(レポ&写真) [PRIDE.28] 10.31 さいたま:シウバ、3度目の防衛
ドリームステージエンターテインメント "PRIDE.28" 2004年10月31日(日) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ 観衆:24,028人(満員)
レポート:井原芳徳 写真:井原芳徳 コメント編集:永塚和志 【→カード紹介記事】 【→掲示板スレッド】
第9試合 PRIDEミドル級タイトルマッチ 1R10分・2R5分・3R5分 ○ヴァンダレイ・シウバ(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー/王者) ×クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン(アメリカ/チーム・オーヤマ/挑戦者) 2R 3'26" KO (膝蹴り) ※シウバが3度目の防衛
熱烈なクリスチャンに改心し話題となったジャクソンの紹介VTRだが、残念なことにその話題は一切触れられず、以前の狂犬キャラのままの扱い。これまでの両者の因縁のみが紹介される内容となる。実際、ジャクソンは国家斉唱時にどういうわけか携帯電話を持って話していたりと、本当に改心したのか疑わしい挙動を見せていたが、しかしながらそういう背景を差し置いても、二人の戦いはPRIDEの歴史に残る激しい内容となった。 序盤、シウバがお得意の左右のパンチの連打で攻勢。さらには組んでの膝も絡め、ジャクソンは左目の上を出血。試合は早い時間に決まるかにも見えた。しかしジャクソンは首をつかんで豪快にシウバを倒し、上のポジションを奪取。いったんドクターチェックが入るが、傷は浅く試合は続行される。 シウバが下から三角絞めを狙うと、ジャクソンはお得意の持ち上げての叩き付けを狙う。しかしシウバはすかさず足を捕らえる。ジャクソンは足を抜いて再びインサイドガードに戻る。打撃ばかりが強調されるシウバの、器用な一面が垣間みられる。 ジャクソンは上からパンチと鉄槌をコツコツと落とし、シウバを苦しめる。しかしこう着状態に陥りブレイクがかかり、島田レフェリーは両者にイエローカードを提示する。 スタンドに戻ると、再びシウバの攻勢に。しかしジャクソンはカウンターの右ストレート一発でシウバを真後ろに吹き飛ばすと、上からパンチと鉄槌を落とし反撃。最大のチャンスを迎えたところで1ラウンド終了のゴングが鳴る。
2Rも打ち合いの後、すぐにジャクソンが上に。シウバがまたも三角絞めを仕掛けると、リバーサルに成功する。シウバは上からパンチを落とした後、立ち上がってお得意の踏み付け。しかしジャクソンは被弾することなくタックルで逃れて、スタンドに戻す。 4度目のスタンド。今度も激しいパンチ合戦が繰り広げられる。だが体力と技術に勝るシウバのカウンターの右フックが炸裂。ジャクソンはこれで一気に失速すると、シウバは膝蹴りのラッシュ。最後ジャクソンは前のめりに倒れ、ロープの間にもつれこむようにノックアウトした。
苦しみながらも、最後はらしさを見せつけ豪快に試合を決めたシウバ。大みそかの男祭りにも出撃を宣言し、今後のUFCライトヘビー級王者・ランディ・クートゥアとの対戦にも前向きな態度を示した。
◆シウバ「今までジャクソンとは色々因縁はあったが、それはリングの中だけでの関係だ。終った後は、彼への印象は良くなった。神様を信じるようになったことはいいことだ。(UFC王者のクートゥアが対戦を希望しているが?)彼も歳なので、引退してしまう前に早めに戦いたい。PRIDE側さえ良ければ、アメリカで戦ってもいい」
◆榊原信行DSE社長「シウバはヘビー級でもやりたいと言っていた。ミドル級であっても、顔見せではない、今回の死闘に勝るとも劣らない試合になる相手を用意したい。来年ミドル級GPには、クートゥア、ビクトー・ベウフォート、ティト・オーティズをぜひ呼びたい。チャック・リデルでもいいですけど」
