PRIDE 男祭り 2003

2003年12月31日(水) さいたまスーパーアリーナ
第1試合
× 美濃輪 育久 セコンド:ムリーロ・ブスタマンチ、他???
クイントン“ランペイジ”ジャクソン
3R(10/5/5) 2R 1:05
TKO レフェリーストップ グラウンドでの膝蹴り
※ ブラジリアン・トップ・チームで武者修行をした美濃輪が2003年2月以来初めて日本のリングに上がる。正に大抜擢に登場である。
PRIDEミドル級ナンバー2である実力者ジャクソンとは体格差も大きいが、それも望むところ。
 しかし、試合が始めるとその体格差がテイクダウン、グラウンドポジション面でもろにジャクソンに有利に働く。
 それでも何とか極めようと積極的に動く美濃輪であったが、
何十発と繰り出されるジャクソンの強烈な膝蹴りをガード上・直接問わず何発もいいのをもらい続け、
もうこれ以上は無理と判断したレフェリーが試合を止める。
 あの状況で2Rまで闘ったこと自体が凄いが、試
合を止められてもなおジャクソンに立ち向かって闘おうとする姿は格闘家として素晴らしいの一言に尽きる。
 苦しい状況にありながらも、もしかして一本取るのではなかろうかと期待をさせる場面を何度か見せた。
 試合後リングを立ち去る美濃輪は、勝者ジャクソンが讃えられているリングを何度も振り返りながら大声で叫び続ける。
それを負け犬の遠吠えと見る者がいるかも知れないが最後までプロレスラー美濃輪としてカメラの注目を集めた。

第2試合
ヒース・ヒーリング
× ジャイアント・シルバ
3R(10/5/5) 3R 0:35
チョークスリーパーホールド
※ かつてジャイアント・シンとともに新日本プロレスで活躍したシルバが突如PRIDEリングに現れる。
 ヘビー級の中でもトップクラスの体格を誇るヒーリングでさえ230cmという大巨体の前では霞んでしまう。
 シルバは巨体でありながらヒーリングの動きに対ししっかりと反応し、
信じられない高さからヒーリングの頭上に何度も鉄槌を浴びせかける。
 どう攻略していいか糸口の掴めないヒーリングは距離を計りながら近づいてはテイクダウンを試みるものの極めるまでには至らない。
一方、巨体で押し潰してパンチ連打で倒すしか作戦も技術もないシルバはヒーリングのアグレッシブな動きを捕えることができない。
 しかし3R、スタミナの切れた巨人を倒し初めて決定的な場面を迎えると裸絞めで捕らえ勝利をもぎ取った。

第3試合
桜井”マッハ”速人
× 高瀬 大樹
3R(10/5/5)
判定 3-0

第4試合
× 小路 晃
ムリーロ・ニンジャ
3R(10/5/5) 1R 2:41
KO 顔面への膝蹴り

第5試合
吉田 秀彦 セコンド:高坂剛、他???
ホイス・グレイシー セコンド:ホイラー・グレイシー、他???
10×2R
時間切れ引き分け
※ 1年4ヶ月ぶりに実現した因縁の一戦。
 吉田のデビュー戦となったDynamite!では観客もレフェリーも誰もが見慣れない袖車絞めという技で
ホイスからレフェリーストップを奪うも、完全には極まっていなかったことが後で判明する。
 試合を第三者により介入されることを嫌うホイスはその判定を不服とし、以降PRIDEだけでなく日本のリングで闘うことを避けていた。
 しかし、吉田との再戦を申し込まれたホイスは試合時間を10分2ラウンド、
骨折・流血などの事態を除きレフェリーの絶対不介入、不当な判定結果を避けるため時間切れの場合は引き分け、
レフェリーは日本人ではなく中立かつ冷静なジャッジで知られるマット・ヒュームが行うという特別ルールで
ようやく真の決着をつけるためPRIDEリングに帰って来た。
 ホイスの並々ならぬ復讐心とDSEの派手な宣伝活動に反して吉田のこの一戦にかける意欲は薄く、
後に「あの試合は受けるべきではなかった」と告白したことが頷けるように試合は終始、ホイスの有利な展開で動き、
両者決定的な場面こそ無かったものの火を見るより明らかなホイス勝利の引き分けであった。
それはホイスがギを脱いで闘ったことも、インローの蹴り上げが吉田の股間に直撃したことも言い訳にできない程の内容だった。

