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(レポ&写真) [修斗] 2.17 代々木:川尻反則防衛。青木&石田が王者に

サステイン "クリムゾン・プレゼンツ プロフェッショナル修斗公式戦 SHOOTO The Victory of The Truth"
2006年2月17日(金) 東京・代々木競技場第二体育館  観衆:4,120人(満員)
認定:インターナショナル修斗コミッション

  レポート:井原芳徳  写真:星“tomoyasu“顕雄  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】


■第2部

第9試合 メインイベント 世界ウェルター級タイトルマッチ 5分3R
○川尻達也(T-BLOOD/第8代世界王者)
×ヨアキム・ハンセン(ノルウェー/チーム・フロントライン/世界1位・欧州2位)
1R 0'08" 反則失格

※川尻が初防衛

 開始早々、ハンセンの左ローキックが川尻の股間に直撃。川尻は10分ほどしてようやく立ち上がり試合続行を希望したが、ドクターが続行は危険と判断し、レフェリーストップがかかった。

 プロ修斗ルールには「故意、または偶然に関わらず悪質なファウルによる負傷、或いはダメージが原因で、ファウルを受けた選手の試合続行が不可能であるとレフェリーが判断した場合」反則失格になると記されている。(第20章・試合の勝敗:第52章・勝敗の決定:(7)反則失格:b)
 試合終了が告げられた直後、サステインの坂本一弘代表はマイクを持ち「必ず再戦させます」と観客に約束した。ファンの大半は川尻がベストじゃない状態での続行は求めておらず、なおかつ既に夜10時を過ぎていたということもあってか、この裁定に理解を示し、特に混乱は起こらなかった。川尻は悲痛な表情でバックステージでのインタビューに応じ「防衛したとは思っていない。ハンセンとはもう1回やりたい」と話していた。
 
 

第8試合 セミファイナル 世界ミドル級タイトルマッチ 5分3R
×菊地 昭(KILLER BEE/第7代世界王者)
○青木真也(パラエストラ東京/世界3位・環太平洋3位)
判定0-3 (横山28-29/菅野27-29/鈴木28-29)

※青木が第8代王者に

 国内最高峰のグラップラー対決は、スタンドの差し合いの攻防一つ取っても他の試合にない緊張感がみなぎっている。青木のスタンディングアームロックを背後からしがみついた菊地が振り切るだけで場内は大きな拍手に包まれる。1Rはこの技で先手を取った青木のペース。立ち技でも大道塾の飯村健一に習ったという右ハイやショートフックで主導権を握り、脇を差して足を掛けて倒すとそのままマウントに。パウンドを放った際に乗りすぎてしまいすぐにスタンドに戻されるが、菊地がここまであっさりマウントを許す展開をどれだけの観客が予想しただろう?

 2Rも1R序盤同様、菊地が背後からしがみつく展開に。青木はロープにもたれたまま、背後の菊地にパンチを振り回す。すると菊地は右まぶたから出血しドクターチェック。同じポジションのまま再開すると、青木のアームロックを振り切り菊地が上に。出血のせいで右目がふさがった状態だったが、パスガードに成功しパウンドを連打する。青木はガードの中に菊地を戻したものの、その後もパウンドを浴びこのラウンドのポイントを奪われてしまう。

 五分で迎えた最終ラウンド、菊地のパンチをかわした青木は、背後に回り込むとオンブの状態で菊地をつかまえ、鉄槌を打ち続ける。今度は菊地は鼻血を出しドクターチェックを受ける。同じ状態で再開すると、菊地が前に倒れ込んで脱出を試みるが、そのままバックを取られスリーパーを狙われてしまう。残り1分、菊地はオンブされたまままた立ち上がると、鼻血が激しくなり再びドクターチェック。同じポジションで再開すると、菊地が前方に倒れ込んで脱出を試み失敗し、そのまま試合終了。青木の術中にはまり、菊地が初防衛に失敗した。

 勝利の判定の瞬間、青木は師匠の中井祐樹氏と抱擁し涙を流す。マイクを持つと「アマチュア(修斗)抜きでプロデビューさせてもらい、1位にならず王座に挑戦でき本当に幸せです。菊地選手は偉大な王者で、デビューの時から尊敬していました」等と感謝の言葉を述べた。最後に一言と求められると「今、修斗で勝つことが他団体の登竜門みたいになってるけど、俺は修斗が一番だと思っています。俺は一生修斗しかやりません」と宣言した。

