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(レポ&写真) [全日本キック] 1.4 後楽園:山内防衛。石川健闘。大月快勝

全日本キックボクシング連盟 "New Year Kick Festival 2007"
2007年1月4日(木) 東京・後楽園ホール  観衆:2050人(超満員札止め)

  レポート&写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】


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第8試合 トリプルメイン(3) 全日本スーパーウェルター級タイトルマッチ 3分5R
○山内裕太郎(AJジム/王者)
×望月竜介(U.W.F.スネークピットジャパン/1位)
3R 2'21 KO (3ダウン:パンチ連打)

※山内が初防衛

助走から飛躍へ。山内が破竹の6連勝

 山内の2006年は5戦全勝3KO勝ち。全て内容も伴った勝ち方で、すっかり全日本キック中量級の顔となった感がある。そしてこの日も陰の実力者・望月竜介相手に内容を伴ったKO勝ちを果たし、破竹の6連勝。「2006年は助走の年だった。2007年は飛躍の年にしたい」と話し、K-1 MAX参戦にも改めて前向きな姿勢を示した。

 序盤は互いに様子見。フェイントをかけつつ、ローと右ストレートを打ち合う。望月は長期戦を意識してか? 左ミドルも駆使し蹴り主体の攻め。得意のパンチはさほど出さない。
 この望月の攻めにやや戸惑ったという山内は、リズムをつかめない様子。3R序盤には望月のローでスリップ。序々に望月の手数が増え、ついに望月の右ストレートがヒット。望月が一気に流れをつかんだかに思えた。
 ところが山内は望月をロープ際に突き放すと、「練習ではよく出せてた」という右ハイキックをアゴ先に当てダウンを奪取。吉武戦白虎戦同様、劣勢からの巻き返しに成功する。
 10カウントギリギリで立ち上がった望月に対し、山内は「セコンドから行けと言われた」という右肘一撃。右ストレートでダウンした望月の頭からは、大量の血が吹き出る。

 後が無い望月は、ドクターチェック後、ついにパンチの打ち合いに踏み切る。場内は大盛り上がり。山内の再度の右ハイをかわすと、強烈な右アッパーの連打で当て、あわやという空気を醸し出すが、白虎との打ち合いを制した山内はただ者ではない。再び前に出ると、ストレートの連打で一気に望月をロープ際へ。パンチと肘の怒濤のラッシュで望月を防戦一方に。最後はレフェリーがスタンディングダウンを宣告し、激闘を制した。

 この日はいつもの2倍の仲間が応援に訪れ、「凄く緊張した」という山内。「1Rは硬かったけど、2Rはエンジンがかかってきて、3Rにはよし行こうと思った」といい、見た感じほど劣勢では無かったようだ。この日でちょうどデビュー5年。1/25には29歳になる。技と体力はもちろん、勝負師としての才覚も、今が一番研ぎすまされている時期かもしれない。

 山内は「見ている人が溜め息が出るぐらい強くなりたい」「有名な人とやりたい。山内が勝てないだろうと思われている人に勝って、強さを見せたい」とも話していた。佐藤嘉洋や小比類巻貴之に負けない体格、武田幸三を彷彿とさせるガムシャラな精神力、そして魔裟斗のような技術バランスと勝負勘。山内はこれらを全て兼ね備えたコンプリートファイターだ、と言うと大げさだろうか? それはこれからの活躍で証明されるはず。溜め息が出るほどの山内の『飛躍』を、僕らは2007年に見ることになるかもしれない。

第7試合 トリプルメイン(2) 58kg契約 3分5R
△石川直生(青春塾/全日本スーパーフェザー級王者)
△ワンロップ・ウィラサクレック(タイ/ウィラサクレック・フェアテックスジム/M-1バンタム級王者)
判定0-1 (野口49-49/豊永49-49/勝本48-49)


石川、殺気みなぎるファイトで殊勲のドロー

 「昨日の夜は全然眠れなかった。戦争に行く人の気持ちを書いた本とかを読んで、殺し合いに行く気持ちを高めていた」という石川。その甘いルックスで、女性人気は高かったが、この日の殺気あふれる泥臭いファイトをきっかけに、男性人気も一気に高まるのではないだろうか。

 石川は回って距離と取りながら右ストレートと右ローを狙うが、ワンロップは随所で左ストレートをうまく当て、1Rから主導権。2Rには肘打ちで石川の目尻を切り裂く。
 ドクターチェックを受けた石川。「パンチも結構重かった。ワンロップがバンタム級じゃなかったら1R目で倒れていた」というほど苦戦していたが、再開後からカウンターの右ストレートが当たりだす。3Rには右ストレートと左フックで2度ワンロップをぐらつかせ、まさかの巻き返しを見せる。

 とはいえ「隙ができてもすぐ距離を潰したりして立て直すのが速い」と石川が評したように、ムエタイは奥が深い。4Rはワンロップの肘と左ストレートを浴び、再び劣勢に。ところが後半には右ローの連打で下に意識を向けた後、右ストレートをヒット。キックデビューから8年に達しようとしている石川も、随所で技が冴え、簡単にポイントを取らせない。
 さらに最終ラウンドには肘の打ち合いに応じ、ワンロップの頭部をカット。ワンロップの飛び蹴りを右ストレートで迎撃する等、度々見せ場を作る。ワンロップは再三に渡って石川を組み倒し、逃げ切りに成功したが、負けだけはなんとか阻止したいう格好。山本元気戦の時とは違い、ドローの判定にも納得した様子だった。

