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全日本キックボクシング連盟「THE CHAMPIONSHIP」
2001年1月4日(木)東京・後楽園ホール 

第3試合 第12代・全日本ライト級王座決定戦/5回戦 
同級1位
金沢久幸
(TEAM-1)
判定3-0

50-44,50-46,50-45
同級3位
林亜欧
(S.V.G.)
×

※金沢が新王者に。

小林聡の返上に伴い空位となったライト級王者決定戦は、前王者で現1位・金沢久幸が3位・林亜欧を序盤からダウンを奪う終始優位の展開。林の驚異的な巻き返しも見られ熱戦となったが金沢が逃げ切り。王者に返り咲いた。
直前の試合で後輩である千葉友浩の不甲斐ない試合ぶりに金沢は激怒。「もっとプロとして気持ちを出せ」という怒りをジムのリーダーとして試合で身を持って示すことを決意。
そしてそれはリングインから実行に移される。コール時から林に額を付き合わせてガンを飛ばし、なにやら挑発。そしてゴング直後いきなりローからハイキックをヒット。さらにワンツーを効かせると左右フック連打。そして必殺飛び膝蹴りにバックブローと、あわや秒殺も予感させた怒濤のラッシュだった。

しかし林はここで猛反撃に出る。新人時代からホープとして脚光を浴びながらも足踏みが続いてきた林はキャリア10年目で初のタイトルマッチ。いつの間にかジムの中でも年上の方になって下から見られる存在にもなり、先輩としての意識も出てきた。加えてS.V.G.勢は今回タイトルマッチに4人もの選手を送り込んでいる。みんなが頑張る中、自分だけ変な試合をするわけにはいかない。
「拳が痛くなるくらい殴った」と金沢が言うほどの猛ラッシュに、一瞬崩れかける林だがすぐに立ち直り反撃開始。左フックを金沢のガードの低い顔面にヒットさせと左ミドルを連打していく。この攻撃に金沢は鼻血、さらに目尻をカット(肘か?)し後退。しかしここから金沢はバックブローをヒットさせ右ストレートで追い打ち。思わず腰の落ちた林の顔面に再び右を合わせると、林尻餅をつくようにダウン。しかしここからが林の本当の逆襲の始まりだった。

ダウン後の金沢のラッシュを凌いだ林は、2R以降「攻め疲れ」でスタミナの切れた金沢に対し、ジャブをもらいながらも前進。左ミドルを連打、肘、膝蹴り、さらに回転肘まで繰り出し金沢を後退させる。その姿に場内も大声援。これまでになかったような集中力を魅せる林だが、一方の金沢も負けられない。「もし不甲斐ない試合をしたら、ジムをたたんでキックを辞める」と試合前に決意していただけあって、スタミナが切れフットワークこそ使うが疲労困憊のノーガード、身体が思うように動かなくなっても攻撃の手はゆるめない。中盤以降は林の首相撲を嫌って前蹴り、パンチを中心にボディへ的を絞る。フラフラになりながらもそれでも執拗に前に出る林。それに応える金沢。技術戦からは遠く離れたところにあるが、両者の気持ちは伝わってきたこの一戦は、結局手数で金沢が上回り、初回のダウンもものを言って文句なしの金沢の勝利。小林によって一度は手放されたベルトを再び己の腰に取り戻した。

「結局は気持ちなんです」と言う新王者は林のファイティングスピリットを褒め称える。「これまでにもらったことのないような痛さでした」。林との再戦も示唆した。
また、ライト級王者として防衛していく一方で、「(国際戦など)防衛戦以外の試合は1階級上(スーパーライト級)で試合がしたい」と減量苦も告白。新スタイルも実験段階だという金沢は、これで戦績を34戦20勝(11KO)10敗3分とした。

一方の林。「今回は今までにない最高の体調とモチベーションでこの試合に臨んでいた。金沢の入場をまっている間も待ちきれないくらいだった。パンチが当たったので行けるかなと思ったけど、膝の距離に思うように行けなかったのが敗因。満足はしてないけど、前向きに考えたい。これからも頑張ります」と決意を語った。これまで素質は感じさせてはいたもののひ弱さも同時に垣間見せていた林、どうやらこの試合で一皮むけたようだ。林はこれで27戦10勝(3KO)12敗5分。

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レポート:新小田哲  写真:菊地奈々子

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