◆青木「お互い打撃が弱いから、そこでちゃんと打っていくよう練習して、そこの差が寝技の差につながった。テイクダウン能力は俺の方が上だった。かわいそうだけど、そこで勝負が分かれたと思う。
(リング上での宣言について)宣言とかじゃなく、俺は総合格闘家じゃなく、シューターですから。
(春から故郷の静岡で就職するが、今後の選手活動は?)チームと相談する。やるやらないに関係なく、修斗のためになるように自分を持っていきたい。これ(修斗)だけで生活していくのは厳しいし、フリーターをやっている選手が多いけど、ちゃんと社会人として自立して、なおかつ格闘技もやるというモデルケースになっていきたい。(東大卒で森永製菓に就職した修斗OBの)巽宇宙さんを尊敬しているんで」
 

第7試合 環太平洋ウェルター級王者決定戦 5分3R
○石田光洋(T-BLOOD/環太平洋1位・世界3位)
×冨樫健一郎(パラエストラ広島/環太平洋7位)
判定2-0 (横山28-27/菅野28-28/鈴木28-27)

※石田が第2代王者に

 「僕のタックルは切れませんよ」と記者会見で言っていた石田が、開始1分足らずで片足タックルでテイクダウンに成功。だが足の長い冨樫が下からの腕十字で石田をキャッチ。苦痛の表情を浮かべた石田は「ここでタップしたら楽になる」と思ったが、苦しかった練習を思い出し耐え続け、腕のロックが切れたカウンターで起きあがり脱出。会場は大歓声に包まれる。だがその後も冨樫がバックを取り攻勢のままラウンド終了。ポイントは石田8-10冨樫か。

 だが2Rから石田の怒濤の反撃がスタート。身長差を感じさせない右ハイを当てると、右フックを叩き込んで組み付きテイクダウン。ハーフからのパウンドと鉄槌の連打の猛攻で、1Rの失点分を取り返すぐらいに追い詰める。
 こうなると石田の勝ちパターンだ。3R開始早々、片足タックルで抱え上げてから豪快にテイクダウン。パウンドと鉄槌を執拗に落とし続ける。冨樫も下から仕掛けるが体力が無く1Rのようにはいかず。いったんブレイクがかかるが、すぐさま石田がタックルで倒し、勝負を決定づけた。
 これで同門の川尻と共に世界&環太平洋ウェルター級を制覇。石田は「川尻君が世界王者なんで、僕はこれが世界のベルトだと思って狙ってきました。このベルトを持って、川尻君と一緒に、世界の強い奴を一人ずつブッ潰していきます」と宣言した。
 

第6試合 ライト級 5分3R
×佐藤ルミナ(roots/世界4位・環太平洋3位)
○アントニオ・カルバーリョ(カナダ/シャオ・フランコ・マーシャルアーツ/米大陸1位)
2R 0'49" TKO (レフェリーストップ:マウントパンチ連打)


 右膝をテーピングで固めているルミナだが、開始すぐ右ローを蹴り、右フックでぐらつかせると、首相撲からの膝蹴りの後、飛びつき腕十字。ルミナらしい速攻で先手を取る。その後スタンドに戻るも、サバ折りで倒すと上からのパウンドで攻勢。このまま優勢かとも思われた。

 だが残り1分、パスガードに失敗し下に。残り30秒にはマウントを取られる。ルミナは両手でブロックしてパウンドを防御。だがもらい続けるうちダメージが溜まり一気にピンチに。なんとか時間いっぱい凌いだが、セコンドにかつがれコーナーに戻るほどだった。
 2Rもその流れは変えられず。カルバーリョの右ハイをブロックしたが、右膝の負傷の影響もあってか、その勢いで倒れサイドを奪われる。すると1R最後と同じパターンでマウントを許しパウンドの雨。30秒ほどもらったところでレフェリーがストップ。大金星を奪ったカルバーリョは涙を流して喜んだ。
 

 
第5試合 ライト級 5分3R
×石川 真(PUREBRED大宮/世界6位・環太平洋5位)
○リオン武(シューティングジム横浜/環太平洋7位)
判定0-3 (菅野28-29/鈴木28-30/若林27-30)


 打撃を得意とする両者の試合はフルラウンドスタンドの打撃戦に。1R序盤、リーチに勝るリオンの右ストレートで石川の腰が落ちるが、後半は石川が右フックとボディの連打で巻き返す。だが2R、石川が右フックで飛び込んだのに合わせ、リオンが「狙っていた」という右フックを当てダウンを奪取。その後は一進一退で互いに出血する乱打戦となり、会場は大歓声に包まれる。石川もリオンを苦しめたが、リオンも最後まで打ち返し、見事ベテランから判定勝ちをもぎ取った。環太平洋王座は空位のままだが、これでリオンの世界ランク入りが確実になった。

