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(レポ&写真) [修斗] 3.11 後楽園:ルミナ環太平洋王者に。ペケーニョ防衛

サステイン "クリムゾン・プレゼンツ プロフェッショナル修斗公式戦"
2005年3月11日(金) 東京・後楽園ホール
認定:インターナショナル修斗コミッション

  レポート:井原芳徳(後半3試合)、若葉り子(前半3試合) 写真:小林秀貴  コメント編集:永田遼太郎
  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】

第5試合 初代環太平洋ライト級王者決定トーナメント決勝 5分3R
×石川 真(PUREBRED大宮/世界4位・環太平洋3位)
○佐藤ルミナ(K'zファクトリー/世界6位・環太平洋4位)
判定0-3 (横山26-29/菅野25-28/鈴木25-28)

※佐藤が王者に
※2Rフックで石川2回ダウン、グラウンド状態の相手の頭部への蹴りにより佐藤に減点1

 開始早々、ルミナは12月のトイカツ戦を彷彿とさせる、低い構えからの飛び込むような右フックを炸裂させる。ひるんだ石川は強引にグラウンドに持ち込むが、ルミナは下から横三角絞めで石川を捕獲。ルミナの秒殺が久々に見られそうで、会場は早くもヒートアップする。石川はなんとか外し通常のトップポジションとなるが、ルミナは下から足を捕まえにいってリバーサルに成功。マウント、バックと、一気に優位なポジションを奪取する。そこから3分間はルミナがバックから時折パンチを落とすだけの静かな展開となり、1R終了。緩急の差の激しいラウンドとなる。

 2Rは立ち技でルミナが魅せる展開。見せパンチから一瞬腰を下げてジャンピングの右ハイを放ったり、修斗のルーツ、ブルース・リーのジークンドーを彷彿とさせるサイドキックで石川の顔面を狙ったりと、トリッキーかつ一撃必殺を狙える攻めを見せる。そしてラウンド中盤、右ロー、左ジャブ、左ボディを当てた後、石川が飛び込んできたところ狙っての右フック。これが見事炸裂し、最初のダウンを奪う。ルミナはその直後も右フックでダウンを奪取。修斗はダウン回数の制限が無いが、ポイントでは大きく差がつくことに。さらにルミナは組み付くとサイドスープレックスで石川を吹き飛ばしイケイケの状態。だが勢い余って一回転。ルミナが下になってしまい、さらに石川の顔を蹴り上げる反則を犯し、減点1が宣告されてしまう。ルミナのアグレッシブさが逆に荒さに作用してしまう。

 3Rもそのアグレッシブさが災いし、左右のフックで突進したところでバランスを崩し下のポジションに。一本かKOでしか勝ち目の無い石川のセコンドは「立て」とアドバイスを送るが、2Rまでの体力消耗の影響もあり、攻め込めず消極ブレイクがかかる。再び石川が上になり、パスガードを狙うと、ルミナがリバーサルしスタンドに戻す。その後はしばらくスタンドの攻防が続くが、ルミナもなかなかフィニッシュに持ち込めず。残り1分、テイクダウンに成功すると、サイド、上四方、三角、バックと最後の力をふりしぼって一気に攻める。石川の必死の防御も光り、修斗の後楽園の大会にしては珍しく、客席からフットスタンプが鳴り響く。

 最後は石川が上のポジションを取ったところで試合終了。異様に中身の濃い17分間が終わった後、会場のドヨメキはなかなかおさまらない。ルミナの初タイトル奪取への喜びと、好勝負を見られたことの喜びが、相乗効果となっているような雰囲気だ。判定が読み上げられ勝利が確定した瞬間、ルミナはマットに頭をつけて喜びを噛みしめる。しかしその瞬間から次の勝負は始まっている。環太平洋ベルトはあくまで通過点。真の目標は、絶対王者ペケーニョの王座奪取と15ヶ月前の屈辱の秒殺負けのリベンジ。そこに到達するまで、月狼ルミナは、太陽のように絶対的な地位で光り輝く王者に向かって「残りの格闘技人生の全てを賭けて」突き進む覚悟だ。

【ルミナのコメント】
●勝利者インタビュー「凄く特別なベルトを巻けて、気分は最高です。相手は前回(阿部兄戦)、2回ダウンしてもゾンビのように立ち上がってきたので、僕も油断しないように気を付けました。もちろん世界タイトルが一番の目標。次(ペケーニョ×ホーキ)の勝者とやるつもりで頑張ります。これまで3回期待を裏切ってきたので、次こそは必ず。僕も格闘技人生残り少ないと思いますけど、残りの格闘技人生の全てを賭けて、毎日練習して、世界のベルトを取りたいです」

