(レポ&写真) [PRIDE.29] 2.20 さいたま:ミルコ、コールマンに完勝
ドリームステージエンターテインメント "PRIDE.29" 2005年2月20日(日) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ
レポート&写真:井原芳徳 コメント編集:浅野翔太郎 【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】
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第10試合 ヘビー級 1R10分・2-3R5分 ○ミルコ・クロコップ(クロアチア/チーム・クロコップ) ×マーク・コールマン(アメリカ/ハンマーハウス) 1R 3'42" KO (左ストレート)
ミルコがじわじわとプレッシャーをかけ、左ストレート、左ローで攻勢。コールマンの再三のタックルもしっかりと切ってスタンドに戻し、全く危なげが無い。コールマンは次第に顔が紅潮し、為す術が無くなって来た様子。最後はミルコが左ジャブの連打でコールマンをロープに追いつめ、左アッパーと左ストレートの連打をクリーンヒット。半ば戦意喪失状態でダウンしたコールマンにサッカーボールキックをお見舞いしたいところでレフェリーが試合をストップした。 よりグレードアップした姿を見せ、タイトルマッチ前哨戦を難なくクリアしたミルコはマイクを持ち、改めてヒョードル戦を要求。バックステージでの共同インタビューでは4/23の大阪ドームのミドル級GP開幕戦大会での対戦を希望した。榊原信行DSE代表は「4月の実現は難しい」としたが、「待った無し」の状況であることは認め、「6月か8月に実現できるよう一日も早くセットアップしたい」と早期実現を約束した。 敗れたコールマンはミルコの後にマイクを持ち「クロコップは今迄戦った選手で一番強かった。でも私は絶対にこのままでは辞めない」と現役続行を宣言。ファンの喝采を浴びた。
◆ミルコ「コールマン選手はタフでした。彼はタックルで私の両足を刈れると思っていたんでしょうが、私にはそれができないということもわかっていた。私はグラウンドになっても怖くないんです。それだけ這いずり回って汗をかいてきたのです。レスラータイプの選手にはもう負けません。ファブリシオ選手の試合を観たと思いますが、あんなとんでもない選手が家にいて、毎日自分の腕を極めにくるのですから、必然的にグラウンドは上達してきます。早くヒョードル選手と戦いたい。次の大会にでも、という気持ちでいます」
◆コールマン「ミルコは素晴らしい選手です。テイクダウン、パンチ、キック、どの側面をとってみても想像以上の選手でした。(昨年4月のヘビー級GP開幕戦でヒョードルとも戦いましたが、もしミルコとヒョードルが戦えば?)難しい質問ですね。両選手とも素晴らしい。ヒョードルですらミルコ相手になると厳しいでしょう。一つ言えるのは、2人が対戦したら、見るものに必ず感動を与える試合になるということです。私自身もその試合を見るのが楽しみです」
第9試合 ミドル級 1R10分・2-3R5分 ○クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン(アメリカ/チーム・オーヤマ) ×ムリーロ・ニンジャ(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー) 判定2-1 (ジャクソン=大城,大橋/ニンジャ=ヒューム)
ジャクソンは昨年10月のシウバとのタイトルマッチで鼻を骨折した後しばらく休養していた。今回の試合のオファーは急遽受けたせいもあり、調整不良を露呈。何度もテイクダウンは成功するが、上の状態をなかなかキープできず、そのたびにニンジャに立たれてしまう。3Rには一瞬マウントを取られてしまう場面も。そんな中でもジャクソンは股の下から相手を抱え上げての投げで見せ場を作ったが、いつも豪快さは無し。判定も割れる接戦となってしまった。 試合後ニンジャの弟・ショーグンがマイクを持ち、ジャクソンに対戦を要求。ジャクソンは戸惑った様子で「ちゃんと準備期間をくれるのならやってもいい」と答えるのみだった。
