99.5.22 リングス Rise 3rd. 有明コロシアム (3)成瀬昌由×ヴォルク・ハン

99･5･22 Rise 3rd. 有明コロシアム
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第３試合（30分1本勝負　ランキング戦）

○

リングスロシア・5位

ヴォルク・ハン

[190cm,108.5kg]

[E--ED]

７分４６秒

腕ひしぎ逆十字固め

リングスジャパン

成瀬昌由

[173cm,87.5kg]

[-EE--]

　ヴォルク・ハンは、今、一歩下がった場所にいる。　
　97年のトーナメントでのミーシャへの敗退。あるいは、ライバルとして競い合った前田の引退。そういったことが積み重なってか、いつの間にか「今の選手」という雰囲気が薄れてしまったようだ。　
　だが、そういう周囲の見方と、実際の選手としての実力は関わりがない。　
　そのことは、金原をストップさせた一戦だけみても、明らかだ。　
　
グラウンドの展開

　その意味で、今回のvs成瀬戦は、ハンにとって幾分不本意なマッチメイクだったのかもしれない。言葉は悪いが、いささか乱暴なペースで成瀬を攻め込んでいく。下段、踵落とし、そして組み付いてのアームバー狙い。だが、こういう「いつもの攻め」でやられる成瀬ではない。アームバー狙いも簡単にすかしてしまう。　
　ならば、と引き込んで腕十字を狙うハン。これについていった成瀬は、切り返し、膝十字。ハン、さらに切り返してクロス・ヒール。これは極まりかけたが、なんとか上体を動かし、外していく成瀬。そこで思い切って腕十字を仕掛けるハン。　
　すっぽ抜け。　
　バックをとった成瀬がスリーパーでファースト・エスケープを奪う。　
　

　バーリ・トゥードの洗礼を受けた今のリングス・マットから見ると、少し懐かしいような展開がこの後も続く。成瀬の腕十字を切り返してアキレスでエスケープを取り、また、膝十字を腕十字に切り返してまたもやポイントを獲得するハン。成瀬も、ハンのそり投げからの腕狙いをバックに回って外し、さらに、スタンドでバックに回ったハンの腕をたぐり、グラウンドに入ってアームバー。エスケープを取り返す。　シーソーゲームである。　
　ここで成瀬が勝負に出る。　
　ハンとの打ち合いから狙い澄ましたカウンターの掌底。ハンが顔を歪めて倒れていく。再開後も一気呵成に攻めに出る成瀬。膝蹴りからハンの首をがぶってフロント・スリーパーに引き込む。だが、ハンの反撃もすさまじい。　
　あっという間にひっくり返して完璧な腕十字。　
　
フィニッシュの腕十字

　残った印象でいえばハンの完勝である。　
　しかし、花道を引き上げていくハンの顔に笑顔はなかった。もっと厳しい相手、厳しいマッチメイクを望んでいたのかもしれない。　
　
　成瀬は控え室で「体重差を考えれば」かなり攻め込めた、と総括し、その上で、90kg以下のミドル級で団体の枠を越えた闘いをしていきたいという構想を語った。トーナメント２１というベルトがあるにも関わらず、そのチャンピオンとして成瀬がいるにも関わらず、なかなかそこに日が当たっていかない。　
　そういう流れで考えると、この日のマッチメイクは、成瀬にとっても完全に納得のいくものではなかったのかもしれない。　
　
　前田引退後のリングス。　
　rAwとの対抗戦という最初の仕掛け花火は不発に終わってしまった。所属の各選手がこの状況に危機感を抱いていないわけがない。そこに向けての成瀬の提言。　
　状況は変わるだろうか。　
　　

（山名尚志）

［第１試合］サラ・ウーマー×滑川康仁　→→

［第２試合］V. オーフレイム×金原弘光　→→

［第４試合］I. ミーシャ× Y.カステル　→→

［第５試合］山本宜久×高阪剛　→→

［第６試合］田村潔司×ビターゼ・タリエル　→→

＜大会総評＞

＜全試合結果＞

取材：山名尚志・岩田貴宏・薮本直美　カメラ：井田英登
HTML編集：井原芳徳