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(レポ&写真) [PRIDE GP開幕戦] 4.25 埼玉:ランデルマン、ミルコをKO!

ドリームステージエンターテインメント "PRIDE GRANDPRIX 2004 開幕戦"
2004年4月25日(日) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ  観衆:42110人(超満員札止め)

  レポート:小林秀貴  写真:井原芳徳  【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板スレッド]


一般発売 5/23(日) に先駆け 15(土)12:00〜限定発売!

6/20 さいたま・2回戦進出選手>
 ヒョードル、ノゲイラ、ランデルマン、小川、シュルト、シルバ、ハリトーノフ、ヒーリング

第8試合 1R10分/2,3R5分
○エメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア/レッドデビル/PRIDEヘビー級王者)
×マーク・コールマン(アメリカ/ハンマーハウス/PRIDE GP 2000王者)
1R 2'11" 腕ひしぎ十字固め


 メインに登場したのは、言わずと知れた現役王者のヒョードルと、前回PRIDEGP 2000覇者・マーク・コールマン。1回戦から、いきなりの新旧王者対決という豪華な顔合わせに、場内の期待はピークに達した。
 コールマンは前回GP以降、PRIDE.15でノゲイラに腕ひしぎ三角固めで敗れるなど精彩を欠いていたが、レスリング仕込みのテイクダウンの能力と、押さえ込みの力においてはヒョードルと互角かそれ以上。
 果たして、試合もその通りの展開となった。

 開始15秒、両者互いに引き寄せられるかのように激突すると、胴タックル気味にテイクダウンを奪い、上を取ったのはコールマン。30秒にはマウントポジションを取り、さらにバックマウントに移行。そしてチョークスリーパーで絞めあげる。ポジションから見れば、このまま絞め落としてもおかしくない体勢に思われた。
 しかし絞めることに焦るあまり、コールマンのポジション取りはわずかにポイントを外し、ヒョードルをこの体勢で押さえ続けるには無理があった。

 そこで関節技には一日の長があるヒョードルが驚異の粘りを見せる。
 バックを取られた状態から、体を反らせるように反転して脱出すると、そのままフロントチョークへ。再びコールマンの両足タックルでテイクダウンを許すも、次の瞬間、下からの腕ひしぎ十字固め。いわゆる「裏十字」の体勢で、コールマンからタップを奪った。

 これまでパウンドのイメージが非常に強いヒョードルだったが、あらためて、関節技もできるサンボ王者であることをアピールした格好だ。
 試合後リング上でマイクをとったヒョードルは、「応援してくれたみなさん、ありがとうございます。それから今日戦ったマーク・コ−ルマン選手を私は尊敬しています。試合をしてくれたコールマン選手に感謝します」と王者らしい挨拶をして、熱戦を締めくくった。

◆ヒョードル(リング上)「みなさん応援してくれてありがとうございます。そして今日の対戦者、マーク・コールマンに大変感謝しています。マーク・コールマン選手は非常に偉大な選手で、私はいつも尊敬しています。そして、みなさんの期待に応えるよう、今後もみなさんを喜ばせる試合をしたいと思っています。ありがとうございました」

◆コールマン「今試合が終って、あそこでああすれば良かった、こうすれば良かったと、諸々の反省点は理解できている。それを治せば、次の試合は勝てると思う。私の体にはまだレスリングの癖が残っていて、立ち技で殴りに行く動作が体に染み付いていないんだ。ただ、首を手術してから初めての試合だったのだが、ヒョードルのパンチを耐えられたので自信がついた」

第7試合 1R10分/2,3R5分
○アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル/ブラジリアン・トップチーム/PRIDEヘビー級暫定王者)
×横井宏考(日本/チーム・アライアンス)
2R 1'25" スピニングチョーク