◆ジャクソン「コンディションはまあまあでしたが、鼻を骨折して練習ができない状態なのに、急に決まった試合を受けてしまいました。これでいい教訓になったので、今後、急なオファーは受けないようにしたいと思います。(試合後に対戦要求をしてきた)ショーグンとも戦います。同じ階級の相手、正しいファイトマネー、十分な練習時間を与えてくれれば戦いますよ。少なくとも2ヵ月は準備期間がないと怪我をしてしまいます。今回の準備は1ヵ月だけで、スパーリングが十分にできませんでした。4月のミドル級GPまでにはしっかり調整します。次は言い訳はできません」
◆ニンジャ「自分のいい攻撃ができたと思います。グラウンドでも技を出すことができました。しかし、相手の方が力が非常に強かったと思うし、ジャクソン選手はPRIDEの中で2番目に強い選手だと思うので、非常に厳しい試合だった。判定には納得はしていない。やはり自分はこの試合に関しては有利だったと思っている。1Rと3Rにはマウントも取ったし、有利に進めていた。勝っていたと思う」
第8試合 ミドル級 1R10分・2-3R5分 ○アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム) ×アリスター・オーフレイム(オランダ/ゴールデン・グローリー) 判定3-0
スタンドの打撃戦、脇を差し合ってのテイクダウンの奪い合い、グラウンドの攻防と、場面の変化は見られるが、互いに決め手がないまま試合は淡々と進む。ようやく2R終盤、パスガードに成功したホジェリオがマウントパンチの連打でアリスターを追いつめ攻勢に。3Rには体力切れのアリスターのパンチの空振りが目立ち始め、ストライカーにも関わらず逆にホジェリオの打撃のラッシュに追いつめられる場面も。最後はホジェリオがアームロックでチャンスを作り、勝利を決定づけた。
◆ホジェリオ「今回100%の力を出し切ることができたと思います。マリオ・スペーヒーと2人とも素晴らしい勝利を勝ち取ることができました。まずマリオの勝利、そして私の勝利。それはすべてチーム全員の協力あってこそできたものだと思います。練習から試合の会場まで、皆の応援があったから、このような結果を残すことができたのだと思っています。たしかに試合の初めは大変厳しかったですが、1Rの後半あたりからリズムを掴んで、勝利を勝ち取ることができました」 ※アリスターはノーコメント。
第7試合 ミドル級 1R10分・2-3R5分 ○田村潔司(日本/U-FILE CAMP.com) ×アリエフ・マックモド(アゼルバイジャン/フリー) 1R 5'06" TKO (タオル投入)
田村が左ミドル、左ロー、飛び膝(テンカオ)で攻勢。だがマックモドが負けじと飛び膝を放ったところで、田村の迎撃の膝が股間にクリーンヒット。マックモドはしばらく立ち上がれなくなってしまう。10分弱の休憩の後、試合が再開するが、マックモドはコーナーに追いつめられ為す術なし。2度目にコーナーに詰められたところで自らしゃがみこんで戦意喪失状態となり、セコンドからタオルが投げ込まれた。 会場は騒然とし不満ムードが充満。不完全燃焼の田村は勝ち名乗りを受ける前に、憮然とした表情のまま足早に花道から退場していった。するとリング下で突然、田村のUWFインター時代の後輩・桜庭和志がマイクを持ち「田村さん、こんな試合をしても面白く無いと思うんで、4月に(ミドル級GP開幕戦で)僕と試合をして下さい」とアピールし、またも会場は騒然とした。 この出来事に榊原信行DSE代表も「サクの突発的で自発的な行動」と驚きを隠さなかった。しかし田村に対しては「残念な結果だったが、真剣勝負の中でこういった突発的な自己は仕方ない。今日結果を出せなかった分、ミドル級GPには出て来てほしい」と呼びかけた。田村は試合後病院に向かったためノーコメントだった。
◆マックモド「(金的は)大丈夫です。応援してくれた皆さんにありがとうと言いたいです。急所を打たれてしまって力が出せませんでしたが、次回の相手には3分も与えずに試合を終わらせたいです。相手選手のことは悪く言いたくありませんが、急所を打たれたのは非常に残念です。これ以上言うことはありません」
第6試合 ヘビー級 1R10分・2-3R5分 ○セルゲイ・ハリトーノフ(ロシア/ロシアン・トップチーム) ×チェ・ムベ(韓国/チーム・タックル) 1R 3'23" KO (右アッパー→サッカーボールキック)
