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(レポ&写真) [PRIDE武士道3] 5.23 横浜:ミルコは完全復活できたのか?

ドリームステージエンターテインメント "PRIDE武士道 其の参"
2004年5月23日(日) 神奈川・横浜アリーナ  観衆:14,536人

  レポート:小林秀貴  写真:井原芳徳  コメント編集:若葉り子
  【→大会前のカード紹介記事】 【→掲示板スレッド】

第6試合 1R10分・2R5分
○ミルコ・クロコップ(クロアチア/クロコップ・スクワッド)
×金原弘光(日本/UKR)
判定3-0


 ミルコの左ハイ封じで右ミドルキックを多用した金原。あまりに警戒されていたためか、今日のミルコはタイミングのいい左ハイを放つことができない。しかしひとたび金原がタックルに入ると、ミルコは徹底的にこれを潰し、金原の頭部へヒザ蹴りをぶち込む。そして離れ際に危険きわまりないサッカーボールキック。しかし金原はわずかのところで決定打をもらわなかった。1R6分には、スタンドで組んでいったミルコが大外刈りで金原を倒すと、なんとマウントポジションを奪い、アームロックを見せた。さすがにこれは金原も返したが、ミルコが憎らしいほどの余裕を見せつけたシーンだった。ラウンド終盤には髪の生え際付近から出血した金原にドクターチェックが入ったが、試合は続行。

 2R1分、今度はミルコがハーフガードからの肩固めをみせるが、これも力まかせで極まらない。ここで金原がうつぶせになって逃れたが、ミルコは寝技で本当に極める気はないらしく、無視して立ち上がる。ラウンド後半、ミルコはノーガード戦法をとったがこれも効果があったとは思えず、終了のゴングを聞いた。

◆ ミルコ(インタビューブースに姿を見せず、今井マネージャーがコメントを代読)「メディア、プレスの皆様、やはり4週間ではきつかったです。自分のプライドが許さず、榊原代表にワガママを言い、私のまわりの人間全て、一人残らず誰もが反対したにも関わらず、KO負けから4週間後の今日のリングに立つ決断をしたのは僕自身でした。でも最初の3分間が過ぎた時点で、もう自分にはスタミナが残っていませんでした。体重も100.8kgまで落ちていたのでスタミナが無いことは予想していました。でも金原選手はギブアップをしない素晴らしいハートを持ったファイターでした。彼にもお礼を言いたい。自分の悪夢を消し去るためだけに、今日の試合の結果があるのです。やっと身体を休めることができます。身体に蓄積した疲労を取り去るために2週間完全に休養を取ります。そして7月19日の(武士道4名古屋大会での)完全復活に備えます。待っていてください。」

◆ 今井マネージャーとの質疑「(ダメージは?)とりあえず休んでいます。ダメージは無いですね。歯が当たって切れたので、それを縫うかどうかをドクターに診てもらっています。(次の対戦相手は?)もう、おまかせですよ。(KOできなかったが?)彼が言っていたのですが、皆さんごめんなさい、KOで勝ちたかった。でも3分経過したところでセコンドからの3分経過!という言葉が聞こえ、その時点では自分のスタミナがもうない、脈拍が上がっている、とはっきり認識していたそうです。(7月の試合に関しては出場の意思は変わらず?)もちろんです。(相手についてのリクエストは?)以前から彼が言っているのですが、今の自分にはあれこれ言う資格がないと。誰とでも、PRIDE側がアレンジしてくれる試合をやりたいと、それだけです。(ここに出られないということは相当なダメージ?)いや、そうでもないですよ。今、ドクターのチェックを受けているだけです。」

※金原はノーコメント。診断の結果、「頭部および右肘の裂傷」「顔面打撲」「顔面挫創」「外傷性歯肉炎」で全治2〜4週間と診断されたが、いずれも再検査が必要だという。

第8試合 日本 vs. グレイシー 1R10分・2R5分
○五味隆典(日本/木口道場レスリング教室)
×ハウフ・グレイシー(ブラジル/ハウフ・グレイシー柔術アカデミー)
1R 0'06" KO (4点ポジションでの膝蹴り連打)


