(レポ&写真) [PRIDE] 12.31 埼玉:ヒョードル防衛。五味、石田をKO
ドリームステージエンターテインメント "PRIDE 男祭り2006 〜FUMETSU〜" 2006年12月31日(日) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ 観衆:48709人(満員)
レポート&写真:井原芳徳 【→カード紹介記事】 [掲示板:PRIDE+ミドル級/−ウェルター級]
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第10試合 PRIDEヘビー級タイトルマッチ 1R10分・2-3R5分 ○エメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア/レッドデビル/王者/101.7kg) ×マーク・ハント(ニュージーランド/オシアナ・スーパーファイタージム/挑戦者/128.0kg) 1R 8'16" アームロック ※ヒョードルが3度目の防衛に成功 ※4点ポジションでの膝蹴りあり
ハントのスピードのある左フックをかわすと、ヒョードルは足を掛けて倒し、そのままマウントに。場内からは溜め息が漏れ、ヒョードルの完封勝ちか? というムードに包まれる。 ところがハントはヒョードルの腕十字の動きを読み、見事に防御。会場は大歓声に包まれる。ハントがサイドから押さえ込むと、ヒョードルといえどもなかなか返せない。ヒョードルはこの場面について試合後「体重差の対策はしていなかった。体重差をかなり感じた」と明かす。 いったんスタンドに戻ると、勢いに乗ったハントは右フックでチャンス。ヒョードルは寝技に持ち込もうとするも、左足中指の負傷の影響もあってかテイクダウンの切れ味がやや悪く、逆に再びハントにサイドポジションを許す。 するとストライカーのハントは、掟破りともいえるアームロックをヒョードルに仕掛ける。一度外れても再トライし観客を驚かせる。その後、ハントはマウントとバックマウントになるも、ヒョードルは脱出。一気にハントをコーナーに詰め襲いかかろうとするが、ハントはすぐさま前蹴りで突き放す。
ヘビー級離れした両者のスピードと、とっさの判断力の素晴らしさで、タイトルマッチにふさわしい激戦に。とはいえそんな試合でも最後をきっちり締められるのが絶対王者・ヒョードルの凄さだ。ハントはヒョードルの投げを2度凌ぐが、3度目にはついに倒されてしまう。パスガードに成功したヒョードルはアームロック。意識してはいないだろうが、相手に仕掛けられた技をやり返すあたりが心憎い。ハントはしばらく耐えたが無念のタップ。ヒョードルが3度目の防衛に成功した。
第9試合 ヘビー級 1R10分・2-3R5分 ×ジョシュ・バーネット(アメリカ/フリー/PRIDE無差別級GP '06準優勝・パンクラス無差別級王者/116.5kg) ○アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム/107.4kg) 判定0-3 (小林=ノゲイラ/三宅=ノゲイラ/大橋=ノゲイラ)
ボクシングの攻防の後、ジョシュがプロレス技のデスバレーボムでノゲイラを背中から叩き付けサイドに。だがノゲイラは1R後半は上になりパウンド。ポイント的には五分に戻す。 2R、それまで蹴りをあまり出さなかったジョシュだが、左ミドルも使うようになるとパンチも当たりだすように。ノゲイラのタックルをかわして上に。 だが柔術マジシャン・ノゲイラはきっちり防御しスタンドに戻すと、左フックを当てジョシュの鼻から出血を誘う。2R終盤から3R前半にかけては首相撲と膝蹴りとストレートの連打で攻勢に。今年7戦目のジョシュはスタミナロスも激しい。 3R中盤、ノゲイラのタックルのカウンターでジョシュがギロチンを極め、大逆転のチャンスを得るが、十分対策をしていたというノゲイラは脱出。終盤のジョシュのアームロックと三角も凌ぐ。ダメージ差で軍配はノゲイラ。悲願のリベンジを果たした。
第8試合 ヘビー級 1R10分・2-3R5分 ×吉田秀彦(日本/吉田道場/105.0kg) ○ジェームス・トンプソン(イギリス/チーム・トロージャン/122.0kg) 1R 7'50" TKO (タオル投入:マウントパンチ) ※4点ポジションでの膝蹴りあり ※試合終了間際、トンプソン陣営のレフェリーへの暴言によりイエローカード1
吉田が序盤グラウンドになると、腕十字とアキレス腱固めで主導権。スタンドに戻ってもパンチ戦で主導権を握る。だが打ち合いが増えると、体格で勝るトンプソンのほうが一撃の威力が勝り次第に優勢に。吉田は再びグラウンドに持ち込み、アームロックでチャンスを作るも、またもスタンドに戻されると、膝蹴りとパンチの連打でダウン。その後はスタンドパンチを浴び続けグロッキー状態となり、マウントパンチを浴びかけたところでタオルが投入された。
第7試合 ライト級 1R10分・2R5分 ○五味隆典(日本/久我山ラスカルジム/PRIDEライト級王者) ×石田光洋(日本/T-BLOOD/修斗ウェルター級(70kg)環太平洋王者) 1R 1'14" KO (左ストレート→鉄槌連打)
両者サウスポーの構え。五味はガードを下げ出方をうかがう。石田が左ミドルを数発当てるも、動じずに蹴らせ続けると、数発目の左ミドルに合わせて左ストレートをクリーンヒット。これで石田をダウンさせると猛ラッシュ。サッカーボールキックも絡めつつ、怒濤の鉄槌連打で石田を葬った。
