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(レポ&写真) [全日本キック] 11.18 後楽園:山内、喜入を撃破

全日本キックボクシング連盟 "70's 全日本キック中量級最強決定トーナメント 〜開幕戦〜"
2007年11月18日(日) 東京・後楽園ホール  観衆:1,700人

  レポート:本庄功志  写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】


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◆ 70'sトーナメント開幕戦 (70kg契約)(準決勝〜決勝は1/4後楽園大会で実施)

第8試合 Aブロック一回戦 3分5R(延長1R)
○山内裕太郎(AJジム/全日本スーパーウェルター級王者)
×喜入 衆[きいれ・とも](J-NETWORK・ソーチタラダ渋谷/前J-NETスーパーライト級王者)
3R 2'01" TKO (レフェリーストップ:肘打ちによる頭部のカット)


 1Rの山内は様子見。喜入は山内との身長差があるものの、細かく動いてスピードで試合の主導権を狙い、右ローで突破口を探る。ラウンド終盤になると山内がワンツー・アッパー・肘のコンビネーション、再び距離を詰めるとワンツー、左ボディと素早い連打で、2Rからのエンジン爆発を予感させる。
 だが、2Rに先手をとったのは喜入。1R同様右ローをコツコツ当てると、中間距離から左肘一閃。一瞬腰が落ちたように見えた山内に、喜入はパンチのラッシュでスパートをかける。打ち合う山内だったが、途中からガードを固めグローブの隙間から反撃のチャンスを窺う。喜入ペースになりかけていたものの、山内が肘を炸裂させ喜入の頭部を切り裂くことに成功。一気に流れを引き寄せる。
 3R、山内は序盤から肘の連射でペースを掴むと、ロープに詰めパンチを上下に打ち分け連打。一方的な攻撃で会場のボルテージを上げる。だが、喜入もカウンターの右フックを当て、山内を一時後退させるなど意地を見せる。
 その後近距離での攻防になるが、打ち合いでの回転力、威力では山内が上だ。再びプレッシャーをかけパンチをヒットさせると、喜入の頭部の傷口が悪化。大量の出血にドクターストップがかかり、若干手を焼いたものの山内が一回戦を突破した。
 「助走から飛躍へ」。これが山内の今年の最初に掲げたテーマだ。4月、念願のK-1MAX出場で、飛躍を果たすはずだったが、KO負けで悪夢を見る。その次のスターリン戦では引き分けに終わり、なんとか世界に生き残る形となった。
 「トーナメントの優勝は当然」と言っている山内にとって、70'sトーナメントも「助走」に過ぎない。2008年こそ、キックボクシング70kg級最強の称号を得た山内が、「全日本キックの山内ここにあり」と思わせてくれるような大きな飛躍をすることを期待したい。

◆山内「応援してくれたみなさんすみません。いつも『ハートを見せる』と言っていましたが、今日の試合では見せられませんでした。自分の理想の動きとはかけ離れていました。
(相手の印象は?)気持ちが強かったです。でも(攻撃に)重さはありませんでした。相手の攻撃をもらっても『別に』という感じで、心が寒かった。ヤバイと思うことがなかったので、スイッチが入らなかったです。ラウンド入る時に、気合いを入れて行こうと思いましたがダメでした。
(相手の攻撃で効いたのはあった?)最後に大振りの右を目にもらってかすんでしまいました。パンチがないと思っていたので、ガードが甘くなっていましたね。でも効いたわけではないです
(準決勝は白虎[はくと]に決まったが?)今度は対策を練ることができるので、今回みたいな試合にはなりません」

第5試合 Aブロック一回戦 3分5R(延長1R)
○白虎(和術慧舟會RANGER品川ジム/全日本スーパーウェルター級4位・元NKBウェルター級王者)
×クリストフ・プルボー(スイス/スクランブル渋谷/全日本ウェルター級2位)
2R 0'48" KO (3ダウン:右フック)