 開始早々、タックルで突っ込んできたハウフに対し、五味の左ヒザ蹴りがジャストミート。「ガツッ」と重たい音が響くと、ハウフは五味の左足を抱えたまま、力なくマットに崩れ落ちる。五味はなおもマットについたハウフの頭部に危険きわまりない追撃の右ヒザ4連打。異変に気づいたレフェリーが慌てて試合をストップした。まさに一瞬の出来事だった。
 試合後はコーナーポストのてっぺんに上ってアピールするパフォーマンスも見せたが、その表情は若干拍子抜けした感じ。前日に行われたROMANEXでは、盟友の須藤元気がホイラー・グレイシーにKO勝ち。ともにあっさりとグレイシー越えを果たし、今後二人が世界中の選手の標的となることが予想される。

◆五味のリング上でのマイクアピール「今日も最高でーす! 相手がグレイシーってことで、すごく今回スタッフの方にいろいろ迷惑かけて、何とかリング上がれたんですけど、今の自分があるのは、格闘技とみなさんのおかげなので、リング上がる前は苦しいですけど、またがんばります」

◆ 五味(インタビュースペースにて)「(満面の笑顔で)どうも皆さんお集まりいただいてありがとうございました。(完勝劇でしたね?)そうですね。本当に良かったです。(蹴りは狙ってたんですか?)ボクシング勝負しようと思っていました。向かい合ったときにパンチで勝てそうだな、と思っていたので。左とハイを狙っていたんですけど、どんどん距離を詰められてしまったんで。(相手の動きに合わせて膝を出す練習をしていたのか?)いえ、いつも膝得意なんですけど。相手に穴があるとすればボクシング勝負だと思っていたので、膝は使わないつもりだったんですけどね。膝については一発合わせて、下になったらもうしょうがないな、位のつもりだったので。
(前回に比べてリラックスしていた?)そうですね。会場の雰囲気、段取り、そして前回試合ができたので、『やるだけだ!』という気持ちでね。また相手がグレイシーだったので格闘家として越えなきゃいけないなと。元ちゃん(須藤元気)も昨日(ROMANEXでホイラーに)凄くいい勝ち方をして。今回の試合はハウフ選手が相手ということで、ハウフ選手の5〜6年前のビデオを見たんですよ。自分もそうなんですけど、格闘家は若い頃と戦い方がそう大きく変わるものではないと思うんですよ。で、ビデオを見てみたら、ハウフ選手の動きが(自分が闘って負けた)BJペン選手とスタイルが似ていたんですよ。それで確認したらBJの師匠をしていた期間がある、ということがわかって。これは、年齢的にBJよりも一回り上のハウフ選手にはどうしても勝たなきゃいけないと思ったんで。

(試合前の臆病な自分と結果については?)今回の試合の前に…、いつものことなんですけれど、気弱いのでいろんな人に迷惑をかけたりしてしまって。なんとかリングに上がって…。諦めて『負けるような試合だったらもうやめよう』というくらい、控え室や通路で考えていたんで。苦しんだ分、良い結果になったのかなとは思うんですけど。でも、世界のトップ選手と体格面では、もっと安心して試合ができるようになりたいですね。まぁ、そんな事は不可能なんですけれど(笑)
(当たった瞬間、手ごたえはあった?)はい。相手が前のめりに倒れて行ったので、もう行くしかない!と思って。レフェリーが速く止めてくれたので(笑)。いやぁ〜。信じられないですよ(笑)(出来としては何点?)たぶん…。完璧ですよね?(笑)。苦しんだ分。
(今日はいい勝ち方ができたが次は?)調子に乗らずに、グラウンドなどでも落ち着いて試合ができるように練習を積んで、試合前に慌てない様にしたいです。どっちにしてもトップの選手をご用意していただけると思うので。(希望は?)う〜ん。本当のことを言えば、今回はハウフ選手と戦うよりも、組技と打撃のバランスの良い選手ともう1試合したいと思ってたんですけどね。今回は武士道、対グレイシーという企画でしたし。また、BJと一試合して、時期が…と考えていると、良い時期を逃してしまうので、少し未完成でも積極的にリングに上がってこうと思っています。体重も少しずつですが上がってきて、今は74〜75kgくらいまではいけると思うんで。
(子供だちには何と報告を?)チームの子供達は言ってもあまり解らないと思いますね。ハハハ。今、自分がプロの世界で勝負に出ているというのは、子供達にも伝わっている時なので、ゆっくり遊んであげたりできなくて申し訳ないんですけど、それはそれで子供達も理解してくれていると思うんで。やっぱり子供達には力を貰っていますね。自分は自分の目標がありますし、子供達は子供達の目標に向かって、進んでくれたらいいと思います。(今後の抱負)あまりダメージもないので。今後というよりは、次の試合が決まるまでは、ゆっくりしたいです。いっぱい遊んで。朝までカラオケとかしたいですね(笑)」

