[File 0004] 大沢ケンジ「誰が強いか、D.O.G.に来ればわかります!」
大沢「今日はインタビュー、僕だけですか?」
−−そうです。
大沢「ありがとうございます! 誰か他の人とセットってのが多かったんで、単独はうれしいですね。じゃあ色々言わせてもらいます」
−−全部カットされますんで(笑)。さて、GCMが新しくスタートするオクタゴンを使っての総合格闘技大会『D.O.G.』3月12日ディファ有明大会に、大沢選手も出場が決まりました。開催発表記者会見で大沢選手は『D.O.G.ではミスターが付く感じでがんばります。ミスターD.O.G.で』とコメントをされて『長嶋茂雄じゃないんだから』と思わずツッコミたくなったんですが、じゃあ一発目の大会の前に話を聞くのはミスターだろう、とこちらもワルノリして、今回単独インタビューをお願いすることにしました。まずやっぱりD.O.G.といえばオクタゴン、金網ですね。金網対策の練習はもう始めまていますか?
大沢「特別な練習はまだこれからですけど(※インタビュー収録は大会1ヶ月以上前の2月8日)、試合が決まってからは、練習していて道場の壁際に近づいたとき、押し付けて殴る事を意識したりとかはしています」
−−大沢選手はこれまで、リングで戦う修斗で上を目指してきました。今回は色々変わってきますよね? 大沢「でも金網でやれることは凄く楽しみですね。リングだとドントムーブだとかロープをつかむなだとか制約が多くて。つかむなって言ったって、あるんだからついつかんでしまいますよ。ロープは無い物として想定して…って言っても、実際あるんだからリアリティが無いですよね。ドントムーブ自体、タイミングや基準も団体によってまちまちですし。だから今、誰が最強かを決める場として、D.O.G.の金網の試合場はベストだと思います」
◆ 金網で見せる、理想の戦い。
−−シューターですけど、前から金網志向はあった? 大沢「そうですね。まあ、金網に限らず、修斗ルールだといい意味でも悪い意味でもスポーツ的で、相手のタックルをがぶった状態で膝を出していいのかとか、動く前に気にしないといけないじゃないですか。今回のD.O.G.も踏みつけはダメですけど、あんまり考えないで、比較的頭の中がシンプルになれるルールなんで、本当に最高ですね」
−−本来の自分のスタイルに合っている? 大沢「そうですね。自分の戦い方の理想像が見えてきたところなんで、ちょうどいいですね」
−−それはどいったスタイルですか? 大沢「シュートボクセのような打撃中心のスタイルですね。普通の寝技主体のスタイルだと、ずっとポジションで優位でも、逃げられたらまたゼロに戻りますけど、打撃中心だと、常に相手を削ってダメージやプレッシャーを与えられますから、ゼロに戻るってことが無いですよね」
−−慧舟會は一般的に寝技主体というイメージが強いですよね。 大沢「でも最近結果を残せている岡見とかノッチ(井上克也)とかも、寝技をあんまりやらないじゃないですか」
−−ついこの間も井上選手がヒース・シムズをKOしましたし、岡見選手もGRABAKAの石川選手を打撃中心で攻略して勝ちましたね。あと総合格闘技全般を見渡しても、シウバやミルコといった、ストライカーの活躍が目立ちます。組技出身のヒョードルも、打撃で勝つことが多いです。 大沢「パスガードして関節を狙って逃げられてしまったら、またゼロに戻りますから、それだけでガックリとくるんですよね。わざとポジションを取らせて逃げるっていう技術も定着してきていますから、これからますますポジショニングの価値が薄れてくると思うんですよ。だから相手に打撃でダメージを与えて。殴るのも嫌いじゃないんで(笑)」
−−元々格闘技は何かされていたんですか? 大沢「高校時代にボクシングジムに行っていたぐらいで、5年ぐらい何もやってなかったんですけど、ホイスと桜庭さんの試合を見て、自分でも総合をやってみたいと思いました」
−−その前のホイスがUFCで活躍した時期は? 大沢「見てました。いいなあ、でも、日本でやる機会は無いだろうなぁと思ってたら同じ金網のD.O.Gが始まることになったんで、自分も漫画のキャラクターになったみたいですね」
◆ 去年はもの凄く成長できました。
−−先月末にオクタゴンのお披露目記者会見がありました。実際に中に入ってみた感想は? 大沢「興奮しましたね。最高でした。若干狭いんで、打ち合う感じになるかなと。テイクダウンもしやすいだろうし。逃げ場所がなくて、戦わざるをえない雰囲気というか。僕は基本的に前に出て攻めたい方なんで、志田選手も向かってくると思うんで、話早くていいんじゃないですか?」
−−今回の相手、志田選手とは過去2戦やっているとのことですが? 大沢「アマ時代にアマ修斗、2年前のプロになる直前に修斗グラップリングでやったんですけど、あれからお互い成長してますから、当時のことはあんまり参考にならないですね。グラップリングでは僕がポイント間違えて。フロントチョークを取られて、僕が上になって、僕が1ポイント取ったと思ってたんですけど、実際はキャッチで志田選手の方に1ポイントが入ってて。終盤まで僕が勝ってると思ってたら、セコンドから『お前負けてんだぞ!』って(笑)」
−−志田選手もあれからだいぶ経ってますから。 大沢「打撃とかもだいぶ変わってますね。凄いですけど、僕の打撃も今は凄いんで。一撃の威力は向こうもあると思いますけど、スピードでは僕が上だと思いますね」
