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(レポ&写真) [全日本キック] 5.15 後楽園:元気、IKUSAに拳の返答

全日本キックボクシング連盟 "STRAIGHT"
2005年5月15日(日) 東京・後楽園ホール  観衆:1,650人

  レポート&写真:井原芳徳  【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】

第9試合 メインイベント 57.5kg契約 国際戦 3分5R
○山本元気(REX JAPAN/全日本フェザー級王者)
×チンチャイ・マイムアンコーン(タイ/元ルンピニー・バンタム級3位)
1R 3'02" KO (右フック)


 元気がローにつなぐ素早いコンビネーションで1Rからエンジン全開。それに吊られるように、普通は様子見のタイ人も鋭い左ミドルやハイを返し、早くもギアを上げる。だが元気は左ストレートをうまく使い距離を取り、的確な左ボディを叩き込み、チンチャイの表情を曇らせる。
 とはいえまだ1R。比較的淡々とした攻防で、勝負は2R以降かというムードになった。しかしタイ人に分析される前の1R勝負を望んでいた元気。終了間際に打ち合いに持ち込むと、素早い連打の中、クロス気味の右フックを相手のこめかみにヒット。それほど強打には見えなかったが、当たり所が完璧だったのか、チンチャイは足にくる倒れ方でそのままノックアウト負けとなった。

 「フィニッシュは手応えが無かったですね。相手がタイ人なので、ダウンぐらいは取らないと勝てないというつもりでした」と、本人の自覚を超えるフィニッシュだったことを明かす元気。3月に2位の山本真弘が苦戦した相手を短時間で片付けたことを聞かれても、「彼がやってくれたおかげで、ビデオで相手の研究ができました」と素っ気なく答える。
 12月の真弘とのタイトル戦の引分をはさみ、勝ち星は9試合連続でKO。それでも必要以上に自分を飾ることは無い。圧倒的な強さ、それが全てだ。そう言わんばかりに、最近の王者・元気はリング上で異様なオーラを発している。

 リング上でマイクを渡された元気はこうアピールした。「最近、僕に挑戦したい選手が多いようですけど、このベルトは誰にも渡しません。欲しかったら力づくでぶん獲ってください」
 今、6/18開幕のIKUSA GP -U60 SUPERSTAR☆Z TOURNAMENTを巡って、元気の周囲が騒がしい。4月大会で3位の石川直生は「一番欲しいベルトを山本元気から奪うために、IKUSA GPで優勝して全日本に戻ってきます」と宣言。石川から対戦要求された元NKBフェザー級王者・TURBΦは「僕が一回戦で石川選手戦を受ける条件として、近いうち、山本元気選手との試合を組む事を約束してください」と答え、対戦を受け入れた。
 「条件が合って試合が組まれたら、僕はやるだけです」。元気はTURBΦとの対戦自体は構わない姿勢だが、会見等で度々自分の名前が引き合いに出されることには嫌悪感を示している。口先だけのアピールはいらない。「力づくでぶん獲れ」。この元気のメッセージに、TURBΦらIKUSA GP出場選手はZepp TOKYOのリング上でどう答えるか?
 

第8試合 ライト級 対抗戦 3分5R
×サトルヴァシコバ(勇心館/全日本ライト級1位)
○山本雅美(北流会君津ジム/NJKFライト級2位)
2R 終了時 TKO (ドクターストップ:肘打ちによる眉間のカット)


 J-NETWORKのMACH 55から火ぶたが切られた全日本とNJKFの対抗戦。これまで2戦はいずれもNJKFバンタム級王者・藤原国崇との対戦で、3月の一回戦では全日本バンタム級3位・寺戸伸近が破れ、5月の準決勝では全日本バンタム級王者・藤原あらしが激闘の末勝利。1勝1敗の五分に戻していた。
 そして5/15。この日は岡山のNJKFの興行でもNJKFフライ級王者・高橋拓也と全日本所属のJ-NET王者・魂叶獅の一戦が組まれ、後楽園ではヴァシコバとNJKFの山本雅美の一戦が組まれるという、両団体に所属選手が乗り込んでの「本格開戦」の記念すべき日だった。岡山では既に魂叶獅が判定勝ち。後楽園の観客にもその結果が報告され、いやがおうにも対抗戦のムードが高まる。

 ヴァシコバも雅美もサウスポー。だがそのファイトスタイルは対照的。新空手出身のヴァシコバがパンチで前に前に出るのに対し、ムエタイスタイルの雅美は“柳に風”といった感じでうまくかわし決定打をもらわない。ややヴァシコバが押し気味にも見えたが、雅美は縦肘一発でヴァシコバの眉間を切り裂くことに成功。ドクターチェックの後も、右ストレートと左ハイでヴァシコバを苦しめる。2Rも雅美はハイキックを当て主導権。再度ドクターチェックを受けたヴァシコバは、再開後起死回生を狙うが、逆に雅美の左ストレートをもらってしまう。

 結局3R開始直前にドクターストップ。うなだれるヴァシコバを尻目に、雅美はリング上を飛び跳ねて喜ぶ。終了後はテーマ曲、氣志團の「ワンナイトカーニバル」をBGMにダンスを繰り広げ、最後の記念撮影では尻を向けニヤリと笑う独特のポーズを決める。対抗戦のピリピリしたムードも、雅美はお構いなしといった様子だった。
 これで全日本×NJKFは2勝2敗で再び五分に。しかも後楽園の3試合はいずれも肘決着だ。岡山でも魂叶獅が高橋を肘で切ってから主導権を握ったという。両団体の対抗戦で血の雨が振るのは、何かの宿命なのだろうか?