ハリトーノフがボクシングで攻勢。一気に攻めることはないが、着実にパンチを当てチェを痛めつける。チェもバックハンドや空手チョップで応戦し会場を湧かせるが、ハリトーノフには当たらず。タックルも切られてしまい、最後は右アッパーの連打でマットに沈んだ。
◆ハリトーノフ「気分がいい。試合内容は気に入りました。次の大会が楽しみです。チェ選手は準備していたと思いますが、こちらもロシアでビデオを見て研究してきたので、今回はリスクを負わず、やりたいことがすべてできました。ぜひPRIDEのマットでチャンピオンになりたいです」
◆チェ「今日は作戦ミス。もっともっと勉強が必要です。ロシアントップチームはいろいろなメニューが用意されているので、非常にいい訓練をしているなと思いました。今回は負けましたが、PRIDEの参戦が終わりだとは考えていません」
第5試合 1R10分・2-3R5分 ○中村和裕(日本/吉田道場) ×ステファン・レコ(ドイツ/ゴールデン・グローリー) 1R 0'55" レフェリーストップ (グラウンドパンチ)
開始すぐ中村は右フックを当てると、レコをコーナーに詰めサバ折りでテイクダウン。コーナーを背中にしたレコにパンチを連打したところでレフェリーが試合を止めた。中村はレフェリーの制止後も殴り続けたが、レコはダメージが無く、敗戦にもサバサバとした様子だった。 マイクを持った中村は「今回ハイアンには逃げられましたが、僕は逃げません。4月からのGPは僕が中心で回ります。カズでいいんで、中村和裕の名前を覚えていてください」と豪語した。 なお、大会後の共同インタビューで、レコのPRIDEでの苦戦について聞かれた友人・ミルコは、レコ本人に直接「君はPRIDEに向いていない。必要な筋肉の質がK-1とは違う。君はK-1のほうが合っている」というアドバイスを送っていたことを明かした。現実的にはマネージメントの問題もあり、レコがK-1に戻るとは思えないが、ミルコのシビアな言葉をレコがどう感じているかは気にかかるところだ。
◆中村「そんなに嬉しくないですが、勝てて一安心しています。ハイアンとの試合が無くなった日は何もできなかったけど、ここで落としたらミドル級GPに出られないですから、きっちり勝って、GPにつなげたいと思っていました。この試合はタップを奪うなり、KOすることしか考えてなかったです」
◆レコ「非常に残念です。背中の怪我があり、本調子でリングに上がれたわけではなかったので、まだPRIDEという新しいフィールドの準備は完全ではありません。K-1で立ち技の練習ばかりやっていたので、新しい技を磨かなければならないというのが非常に難しい点でした。立ち技も寝技も均等に練習してきましたが、本番は練習とは違うと感じています。まずはゆっくり休みたい。すっきりしてから次のことを考えたいと思っています」
第4試合 ミドル級 1R10分・2-3R5分 ○イゴール・ボブチャンチン(ウクライナ/フリー) ×高橋義生(日本/パンクラス) 1R 1'10" KO (右フック)
ボブチャンチンが減量の成果を存分に発揮。開始早々、素早い右ハイで高橋をヒヤリとさせると、細かい左ジャブでけん制し、ロープ際に追い詰めての右ロシアンフックを高橋の鼻柱にクリーンヒット。あっさりとノックアウト勝ちをおさめ、ミドル級GPに向け絶好調ぶりをアピールした。
◆ボブチャンチン「うれしい気持ちでいっぱいです。今92kgで、もともとミドル級で始めて、キックボクシングでもチャンピオンになっていますし、こちらの方がやりやすいと感じています。当面の目標はミドル級GPで優勝することです」
◆高橋「ボブチャンチンは凄かった。悔しい気持ちもありますが、戦えて嬉しかったです。対峙しただけで舞い上がってしまいました。一発でやられるなんて初めて。納得することをリングで出していないので、できることならもっと、ここPRIDEのリングでただのパンクラスの一選手として戦いたいです。まだ頭がフラフラしています。本当に凄いです、“北の最終兵器”は。一番好きな、尊敬している選手とやれて本当にうれしかったです。勝ちたかったですけどね」
第3試合 ミドル級 1R10分・2-3R5分 ×金原弘光(日本/フリー) ○マウリシオ・ショーグン(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー) 1R 1'40" KO (サッカーボールキック)
