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(レポ&写真) [PRIDE GP] 8.28 埼玉:ヒョードル&ショーグンが頂点に

ドリームステージエンターテインメント "PRIDE GRAND PRIX 2005 決勝戦"
2005年8月28日(日) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ

  レポート:井原芳徳(ヒョードル戦&ミドル級GP本戦),小林秀貴(中村戦、吉田戦、ヴェウドゥム戦)
  写真:Dave Mandel(MMA fighter)  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】
 

第6試合 PRIDEヘビー級タイトルマッチ 1R10分・2R5分・3R5分
○エメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア/レッド・デビル/王者)
×ミルコ・クロコップ(クロアチア/チーム・クロコップ/挑戦者)
判定3-0

※ヒョードルが王座防衛

まだ伸びしろを感じさせたミルコ。まだ底を見せなかったヒョードル

 試合紹介VTRは、異例のナレーション無し。まるで映画の予告編のように、この日に至るまでの両者の歴史が綴られる。だが、主役は王者ヒョードルではなく、挑戦者ミルコ。クロアチアの内戦、両親との関係、PRIDE以前のK-1での戦いが紹介されるが、ヒョードルに関してはPRIDE参戦後の試合の紹介のみ。ミルコのキングスロードに立ちふさがる準主役の扱いをされている。
 場内の異様なテンションの中、ゴングが打ちならされる。ミルコはサウスポーの構えでヒョードルの周りを回りながら、重みのある左のミドルとストレートを当てる。ヒョードルも蹴りを打たせない距離に詰めながら、素早いパンチを振り回し応戦。試合前に右拳の不調を訴えていたがお構いなしだ。さらに組み付いて倒そうとするが、ミルコはヒョードル相手にも腰の強さを発揮し、なかなか倒れない。

 スタンドで仕留めたいミルコ、何としてもグラウンドに持ち込みたいヒョードル。両者の意地と意地の回転は次第に竜巻に変わり、リングの中におさまりきらなくなる。2分半過ぎ、ミルコの左ハイがヒョードルの側頭部をかすめると、ヒョードルは猛牛のように突進。ミルコが闘牛士のようにいなすと、ヒョードルはロープの外に転落する。
 スタンドで再開後も、ミルコがヒョードルの周りを回る攻防は変わらない。均衡状態が崩れたのは4分過ぎ。ミルコの左ジャブの連打がヒョードルの鼻柱に炸裂する。一瞬腰の落ちたヒョードルは、仕留めにかかるミルコに向け大振りの右フック。これは大きく空を切るが、かわすために後ずさりしたミルコは足をすべらせ尻餅をつきそうになる。かろうじて立ち上がりすぐさま左ハイを放つが、これも大きく空を切ってしまい、ミルコは絶好のチャンスを逃してしまう。

 後から振り返ればこの試合、こここまで最初5分の攻防が終わった時点で、ミルコの負けは決まっていたのかもしれない。このチャンスの後、ミルコは左ストレートを放ちながら組み付いてしまい、ヒョードルに潰されガードポジションに。以降、ガードの攻防とスタンドの攻防の繰り返しとなるが、ガードでは当然ながらヒョードルのパウンドとパスガードを凌ぐのがやっと。立ち技でも空振りが増え、ヒョードルのパンチで動きが何度も止まる。特に2Rからはバテてる様子が誰から見てもわかるような状態に。昨年5月の金原弘光戦を思い出させるような弱々しい姿をさらけ出すようになる。

 最初の5分で勝負がついていたことを物語るのが、試合後DSEが発表したミルコのコメントだ。ミルコは試合後インタビュースペースに姿を現さなかった。このコメントは「今日は完敗です」という言葉から始まり、「相手が自分の打撃のパターンを研究し尽くしていて、スタンドで打ち負けた」ことを認めている。
 さらに「これだけ完全に、万全に準備が出来たと思っていたが、なぜか完全にスタミナ切れだった」とコメント。単純にヒョードルのパンチ、寝技でのプレッシャーが強烈で、体力の消耗が激しかったはずだが、ミルコは来日後、マスコミの前に一切姿を現さなかったことにも、何か謎が秘められているような気がしてならない。