◆ ハウフ「私の試合は戦っていないに等しいです。運が悪かっただけ。次回も五味選手と戦いたいとプロモーターに約束したので、次回は必ず私が勝ちます。ただし、五味が逃げなければね。今日は五味が運が良かったんです。今日は、私の試合はさておきチーム・グレイシーの勝利が一番嬉しかったです。



第7試合 日本 vs. グレイシー 1R10分・2R5分
×長南 亮(日本/フリー)
○ヒカルド・アルメイダ(アメリカ/ヘンゾ・グレイシー柔術アカデミー)
判定0-3


 序盤は互角の打撃戦だったが、アルメイダがタックルで長南をリフトして倒し、グラウンドに持ち込むとあとはアルメイダのペース。柔軟な動きでするするとマウントポジションをとり、バランスのいいパウンドを放つ。しかし長南も再三マウントやバックマウントを奪われながら、腕十字やスリーパーは極めさせない粘りを見せた。
 2Rも長南の打撃をかいくぐってアルメイダがタックルしてテイクダウン。長南の両足を担いでパスガードすると、マウントからバックへ、流れるような動きを見せた。2Rは長南が2回、ポジションを返すことに成功したが、アルメイダの下から密着するような柔らかいガードワークの中で、長南は得意のパウンドを出すことができなかった。

◆ アルメイダ「今日、戦うことができて光栄に思っています。チーム・グレイシーの一員として、今日だけはグレイシーファイミリーの一員として戦いました。ファミリーの皆さんに感謝しています。長南選手はとても素晴らしい選手でした。ですが、私はパンクラスのチャンピオンですから、ミドル級のどの選手と戦っても間違いなく私が勝つと思います。それから1つ、高瀬がNew Gracie Killerと書かれたTシャツを着ていたのに腹が立ちました。前回はホドリゴ・グレイシーが高瀬と戦っていますが、できれば今度は私が高瀬と戦いたいです。
(チャンスが何度もあったと思うが?)私のファイトスタイルはグラップリングでは1本、打撃ではKOと常に1本勝ちをする姿勢を持っています。確かに今日は、来日してから時差ボケが酷くて。それは言い訳になってしまうので。長南選手がタフで素晴らしかったので、私も、もっと練習しなくては、と思います。」

◆ 長南「こんなことを言ってはいけないのかもしれませんが、あまり悔しくないというのが率直な感想で。始まったばかりというか。今日の課題を活かして次はもっと自分を出せるように頑張っていきたいです。(パワーの差は感じましたか?)あまり感じなかったのですが、しつこくて。そこがアルメイダ選手の持ち味なのかもしれませんが。持久力というか、どんどん繋がってくるしつこさが。
(『始まったばかり』というのは?)対・世界ということが今日から始まったということですね。(手ごたえはありましたか?)そうですね。反省点も多いですが、戦えるということ、今までやってきたことが間違いではなったということを実感しましたし。戦うことがもっと好きになったというか。これからもっと練習していけば倒せる!ということを確信しました。
(肩固めは効いていた?)危ないかなという感じもあったのですが、呼吸できていたので大丈夫でしたね。まずいカタチではあったと思いますが。やはり下からの攻めやマウントを取られてからの攻めについては、今までやってきたことで凌げたので。さらに寝技でもレスリングの技を磨いて対応していきたいです。
(得意のパウンドが出なかったが?)寝技をずっと凌ぎ続けていたので腕がパンパンになっちゃったので。アルメイダ選手の持久力が凄くて、手をずっと捕まれていたり、スリーパーを凌いだりでパワーを使ってしまったので、パウンドを出す力が残っていませんでしたね。
(独立してフリーになったことについて)完璧に今の状況で満足しています。試合をビデオで見た訳ではないので解らないのですが、ジムを離れて、それでも色々な人がサポートしてくれて。全て間違いではなかったんだなと。辞めたことも、今練習している環境も。今のままでいいですし。今の環境で極めていきたいです。
(吉田選手からアドバイスは?)『止まるな!』とかでしたね。正直、グラウンドではセコンドの声が聞こえなかったですね。必死だったので。気を抜くと極められてしまいそうな気がして、膠着しているような状態でも常に何か狙って来ているような気がして、集中していたので周りの声が聞こえませんでした。でもセコンドに関しては心強いというか。小野瀬会長、吉田さん、横井君と。セコンドも凄いし、コスチュームも凄くかっこよいのを作っていただいたんですけれど、自分が弱かったなという(苦笑)。(今後の抱負は?)もっともっと練習して、今度は勝ちますので。それだけです。またがんばります。」