 1Rは飛び込んでの右ストレート、左右のフックといったパンチ主体でヒットを重ねる白虎。対するプルボーは単発でローを出す程度でおとなしい。だが、組んで白虎を何回も投げ飛ばすなど、節々にパワーの強さを見せる。
 試合が動いたのは2R。早々から白虎がパンチのラッシュを仕掛け、右ストレートでダウンを先取することに成功する。その後すぐに右フックで2度目のダウンを奪い、会場も白虎自身も完全にイケイケのムード。3度目のダウンも右フックで、2Rに入って僅か48秒足らずで3つのダウンを奪い、プルボーを完全KOした。
 プルボーは立ち上がるとなおも白虎に向かおうとする姿勢を見せ、セコンドに止められる。なかなかリングを降りようとしないプルボーは、外から見ていた筆者にも相当な悔しさが伝わってきた。
 対する白虎は、キック7戦無敗で“影の優勝候補”と目されていたプルボーに対し、文句なしの勝利を収め喜びを爆発。今回の勝利は5連敗という過去を帳消しにするまではいかないものの、とても価値のある一勝だ。本トーナメントで、白虎が一気に再生するか? 準決勝の相手はその5連敗の1敗目の相手だった山内だ。

第7試合 Bブロック一回戦 3分5R(延長1R)
×石毛慎也(NJKF・東京北星ジム/元NKBウェルター級王者)
○レイ・スターリン(オランダ/KBアーネム/WFCA世界ミドル級王者)
判定0-3 (野口46-50/豊永47-49/和田47-49)

※2R右フックで石毛に1ダウン

 1R中盤右肘を振るう石毛。肘の攻撃に定評があるだけに、鋭さは抜群だ。その肘は空振りしたものの、スターリンを見据え軽く舌なめずり。ほどなくしてもう一発肘を出すと、今度はスターリンの頬をカットすることに成功する。だが、そこからはスターリンの突進力に苦戦。一気に距離を詰められると左右のフックで襲われ、2Rにはローにカウンターを合わされダウンを先取される。
 3Rから近い距離での攻防が続き、石毛もカウンターを当てるなど負けていない。だが、スターリンの圧力、衰えない手数に石毛は少しずつ消耗。打撃がクロスする時、スターリンの方がコンマ何秒と早く、右ストレート、フックと被弾する。しかも、石毛が肘を出せば、スターリンも肘をお返し。時にはバックハンドブローや前蹴りもヒットさせる。パンチ一つ取っても、石毛の単発な攻撃に対し、スターリンは倍の手数で応戦してくる。
 結局、石毛は攻め込まれ続け、2Rでのダウンも響き判定負け。両足の腿にぐるぐる巻きにされたテーピングが怪我を連想させ、本調子ではなかったのかもしれないが、世界を相手に一歩及ばなかった。

第6試合 Bブロック一回戦 3分5R(延長1R)
○望月竜介(U.W.F.スネークピットジャパン/全日本スーパーウェルター級1位)
×川端健司(チームドラゴン/全日本スーパーウェルター級6位・R.I.S.E. DoAトーナメント'06 3位)
6R 判定3-0 (野口10-9/朝武10-9/梅木10-9)

5R 判定1-0 (野口50-49/朝武50-50/梅木50-50)

 望月が左右のミドルを蹴り込んでいき先手を取る。川端は待ちの様相だが、随所にカウンター、望月のガードの隙間からアッパーを滑りこませるなどヒットを重ねる。望月陣営のセコンド大江慎からは「先!先に蹴る!」という指示。対する川端側のセコンド前田憲作からは「受け、返し!」と、相手の攻撃にロー、アッパーを返すといった指示が飛ぶ。両者セコンドの言葉に忠実に従った動きを見せているようだ。
 手数で若干望月が上回っていたようにも思えたが、本戦では優劣が決まらず延長ラウンドへ突入。川端に肘で切られる場面こそあったものの、望月が手数で勝り、かろうじて準決勝進出に成功した。

