(レポ&写真) [修斗] 2.17 横浜:青木防衛。中蔵&田村が環太平洋王者に
サステイン "プロフェッショナル修斗公式戦 Supported by Crymson 〜 BACK TO OUR ROOTS 〜" 2007年2月17日(土) 神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール 認定:インターナショナル修斗コミッション
レポート:本庄功志 写真:井原芳徳 【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】
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第7試合 メインイベント 修斗世界ミドル級チャンピオンシップ 5分3R ○青木真也(パラエストラ東京/世界王者) ×菊地 昭(KILLER BEE/世界1位・環太平洋1位) 判定2-1 (鈴木28-29/横山30-28/菅野29-28) ※青木が初防衛
青木の心、修斗にあらず。これは否めないようである。菊地を返り討ちにした青木は「ミドル級に相手います?もっとワクワクする試合がしたい」と話した。既にその心は、青木の言うワクワクする相手が集結するであろうPRIDEライト級GPに向かっている。今回の試合は世界タイトルマッチながら、消化試合のような感覚に陥ったのは筆者だけか。
とはいえ試合内容ではしっかりと魅せてくれた。1R、青木はいきなり観客を驚かせる。菊地の胴体に両足で絡み付くと、相手の右手を掴み、相手の背中で腕をコントロール。左手しか自由の効かない菊地は防戦一方に。青木は掴んでいる菊地の腕を、左手で肘を上げるように極めにかかる。かなり深く極まるも、青木はそのまま三角絞めに移行。もはや試合がワンサイドの模様を呈してきたが、菊地はなんとか脱出し、パウンドを数発打ったところでラウンドが終了。 2Rも青木ペースは変わらず、下から腕十字、オモプラッタを狙いグラウンドを完全支配。上から菊地のパウンドを数発もらうも、試合が逆転するほどではない。しかし、後々ジャッジの採点を見ると鈴木レフェリーが9-10で菊地を支持し、パウンドを評価していた。
最終ラウンドはローブローをもらう場面があったものの、打撃を被弾することもなく距離を潰して試合終了を待った。判定はスプリットながらチャンピオンに軍配。菊地相手に何度もチャンスを作ったのはお見事としか言えない。極められなかったのは“寝技大魔神”菊地の意地だろう。 「今後の防衛プランは?」とリングアナに聞かれた青木は、「このリングで偉そうなことを言いますが、今年はPRIDEライト級GPを目指してがんばります。修斗のチャンプとして必ずベルト獲ってきます」と表明した。
◆青木「(試合の感想)俺こんなに強かったかな?と(笑)。前回はこっちが先手を取って勝つことができました。今回は向こうが積極的に来て、こっちが横綱相撲で返しました。悪いけど、完全に実力差あったと思いますよ。パスガードもさせないし、キャッチも取っている。寝技に関しては、やっぱり強いな俺、と。
(菊地と対峙してみて)一番感じたのは体格差。普段は向こうが80kgから落としてきて、こっちは普段でも75〜6ぐらいですからね。73の選手が上の選手とやっても、自分が勝つということですね。 (菊地の上からのパウンドは?)まったくいいパウンドもらっていななかったんですけどね。パウンドしてきたら腕取ってやるよという感じでした。(一本取れなかった原因は?)殺気ですね。相手の腕を折ろう、殺そうというのがなかった。これからは殺気のあるサブミッションを狙いたいです。(途中のローブローは?)勝つ手立てがあのくらいしかなかったんじゃないですかね?向こうが手詰まりだったなというのは感じました。 (今回1年ぶりの再戦だったが?)また?という感じで特に興奮もしませんでした。もっとワクワクする試合がしたいです。前回のハンセン戦。一度計画されたメレンデス戦。武士道でのジェイソン・ブラック戦、クレイ・フレンチ戦のような、お客さんが見て興奮する、夢のある試合がしたいです。 (これからの修斗の試合は?)2年連続で同じ試合で、ミドル級で他に見たいカードあります? 1年経って他の選手が育ってワクワクするようなカードがあればいいですけどね。(判定が割れたことについては?)全くもって意味わかりませんね。自分がキャッチも取っていたし、これについては少し腹が立っています」
