ムエタイ 1.20 ラジャダムナン:大田原友亮、1.5kgオーバーの相手に判定負けも「手応えはあった」
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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スック・ペッティンディー
2018年1月20日(日) タイ・バンコク・ラジャダムナンスタジアム
記事提供:早田寛(シンラパムエタイ)Photo & Text by Hiroshi Soda
第6試合 125ポンド契約 3分5R
×ユースケ・エクシンディコンジム[大田原友亮](B-FAMILY NEO)
○ポーンアナン・ポージャルンサップ(タイ)
判定
大田原友亮がタイ・ラジャダムナンスタジアムのスック・ペッティンディーに参戦した。大田原は中学生の時より、タイ・ルンピニーを主戦場に闘い、これまでにタイで約70戦を消化。2012年にはハイキックでのKO勝ちが話題を呼び、タイ記者協会選出のシンラパムエタイ賞(芸術技賞)も受賞。以降、タイファイトとも契約し、様々なルールでの試合も経験。その後は主戦場を日本に移し20戦ほど闘ってきたが、ここにきて、またタイでの選手活動を再開した。「同世代の打倒ムエタイに挑んでいた日本人選手らから、自分だけ置いてかれている気がする。彼らに追いつかなければ」という気持ちが強くなってきたからだ。そんなわけで、今回はタイでの復帰戦ともいえよう。以前、大田原がタイで活動していたペッティンディープロモーションに再び参戦す運びとなった。
ムエタイの計量は当日の朝計量が一般的。大田原は早朝6時半からの本計量で規定の125ポンド(57kg)に一発でパスするも、対戦相手のポーンアナン・ポージャルンサップは5ポンド(2.7kg)のオーバー。ただ、タイの選手は、当日の朝計量の時点で2kgの調整は軽くこなせる場合も多いので、期限の2時間以内に2.7kgを落とせると見込んでいたのだが、それでもポーンアナンは、そこから1.6ポンドしか落とすことができなかった。
対戦相手が体重オーバーしてるからといい、試合を潰すことは避けたかったコミッショナーと大田原陣営は、罰金を支払わせるなどの処置を取り、3.4ポンド(1.5kg)オーバーのポーンアナンと対戦することに同意した。さらに計量承諾後、ポーンアナンが夜の試合までに水分や食べ物を吸収することで、案の定ポ―ンアナンの身体はさらに大きくなっており、リング上で向かい合った両者に相当な体格差があったが試合は開始した。
初回、ポーンアナンが大きな右ミドルを放つ。大田原はこれを素早くカットするが、両者はまだ手数の少ないまま。互いに間合いの取り合いをしているところで終了ゴング。
2ラウンド、大田原は吹っ切れたように動き出した。ワンツーからロー、そしてミドルを当てる。特にローキックは絶妙な角度でポーンアナンを襲う。
3ラウンド、大田原の打撃がさらに冴えた。パンチからローキックという一連の流れでポーンアナンの動きを封じると、次はミドルを返す。上下のコンビネーションが冴えた。このラウンドから、組みも多くなってくる。ポーンアナンは体格差をしようした首相撲で大田原を攻めたかったが、逆に大田原がポーンアナンを投げ飛ばすシーンもあった。
4ラウンド、さらに組んだ時間が長くなる。大田原としては、体格が2周りもでかいポーンアナンと首相撲でやりあう事は危険だったかもしれないが、ここで組んでくる相手を避けていたら、逆にジャッジの印象を悪くしポイントを失う事になりかねない。体圧差は感じながらも首相撲で応戦。膝を入れる。
最終ラウンド、ここまでイーブンだったが、体格の差を武器に圧力をかけてきたポーンアナンに分があったか。大田原はパンチでポーンアナンを追い回す。ポーンアナンをコーナーに詰め左ボディーフックも決める。そして一瞬ガードが下がったポーンアナンンにさらにパンチラッシュを浴びせたが、ポーンアナンも、これをかわし、ミドルキック。そんな攻防が続く中、試合終了ゴングが鳴る。試合は接戦だったものの、体格差を武器に間合いで詰めたポーンアナンが勝利する。
本来、対等な条件で闘うのが格闘技というものだが、相手選手のいい加減な体重調整のせいで、大田原の不利な条件での試合スタートとなってしまう。大田原陣営としては、ポーンアナンが朝計量で3.4ポンドもオーバーした時点で、この試合を断ることもできたわけだが、今回はもう4年もタイのリングに上がっていなかった大田原にとって、試運転的な意味合いもあったわけで、この機会は逃したくなかったわけだ。大きい相手との間合いの取り合いや首相撲など、大田原にとってはやりづらい試合だったと思うが、大田原の動きは終始スピーディーで手数も多く、試運転手的な意味で考えれば、この試合内容であれば大収穫を得られた結果となった。久々のタイでの試合でありながら、普段ではありえない大きな相手と互角に闘えたことで、自身も得ただろう。
次戦は日本の2月24日のNJKF後楽園ホール大会での試合が決まっていて、これが終わればまたタイに戻ってくるという。今回の試合の動きからも、大田原の、〝もう一度、現地タイのムエタイの世界で脚光を浴びたい”という気持ちが伝わってきた。次からのタイでの試合も楽しみである。
◆大田原友亮「タイまで応援に来てくれた方、そして日本から応援してくれていた方々、ありがとうございます!今回は相手の計量オーバーとかもあったけど、正直これでも勝たないといけない気持ちがあったので悔しいです。今回の試合は倒しにいく試合ではなく、完全にムエタイの駆け引きで、その駆け引きに負けた感じでやっていて、すごいワクワク感とかがあって楽しかった。これで勝てていればな、とは思うけど、久しぶりにやって手応えはあったから、次はもっと成長した自分をタイでも見せていける自信にもなりました。
次のNJKFも相手がタイ人ですが、その試合は3ラウンドなので倒しにいきます。皆様応援してください。また3月もタイで試合が決まっているのと、ラオファイト(ラオス)のタイトルも、そしてまた4月か5月にタイでのタイトルも決まっているのでしっかり仕上げて結果を出します」