−−同門の滝田選手と出見世選手が負けたことは意識しますか? 大沢「あんまり無いですね。意識して気合が入るなら、意識してみよっかな、ってぐらいで」
−−志田選手が対・慧舟會でステップアップしている間に、大沢選手も去年は6試合と、コンスタントに試合をこなしていますね。 大沢「去年中盤に外薗選手と田澤選手に2連敗して、もの凄く考えることが多かったですね。田澤選手との試合では額をカットして負けて、自分ではバッティングだと信じているんですけど、そういうアクシデントが入り込む余地があって戦っていたことに自分の甘さを感じました。負ける要素を少しでも削っていくにはどう戦えばいいか、反省材料にできたんで、去年はもの凄く成長できましたね。戦績と心は傷つきましたけど(笑)」
−−その甲斐あってか梅村戦、小塚戦の2試合は連勝ですね。 大沢「サクッと勝ちたかったんですけどね」
−−どちらも判定ですから、クラスAに向けて一本が欲しかったと。 大沢「なかなかクラスAに上げてくれないんですよねぇ。ランカーで試合やらないで居座り続ける人たちがいっぱいいるのに、自分と当ててくれなくて。チャンスも無いんで、修斗の外で勝って放っておけない存在になってから、強い人たちとやらせてもらおうかなと」
◆ いいよねそっちは目立てて、って感じですね(笑)
−−チャンスを待っているんじゃなくて、自分から奪いに行こうというわけですね。先月の記者会見でもパンクラスのトップ陣の志田選手と前田選手を倒して、修斗のチャンピオンの松根選手と戦いたいという話をされていました。パンクラスへの対抗意識はあるのでしょうか? 大沢「あんまりないんですけど、正直、志田選手とか前田選手とかが、僕らほど厳しい戦いをしているの?という疑問はありますね。パンクラスの生え抜きということで必要以上に大きく雑誌とかに取り上げられているけど、修斗の選手だと厳しい戦いをやっていてもそんなに取り上げてもらえないじゃないですか?」
−−確かにそうですね。修斗の戦いは厳しいことが当たり前になってしまって、損している側面があるのを感じます。ウェルター級・ライト級あたりは比較的取り上げられますけど、フェザー級になると埋もれてしまうというか。 大沢「ライト級ももっと脚光を浴びていいと思いますよ。パンクラスのフェザーがあんなに注目を浴びるのなら(※修斗ライト級とパンクラス・フェザー級はほぼ同じ体重リミット)」
−−志田選手や前田選手が修斗のフェザー〜ライト級でやった場合、どれくらいのランキングに入る実力だと思いますか? 大沢「世界ランクに入るか入らないかぐらいじゃないですか?上位ではないと思います。それもやってみないとわかんないですけど、ただ、アレッシャンドリ・ソッカとか柔術や寝技で強い選手とはやっていても、総合で本当に強い選手とはまだやってないですよね。僕もまだそこまで強い選手とはやってないんで彼らと変わんないですけど、いいよねそっちは目立てて、って感じですね(笑)」
◆ 金網ってだけで、友達も誘いやすくなると思うんですよ
−−対抗意識というよりも、ジェラシーを強く感じているようですね。じゃあ俺は金網の中で「ミスターD.O.G.」になって目立ってやるよ、と(笑) 大沢「『ミスター』と呼ばれる男に僕もなりますよ。『金網の王』でもいいですよ」
−−それだとキング・オブ・ザ・ケージってどっかの大会と一緒になっちゃいますよ。まあ、大沢選手だけじゃなくいろんな人の力が必要でしょうけど、ミスター的には(笑)、D.O.G.をどういう場にしていきたいですか? 大沢「いろんな団体の人がいる中で、誰が一番強いのかを決めるのに一番ふさわしい場だと思うんですね。修斗もパンクラスもどの団体の選手も上がれますし、最初言ったロープ際のドントムーブのルールの違いも無いし。ファンの人がどっちが強いんだろう?と気になった時に、『じゃあD.O.G.で見たいね』って感じになるのが理想ですね。別にうちが興行しているからとかじゃなくって、オクタゴンって場自体がそういうリアリティのあるだと思うんですよ。」
−−どういった人たちに見てほしいですか? 大沢「D.O.G.に限らず、今の総合格闘技の技術水準なら、全然格闘技を生で見た事が無い人が見に来ても、絶対に面白いと思うんですよ。ただ、K-1もPRIDEも一緒くたの人たちに、同じリングを使う大会だと、違いを説明するのが面倒で、そんなに興味を示してくれない場合も多いんですね。だけどD.O.G.だと『金網の中で戦うんだよ』と説明すれば、それだけで説明が済むじゃないですか。金網ってだけで友達も誘いやすくなると思うんですよね。『一回見に行こうか』って。金網がきっかけでもいいんで、いろんな人に足を運んでもらいたいですね。リングと違う非日常を、その目で感じて確かめてほしいですね。」◆◆◆
聞き手:井原芳徳(2005年2月8日(火)、東京・門前仲町の和術慧舟會RJWにて) 写真:井原芳徳 ※大沢選手が出場する『D.O.G.』3月12日ディファ有明大会の詳細はこちら。 3/1(火)までチケットプレゼント付きアンケート実施!
Last Update : 02/24 21:04
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