●バックステージ「完全に捕らせないね。やっと捕ったって感じ。簡単じゃないですね。(ベルト奪取まで)何回かくじけそうになったけど四度目なんで…。三度失敗しているんで。(今回は)妥協しなかったですね。やるしかないと。
(試合を振り返って)いくらか雑な試合になっちゃたかな。(石川は)予想以上に硬い拳、重い拳でしたね。ガードしてても上から頭に響いてくるくらい。僕の十八番の横三角に行ったんですけど、お互いいっぱいいっぱいの所で勝ったって感じですね。もうあと1ミリで極まるって所で向こうも根性出して必死で逃げようとしてきたんで。ちょっとパワー負けしましたね。グランドでなかなか極めさせてくれないんで途中から打撃に切り替えました。
 打撃は自然に出てきましたね。練習してきた事が、ようやく(試合で)出るようになったかなって感じです。剛術は半端じゃなかったです。予想以上のパワーと腰の強さでしたね。人一倍このベルトには思い入れが強かったんで三度も負けて…その気持ちの差が出たんじゃないですか」


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第6試合 メインイベント 世界ライト級チャンピオンシップ 5分3R
○アレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラ(ブラジル/修斗ブラジル・ドージョー/王者)
×ジョン・ホーキ(アンゴラ/ノヴァ・ウニオン/1位)
判定3-0 (横山30-27/菅野30-27/鈴木30-27)

※ノゲイラが6度目の防衛

 開始まもなく、ホーキの前蹴りをつかまえたペケーニョは、そのまま抱え上げてテイクダウンを奪うと、一気にアキレス腱固めへ。ホーキは回転しながら防御し、リング外に落ちてしまうが、ブレイクで試合が再開。ペケーニョ不利とも思える裁定に場内は一瞬どよめく。
 その後はしばらくスタンドの打撃戦。二人ともベースは組技だが、そうとは感じさせないハイレベルなテクニック合戦に。特にペケーニョは元シュートボクセのセルジオ・クーニャらと修斗ブラジル・ドージョーを結成したことで、打撃に磨きがかかったように見える。ホーキもギロチンを意識してか得意の弾丸タックルを使わず、打撃主体の攻めを展開する。
 ペケーニョがフックの連打でホーキをコーナーに追い詰めると、ホーキは掟破りのギロチン狙い。しかしペケーニョは難なく防ぐと、序盤見せたのと同じようなテイクダウンで上に。ハーフから攻めあぐねたが、いったん立ち上がると足関狙いに見せかけてサイドポジションへ。柔術黒帯強豪から見事パスガードを奪ってみせたところで、1Rが終了する。

 2Rもペケーニョが主導権。ホーキの打撃のカウンターで2度テイクダウンに成功。このラウンドはパスガードできなかったが、鉄槌攻撃でホーキの眉間をカット。出血もあいまって、ホーキの表情の焦りの色が濃くなる。その後もホーキは打撃で前に出るが、ペケーニョは見切って防御。3Rもうまく組み付いて2度テイクダウンしてみせる。最後のテイクダウンは3R中盤。ホーキは万策つきた様子で、あっさりパスガードを許すと、ペケーニョが一瞬マウントを奪う場面も。最後はガードの攻防に戻り試合は終了した。

 王者がほとんど隙を見せないまま挑戦者を完封。セミファイナルのルミナ戦が豊富な展開の試合だった影響もあり、やや地味に見えてしまい、会場の盛り上がりには欠けた。しかしホーキがペケーニョに一回もギロチンを出させず、それを警戒したホーキがタックルに一度も行かなかったことは、裏を返せばそれだけシビアな戦いであったことの現れとも言える。好勝負の陰で荒さも見えた環太平洋王者ルミナと、ほとんど隙を見せず6度目の防衛に成功した絶対王者ペケーニョ。全盛期のようなアグレッシブさを試合で発揮できるようになってきたルミナと、ギロチンもだいぶ研究されてきたペケーニョ。月と太陽の距離は、15ヶ月前の初対決の頃より広まったのか、縮まったのか? 修斗ライト級戦線の満ち干きから、ますます目が離せなくなってきた。



第4試合 ライト級 5分3R
×風田 陣(ピロクテテス新潟)
○リオン武(シューティングジム横浜)
2R 4'17" 一本 (スリーパーホールド)