 “三強”の一角、ノゲイラの相手に選ばれたのは、MMA10戦10勝、“怪物くん”の異名をもつ横井宏考。修斗、リングス、DEEPといった戦場を渡り歩き、ついにPRIDEヘビー級GPへのエントリーに漕ぎ着けた。しかしいくら総合無敗とはいえ、暫定王座に君臨するノゲイラが相手では、「柔術マジック」の前に苦戦を強いられるであろうことが予想された。
 ところがいざ試合が始まってみると、試合時間の大半で主導権を握っていたのは横井の方だった。
 1R序盤、横井は差し合いでノゲイラと互角以上の攻防を見せると、一旦は小外掛けでテイクダウンを奪われた。だが隙をうかがってスタンドへ戻し、3分30秒、今度は逆に払い腰でノゲイラからテイクダウンを奪う。横井は猪木アリ状態からインサイドガードへ。しかし深入りはせず、時おりパンチを放つものの、ノゲイラの密着は許さない。ノゲイラの下からのパンチに対しても、効かないよとばかりに顔をつき出して挑発する強心臓ぶり。

 一方のノゲイラは4分30秒、下から腕十字とオモプラッタを狙うが横井にかわされる。5分にはスイープを決め、マウントポジションを奪うが、すぐに横井に返された。ノゲイラは再びガードポジションから三角絞めやオモプラッタを狙ったが、これもかわされ、焦ったのか、汗の量も多くなってきた。
 しかし8分、勝負をスタンドに戻したところで試合のペースはノゲイラへ。キューバで練習してきたというボクシングテクニックを駆使。まずはワンツーで横井を一瞬ぐらつかせると、なおも小気味いいテンポでワンツーを打ち込む。残り30秒、ヒザ蹴りで後方に倒れた横井に対してフロントチョーク。しかしこれも極めきれない。2度目のフロントチョークも逃げられたところでゴング。

 2R、横井の体落としで一旦は下になったノゲイラだったが、続いて放たれた横井のタックルを切り、がぶって4点ポジションでのヒザ蹴りを放つ。ここからさらに有利なポジションを次々と奪っていくのがノゲイラのこれまでのスタイルだったが、ノゲイラが次の瞬間おこしたアクションは、相手のタックルをがぶったまま、ゴロンと体ごと右に回転した、フロントチョーク風の変形肩固めだった。
 不意をつかれて完全に極められた横井はタップするのみ。終わってみればノゲイラの順当勝ちであった。

◆ノゲイラ(リング上)「みなさんこんばんは。今夜はまずみんなの前で試合を戦うために来ました。いかがだったでしょうか。私は間違いなく、GPのチャンピオンになると思います。そのために、一生懸命やりたいと思います。どの選手も尊敬していますけど、私が一番だと思います。それではまたの機会に」
(バックステージ)「横井は素晴らしい選手で、僕の戦い方をよく研究していたけど、最後は僕が練習していた技で勝てたので良かった。(最後の技の名前は?)スピニングチョークだ」

第6試合 1R10分/2,3R5分
×ミルコ・クロコップ(クロアチア/クロコップ・スクワッド)
○ケビン・ランデルマン(アメリカ/ハンマーハウス/元UFCヘビー級王者)
1R 1'57" KO (グラウンド鉄槌連打)


 ミルコはPRIDE.27でのロン・ウォーターマン戦、PRIDE武士道2での山本宜久戦と2度のピークアウトで完勝し、GP一回戦を迎えた。
 相手はレスリング系のケビン・ランデルマン。風貌はロン・ウォーターマンとも少し似ているものの、レスリングの実力は比較にならない。ランデルマンは抜群の身体能力とテイクダウンの技術を生かし、ミルコの上に乗ることができるかどうかが勝負の分かれ目と見られた。
 そのランデルマンが、期待通りの「波乱」を見せた。

 胴タックルを決めるべく、ゴングと同時にミルコに突進。ミルコを赤コーナー際に押さえつけた。もろ差しの体勢のランデルマンに対し、倒れまいと腰を落とすミルコ。試合開始早々、明らかに防御の体勢に入っているミルコを見て、場内がわき上がる。しかし1分15秒、差し合いの攻防を膠着とみた島田レフェリーが両者を分け、リング中央から試合再開。
 ブレイク前の展開がミルコに恐れを抱かせたのか、スタンドでの再開後もミルコは一発も打撃を出さない。そんなミルコの打撃を警戒しながらも、左回りにまわって間合いを計るランデルマン。まずは1分40秒、ミルコの左足へ片足タックルを仕掛けた。が、不発。ならばと放った左フックがミルコのあごを見事にとらえ、ダウンを奪う。畳み掛けるようにインサイドガードに入ったランデルマンは、左の鉄槌を容赦なく落とし、ミルコからまさかの失神KOを奪い、勝利の喜びを爆発させた。