2006年は精彩の欠く試合の続いた五味だが、年の最後は彼らしさを発揮しての快勝。12月の五味は何故かいつも勝負師としての天才性を爆発させる。 マイクを持つと「今日は大晦日、KOの日。やっぱPRIDEやめれねえ」と絶叫。ジム生と出稽古先の国士舘大学レスリング部の生徒に礼を述べた後、「来年はアメリカ大会。世界に向けて頑張って行きますんで付いてきて下さい」と高らかに表明した。 バックステージでのインタビューで戦いたい選手の名を聞かれると、メレンデス、UFCのショーン・シャーク、マット・ヒューズ、BJペンの名前を挙げた。
第6試合 ヘビー級 1R10分・2-3R5分 ○藤田和之(日本/「Team Japan」藤田事務所/107.0kg) ×エルダリ・クルタニーゼ(グルジア/グルジアレスリング協会ナショナルチーム/100.7kg) 1R 2'08" KO (右アッパー→サッカーボールキック)
総合デビュー戦のクルタニーゼは、左腕を前に突き出す構え。一昔前の総合を見る気分だ。藤田は周りながらチャンスを伺い、時折フックを振り回す。クルタニーゼはうまくかわし続けていたが、右アッパーを鼻のあたりにもらうと顔面パンチに慣れていないせいか? 力なく前のめりでダウン。藤田がサッカーボールキックで追い打ちをかけたところでようやくレフェリーが試合を止めた。
第5試合 ライト級 1R10分・2R5分 ×川尻達也(日本/T-BLOOD/修斗ウェルター級(70kg)世界王者) ○ギルバート・メレンデス(アメリカ/ジェイク・シールズ・ファイティング・チーム/修斗ウェルター級世界3位) 判定0-3 (ヒューム=メレンデス/三宅=メレンデス/大橋=メレンデス) ※1Rロープつかみの反則によりメレンデスにイエローカード1
試合の大半は両者ノーガードでのフックでのド突き合い。1R序盤、右フックで川尻がメレンデスをダウンさせるが、メレンデスもすぐに息を吹き返し、その後のパンチ戦でほぼ互角に渡り合う。川尻のテイクダウン狙いをロープつかみで凌ぐ場面もあり、イエローカードをもらうが、1R終盤には川尻のタックルを切りバックを奪う等、ジャッジの印象を良くする攻め。 2Rは終始打撃戦。互いにパンチを当てるも一歩も引かない迫力の攻防を続ける。両者ともパンチに頼りすぎとはいえ、こういう攻防は盛り上がる。決定的な差は無かったと思われるが、クリーンヒット数でメレンデスがやや上か。中盤以降の巻き返しが功を奏し判定勝ちをおさめた。
第4試合 ミドル級 1R10分・2-3R5分 ○マウリシオ・ショーグン(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー) ×中村和裕(日本/吉田道場) 判定3-0 (大橋=ショーグン/足立=ショーグン/都鳥=ショーグン)
中村はローを足に効かされた影響もあって踏ん張りが効かなくなったといい、ショーグンに何度も倒され、マウントとバックマウントから攻められてしまう。とはいえショーグンの寝技は発展途上。打撃を効かせずに極めにいってしまうこともあって、度々スタンドに戻されてしまう。試合終了間際のパンチ戦で中村が優位となるが、最後にショーグンのパンチが当たり中村がダウンしたところで終了。あと数秒あればショーグンのKO勝ちだったかもしれないが、これが無くても判定勝ちは確実の展開だった。
第3試合 ウェルター級 1R10分・2R5分 ○郷野聡寛(日本/GRABAKA) ×近藤有己(日本/パンクラスism/パンクラス・ライトヘビー級(90kg)王者) 判定2-1 (足立=近藤/都鳥=郷野/三宅=郷野)
パンクラスファンならたまらない再戦は、前回の壮絶な内容とは一転、静かなスタンドの攻防主体の内容に。観客は静まり返りブーイングも飛んだが、裏を返せば郷野が近藤の光を消し、彼らしさを存分に発揮した試合だったとも言える。 数度郷野が上になるも、近藤は防御しスタンドに戻す。パンチの手数と積極性では近藤だが、郷野は周りながら防御し、随所で左ジャブや右ミドル等を的確に叩き込む。近藤は目の下から出血。郷野も右の拳を途中で痛めたせいか、連打につながらず、決定打こそ無かったものの、僅差でリベンジに成功した。
第2試合 ライト級 1R10分・2R5分 ○青木真也(日本/パラエストラ東京/修斗ミドル級(76kg)世界王者) ×ヨアキム・ハンセン(ノルウェー/フロントライン・アカデミー/修斗ウェルター級世界2位) 1R 2'04" フットチョーク
開始すぐ、ハンセンの蹴り足をつかんで青木がテイクダウン。いったんスタンドに戻っても、すぐさま腕を抱え足を刈って上になる。腕十字は失敗するも、下になるとフットチョークで一本(公式記録は「トライアングルチョーク」)。寝業師ぶりを存分に発揮し完勝した。マイクを持つと「PRIDEも修斗も、総合格闘技最高です」とアピールした。
第1試合 ミドル級 1R10分・2-3R5分 ○田村潔司(日本/U-FILE CAMP) ×ミノワマン(日本/フリー)※美濃輪育久から改名 1R 1'18" KO (ボディへの左膝蹴り→サッカーボールキック)
紹介VTRで美濃輪は「ミノワマン」に改名したことを表明したが、試合は非情な結果に。田村の左ミドル、膝にパンチを合わせようとするが、パターンを読まれてしまい、左膝をレバーにもらいダウン。ここでストップでもおかしくなかったが、さらに田村のサッカーボールキックを浴び、大の字となった。田村は返り討ちに成功するとともに、まだ技術が錆びていないことをアピールできる試合に。マイクを持つと、吉田秀彦との再戦を希望した。
Last Update : 01/01 22:30
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