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第6試合 セミファイナル 修斗環太平洋ウェルター級王者決定戦 5分3R ○中蔵隆志(シューティングジム大阪/世界4位・環太平洋1位) ×廣田瑞人(GUTSMAN・修斗道場/世界8位・環太平洋3位) 判定3-0 (菅野30-27/鈴木29-27/横山30-27) ※2R右ストレートで廣田に1ダウン ※中蔵が新王者に
試合はスタンドのパンチ合戦に終始。1Rからヒット数で勝った中蔵が、2Rにワンツーでダウンを奪い、一気に攻勢。飛び膝を被弾する場面が見られた中蔵だったが、持ち前の打たれ強さでなんのその。廣田のパンチの有効打はほとんどもらわず、「1Rは相手威勢よかったですけど、2Rは自分がパンチをヘッドスリップでかわしていたので、焦ったと思う」と中蔵は振り返る。結局ダウンを奪い、決定打をもらわなかった中蔵が悲願の修斗ベルトを戴冠。 中蔵はマイクで「負けたら(ベルトを)パクって帰ろうかなと思いました。今まで一番になったことなかったので、今回も二番で終わるのかなと思っていたのでよかったです」と話した。
◆中蔵「勝ったから言えますけど、バックステージでスーッと何かが抜けたんですね。今日勝つんじゃないかと思いました。相手は無敗だったので、イメージが掴みづらかったです。あとはパンチのハンドスピードが速かったですね。(ダウンを奪ったパンチは)スコーン抜けましたね。(ベルトを争う相手が廣田に決まって)すごい嫌でした。ストライカーだし。でも、1Rは相手威勢よかったですけど、2Rは自分がパンチをヘッドスリップでかわしていたので、焦ったと思う。 次は、歳も歳なんでこのままの勢いで世界に・・・でも無理かなぁ?ここから上はズバ抜けていると思うんですよ。とりあえず、このベルトは防衛戦をやっていない呪いのベルトなんで、防衛戦をやらせてあげたいですね」
第5試合 修斗環太平洋ライト級王者決定戦 5分3R ×不死身夜天慶(シューティングジム横浜/世界4位・環太平洋1位) ○田村彰敏(津田沼道場/世界7位・環太平洋3位) 判定0-3 (横山28-29/菅野28-29/鈴木27-29) ※2Rグローブをつかむ反則により不死身夜に減点1 ※田村が新王者に
不死身夜は右ボディ、左フックのコンビネーションが強烈。大砲のような左右のフックを浴びせるも、田村のガードは固い。 2R、不死身夜のパンチに合わせて、田村が初めてのテイクダウンに成功する。素早くバックに回ると、スリーパーを狙い大チャンス。足をしっかりフックし、極めに入るも不死身夜が田村のグローブを掴んで外そうとし減点1。田村はこのラウンドを完全に取る。
最終ラウンドは、不死身夜が前へプレッシャーをかけ続け、右フックをヒットさせるも倒すまでには至らない。田村はラウンドを通じて、蹴りを有効に使い、タックルを再三狙うも、不死身夜を転がすことができず試合終了。 判定は三者とも田村を支持。不死身夜のグローブ掴みの減点がなければドローだが、グローブを掴んでいなければ2Rの時点で勝負は決まっていたかもしれない。田村はマイクで「次の防衛戦をクリアして、リオン選手のベルトに王手をかけたい」と、因縁のSTG横浜所属の現世界王者に宣戦布告をした。 ◆田村「最高です!これが欲しくて、修斗をずっとやっていてよかったです。3Rかけてしつこく相手の腕と足を蹴りで壊せていけたらなと思っていました。2Rのスリーパーで、極められずちょっと疲れましたね。でも相手も疲れたと思いますよ。(防衛戦でやりたい相手は?)戸井田選手とやってくれって言われています(笑)。やりにくそうですね。独特のスタイルを持っているので」
第4試合 ライト級 5分3R ○リオン武(シューティングジム横浜/世界王者) ×阿部裕幸(AACC/環太平洋6位) 1R 4'00" TKO (レフェリーストップ:右ストレート) ※1R左フックでリオンに1ダウン
試合開始早々、阿部が突進して足関節を狙い奇襲。「良い入りでした」と評価したリオンだったが、冷静に対処しスタンドに戻す。スタンドでは、リーチ差もありリオンのジャブがおもしろいようにヒットし、右の強打を着々と狙う。 しかしリオンは「攻撃に気をとられて、ガードが下がってしまいました」といい、ベテランの阿部はそれを見逃さずに左フック一閃。リオンがダウンすると、まさかの展開に会場は沸く。 なおも追撃する阿部に、被弾したリオンはまたもダウン気味に倒れる。しかしレフェリーはノーダウンを宣告。タックルで逃れるリオンに、がぶって鉄槌を連打する阿部。まさかの世界王者の姿に、勝負ありかと思われたが、ここからがリオンの王者たる所以だ。 阿部がスタンドでの勝負を望み、パンチ戦に誘うと、リオンは狙いすましたように右ストレートを振り抜き一発KO。リオンは喜びもせず、淡々と自陣コーナーに戻り「ダメだ」というような顔で終始反省気味。観客に手を合わせ侘びると、足早にリングを後にした。