 大会後のインタビューで、石川は「後になったらだんだん引分が悔しくなるかもしれないけど」と言いつつ、「ワンロップは想像していたほど強く感じなかった」「今日は凄く面白かった」と話し、充実感たっぷりの様子。この日石川の試合を見た観客もみな同じ感想を持ったはずだ。
 10月に全日本キックが代々木競技場第二体育館に進出するという話を聞くと、石川は目の色を輝かせ、「メインでやりたい。相手?一人しかいないんじゃないですかね?」と話した。名前こそ口にしなかったが、それは前からライバル視し続ける山本元気のことだろう。対ワンロップということに関しては、元気と同じドローという結果を残した。代々木大会はまだ9か月以上先の話のため、二人のその間の対戦相手によっては流れが変わってくるかもしれないが、この日の結果をきっかけに対決への期待感が以前よりも高まったことは確かだ。
 

第6試合 トリプルメイン(1) ライト級 3分5R
○大月晴明(AJKF/WPKC世界ライト級王者)
×ジョン・スーミン(韓国/韓国格闘技協会ライト級王者)
1R 2'07" KO (左ボディブロー)


豪腕復活・大月晴明、今年は連戦を約束

 大月が顔を突き出し前後左右に振る独特のスタイルでペースを握ると、ローキックで下に意識を向けた後、右のフックでダウンを奪取。コーナーに詰められる場面もあったが、前蹴りで距離を取る。最後は左ハイを当てた後、ロープに追いつめての左ボディ一発で豪快にマットに沈めた。

 相手の情報不足で「もう3段階強い奴だと警戒していた」という大月だったが、あっけない勝利。「勝ってうれしいけど、もうちょっとやりたかった」「ミスが多かった」とは言うが、前回11月の復帰戦のような硬さはあまり感じられず、試合勘はだいぶ取り戻せた様子だった。
 マイクアピールでは「今年はもうちょっと試合がしたいです」と発言。バックステージでは「次の試合は内緒でタイでやりたい」と冗談めかして話したが、2007年のキック界で猛威を振るってくれることは間違い無さそうだ。

第5試合 セミファイナル 70kg契約 3分5R
×佐藤皓彦(JMC横浜GYM/全日本スーパーウェルター級5位)
○クンタップ・ウィラサクレック(タイ/ウィラサクレック・フェアテックスジム/M-1スーパーウェルター級王者)
判定0-3 (和田47-49/朝武46-49/野口46-50)

※2Rパンチで佐藤に2ダウン

“ハマのプリンス”佐藤、2007年こそ大ブレイクか?

 下馬評では圧倒的不利と予想されていた佐藤。案の定、ローを効かされた後、2Rに左フックとパンチの連打で2ダウン。左目も腫らし、万事休すかと思われた。
 ところが3R、攻めづかれたクンタップに対し、前蹴りをきっかけにペースを握り、右の肘打ちで再三ひるませる。ジャッジ2者はこのラウンド佐藤優位と評価した模様。4R以降は失速したものの、フルラウンド戦い抜いた。
 去年は同門で3か月入門が遅かった大輝の方が大ブレイク。だが大輝は負傷のため今回のゲンナロン戦をキャンセル。佐藤は「今日は1人で2人分盛り上げてやろうと思います」と大会パンフのインタビューで話し、その通りの活躍をした。2007年は大輝に追いつき追い越すか?

第4試合 72kg契約 3分5R
×MAD☆BULL(韓国/韓国国際キックボクシング連盟ミドル級&ヘビー級王者)
○ゲンナロン・ウィラサクレック(タイ/ウィラサクレック・フェアテックスジム/M-1ウェルター級王者)
2R 0'40" TKO (ドクターストップ:肘打ちによる左まぶたのカット)

第3試合 ライト級 3分3R
○野間一暢(JMC横浜GYM)
×HIROAKI(峯心会)
判定3-0 (30-29/30-29/30-27)

第2試合 ライト級 3分3R
○寺崎直樹(青春塾)
×濱島康大(はまっこムエタイジム)
1R 0'40" KO (右ストレート)

第1試合 フェザー級 3分3R
○倉田光敏(AJジム)
×梅原ユウジ(REX JAPAN)
判定3-0 (30-28/30-28/30-28)


■オープニングファイト

第3試合 フェザー級 3分3R
△上杉隼土(超越塾)
△九島 亮(AJジム)
判定0-0 (30-30/30-30/30-30)

第2試合 ライト級 3分3R
△丹藤義則(AJジム)
△森 直樹(峯心会)
判定1-0 (30-30/30-29/29-29)

第1試合 ウェルター級 3分3R
○倉持 巌(超越塾)
×西山洋介(光ジム)
2R 0'20" KO


Last Update : 01/06 16:41

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