 とはいえ、万策が尽きても、決して心が折れず、最後まで力を振り絞ってあきらめないのが彼らトップ選手の凄さだ。ミルコとヒョードルのライバルであるノゲイラも、サップ戦やミルコ戦でその凄さを見せつけた。今回ミルコも、スタンドで最後まで左ミドルを打つなど果敢に応戦したが、寝技の攻防でも凄さが光った。ヒョードルの攻防を凌ぐのがやっとだったのは確かだが、それさえできる選手は世界にどれほどいるだろう?
 ミルコはコメントの中で「ただ、完全に打ちのめされるはずだったが、そうならなかったのはグラウンドだった。完全に負けの流れだったのが、結果的に判定まで持ち込めたのはグラウンド・テクニックのおかげだった」と記している。ファブリシオ・ヴェウドゥムらとの特訓がものを言ったのだろう。この日ミルコが背中をマットにつけて過ごした時間は、1Rの後半5分と、2Rの後半2分と、3Rの最初2分と中盤1分と、終了間際の数十秒。試合のおよそ半分の時間、ヒョードルの猛攻を耐えきった。このことはミルコにとって大きな自信となったようだ。

 ミルコのコメントはさらにこう続く。
「こういう日もある。
 とにかく、一から出直そうと思う。次のPRIDEが『スターティング・オーバー』というタイトルなのは、俺にとっては何とも皮肉な事だ。でも、今の俺にはぴったりだ。
 応援してくれたファンの皆さんには申し訳ない。今回の負けた原因を徹底的に追究して、もう1回戻ってきます。待っていてください。」

 試合の後ろ15分は、完全にヒョードルの時間だった。とはいえ、攻勢を維持できたというだけに過ぎず、ミルコに大きなダメージを与えられたわけではなかった。むしろ最初5分でヒョードルが負ったダメージは甚大だった。左ジャブをもらった後、最初のテイクダウンに成功した直後、ヒョードルは大量の鼻血を出してドクターチェックを受けた。左目の周りは黒く腫れ上がり、頭にもたくさんの傷がある。これらのダメージの影響でミルコを粉砕しきれなかったというのもあるだろう。だが裏を返せば、これだけダメージを喰らっても最後まで攻めが止まらなかったことに、ヒョードルの恐ろしさを見た。まさに底無し。ノゲイラの力をもってしても、ミルコの力をもってしても、ロシアの広大な大地の地平線の先の目的地に辿り着くことが許されなかった。

 まだ伸びしろを感じさせたミルコ。まだ底を見せなかったヒョードル。二人の「まだ」、そして他の男たちの「まだ」がある限り、僕たちは永遠に映画の予告編を見続けているだけに過ぎないのかもしれない。



PRIDEミドル級GP
 

第2試合 準決勝戦 1R10分・2R5分
×ヴァンダレイ・シウバ(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー/PRIDEミドル級王者)
○ヒカルド・アローナ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
判定0-3


「何もさせなかった」と「何もできなかった」の違い

 序盤は互いにプレッシャーをかけながらローを打ち合う攻防からスタート。ヒット数ではシウバが上だが、効かせるローを当てているのはアローナの方だ。3分過ぎ、アローナの右ローでシウバは一瞬バランスを崩す。さらにシウバが左ローを放つと、前に出たアローナを嫌いシウバは後ずさり。そこでアローナが右ローを放つと、シウバは珍しく後ろにバランスを崩し、アローナに上を取られてしまう。
 アローナはパウンドとボディへのパンチをコツコツ当て攻勢。シウバは足をガッチリとクロスした上で密着し、防御を固める。しかしこの状態を3分以上続けると、レフェリーがブレイク。「膠着を誘発する動き」と判断されたシウバは、イエローカードをもらってしまう。

