秋本はプロデビューしてからもうすぐまる４年を迎える。年齢も28とベテランの域に達し、そろそろポジションを築きたいところだ。入場式の際には、選手代表として、挨拶も行った。「今、修斗はブームだと言われています。しかし、打ち上げ花火に終わらせてはいけない、一時的な客寄せのイベントになってはいけないと思っています。だから、ファンには媚びません。ファンを信頼しているから、派手な大技をやらなくても、勝つためにベストをつくせば、技術の高さは理解してもらえるものと思っています。そういう理解者は増えていると感じています。一見地味と思うかもしれませんが、日本、いや世界的にもトップレベルの闘いです。見てやって下さい」とこの大会にかける意気込みを語った。
　一方の廣野は、小柄な、アイドル顔の若手。胸に黒トカゲのマークをつけ、試合中でもセコンドと大声で会話をし、舌を出す。奔放な魅力のある選手だ。

　廣野155cm、秋本167cm。この組み合わせも相当の身長差がある。
　秋本のパンチを下からかいくぐるように組み付く廣野。ロープに押し込んでいくが、体を返され、逆に押しつけられる。膝の打ち合い。腿へと低く打っていく秋本に対し、廣野は、顔面を狙って高々と膝を打ち上げる。さらには、両者の間に空間があいたと見るや、組み合ったままで思い切りミドル。
　秋本がテイクダウンに出る。廣野はハーフガード。密着して下からパンチを打ち、足で突き放す。猪木・アリ状態。蹴りにいく秋本。それを下から跳ね上がるようなキックで迎撃する廣野。踏み込んで上からパンチを落とす秋本。
　ここで１ラウンド終了。

　２ラウンド、またもやパンチの打ち合いからうまく組み付く廣野。今度はテイクダウンに成功する。膝を入れて体勢を起こし、立ち上がろうとする秋本だが、廣野も、宇野を初めとする慧舟會セコンド陣のアドバイスに従って押さえ込みを続け、さらには秋本を差して持ち上げ、落としたタイミングで見事にパス。トップ・ポジションを奪い、一気に打撃に出る。だが、秋本も、打撃に入って押さえ込みがゆるんだところを逃さず、ハーフガードに戻していく。

（山名尚志）

［第１試合］戸井田×勝田

［第２試合］西澤×勝村

［第３試合］竹内×鶴巻

［第５試合］植松×ペイン

＜大会総評＞

＜全試合結果＞