第9試合 日本 vs. グレイシー 1R10分・2R5分
×美濃輪育久(日本/フリー)
○ハイアン・グレイシー(ブラジル/ハイアン・グレイシー柔術アカデミー)
判定1-2


 開始早々、パンチをフェイントにしてタックルに入るハイアン。両足タックルで美濃輪をコーナー際まで一気に吹っ飛ばす。上をとったハイアンはハーフマウントからパスしてサイド、マウントと自在にポジションを奪い、パウンドを放つ。これを嫌って美濃輪が横を向いたところでハイアンがバックにまわる。背後からのスリーパーでハイアンが一気に試合を決めるかと思われた一瞬だった。しかし美濃輪は落ち着いてこれに対処。スリーパーを逃れつつ、一瞬の瞬発力で体を反転させようと体をねじる。だがハイアンも、最高のタイミングでこれを封じ、マウントポジションをキープする。
 その後もハイアンがバックを奪い、美濃輪が体を反転、それに合わせてハイアンがマウントに戻す―、という展開が2度続いたが、残り3分、ようやく美濃輪は体を反転することに成功し、上のポジションを取った。美濃輪はインサイドガードのまま、ハイアンをコーナーに運ぶと、コツコツと打撃を顔面に集める。ここで密着して防御しようとしたハイアンに対し、レフェリーが「膠着を誘発する行為」として警告を与える。しかし再開してからはハイアンが上をとり、マウント、バックマウントとポジションどりで圧倒し、1Rを終える。
 2Rもタックルからハイアンが上に乗る展開。またもバックマウントからハイアンがスリーパーを狙う体勢になったが、今度は一回で美濃輪が体を反転することに成功する。美濃輪はハイアン相手にパスガードは狙わず、ハイアンの頭をコーナーマットに固定して、ひらすらパウンドを打つ作戦に出る。レフェリーからは2回ドントムーブの声がかかり、両者は中央に戻されるが、2回とも再開直後に美濃輪がハイアンをコーナー際まで引きずっていき、パウンドを打ち続けた。美濃輪は「ウァー」と吠えながら鬼気迫るパウンド。しかしハイアンの意識を飛ばすにはほど遠く。勝負は判定へともつれ込んだ。
 判定のポイントは、ポジション取りでハイアン、相手に与えたダメージで美濃輪、といったところか。試合が終わっても互いに睨み続けていた両者。判定を聞くと、美濃輪はさっさと花道を歩いてバックステージに戻ってしまった。

◆ 美濃輪「(判定について)基準は解らないのですが、全てにおいて、体力、気持ち、技術…、技術はあまり良い所をみせられなかったんですが、自分は負けていないと思いましたね。何が足りないかが解ったので。
(具体的には?)詰めですね。バックに回られたとき、上に乗った時の詰め。そして、気持ちをもう一歩出すことが出来なかった。敗因はそこだと思います。
(1Rハイアンは慎重に寝技で来たようですが、意外ではなかった?)そう来ると思っていました。タックルにカウンターで右ストレートを合わせたかったんですけれど。タックルから首をとって、倒されないように気をつけていました。作戦としては、上に乗られたあともう少し動いて早く上に乗り返して、コーナーへ持って行って、殴って、殴って、いいポジションを取れれば。もうちょっと殴りたかったですね。(グラウンドで危険な場面は無かった?)グラウンドは大丈夫でしたね。スリーパーも大丈夫でしたし。
(逆に2Rで勝機があったが?)コーナーに詰めてからのパンチ。あそこでもう一歩もう一歩、パンチの連打をできていたら。打てる気持ちがあったら…。
(ハイアンのスタミナは?)最初の3分でわかりました。自分より落ちているなと感じたので。(開会式から、ハイアンがかなり挑発していたが?)僕もその挑発に乗りたかったんですが、全部試合で出したかったので、ずっと我慢していたんですが。それが出せなかったですね。
(美濃輪選手の試合までに日本VSグレイシーが1-1だったが?)試合が始まったらよくわからなくなりましたね。(またグレイシー一族の選手と戦いたいですか?)はい。いつでも。今でも。(ハイアンは想像通りでしたか?)もっと、ガーッと来るかと思っていたんですけど、来なかったし、僕も行かなかったですね。(明日からどうしますか?)明日から? 明日、考えます。」