◆ランデルマン(リング上)「コンバンワー!みなさん、ファンの皆様、みんなが日本人であっても、クロアチア人であっても、ロシア人であっても、アメリカ人であっても、皆様に神のご加護がありますように。そして世界平和と、皆様のもとに愛が届くようにお祈りします。私がこの試合に臨む前、怖かったんだろうと思ったのでしょう?そうです。怖かったのです。私もみんなと同じように、一人の人間です。しかし皆様のために、自分は地獄を見てもいい、そしてそれから天国を見るのだと決心していました。またみんなのために戦います。アリガトー」
(バックステージ)「去年の桜庭戦で右腕を痛めたので、左腕でパンチを打った。左フックは(師匠の)コールマンと立てたプランどおりだ。ミルコが左ハイを放つタイミングを見抜き、怖がらずにパンチを打ちに行ったから当たった。GPにはシルバ、シュルト、ヒーリング…、背の高い連中がたくさんいる。俺は一番背が低いけど、頑張って誰とでも戦ってやるよ」
(※ミルコはノーコメント)

第5試合 1R10分/2,3R5分
○小川直也(日本/フリー)
×ステファン・レコ(ドイツ/ゴールデン・グローリー)
1R 1'34" 肩固め


 ステファン・レコは言わずと知れたK-1トップファイター。今回が総合格闘技ルールでの初試合だが、打撃技、特に右ストレートには絶対の自信を持っており、ミルコの再来として強さを発揮する可能性も十分予想された。
 しかし相手は「柔道王」そして「暴走王」の小川直也だ。柔道世界選手権三連覇、全日本選手権五連覇という輝かしい実績。その後「真剣勝負はやり尽くし」てプロレスに転向するが、過去2戦、PRIDEにも参戦している。前回の佐竹戦から3年半ぶりとはいえ、日本人離れした身体能力と柔道で身につけたテクニックは間違いなく世界レベルといっていい。
 問題は、プロレス界の住人である小川直也が、「ハッスル査定マッチ」とされるこのPRIDE GPでの試合に、高いモチベーションを持っているかどうか、その一点だったが、試合内容から、その疑いは杞憂であったことが明らかになった。

 サウスポーからパンチを繰り出す小川に対し、右構えのオーソドックスからローを打ち込むレコ。意外や、立ち技で主導権を握ったのはパンチの手数に勝った小川だった。
 0分15秒、小川のカウンターの左フックをこめかみに受け、スリップ気味に倒れたレコに対し、小川はサイドポジションへ。ここから小川の怒濤の攻撃が始まる。0分30秒、マウント奪取。0分45秒には腕十字をねらってレコに立たれかけた小川だったが、間髪入れず、小川は横四方の体勢で押さえ込んだ。

 アームロックやボディへのパンチで攻めながら、小川は1分30秒、再びマウントポジションへ。あとはもがいたレコの腕と首を捕らえ、肩固めでタップを奪うまでに数秒とかからなかった。
 レコが総合初戦、ということを差し引いても、小川のアグレッシブな姿勢が、この秒単位の攻防を導き出したことは間違いなく、大きく評価されてしかるべきだろう。
 試合後、マイクを持った小川に場内は大歓声。小川はファンを挑発するのかと思いきや、「PRIDEのファンの皆様には大変申し訳ないのですが、私はあくまでハッスルを広めるためにですね、コツコツとやってまいります」とハッスル3の宣伝に終始した。もちろん締めは「3、2、1、ハッスルハッスル!」。極めて穏やかな雰囲気であった。小川も大人になったものだ・・・といったところか。

