の食品が充実していて不自由しなかったといい、マッハは「1ヶ月で10kg痩せる方法、って本も書けるぐらいだよ」と上機嫌。今後もシアトルを拠点に戦っていくことになりそうだ。

第4試合 1R10分・2R5分
×小見川道大(日本/吉田道場/70.0kg)
○アーロン・ライリー(アメリカ/アメリカン・トップチーム/72.3kg)
1R 6'00" KO (右ハイキック)


 急遽総合プロデビューの決まった小見川。接近戦での崩しでは非凡なセンスを見せつけるが、打撃対策はまだまだ。それでも多くの柔道出身選手のデビュー戦同様、パンチ勝負に出てしまい、スタンドでライリーのパンチを何発も浴び、最後は右ハイでマットに沈んだ。

第3試合 1R10分・2R5分
×三島☆ド根性ノ助(日本/総合格闘技道場コブラ会/DEEPライト級王者/71.0kg)
○イーブス・エドワーズ(アメリカ/サード・コラム/71.0kg)
1R 4'36" 腕ひしぎ十字固め


 三島はしつこく組み付いてのテイクダウン狙い。しかし打ち合いでパンチをもらったり、立ち上がり際のギロチンがすっぽ抜け上を取られたり、タックルを切られてマウントを奪われたりと、どうも歯車が噛み合わない。膠着のグリーンカードを警戒し、「動かなアカン」と焦ってしまったのが原因だという。マウントは返して上になったものの、エドワーズの下からの腕十字につかまってしまい、さらには回転してのディフェンスに失敗し、あえなくタップ。プロ総合23戦目にして初の関節技での一本負けを喫してしまった。

第2試合 1R10分・2R5分
×TAISHO(日本/チーム・バルボーザ・ジャパン/70.0kg)
○ジェンス・バルバー(アメリカ/チーム・エクストリーム/72.0kg)
1R 1'00" KO (左フック)


 パルバーが組み付いて膝を狙うと、TAISHOhは引き込んでの三角狙い。だがパルバーはつきあわず、スタンドに戻す。大振りのハイを放つ等、今日は蹴り勝負かとも思わせたパルバーだが、TAISHOの右ストレートのカウンターで、左フックをクリーンヒット。TAISHOは記憶が飛び、レフェリーが止めた後も相手に向かおうとするほどだった。

第1試合 1R10分・2R5分
×前田吉朗(日本/パンクラス稲垣組/67.0kg)
○チャールズ・“クレイジーホース”・ベネット(アメリカ/フリー/68.1kg)
1R 1'55" KO (右ストレート)


 開始早々、五味戦同様コーナーに昇ったベネットに、吉朗は予告通りドロップキック。その後は飛び膝を数発放ち、飛び技を多用する。ベネットは左のガードを下げ挑発。吉朗はパンチの打ち合いに応じる。互いに数発浴びるが、吉朗が連打を放ったところでガードががら空きになり、そこにベネットの右ストレートがクリーンヒット。吉朗はしばらく立ち上がれないほどの壮絶なKO負けだった。
 吉朗の総合プロデビュー以来の無敗記録は14でストップ。入場時から表情が固く、最初から大技を多用し焦りが見え、いつもの吉朗らしく無かった。病院に向かったためノーコメントだったが、榊原代表によると「自分自身に負けた」と反省していたという。その上で榊原代表は「プレッシャーに負けた選手も、経験を積めば変わると思う。これからも見守っていきたい」と今後の再起用に前向きな発言。吉朗の場合、武士道に上がり続けるのなら、体格差の問題も解消しないといけないが、道が断たれたわけではない。ここからの這い上がりが本当の勝負となる。

Last Update : 05/25 15:50

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