第8試合 ヘビー級 1R10分・2R5分・3R5分 ○ミルコ・クロコップ(クロアチア/チーム・クロコップ) ×ジョシュ・バーネット(アメリカ/新日本プロレスリング) 1R 0'46" ギブアップ (左肩の脱きゅう)
「PRIDEのシンボルになりたい」等と語るミルコの煽りVTRで、異様な盛り上がりを見せる場内。激戦が期待されたが、その前のダンヘン vs. 中村同様、あっけない決着となってしまう。 ゴング早々、ジョシュは右フックを放ちながら突進。ミルコは突き放すが、それでもジョシュは組み付こうとする。もう一度突き放したミルコは、一発目の左ハイ。だがジョシュは物怖じせず組付き、テイクダウンを奪うことに成功する。だがこの時、ミルコがかんぬき状態でジョシュの左腕を巻き込んでガードポジションを取ったためか?ジョシュは左肩を脱きゅう。しばらくしてジョシュはタップし、終了のゴングが打ち鳴らされた。 場内の観客は何が起こったのかわからないまま唖然とした様子。ミルコも納得できず「また戦いたい。大みそかに会いましょう」と言い残しリングを降りた。ジョシュも肩をタオルで吊るした痛々しい姿で、四方の観客に礼をし負傷を詫びた。
◆ ミルコ「たった40秒だったけど、今は気分がいい。(ジョシュはグラウンドで勝負しようとしていたが?)グラウンドに持っていこうとするのはわかっていた。でも柔術世界王者のファブリシオ・ヴェウドゥムとトレーニングをしたので、グラウンドゲームでも問題はなかった。(今日の作戦は?)信じないかもしれないが、私は研究はするが作戦は立てない。最初から相手がグラウンドに行くのはわかっていたから、その流れで行こうとしただけ。 (ジョシュについてはどう思う?)ケガをしてしまったのは残念。治すのに時間がかかるだろうし。試合前に色々言っていたが、それが仕事の一部だということはわかる。私はそういうのはしないけれども。でもナイスガイだとは思う。(大晦日にタイトルに挑戦したい?)大晦日にはまず(ノゲイラとヒョードルで)ベルトを統一してほしい。そしてわたしがそれにチャレンジしたい。ミノタウロもヒョードルも両方尊敬しているが、今度はベルトをもらう。」
第7試合 ミドル級 1R10分・2R5分・3R5分 ×中村和裕(日本/吉田道場) ○ダン・ヘンダーソン(アメリカ/チーム・クエスト) 1R 1'15" KO (グラウンドでの膝蹴り)
スタンドの打撃で押し気味のダンヘンに対し、中村はしつこいタックルで倒しにかかる。だがダンヘンも倒れかけたかと思えば起き上がり、バランスの良さを発揮する。そしてスリーパー狙いで後ろに回り込んだダンヘンを、中村がバックドロップ気味に投げると、その衝撃で中村は左肩を脱臼。ダンヘンはサイドポジションを奪い、パンチと膝を叩き込んだところでレフェリーが異常に気付きストップした。あっけない内容だったが、ダンヘンの動きの良さが光っていた。
◆ ヘンダーソン「自分が思っていたより早く試合が終わった。何が起きたかわからないが、中村が肩を脱臼したようだ。最後まで闘う準備ができていた。もしもっと闘っていたら、エンターテイメント性のある面白い試合を見せられたと思う。(トレーニング方法を変えた?)いいえ、特にトレーニング方法を変えたということはない。いつもどおりにやってきた。いつも僕は相手によってトレーニング方法を変えるということはなくて、相手に応じて少しだけ対策を立てる。今回は柔道のバックグラウンドがある選手だったので、柔道とレスリングではテイクダウンの方法が違うから、どういう風に柔道の選手がテイクダウンをするかの感覚をつかむために練習をした程度。(来年のミドル級グランプリには出たい?)絶対に優勝したい。そのためにたくさん試合をしたい。相手は誰でもいい。次は大みそかの大会に出たいと思う。」
第6試合 ヘビー級 1R10分・2R5分・3R5分 ○マーク・ハント(ニュージーランド/リバプール・キックボクシングジム) ×ダン・ボビッシュ(アメリカ/デルカ・コンバット・アカデミー) 1R 6'23" KO