◆小川(リング上)「しゃべっていいですか?PRIDEのみなさん、ごぶさたしてました!まずは、皆様にお礼をひとこと言わせていただきます。ここのリングに上がることを待ち望む人が多かったことで、無事、ここに戻ることができました。ありがとうございました。PRIDEのファンには大変申し訳ないですけど、あくまでも、ハッスルを広めるためにですね、コツコツやってまいります。
 みなさん、PRIDEも確かにいいと思いますけど、(ここでハッスルのTシャツを広げて持つ)ハッスル3がですね、5月8日、土曜日です。横浜アリーナでやりますんで、ぜひ、そちらの方もお越しいただけたら幸いかなと思っております。また試合終了後にメインゲートでチケットの方も発売してますんで、ぜひお帰りの際には買ってください。よろしくお願いします!
 あまりしゃべると切られますんで、最後にひとつ、やりたいことがあるんで・・・やってもいいですかね? わかりますよね。みなさん、ご起立お願いします! 恥ずかしがらずにみんな立ってくださいね。やりかたを一応説明します。3、2、1、ハッスルハッスル。試合はまだまだ続くぞ!みなさん、気合い入れていきましょう!それでは、いくぞー!3、2、1、ハッスルハッスル」

第4試合 1R10分/2,3R5分
○セーム・シュルト(オランダ/ゴールデン・グローリー/元パンクラス無差別級王者)
×ガン・マッギー(アメリカ/ピット・ファイトチーム)
1R 5'02" 腕ひしぎ十字固め


 マッギーは前回査定マッチでヒーリングに敗れながらも、打たれ強い独特な存在感を見せつけ、GP出場にこぎ着けたUFCからの刺客。対するセーム・シュルトは大道塾からパンクラス、UFC、PRIDEとキャリアを積み重ねてきたスーパーヘビー級の実力者。マッギーの208cmに対してシュルトが211cmと、互いに身長が2mを超える大巨人同士の激突となった。
 今回マッギーの攻めで目立ったのは、その大柄な風貌には似つかわしくない緻密なグラウンドでのポジション運び。マッギーは試合の大半で主導権を握りながら、またもPRIDE初勝利を逃す結果となってしまった。

 1R、パンチで間合いを詰めて行ったシュルトに対し、マッギーはすかさず両足タックル。まずは横四方で相手を固めた。
 0分50秒、マウントを奪取したマッギーはその後約3分間にわたってマウントポジションをキープすることになる。その間、腕十字をねらうほか、幾度となくパウンドを落としていったが、シュルトはその長い手でマッギーの両手首をつかんでディフェンス。有効打を打たせない。逆にシュルトの下からのパンチでマッギーが鼻血を出し、3分にはマウスピースも吹き飛んだ。

 シュルトが勝負を賭けたのはここからだった。3分30秒、マッギーのアームロックを外すと、隙をついてガードポジションに。思わず中腰になったマッギーを足で突き放す。すると今度は足関節を狙ってきたマッギーの上に乗り、4分45秒、ついにシュルトはポジションチェンジに成功。逆にマウントを奪い、完璧な形で腕十字を極めた。
 一瞬の隙をものにしたシュルトが、教科書通りの攻めを見せて大逆転勝ちを収めた。

第3試合 1R10分/2,3R5分
○ジャイアント・シルバ(ブラジル/フリー)
×戦闘竜(アメリカ/フリー)
1R 4'04" アームロック


 前回PRIDE.27でのGP査定マッチのクオリティが非常に高かったため、この2人の試合が何故GPで組まれるのか、疑問は拭いきれないが、シルバはバスケット、戦闘竜は大相撲と、ともに他の競技で実績を上げ、身体能力は高いものと思われる。
 試合は開始早々、戦闘竜が突っ張りでシルバをコーナー際に押し込み、シルバの右足をつかんでテイクダウン。戦闘竜は上のポジション、いわゆるインサイドガードに持ち込んだ。
 しかしシルバの身長は230センチ。175センチの戦闘竜は、インサイドガードからシルバの顔面に手は届かない。逆に下になっているシルバが、戦闘竜の頭を右手で「アイアンクロー」のように押さえて防御する、という迷場面も。
 が、戦闘竜はかまわずシルバのボディーにパンチを打ち込む。その一発一発が重く、場内からは感嘆の声がわき上がる。
 そして1R2分40秒、戦闘竜がパスガードして横四方の体勢へ。すかさずシルバは下から戦闘竜の右腕を腕がらみにとらえるが、「大丈夫」というセコンドの桜庭和志のアドバイスに従い、戦闘竜はあわてず押さえ込むことに集中した。
 しかし1R4分、シルバが戦闘竜の右腕を強くひねり上げると戦闘竜は悲鳴をあげタップ。これでは戦闘竜は何のためにパスガードしたのかわからない。期せずして最後の決まり手も迷場面となってしまった。