※1R右ストレートで風田1ダウン

 序盤、風田の右ローに合わせてリオンが右ストレートを当て一気に追い詰める。元キックボクサーの風田は首相撲に捕まえると膝蹴りを連打。しかしリオンもボディへのパンチを連打し一歩もひかない。風田のローでぐらつく場面もあったが、リオンは右ストレートの連打でダウンを先取。その後も打撃戦が続き、風田は右ストレートや右ミドルで反撃を狙うが、リオンは足をかけて豪快にテイクダウンに成功すると、一気にマウントポジションを奪取。打撃をもらったダメージの影響もありなかなかフィニッシュに持ち込めなかったが、最後はスリーパーを極めタップを奪うことに成功した。

 デビュー以来破竹の6連勝となったリオンだが、「連勝は意識していません。まだ下っ端なので、一戦一戦面白い試合をしたいです」と語り、プロ意識の高さを感じさせた。11月の勝利後、中原太陽との対戦を希望したが、「今はそんなに戦いたいとは思っていないです。それよりもとにかくストライカーの人と打撃で面白い試合をしたいです」とコメント。リオンの前年のライト級新人王・高谷は、新人王奪取後、約半年でパーリングと対戦し勝利したが、パーリングとまではいかなくても、ランカーとの対決でどれだけ力を発揮できるかは見てみたいものである。

第3試合 ライト級 5分2R
○門脇英基(和術慧舟會/環太平洋9位)
×田村彰敏(格闘結社田中塾)
判定3-0 (菅野20-19/横山20-19/鈴木20-19)


 クラスA入りを狙う田中塾の田村。連敗ながらも植松、ペケーニョとの激戦をこなしてきたクラスAの門脇としては負けられない一戦。
 1R、打撃でのプレッシャー合戦からスタート。フェイントから組み付いてロープ際まで押し込むと、上手く挿した門脇が力で倒してバックマウントを奪いフェイスロックを仕掛ける。回転して逃れる田村だが、門脇が強靭な足のロックで優位な体制を保ち続け、上に返すと中腰からパンチを落としていく。最後、田村が下から門脇の右腕を捉えて腕ひしぎに持っていこうとするがタイムアップ。
 2R、打撃のタイミングで組み付きたい両者。ロープ際で田村がサバ折りで上を取りハーフガードを奪うが、門脇にとっては得意の体勢。打撃の隙間を与えずに下から絡みついてスタンドに戻し、今度は上になると中腰の体勢から押し込んでいく。田村も負けじと門脇の左腕を獲りながら背中にパンチを入れていくが、両者決定打には至らず、ゴング。
 両者とも微妙な表情を見せる中、勝者のコールは門脇。1Rを優勢に運び、環太平洋ライト級9位、クラスAの意地を見せた。

第2試合 ライト級新人王決定トーナメント1回戦 5分2R
○不死身夜天慶(シューティングジム横浜)
×山田啓介(K'z FACTORY)
判定3-0 (鈴木19-18/横山19-18/若林19-18)

※1R右フックで山田1ダウン

 1Rは打撃の応酬が続く。積極的に前蹴り、右ローを繰り出す山田だが、ガードが甘く、その隙を突き不死身夜が上手くパンチの連打を合わせてダウンを先取する。2R、山田が打撃を散らして次の展開に持ち込もうと組み付いて行くが、不死身夜は1R同様に粘り腰でそれを許さない。逆に、ガードの甘くなった山田の隙をついて、再び打撃でしとめようとするが決定打には至らない。両者、鼻も口も真っ赤に染めて戦い抜き、試合は判定に。新人戦ならではの、なり振り構わぬ熱い打撃戦を、不死身夜が3-0で制した。

第1試合 ライトヘビー級新人王決定トーナメント1回戦 5分2R
○佐藤隆平(R-GYM)
×芦川祥教(RJW/G2)
1R 0'54" TKO (レフェリーストップ:トップポジションからのパウンド)


 DEEP(佐藤)、DEMOLITION(佐藤、芦川)のリングで試合をこなしている二人が今年度より初めて開催されることとなったライトヘビー級新人王をかけて戦う。佐藤がタックルからテイクダウンを奪うと重たいパンチを落としていく。対する芦川は下から右腕を獲って伸ばしにかかる。明らかに「効いた」音を伴って佐藤が一発パンチを落とすと、芦川の仕掛けが止まる。ここぞとばかりに怒涛の連打をする中でレフェリーが試合をストップ。54秒。インパクトを残して佐藤隆平が決勝戦へ駒を進めた。

Last Update : 03/22 20:14

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