フックの相打ちの後、いったんグラウンドになるが、目立った展開のないままスタンド勝負に戻ると、ショーグンのカウンターのストレートが炸裂。金原がマットに崩れると、ショーグンはサッカーボールキック、ジャンピングの踏み付けでラッシュする。金原は苦しみながらも足関を狙うがあっさりと逃げられてしまい、最後はこめかみにサッカーボールキックをもらったところでレフェリーストップ。ショーグンの完勝だった。
◆ショーグン「いい試合だった。シュートボクセをいい形で代表できた。次の対戦相手は誰でもいいが、(ムリーロ・ニンジャに判定勝ちした)ジャクソンとやって、倒したい」
◆金原「長期戦に持ち込んで相手にエネルギーを使わせる戦いに持ち込めば勝機はあったと思うんですが、今回は作戦ミス。キックに行ったときにバランス崩したのが命取りになりましたね。気は失っていないですね。立ち技とかもっとやりたかった。(再戦は)もちろんしたいですね。今は連敗地獄に落ちちゃっているんで、一つ踏ん張って這い上がりたいですね」
第2試合 ヘビー級 1R10分・2-3R5分 ○ファブリシオ・ヴェウドゥム(オランダ/チーム・クロコップ) ×トム・エリクソン(アメリカ/フリー) 1R 5'41" チョークスリーパー
序盤、ヴェウドゥムはエリクソンの右フックを浴び、タックルを潰され下になるなど劣勢。下から腕を狙ってもエリクソンに立たれてしまい、慣れない総合ということもあってかなかなかペースをつかめない。だが5分過ぎ、エリクソンに組み潰され四点ポジションになりそうだった所で、バックに回り込むと一気にスリーパーへ。防御の甘いエリクソンをあっさりと極めてタップを奪い、PRIDE初戦をかろうじて白星で飾った。
◆ヴェウドゥム「今日のために5ヵ月、チーム・クロコップの仲間と練習を積んできました。体重差は多少影響したと思います。ただ、自分より重い選手とやることには慣れています。自分の打撃に関しては、今回はチーム・クロコップのみんなに教えてもらったことをすべて出し切ることができたと思います」
◆エリクソン「結果に驚いている。自分の足があがった時に攻撃が入り、それがとてもいい攻撃だったと思っています。彼は本当にテイクダウンの技術が優れていると思います。彼には将来に向けていい道を進んでもらいたいと思っています。私がこのリングで最後に負けたのはヒース・ヒーリング選手で、彼はその後、スター街道を進みました。ファブリシオ選手にも同じことが起きるといいと思っています」
第1試合 ミドル級 1R10分・2-3R5分 ×横井宏考(日本/チーム・アライアンス) ○マリオ・スペーヒー(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム) 1R 9'08" レフェリーストップ (四点ポジションからの膝蹴り連打)
序盤、横井が右フックでスペーヒーの左目尻をカット。テイクダウンに成功し、ペースをつかんだかにも思われた。しかしスペーヒーがすぐさま脱出すると、バック、四点ポジションと回り込んで、膝蹴りとサッカーボールキックを連打し一気に攻勢に。3分ほど四点ポジションから膝をコツコツ当て続け、横井の出血が見られたところでレフェリーが試合をストップした。
◆スペーヒー「勝利を勝ち取ることができ嬉しく思っています。この試合に臨むにあたり、(アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラと)2人で一緒に練習を積んできましたし、共にダイエットもしました。今回はチーム全員の協力をもらってこのような結果になったと思っています。大変満足しているし、今後も頑張っていきたいと思います」
◆横井「勝てると思いました。1ヵ月半で12kgしぼりましたが、スタミナは問題ありませんでした。試合のプランは立てていなかったんで、行けるところでいこうと思って。最初はちょっと様子を見ていたんですけど、自分が弱かった。知り合いだからこそ必要以上に気合いを入れていたんですが…。(もう一度)やりたいです」
Last Update : 02/22 22:06
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