第2試合 1R10分/2,3R5分
○セルゲイ・ハリトーノフ(ロシア/ロシアン・トップチーム)
×ムリーロ・ニンジャ(ブラジル/シュート・ボクセ・アカデミー)
1R 4'14" KO (右フック→パンチ連打)


 ハリトーノフは、ヒョードルが抜けたロシアン・トップチームが送り出してきた実力者。PRIDEではこれまで2戦2勝。コマンドサンボの使い手。対するニンジャは打撃を得意とする“ヴァンダレイ・シウバの弟分”。今回は階級アップのせいか、多少腹が出ているように見える。
 序盤、スタンドの攻防では、身長194センチとリーチに勝るハリトーノフが遠い間合いから打撃を打ち込む。対する身長181センチのニンジャもローキックなどで真っ向勝負。左のロングフックでハリトーノフの鼻から出血を誘った。
 余勢を駆って寝技に持ち込もうと、ニンジャは0分50秒、胴タックルを仕掛けるが、ハリトーノフは倒れない。逆に払い腰でテイクダウンを奪ったハリトーノフは、ヒールホールドに来たニンジャの攻撃を難なく振り払い、1分30秒、再びスタンドでの勝負に持ち込んだ。
 前に出るニンジャに対して、突き放してアウトボクシングで攻めるハリトーノフ。3分、ハリトーノフが強烈な右ボディを放つ。その後も7発のボディでニンジャの意識を下に下げたところで4分過ぎ、ニンジャの左こめかみをかすめるような右フック。ニンジャはうっすらと意識を失うように倒れていった。

第1試合 1R10分/2,3R5分
○ヒース・ヒーリング(アメリカ/ゴールデン・グローリー)
×高橋義生(日本/パンクラスism/パンクラスヘビー級王者)
1R 4'53" KO (グラウンド鉄槌連打)


 “テキサスの暴れ馬”ことヒース・ヒーリングは前回PRIDE.27ではガン・マッギーに判定勝ちを収めてGP出場権利を獲得した。ヒョードル、ノゲイラ、ミルコの“三強”の全員と戦ったことのある唯一のファイターは、リベンジを果たすために、ここで足踏みをすることは許されない。対する高橋は97年のUFC12で日本人UFC初勝利を飾ったヘビー級の実力者。パンクラスではボクシング中心の試合展開を得意としているが、あくまでベースはレスリング。「倒されない」ことを前提にした上でのスタンド打撃だけに、まずは上のポジションを取ることが勝利への必須条件といえる。
 金髪に黄色いコスチュームで野生を思わせる風貌で登場した高橋に対し、“テキサスの暴れ馬”ヒーリングは頭頂部だけ青く染めたモヒカンでリングイン。両者の身長は高橋がわずか4センチ低いだけだが、体重はヒーリングの方が12キロ重いだけあって、リング上での体格の違いが際立っていた。

 サウスポーの高橋に対し、オーソドックスのヒーリング。スタンドの打撃では、ヒーリングの右ミドルと高橋の右パンチが交錯する。ヒーリングはタックルを試みるが、高橋はがぶり、首を抱えながらヒザ蹴りを打ち込んだ。しかし高橋のヒザ蹴りは散発的で、決定打を与えるまでには至らない。2分すぎ、青コーナー際で、ヒーリングが再びタックルを放つが、高橋はきっちりと切る。このままこの展開が繰り返されるかと思われたが、なおもあきらめないヒーリングの押し込むようなタックルに、2分30秒、ついに高橋が倒れてしまった。
 すかさずフロントチョークでヒーリングを絞めあげる高橋だったが、30秒ほど絞めたところで逃げられ、ここからインサイドガードでのパウンドを浴びることになる。3分を過ぎたところでドントムーブがかかり、中央に戻されると、ヒーリングが思い切った鉄槌を振り下ろす。最初のうちは冷静にパンチを見極めていた高橋も、圧力のあるヒーリングの、それも1分半以上のパウンドの嵐の前になすすべもなくレフェリーストップ負けとなった。



一般発売 5/23(日) に先駆け 15(土)12:00〜限定発売!


Last Update : 04/27

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