◆望月「(作戦は)パンチを防いで、前蹴りで距離を取ってミドルを当てるという感じですね。大体指示通り動けていたと思います。(相手が前に出てこなかったが?)そっちの方が楽でしたね。下がる試合は苦しいですから。今日の試合は体力的にはここ何試合で一番楽でした。
(本戦ドローという結果については?)2ポイントぐらい取ってるかなと思いましたが、ドローが2つ付くとは思いませんでした。びっくりしましたが、気持ちを切らさずに戦いました。6R戦えたのは、セコンドのおかげです。
(次戦はスターリンだが?)試合を見ましたけど、やっかいですね。スターリンに勝つのは大変ですけど、山内選手にリベンジできるチャンスが広がりました。このためにがんばって続けているようなものですからね。
(トーナメントは続くが、今年1年を振り返って?)前半にタイトルマッチができてよかったですけど、後半は自分の慢心で(泰輝に)負けて、7月9月と精神的にキツイ時期でした」



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第4試合 全日本フェザー級挑戦者決定戦 3分5R(延長1R)
×水落洋祐(はまっこムエタイジム/3位)
○上松大輔(チームドラゴン/4位)
2R 0'38" TKO (レフェリーストップ:肘打ちによる額のカット)


 1R中盤、上松が大振りの右肘一発で、水落の額をパックリと割ることに成功する。2Rには逆に水落が肘を返すも空振り。その後も上松がスピードのあるパンチで試合の主導権を維持すると、傷口を広げドクターストップを誘った。
 これで上松が来年1月4日の後楽園大会で、王者・山本真弘に挑戦することが正式決定。60kgトーナメントを制した王者は、この階級で頭一つ抜けた状態だ。その相手に上松がどう挑むのか。王者の牙城を揺るがす戦いを期待したい。

第3試合 バンタム級 サドンデスマッチ(3分3R・延長1R)
○寺戸伸近(BOOCH BEAT/1位)
×ウエンツ☆修一(スクランブル渋谷/3位)
3R 1'51" KO (左ローキック)


 1Rの寺戸は、右ローを中心に試合を組み立てる。2Rからはローの攻撃を加速させ、さらにパンチのコンビネーションを加えて攻撃に厚みをつける。ウエンツはラウンド終盤から足が明らかに効いた感じで、2R終了のゴングと同時に右ローを喰らいマットに倒れ込む。
 3R始まりと同時にセコンドからは「ウエンツどうする!?」と、6戦無敗のホープに「ピンチの時にどう対処すればいいのか」といった一つの試練を与えているような言葉が飛んでいる。「前に出ろ」といった指示も出ているが、寺戸のプレッシャー、足のダメージであっさり後退。寺戸はパンチ→ローの正攻法な攻撃に終始。最後は右アッパー、ローでダウンを奪い、憎らしい程の実力差を見せつけて完勝した。

第2試合 スーパーウェルター級 サドンデスマッチ
×小松隆也(建武館/5位)
○武田一也(JMC横浜GYM)
4R 判定0-3 (野口9-10/梅木9-10/豊永9-10)
3R 判定0-0 (野口29-29/梅木29-29/豊永29-29)

第1試合 フェザー級 3分3R
○倉田光敏(AJジム)
×義和(S.V.G.)
判定3-0 (30-25/30-25/30-25)

◆ オープニングファイト

第3試合 ライト級 3分3R
○白濱卓哉(建武館)
×原田直樹(BOOCH BEAT)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)

第2試合 ライト級 3分3R
×西山洋介(光ジム)
○佐藤 琉(JMC横浜GYM)
1R 1'11" KO

第1試合 ウェルター級 3分3R
○牧平圭太(AJジム)
×増田光紀(超越塾)
判定3-0 (30-26/30-27/30-27)


Last Update : 11/19 09:53

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