◆ ハイアン「美濃輪は素晴らしい戦士だった。私は準備期間があまり無い中で、ヴァンダレイ選手の怪我による欠場の代わりということで2週間前にオファーを受けました。また機会があれば美濃輪と戦いたいです。その後で桜庭、吉田と戦いたいですね。前回の桜庭戦の時は怪我をしていたのですが、次はもっと良い試合ができると思っています。グレイシーファミリーのサポートがあるのでどんな選手のチャレンジでも受けたい。できれば2ヶ月のトレーニング期間は欲しいけれど。僕は別に日本人が嫌いな訳ではないですし、日本も日本人も大好きですよ(笑)。美濃輪は素晴らしい選手でしたので、またチャンスがあれば戦いたいと思っています。カカッテコイヨ。
 それから、皆さんに一言メッセージ。PRIDE武士道のコンセプトの中で『グレイシーVS日本』というのは大切なポイントだ。でも日本人のファイターは皆グレイシー柔術を学んでいるので、ある意味、『グレイシーVSグレイシー』だと私達は思っています。これから新しい世代のグレイシー一族の選手がどんどん来日して日本人選手と対戦することになると思うよ。紹介しよう。」
◆ ハイアンの従兄弟・ホールス「日本に来ることができて光栄です。今回は2度目の来日です。次回は自分の試合で来日したいですね。グレイシーのヘビー級の選手としてチャンピオンを目指してがんばります。」
◆ 同じくクラウスレイ「私も次回も日本で良い試合がしたいです。グレイシーの一員として良い試合がしたいです。日本で試合することが待ち遠しいです」



第5試合 1R10分・2R5分
○中村和裕(日本/吉田道場)
×ハリッド・“ディ・ファウスト”(ドイツ/ゴールデン・グローリー)
1R 4'45" 腕ひしぎ十字固め


 今回、中村のボクシングテクニックの上達には目を見張るものがあった。K-1出身のハリッドに対し、序盤の打撃の攻防で全くひけを取らなかったのがその証拠だ。そしてもちろんグラウンドになれば中村の独壇場。一度目のチャンスは1R2分。マウントから腕十字へと移行したが、ここはハリッドが起き上がり、スタンドに戻す。2度目のチャンスは3分過ぎ。中村が足をかけてテイクダウンを奪うと、流れるようにハーフマウントからマウントとポジション移動。鉄槌を嫌がったハリッドの腕を取り、きっちりと腕十字を極めて会心のタップを奪った。試合後のリング上では師匠の吉田秀彦を肩車して喜びを表現した。

◆ 中村「(見事な勝利だったが?)去年、同じ技で負けているので。デビューの場でもある横浜アリーナで今日リベンジできて嬉しいです。(PRIDEで初の一本勝ち)これまでの2勝とも判定勝ちだったので、今日もそうだったら先は無いと思っていました。(ファンが応援旗を掲げていたが)試合前に自分が教えている道場の子供達だと知りました。とても心強かったです。(今後はどんな選手になりたい?)吉田選手や桜庭選手のようになりたいです。そうなれるまで、一つも落とすな、常に一本狙う姿勢でいけ、と思っています。(吉田選手からのアドバイスは?)1本目で極めろ!と。(1回目のキャッチは?)もう少しだったんですが極められませんでした。(次の対戦相手について)具体的な相手はいませんね。最終的にはPRIDE GPで優勝することを自分の目標としたいです。それに向けて頑張ります。(ミドル級GPについては)それも見据えています。一本を獲れるようにしてくれた、吉田選手、高阪選手に感謝しています。今日はありがとうございました。」