第7試合 全日本ミドル級王座決定トーナメント一回戦(4) サドンデスマッチ(3分3R・延長1R)
×箱崎雄三(TEAM-1/全日本ミドル級3位)
○TOMO(正道会館/K-1 MAX '04日本代表決定トーナメント3位)
2R 1'09" KO (膝蹴り)


 TOMOのセコンドには中迫。入場時には兄・武蔵が激励する。試合は序盤から右ストレートで攻勢。開始まもなくは手を広げて挑発する場面もあった箱崎だが、次第に表情が曇ってくる。TOMOはK-1 MAXではいつも減量に苦しむが、2.5kg重いミドル級ということでゆとりを持って練習できたといい、動きのキレは良好。最後は右フックを効かせ、膝の連打で箱崎をマットに沈めた。トーナメント一回戦でKO勝ちはTOMOだけだった。

第6試合 全日本ミドル級王座決定トーナメント一回戦(1) サドンデスマッチ(3分3R・延長1R)
○中村高明(藤原ジム/全日本ミドル級1位)
×濱崎一輝(シルバーアックス/新空手'00全日本中量級王者)
判定2-0 (朝武30-28/豊永30-30/梅木30-29)


 出場選手で最も長身の中村(188cm)と、背の低い濱崎(171cm)の対決。濱崎がサウスポーからスピードのあるパンチを振り回すのに対し、中村はリーチを活かしミドルと前蹴りで応戦。濱崎の勢いを止める。互いにクリーンヒットがほとんどないまま延長戦に突入するかにも思われたが、3R終盤、中村はコーナーに詰めての肘の連打で濱崎の左まぶたを切り裂くことに成功し、本戦で勝利をもぎ取った。

第5試合 全日本ミドル級王座決定トーナメント一回戦(3) サドンデスマッチ(3分3R・延長1R)
○江口真吾(AJジム/全日本ミドル級2位)
×MAD☆BULL(韓国/青武ジム)
判定3-0 (大成30-28/朝武30-28/豊永30-29)


 韓国の元100m走最高記録保持者という異色の経歴を持つBULLだが、技と言えば飛び膝と組み付いて相手を持ち上げるぐらい。江口が右ローを中心した蹴りで主導権を終始維持し完勝した。

第4試合 全日本ミドル級王座決定トーナメント一回戦(2) サドンデスマッチ(3分3R・延長1R)
×小松隆也(建武館/元全日本ウェルター級6位)
○吉武龍太郎(アイアンアックス/新空手'04全日本中量級王者)
4R 判定1-2 (和田10-9/大成9-10/朝武9-10)

3R 判定0-1 (和田28-28/大成27-28/朝武28-28)
※1R右ストレートで小松1ダウン、3R右ストレートで吉武1ダウンあり

 1R、吉武が右ハイを振った直後の右ストレートでダウンを先取。その後も右ストレートを当てる等優位をキープする。だが3R、小松がカウンターの右ストレートでダウンを奪い返し、ポイントは五分に。延長もパンチ主体の攻防で接戦となったが、的確さで上回った吉武がかろうじて勝利をものにした。

第3試合 ライト級 ランキング戦 サドンデスマッチ(3分3R・延長1R)
×島野智広(建武館/全日本ライト級4位)
○増田博正(スクランブル渋谷/元全日本フェザー級王者)
4R 判定1-2 (和田9-10/勝本9-10/梅木10-9)

3R 判定0-0 (和田30-30/勝本30-30/梅木30-30)

 増田はややパンチを狙いすぎの攻めとなってしまい、逆に2R後半にパンチの連打を浴びてしまったが、終了間際に左ハイで島野をぐらつかせ、ポイントを五分に。3Rは増田が手数で上回るが、ダメージはさほど与えられず延長戦に突入。コーナーに詰めての肘、膝、ハイキックで何度かチャンスを作り判定勝ちをおさめた。

第2試合 ヘビー級 ランキング戦 サドンデスマッチ(3分3R・延長1R)
○滝川リョウ(日進会館/全日本ヘビー級4位)
×圭太郎(手塚道場/元MA日本ヘビー級2位)
2R 0'27" KO (右フック)

第1試合 58kg契約 対抗戦 サドンデスマッチ(3分3R・延長1R)
○正巳(勇心館/全日本フェザー級9位)
×木村敬明(レグルス池袋/J-NETフェザー級)
2R 1'07" KO (右ストレート)

オープニングファイト第3試合 ミドル級 3分3R
×佐藤皓彦(JMC横浜GYM)
○中園貴宏(S.V.G.)
判定0-2 (29-30/30-30/29-30)

オープニングファイト第2試合 ライト級 3分3R
○上杉武信(藤原ジム) 
×村山トモキ(AJジム)
判定2-0 (30-28/28-28/30-28)

オープニングファイト第1試合 ウェルター級 3分3R
○森 卓(勇心館)
×板倉直人(スクランブル渋谷)
3R 0'38" KO (右ストレート)
※森に1,2Rにダウン1ずつあり

Last Update : 05/19 12:17

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