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Report

Seido-kaikan第2回ウエイト制オープントーナメント 全日本空手道選手権大会2000
(正道会館主催)9月10日 大阪府立体育会館


後藤龍治参戦、審判特別賞を受賞

会場のどこにいてもすぐに判る金髪。本戦には残れなかったものの、後藤は午前中に一番会場を沸かせる試合を繰り広げ注目を集めた。ここでは彼の中量級Cブロックでの3試合を振り返ってみたい。(予選のため審判は3名)

一回戦

後藤龍治(士道館)vs笠原誠吾(東京本部)

後藤はバックステップで相手の様子を見る。笠原は、崩して後藤を倒し、中段の回し蹴りで押していく。後藤の表情はゆとりを見せるが、まだエンジンがかかっていないように見えた。(判定0−0)

延長に入って前半は笠原が後藤を追いかけて回し蹴りで押していく。後藤も蹴りでペースを作ろうと上段から下段と攻めていく。後半になると表情も良くなりペースを握っている場面も多いが、手数で笠原が優勢に見えた。(判定2−0)

審判が笠原の勝ちを知らせた。が、ここで審議委員席の角田信明が動いた。審判を集め、前半の笠原の攻めにたいし、後半は後藤がイニシアティブを取っていたので五分であるとの判断を伝えた上で再審判を命じたのである。判定は覆り再延長が決まった。
一度終わったと思ったところでの再延長戦。 このチャンスを無駄にはしないとばかり、後藤の動きはがぜん良くなった。下段の蹴りとフットワークで自分のリズムを取り戻し、両手で手刀での鎖骨打ち、そしてキックボクサーの本領を発揮したスピーディな右の下段の蹴りを出す。これが決まると表情もより良くなり、終了間際には、下段で相手を崩し、中段の蹴り、そして跳び蹴りまで披露。完全にペースは後藤のものとなった。
(判定0−3)勝者:後藤龍治(士道館)

二回戦

後藤龍治(士道館)vs浦谷武司(内田塾)

他流派どうしの対戦となった二回戦。互いに間合いを取り合って行くが浦谷は蹴りから突き、突きから蹴りとどんどん押してくる。バックステップから間合を取る後藤に対し、体の面をかえて攻撃を合わせにくくする浦谷。どちらも、トリッキーな選手と見えた。後藤は攻めをもらわないかわりに、自分も攻めきれず、終了間際には、またも跳び蹴りが飛び出した。(判定0−1)

延長に入って、間のとりあいから、後藤は、体の中央へ突きを集めていく。浦谷は外からの突きで攻めて、重い攻撃で押してくる。互いに近い間合いで突きとヒザを出しあう。どちらも、譲らないかった。(判定0−0)

再延長戦に入り、後藤のフットワークが断然良くなる。試合をすることでペースが出てくるのか、時間が経つにつれ元気が出てくる。対戦相手としてはやりにくいに違いない。一回戦の再延長戦で見せた手刀からの下段の蹴りが出てくると試合は後藤のものだった。(判定3−0)

三回戦 後藤龍治(士道館)vs村尾健司(南大阪)

村尾は強気の組み手で前へ前へと打って出てくる。開始早々に互いに近い間合いでの突きと下段の蹴りの応酬。スロースターターの後藤がここでペースが出てきて蹴り、手刀と手を繰り出す。しかし負けじと村尾は下段の蹴りで、押しかえしていく。後藤はここまでのフットワークを捨て、まさに正面突破型の空手スタイルで、空手家である村尾に向かい合っていく。意地と意地がぶつかり合う両者の白熱の攻防は、午前中の予選全クラスを通じてベストマッチとなっていった。(判定0−0)

延長に入り、後藤は突きを中央に集め、体の外からの下段の蹴り、ヒザ蹴りと攻め続ける。一方村尾は後藤の蹴り足をとって、下段の蹴りを入れるなど、攻撃を見極めて、返していく。後藤が、得意の、手刀からの下段の蹴りを出すと、”正しい手刀はこうするものだ”いわんばかりに手刀を返してみせる。村尾の手刀を見た後では、後藤の手刀はいわゆる”空手チョップ”にしか見えなかったが、攻める後藤の表情は、真剣さの中に楽しんでいる様子も見えた。試合は村尾が取った。けれども試合後の拍手は、いい試合を見せてくれた両選手に送られたものだった。


各賞受賞選手

審判特別賞:後藤龍治(士道館)
審議員特別賞:安廣一哉(東京本部)
最優秀選手賞:ハリス・ライズ(スイス)

記事表紙軽量級中量級軽重量級重量級後藤龍治が参戦大会総評

レポート:仲村直  写真:井田英登

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