第4試合 1R10分・2R5分
○小路 晃(日本/フリー)
×玉海力(日本/フリー)
1R 0'18" KO


 開始早々、小路の左右フックで後ろに倒れた玉海力のがら空きの顔面に、小路は追い打ちのサッカーボールキック。さらにパウンドに移行したところをたまらずレフェリーがストップした。小路は記念すべきPRIDE 20戦目を圧倒的な勝利で飾った。

第3試合 1R10分・2R5分
○高瀬大樹(日本/フリー)
×カーロス・ニュートン(カナダ/ウォリアー・マーシャルアーツセンター)
判定2-1


 武士道1では日本代表で戦ったニュートンだが、この日は日本が誇る寝技師、高瀬との対決。1R、ニュートンは高瀬が組みにきたところをかわして上に。まずは「際」の攻防の巧さを見せつけた。ニュートンはその後、高瀬のガードの中で徹底的に上のポジションをキープ。高瀬は下から腕十字、三角絞め、オモプラッタと攻撃を次々と繰り出すが、ニュートンも反応良く防御して極めを許さない。2Rもニュートンが上、高瀬がガードポジションをキープする展開。ニュートンが高瀬に腕を抱えられてパンチを封じられた一方、高瀬もニュートンの圧力の前に、関節技やスイープを決めることができなかった。互いの力が拮抗しているためか、膠着状態の長い試合となり、ジャッジの判断も分かれたが、結果は高瀬の勝利。世界のニュートンから値千金の白星を奪うも、表情は冴えなかった。

◆ 高瀬「(試合の内容について)思うとおりにならなったです。(ニュートンとは旧知の仲だが?)過去に練習した時に何度も極めていたので警戒されていましたね。かなり研究されていた感じです。(下からの仕掛けの極まり具合は?)1Rに三角がかなりいい感じで入ったのですが、オモプラッタを狙って失敗してしまいましたね。(今後について)もっときっちり練習して頑張りたいと思います。ありがとうございました。」

◆ ニュートン「高瀬はとても強かった。良い試合ができたと思う。自分が勝ったと思いましたが、判定の結果は尊重しますし、高瀬選手を祝福したいです。(研究は?)もちろんしました。試合中は寝技でもっと攻め込もうとしたのですが、高瀬はかわす所を覚えていましたね。研究されているな、と感じました。(高瀬のクロスガードについて)とてもいいガードだったが、危険ということは無い。ただし、突破するのは困難だった。(今後は攻撃的なスタイルと防御的なスタイルどちらで?)基本的に私は攻撃的、防御的ではなく、面白い試合をしたい、と思っています。今日の場合、対戦相手の高瀬選手は寝技のスペシャリスト、私も寝技が得意です。寝技同士の試合は膠着しがちですからね…。これからは防御だけということはなく、積極的、攻撃的な試合をしていきたいと思っています。(ファンからのブーイングは聞こえた?)ファンの皆さんはリング上のことは解ってるんではないですか(笑)。明日からは新しい一日になると思うので、気持ちを切り替えて。がんばります。(今後は?)次もぜひPRIDE武士道の4か5で。またいつか高瀬と再戦したいですね。」

第2試合 1R10分・2R5分
○三崎和雄(日本/パンクラスGRABAKA)
×ジョルジ・パチーユ・マカコ(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー)
判定3-0


 柔術界の大物、マカコに対して冷静なゲームプランを遂行した三崎が大差の判定勝ちを収めた。1R、マカコは序盤から左右のストレートを打ち込むが三崎は冷静にかわす。4分、マカコがパンチからタックルでテイクダウンを奪い、バックを奪うが、三崎は落ち着いて立ち上がり、なおも背後に食らいつくマカコを振り落とす。三崎はマカコの寝技につきあわない戦略のようで、何度か猪木―アリ状態になるが、深追いせずパウンドを数発打ち込む程度。
 2R終盤、三崎が猪木―アリ状態からサイドポジションを取るが、これを嫌ったマカコは下を向いてしまう。すかさず右のキックを打ち込む三崎。さらに下を向いたマカコに対し、三崎はバックマウントを奪取。スリーパーを狙ったが一本勝ちにはいたらなかった。