須田引退式でライバル郷野が修斗復帰を示唆

 第2部開会式の後、エンセン井上、宇野薫、五味隆典ら歴代王者がリングサイド最前に座りリングアナに紹介される。
 その後、ライトヘビー級王者・須田匡昇のプロ修斗引退セレモニーが行われた。その中で須田に96年と00年に勝利したことのある元プロシューターの郷野聡寛が花束贈呈し、須田への挨拶の後重大発言。「さっきリングサイドの席に座ろうと思ったらダメと言われて、全日本キックのベルトを持っていると言ったら、修斗のチャンピオンじゃないとダメだと言われました。ちょっとムカついたんで、そのうち(須田の返上したベルトを)取りにくるかもしれないので、その時はよろしく」。果たして郷野の修斗復帰はあるのか?今後の動向に注目したい。
 引退セレモニーで須田は「プロ格闘家としては引退ですけど、格闘家として引退は無いと思っているので、これからも格闘技に携わっていきます」等と話した。



■第1部

第4試合 ライト級 5分3R
×阿部裕幸(AACC/世界9位・環太平洋9位)
○不死身夜天慶(シューティングジム横浜/2005年同級新人王)
判定0-3 (菅野27-30/若林27-30/鈴木27-30)


 スタンドの打撃戦で、不死身夜が右フック、左ボディ等を当て続け攻勢。阿部も右のパンチを返すが劣勢が続く。不死身夜はクラスA初戦。初体験の3Rの序盤こそ阿部のローやストレートを浴びたが、中盤からストレートの連打ですぐ攻勢に。阿部は寝技勝負に切り替えたが不死身夜は付き合わずパンチを当て続け完勝。プロ戦績を5勝1敗とし、ランク入りを確実なものとした。一方の阿部は02年のペケーニョとのリマッチ以来プロ修斗4連敗となってしまった。

第3試合 ウェルター級 5分3R
×ダニーロ・シェウマン(ブラジル/ノヴァ・ウニオン/米大陸3位)
○廣田瑞人(GUTSMAN修斗道場/環太平洋9位・2005年同級新人王)
判定0-3 (横山26-30/鈴木26-30/若林27-30)


 1R、廣田がアリ猪木状態からパウンドを落とした際バッティング。そのダメージの影響もあり、シェウマンは終盤パウンドを浴び続け苦しめられる。2R前半は廣田がスタンドでの右フックと飛び膝蹴りで攻勢。その後はシェウマンが引き込みを多用し、アリ猪木状態とスタンドの繰り返しに。「一切寝技につきあわない」という試合前の言葉どおり、廣田はシェウマンの下からの攻めを凌ぎパウンドを落とし続けクラスA初戦を白星で飾った。これでプロ戦績5戦5勝に。

第2試合 フェザー級 5分3R
○大沢ケンジ(和術慧舟會A-3/世界4位・環太平洋3位)
×植松直哉(クロスポイント吉祥寺/世界6位・環太平洋5位)
判定2-0 (菅野28-28/若林28-27/鈴木29-28)


 植松が何度も大沢のパンチに合わせてタックルで倒し、バックマウントを奪う。だが大沢は極めのチャンスを与えずスタンドに戻し、右ストレートを中心としたパンチを的確に当て続ける。与えるダメージなら大沢、試合の主導権なら植松という接戦となったが、3R終了間際、大沢が右ストレートで植松からダウンを奪取。これが決め手となり、大沢の判定勝ちとなった。

 空位のフェザー級世界王座にまた一歩近づいた大沢は、04年4月にわずか65秒スリーパーで敗れた相手・外薗晶敏(コブラ会/世界1位)へのリベンジを熱望。さらに「3/24後楽園にも上がると思うんで、今日来たお客さん一人残らず後楽園で逢いましょう」とアピールした。

第1試合 女子フライ級 5分2R
○藤井 恵(AACC)
×滝本美咲(禅道会)
2R 4'36" テクニカル一本 (レフェリーストップ:三角絞め)


 藤井がギロチン、足関、腕十字と次々と仕掛け攻勢をキープ。滝本は一個一個防御し逆にヒールを狙う場面も。スタンドでも藤井が左ストレート、滝本が左ボディを当て、男子のクラスA顔負けの攻防が繰り広げられるが、最後は藤井が三角絞めでレフェリーストップ勝ちをおさめた。敗れたとはいえ終了間際まで猛攻を凌ぎ好勝負を作った滝本の健闘も光った。
 

Last Update : 02/24 12:35

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