第6試合
× ドン・フライ
ゲーリー・グッドリッジ
3R(10/5/5) 1R 0:27
KO 右ハイキック
※ ともにUFC黎明期を支えて来た友人二人がグッドリッジの引退試合で再戦することとなった。
 確かに全盛期の勢い・体力は無く、頂点を狙うには強者が集まり過ぎたことは否定できないが、
多くの人が引退するにはまだ早いと感じていた。
 しかし試合が始めるとそんな感傷にふける暇も与えず、渾身の右ハイでフライを失神に追い込む。
 引退試合と銘打たれた一戦でファンや関係者から華々しく送り出されたグッドリッジであったが、
引退理由の一つであった家族の問題が解決したことと、まだやれるのではと手ごたえを感じたあの右ハイで、
舞台をPRIDEからK-1に移し現役復帰を遂げている。

第7試合
× 坂田 亘
ダニエル・グレイシー
3R(10/5/5) 1R 7:12
腕ひしぎ逆十字固め

第8試合
近藤 有己
× マリオ・スペーヒー
3R(10/5/5) 1R 3:27
TKO ドクターストップ グラウンドでの顔面への膝蹴りにより出血
※ 現役パンクラシストとして、そしてパンクラス代表としてPRIDEリングに初登場の近藤有己。
相手は世界でトップクラスの実績を持つマリオ・スペーヒー。それだけにパンクラスという団体の真価が問われる一戦。
 試合時間こそ短かかったが互いのいい所が出た一戦であった。

第9試合
田村 潔司
× ロニー・セフォー
3R(10/5/5) 1R 2:20
腕ひしぎ十字固め
※ 猪木祭り、Dynamite!!と格闘技興行が3つも重なりほとんどの試合が直前になって決まるという
異常な大晦日を最も大きい問題として象徴したした試合であった。
 ほとんどの選手が試合1ヶ月もない時期に参戦オファーを受けているなかで、
元々総合とは無縁のロニー・セフォーは総合に向けほとんど練習をしておらず、し
かも総合ルールで闘ったため、田村の高い実力の前にあっさりと敗れてしまう。
 ロニーの爆発的なパンチ力をどのように田村がかいくぐるかという当たり前の緊張感はあったものの、
それを除けば全く見どころも面白味も無い虚しい試合内容だった。

第10試合
× 桜庭 和志
アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ
3R(10/5/5)
判定 3-0
※ この一戦にもやはり興行の論理に振り回された桜庭の苦悩があった。
 膝の状態が思わしくない桜庭は当初参戦を拒否していたがヒョードルの参戦が微妙で、
シウバとノゲイラは完全回避、ミルコは猪木祭り参戦というPRIDEの非常事態を受けやむを得ず
PRIDEの顔としてメインイベントに登場する。
 対するホジェリオは闘い方に派手さは無いものの間違いなくPRIDEミドル級トップの選手である。
桜庭の体調が万全であったとしても勝敗を予想するのは難しい相手だ。
 注目の入場シーンでは裏の紅白歌合戦の小林幸子をイメージさせる派手ないでたちで登場しファンを大いに沸かせる。
 しかし試合が始まるとトレーニング不足と膝の状態の悪さを露呈した桜庭は、
最後までホジェリオに試合をコントロールされ完敗を喫す。
 盛り上がる格闘技バブルはとても喜ばしい現象だが、その陰でこうした試合が組まれてしまったことは、悲しいの一言に尽きる。


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