◆ ハント「(グラウンドで圧倒されていたようだが、焦っていた?)もちろん、何度も何度も焦った。グラウンドから何とか脱出しようとしたが、ボビッシュにパンチをもらってしまった。(スタンドで勝負しようとしていた?)自分のパンチを当てることができればノックアウトできると思っていた。(柔術はどんな練習をしている?)アームバー、チョーク、あとグラウンドからのエスケープする方法などを練習している。」
第5試合 ミドル級 1R10分・2R5分・3R5分 ×金原弘光(日本/UKR) ○アリスター・オーフレイム(オランダ/ゴールデン・グローリー) 2R 3'52" TKO (レフェリーストップ:出血)
第4試合 ヘビー級 1R10分・2R5分・3R5分 ○エメリヤーエンコ・アレキサンダー(ロシア/レッドレビル) ×ジェームス・トンプソン(イギリス/チームMMAユニバース) 1R 0'12" KO (左フック)
◆ アレキサンダー「こんなに試合が早く終わるとは思わなかったので、疲れてもいない。満足している。(兄のヒョードルからは毎回アドバイスを受けている?)毎回というわけではないが、今回の試合ではいくつかアドバイスをもらった。(どんなアドバイス?)試合の内容を見てもらえれば分かるとので、あえて言う必要はないと思う。」
第3試合 ミドル級 1R10分・2R5分・3R5分 ○ヒカルド・アローナ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム) ×セルゲイ・イグナチェフ(ロシア/ロシアン・トップチーム) 1R 8'37" チョークスリーパー
◆ アローナ「今日の試合は計画通りだった。(どんな計画だった?)しっかりムエタイの練習をした。それと、投げ技とグラウンドの練習もした。それが出せたと思う。(試合後不満そうだったが?)相手をチョークしにいったときに相手の歯が自分の腕に当たってしまったから不満そうに見えたのだろう。今後の目標は、来年のミドル級グランプリのベルト。だからいっぱいミドル級の試合をしたと思う。」
第2試合 ヘビー級 1R10分・2R5分・3R5分 ○チェ・ムベ(韓国/CMA-KPWコリア) ×ソア・パラレイ(ニュージーランド/ファイトクラブ) 2R 4'54" チョークスリーパー
◆ チェ「(ダメージは?)相手のパンチがすごかったが、自分は韓国の総合格闘技の未来を背負っているから、どうしても倒れられなかった。(前に出続けていたが?)後に下がっては駄目だと思う。アマレスでは前に出ないと負ける。だからいつも前に出る。」
第1試合 ヘビー級 1R10分・2R5分・3R5分 ×横井宏考(日本/チーム・アライアンス) ○ヒース・ヒーリング(アメリカ/ゴールデン・グローリー) 1R 1'55" KO (4点ポジションでの頭部への膝蹴り)
◆ ヒーリング「すごくいい勝ち方をし、いい気分だ。(後頭部への攻撃をしたとみなされてタイムストップがかかったが?)あのブレイクはいい気がしなかった。向こう(横井)にリカバーする時間を与えているように思えた。(スタンドで勝とうと思っていた?)そう、自分はスタンドで優位だと思っていたので、スタンドで行こうと思っていた。(次の試合は誰と?)今夜の試合はステップだった。次は誰と、というのはないが、大晦日で闘いたい。そして、ヘビー級のトップになりたいと思っている。」
◆ 横井「情けないけど、試合をやった気がしない。(右フックが効いた?)はい。自分では何をもらったかわからず、あとから聞いたら右フックだと。(レフェリーがタイムストップをしたのは覚えてる?)覚えてません。試合中の記憶がないので。(作戦は?)作戦というか、向こうの出だしを見て、蹴ってくる蹴り脚をキャッチしたかったんですけど。こっちも結構打撃で行こうと思っていたが、やられちゃってダサいなと思います。(今後はどうする?)また一からやり直しですね。完璧にKOだから言い訳もできないし。自分が弱かっただけ。」
Last Update : 11/01
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