◆リオン「パンチ効きましたねー。シャープな打撃でした。(試合のダウンは)練習でも無いですね。初のダウンです。(ダウンして気持ちは?)やばいなと思いました。でも自分のパンチも当たれば倒れると思っていたので。(フィニッシュショットは)感触はなかったですね。スコーンっと振り抜けました。こんな危なかしい勝ちより、もっと圧倒的な勝ちがいいですね。でもたまにはこういう勝ちもいいんじゃないですか。お客さん沸きましたしね」
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第3試合 ウェルター級 5分3R ×天突頑丈(PUREBRED大宮/世界7位・環太平洋2位) ○遠藤雄介(GOKITA GYM/世界9位・環太平洋7位) 判定0-3 (鈴木28-29/横山28-30/若林27-30)
遠藤が踏み込んで左フックをヒットさせると、それを皮切りに右アッパー、右フックを当て打撃戦の主導権を握る。テイクダウンを取られても、天突の得意のパウンドを防ぐ。突進型の天突を上手くいなすように、次々とパンチを当てていく遠藤。最終ラウンドは、相手にサイドを取らせ、顔を若干腫らすも、試合を通じてはスタンドの実力差がハッキリしていたように思えた。
◆遠藤「頑丈でした(笑)。今回すごい勝ちたかったので、しっかり練習してきました。それが勝因ですね。天突選手は、前回とあまり印象は変わっていないですね。(パウンドを全てかわしていたが?)割とまっすぐなパウンドなので、かわせるんですね。パウンドよりも気持ちが怖い選手。次の対戦相手は、上の選手しか残っていないと思う。個人的には意識していません。練習をしっかりやるだけですね。(今後の目標は?)負けないことです」
第2試合 ウェルター級 5分3R △冨樫健一郎(パラエストラ広島/環太平洋8位) △朴 光哲(KILLER BEE/環太平洋元王者) 判定1-1 (菅野28-30/鈴木30-28/横山30-30)
ジャブ、ストレートでコツコツ攻める冨樫と、フェイントを混ぜながら一発を狙うフック主体の朴。スタンドは朴の左フックが度々ヒットするも、冨樫もボクシングで応戦する。 2Rに朴がテイクダウンに成功するも、冨樫が素早く腕十字をキャッチ。しかし、片足のフックが甘く外れる。結局、スタンドでも両者決定打なくドロー。決定打がないというよりも、決定打を当てさせない両者のスキルの高さが窺える一戦だった。
第1試合 フェザー級 5分3R ×水垣偉弥(シューティングジム八景/世界7位・環太平洋5位) ○山本 篤(KILLER BEE) 判定0-3 (鈴木28-29/菅野28-29/若林28-29)
パンクラスフェザー級で活躍し、修斗初参戦の山本。煽りVTRでは“他プロモーションで活躍した”というように紹介される。山本の修斗初戦はインパクトを残すことより、勝ちに徹したようだ。 両者パンチを打ち合った後、山本はテイクダウンを狙いタックルを連発。水垣は1Rこそ切り続けるも、2Rからは上を許すように。しかし、下からも極めを狙い、3Rには三角絞めが極まるまであと少しという場面も。山本は、相手に立たれてもしつこく片足タックルで上のポジションをキープし続けるが、水垣に際立ったダメージは与えられない。判定はポジショニングで有利に動いた山本が勝利した。
◆山本「感想は試合したっけな?という感じですね。相手はパンチが優れているので、パンチで勝負しようと思いましたが、手足が長かったんで、パウンドでやってやろうと思いました。水垣選手は一番やりたくない相手でした。上手い選手でしたね。今回堅く勝って、次はタイトルに挑戦したいですけど、ダメだったら大沢選手辺りとやりたいですね。アピールは全然できなかったので、次は違う山本を見せたいと思います」
2006年 新人王決定トーナメント 表彰式
■フライ級 室伏シンヤ(SUBMIT静岡) ■バンタム級 神酒龍一(GUTSMAN・修斗道場) ■フェザー級 上田将勝(パラエストラ東京) ■ライト級 ウィッキー聡生(シューティングジム横浜) ■ウェルター級 児山佳宏(パラエストラ松戸) ■ミドル級 小西“獅子”優樹(シューティングジム神戸) ■ライトヘビー級 武田光博(パラエストラ函館)
■MVP ウィッキー聡生 ■敢闘賞 小西“獅子”優樹 ■技能賞 上田将勝
※トーナメント表はSHOOTO NEWSの記事を参照
Last Update : 02/20 11:26
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