 イエロー覚悟のブレイク待ちは、立ち技が得意なシュートボクセ勢がよく使うパターンだが、この日のシウバは妙にバランスが悪かった。シウバが右ストレートを放つと、アローナは組み付く。膝の相打ちとなると、バランスを崩したのはシウバの方。あっさりとガードポジションに戻されてしまう。
 結局終了間際にスタンドに戻したが、不利な展開のままシウバは2Rヘ。焦りが出始めたか? パンチが大振りになり、逆にアローナの右ストレートと右ローをもらってしまう。場内から「シウバコール」が起こり、シウバは左ローを効かせるが、なかなか思うような流れにはならない。3分半にはスタンドで膠着する両者にイエローカードが出される。後がなくなったシウバはアグレッシブに出るが、左ローに胴タックルを合わされ、またも下に。アローナはパウンドと鉄槌で攻める。シウバはクリーンヒットはもらわないものの、クロスガードをほどくことはないまま試合終了。判定を聞くまでもなく、何もできなかったシウバの負けだった。

 勝負事で勝つということは、必ずしも「相手を打ち負かすこと」とイコールではない。「相手に何もさせないこと」も、立派な勝ちの姿である。アローナは“絶対王者”シウバ戦でもそれを見事やってのけたとも言えるが、今回の内容は、アローナが封じ込めたというより、シウバの方が「何もできなかった」という方が正しいかもしれない。
 ローであっさりバランスを崩し、下になってもクロスガードで守るばかりのシウバ。来日直後、1日2試合を想定し、体力トレーニングに重点を置いてきた理由について、「僕はショーグンのように若くないので」と話していたが、この日のシウバからはその言葉どおり若々しさが感じられなかった。GPで敗れても、タイトルを失ったわけではない。年内に実施が予想されるタイトルマッチで、再び輝きを取り戻すことはできるのだろうか?
 

第3試合 準決勝戦 1R10分・2R5分
○マウリシオ・ショーグン(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー)
×アリスター・オーフレイム(オランダ/ゴールデン・グローリー)
1R 6'42" KO (マウントパンチ)


守りながら攻める。ショーグン、隠れた強さの秘訣

 リーチの差を活かしつつ、アリスターが寝技に持ち込むこと4度。得意のギロチンを狙ったり、四点膝の形に持ち込んだりと、次々とチャンスを作っていくが、ショーグンは持ち前のパワーでことごとく凌いでみせる。打撃の破壊力に注目が集まりがちなショーグンだが、レスリングの巧さと体の柔らかさも見事。攻めているはずのアリスターが、何度もチャンスを潰されるうちに、攻め疲れの様相を呈する。
 守りながらも相手のスタミナを奪い、攻めているのと同じ効果をもたらす。こうなると流れはショーグンの方だ。タックルに合わせてアリスターがギロチンを仕掛けるが、これをあっさり抜いて上のポジションをキープすると、重みのあるパウンドと華麗な動きのサッカーボールキックでアリスターを痛めつける。アリスターはスタンドに戻し両脇を差してテイクダウンを狙うが失敗。またも下になってしまうと、パウンドとサッカーボールキックで同じように攻められてしまう。
 あとはショーグンの殺人フルコースだ。タックルを潰されたアリスターは万事休す。あっさりとパスガードを許すと、ショーグンはサイドポジションから膝を頭に数発。最後はマウントになり、パウンドと鉄槌の雨を降らしたところでレフェリーが試合を止めた。
 

第7試合 決勝戦 1R10分・2R5分
×ヒカルド・アローナ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム)
○マウリシオ・ショーグン(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー)
1R 2'53" KO (グラウンドパンチ)

※ショーグンが優勝

短期間の下克上が象徴するもの

 アローナ vs. シウバのレポートで、シウバが「何もできなかった」と記したが、それはあくまでアローナ戦の勝敗に関してのこと。ひょっとするとシウバは、弟分のショーグンの優勝のために、実は好アシストをしていたのじゃないかと思われる出来事が、開始早々勃発する。
 珍しくカポエイラ風の回し蹴りでショーグンがアローナを威嚇すると、アローナは組み付いて後方に投げようとする。だが右足が踏ん張りきれず、アローナはそのまま真後ろに倒れ、アローナの頭はショーグンの頭とマットにサンドイッチされてしまう。
 それでも上になったアローナだが、このアクシデントで一瞬意識を失い、気づいたときにはショーグンのオモプラッタにつかまってしまっていたという。アローナが頭を打ち付ける前、踏ん張りきれなかった右足は、シウバが準決勝で執拗に左ローで蹴り続けていた箇所である。2R途中から、アローナは痛そうな素振りを見せるようになっていた。そのダメージの蓄積が、いくらかこのアクシデントに影響していたのではないだろうか?