◆ 三崎「自分の戦略通りできた結果かな、と思っています。(戦略は打撃でしたか?)そうですね。相手を見て、ガチガチに膨れた体をしていたので、動きでは自分の方が自信があったし、スピートのある相手を翻弄する動きで行こうと思っていたら、その通りにできました。(グラウンドでの戦略は?)グラウンドではシコタマ殴ろうと思ったけれど、思ったようには行かなかったですね。寝技の技術で、というよりは殴りたかったですねぇ。でも、下からのプレッシャーを感じたし、安直に殴りに行って下から仕掛けられても嫌だったので、自分の勝機に近い打撃で行きました。
(初めてのPRIDEのリングでしたが?)興奮しましたねぇ。でも自分もまだまだ、いいものを伝えきれていないな、と。次の試合、次の試合と自分の良さを出して行きたいです。言葉で伝えるのではなく、目で見て強さを感じられるような試合がしたいですね。(次は誰と?)特に個人名はないですが。日本人ならば、強い選手とやりたいですね。自分は日本人なので、できれば外国人選手と戦いたいです。」

第1試合 1R10分・2R5分
×山本宜久(日本/高田道場)
○チェ・ム・ベ(韓国/CMA-KPW KOREA)
判定0-3


 今年に入ってケァー、ミルコとビッグネームとの試合が続いた山本。だがその内容は評価されず、文字通り、第1試合で1からのやり直しとなった。
 スタンドでの攻防はグレコローマンレスリング出身のチェが支配。山本をコーナーに押し込み、スタンドでバックを取る展開が繰り返される。チェはここから2度ジャーマンで投げ捨てたが、山本もバックを取られたまま相手の腕を取るなど、桜庭仕込みのムーブを見せた。山本はスタンドでのパンチと右ローで試合を決めたい展開だったが、チェはひたすら前に出て組みにいった。山本は投げられるのを嫌い、相手にバックを取られたまま、何度か自ら四つん這いになったが、チェはここからの攻め方を知らないようで、膠着してしまった。1Rに山本がロープをつかんで、2Rにはチェが膠着を促したとの理由でそれぞれイエローカードが出されたが、結果は終始いいポジションをキープしたチェの判定勝ちだった。山本は前回ミルコ戦に続いてこの試合でも相手の攻撃後にニヤニヤするなど礼を欠く試合態度だった。



【武士道挑戦試合】

第3試合 5分2R
○エメリヤーエンコ・アレキサンダー(ロシア/レッドデビル)
×マット“ザ・ツイン・タイガー”(オーストラリア/シンドージム)
1R 3'16" スリーパーホールド


 身長198センチのアレキサンダーは175センチのマットに対して、リーチの差を生かした打撃でスタンドの戦いを優位に進める。組んでもアレキサンダーは差し合いから投げでテイクダウン。サイドポジションを奪うと、すかさずマウントーバックとポジション移行。うつぶせになったマットにアレキサンダーがスリーパーを決めると、マットは悶絶の表情でタップするしかなかった。アレキサンダーは見事にPRIDE2連勝を飾った。

第2試合 5分2R
○藤井軍鶏侍(日本/フリー)
×キム・ジン・オー(韓国/CMA-KPW KOREA)
1R 2'58" スリーパーホールド


 これがプロデビュー戦となるキム・ジン・オーは、とにかくパンチで前に出る戦法。藤井はこれをいなしながら左右のストレート、右ローキックを叩き込む。それでも前に出てくるキムを藤井は胴タックルで捕捉。浴びせ倒すようにテイクダウンを奪うと、マウントーバックとポジションを移し、最後は難なくキムの体を伸ばしてスリーパー。試合後は今やおなじみのハッスルポーズで決めた。

第1試合 5分2R
×羅王(日本/猪武者)
○ベルトラン・アモーゾ(フランス/チーム・アモーゾ)
2R 0'29" TKO (レフェリーストップ:パンチ)


 ともに柔道出身のファイター同士の戦い。羅王はK-1 MAX等で活躍する小次郎の兄で講堂学舎出身。対するアモーゾは元フランス代表。1Rは互いに牽制してスタンドでの展開となったが、2R、アモーゾはセコンドの「行け」の声に背中を押されるように、左右フックを振り回して前に出た。アゴが上がった不格好なパンチながら、ラッシュをかけたアモーゾに羅王は反撃の糸口を見いだせず、無念のTKO負けを喫した。

Last Update : 05/24

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