 その後も動きが雑なアローナ。オモプラッタぐらいは体にしみついた技術で簡単に脱出できるのだが、無理矢理組み付くとショーグンに潰され、サッカーボールキックと踏みつけで攻められてしまう。これらの蹴り技を被弾こそしなかったものの、スタンドに戻すと右フックと首相撲からの膝蹴り3連発をもらってしまい、早くも足に来る状態に。
 準決勝同様、流れをつかむと恐ろしいのがショーグンだ。差し合いの状態から足を引っ掛けて上になると、ハーフからあっさりとサイドポジションへ。鉄槌とボディへの肘打ちでアローナを痛めつける。マウントを取るのには失敗したが、猪木アリ状態からスライディング式の踏み付けへ。これは当たらなかったものの、見事アローナのガードを飛び越すことに成功すると、すぐさまアローナのアゴに鉄槌。一発で意識が飛び、連打したところでレフェリーがストップした。

 PRIDE参戦2年足らず。6月の準々決勝のホジェリオ戦を除き全て1R KO勝利で8連勝。破竹の勢い、弱冠23歳で、PRIDEミドル級の“下克上”に成功したショーグン。リング上でこの日、一番喜んでいたのは、準決勝で敗れ去ったシウバだった。そんなシウバが桜庭を初めて下して一気に名を知らしめたのはPRIDE7戦目。初参戦から1年4ヶ月後の出来事だった。今のショーグンからは、あの頃のシウバのような輝きと誰にも止められない勢いが感じられる。
 しかもシウバがPRIDEデビューしたのは、今のショーグンと同じ23歳の時。シウバが“シュートボクセ・スタイル”を完成させた世代だとすれば、シウバに憧れてシュートボクセに入ったショーグンは、その既に完成されたスタイルを初級段階から反復練習した世代。そうなればショーグンの世代の方が強いに決まっている。実際、日本の修斗クラスBの試合も、数年前に比べ格段に技術が進歩している。細かい技術はジムそれぞれだが、基本的な総合のセオリーは初歩段階から誰でも学べるようになった。ショーグンの短期間での“下克上”は、単なる世代交代というだけではなく、総合格闘技というスポーツの一つの成熟したありようを象徴する出来事だった。
 


第1試合 PRIDEミドル級GPリザーブマッチ 1R10分・2R5分
○中村和裕(日本/吉田道場)
×イゴール・ボブチャンチン(ウクライナ/フリー)
判定3-0 (小林=中村/大橋=中村/ヒューム=中村)


 ボブチャンチンといえば、数年前までヘビー級のトップを張っていた大物。肩を返すように放つ「ロシアンフック」はヘビー級のトップ戦線から退いた今でも健在だ。さらに寝技でも以前とは格段の進歩を遂げた。そんなボブチャンチンに、柔道家・中村和裕がどう対処していくのか。勝負はその一点に絞られた。
 立ち技の攻防はほとんどなかった。立ち上がり、寝技に引き込んだ中村にボブチャンチンが付き合い、両者、交互に上のポジションをとる白熱戦に。まず、決定的なチャンスを奪ったのはボブチャンチン。なんと、柔道技「かつぎ」で中村のサイドにつくことに成功した。一瞬、中村危うし、と思わせられる場面だった。

 しかし中村も伊達に総合の訓練を積んでいるわけではない。ブラジリアン柔術で「ウパ」と呼ばれるマウント返しで、ボブチャンチンの上をとる。この技術で試合中、幾度もピンチを脱した中村。そして下から膝十字を狙ってきたボブチャンチンの攻撃にも冷静に対処してトップポジションをキープ。
 中村最大の見せ場は1R中盤に訪れた。ボブチャンチンの左足をヒールにとらえ、極まりかけそうにも見えたが、これはボブチャンチンが冷静に立ち上がって対処した。その後も中村はボブチャンチンを横四方に固め、一旦はマウントを取るがまたサイドに移行。ボブチャンチンの腕を狙っていったところで1R終了のゴングを聞いた。

 2R、細かいジャブの応酬から、中村のタックルを潰してマウントを奪うボブチャンチン。バックマウントに移行しようとしたところで中村は体を入れかえる。パウンドからサイドポジションを奪う中村。チキンウイングアームロック、そして腕十字と柔道仕込みのサブミッション地獄をボブチャンチンに見舞う。
 判定は全体的に上のポジションを長くキープした中村に軍配が上がった。

第5試合 ヘビー級 1R10分・2R5分・3R5分
○吉田秀彦(日本/吉田道場)
×タンク・アボット(アメリカ/ピット・ファイトチーム)
1R 7'12" 片羽締め


 4月のミドル級GPシウバ戦に敗れた吉田秀彦は、階級を上げ、初期UFCの舞台を賑わせた「喧嘩屋」タンク・アボットと対戦。アボットはヘビー級ファイターの中では、もはや一線級の選手とは言いがたいが、吉田のヘビー級転向への「調整試合」の相手としては、知名度のある「おいしい」ファイターだったのかもしれない。フィニッシュは「新・袖車」とも「片羽絞め」とも言われるが、筆者の見る限り、バックから入った不完全な袖車絞めに、アボットが耐えずにギブアップしてしまっただけのように思われる。

 1R序盤、首を左右に振って、打撃戦を挑む吉田。いきなり出した左ハイがアボットの顔面をかすめ、アボットは一瞬ふらついた。しかし老獪なアボットはタックルで吉田をテイクダウン。吉田は下からの不利な状況を強いられた。しかし吉田はアボットにパウンドをほとんど打たせず、下から三角絞めを狙った。アボットはガードポジションをとる吉田を押し込んで、パウンドを打つ作戦をとったが、吉田が道着を着ているため、背中が滑って上手く押し込めない。

 スタンドに戻され、両者イエローカードを提示されてスタンドから再開された直後、吉田は左右のストレートをアボットの顔面にヒットさせる。苦し紛れにタックルにきたアボットに対し、4点ポジションでの頭部へのヒザ蹴りをヒットさせる吉田。アボットが嫌がったところでバックにまわり、得意の絞めで、再起を飾った。

第4試合 ヘビー級 1R10分・2R5分・3R5分
○ファブリシオ・ヴェウドゥム(ブラジル/チーム・クロコップ)
×ローマン・ゼンツォフ(ロシア/レッドデビル)
1R 4'01" 腕ひしぎ十字固め


 柔術世界王者にしてミルコのコーチ、ファブリシオ・ヴェウドゥムと、ヒョードルの同門、ローマン・ゼンツォフの対戦は、メインの前の「代理戦争」と形容された。試合は寝技中心の展開となり、ヴェウドゥムが評判通りの力を見せつけた。
 開始30秒、ヴェウドゥムはタックルでゼンツォフを倒し、コーナー際で早くもマウントを取る。一旦は返すゼンツォフだったが、グラウンドの戦いではヴェウドゥムが一枚も二枚も上手。クローズドガードの足を徐々に上らせると、下から十字、三角を狙っていく。
 ヴェウドゥムが下から三角絞めを仕掛けたところでゼンツォフが立ち上がったが、ヴェウドゥムもすかさずもたれかかるようなタックルで倒し、再び「グラウンド地獄」に引きずり戻す。バックマウントを返され、下になったヴェウドゥムだったが、一瞬の三角絞めから移行した、腕ひしぎ三角固めで、完璧にゼンツォフの左肘を極めてみせた。

Last Update : 09/01 01:08

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